今日の中国ニュース(2022年12月22日分)

ラオス「一帯一路」鉄道1年、連結目指す小国の賭け: 日本経済新聞

 (ボーガス注:ラオスが)鉄道整備に踏み切った事情を、タイに本部を置く政府間機関メコン研究所のスリヤン・ウィチットレーガーン所長は「内陸国から『連結国』へと脱皮し、成長制約を克服する強い意志を持っていたからだ」と解説する。
 東南アジアで唯一、海に面さない地理的条件が、ラオスの最大の弱点だ。おまけに国土の7割は山地と丘陵。平野部はタイ国境に重なるメコン川とその支流の沿岸に限定される。地理的な障害が小さく、輸送コストが比較的低くてすむ西隣のタイとつながることが、経済発展への近道だった。
 (ボーガス注:ソ連崩壊後の)1994年にラオスの首都ビエンチャンと対岸のタイ・ノンカイ県をつなぐ橋が開通した。メコン川を横断するのに、それまでの渡し船ではなく、近代的な陸路が整備されたことで、両国の経済関係は急速に深まった。タイ製の消費財や、縫製業を中心とする投資がラオスに流れ込み、逆にラオスからは水力発電の電力輸出が本格化した。ラオスにとりタイは1996年に貿易の4割を占める最大相手国となった。
 そこに冷や水を浴びせたのが1997年のアジア通貨危機だ。震源地だったタイのGDPが同年に2.8%減、翌1998年は7.6%減のマイナス成長に陥ると、影響はラオスに1年遅れで波及した。プラス成長こそ維持したものの、1997年の6.9%から1998年に4.3%、1999年は4%とブレーキがかかった。
 「タイ一本足打法」のリスクを痛感したラオスは、経済関係の多角化を模索する。2015年に計画合意、2016年には着工と一気に進展した。
 日本貿易振興機構ジェトロ)アジア経済研究所のケオラ・スックニラン主任研究員は「現状突破のために何かが必要だった。ラオスはこの鉄道事業に賭けたのです」と祖国の思いを代弁する。
 ラオス鉄道*1の事例は、中国に対する「債務のワナ」の批判で見落とされがちな点を思い出させる。中国は嫌がる相手へ無理に貸したのではなく、借りる側がインフラ整備を望んだという単純な事実だ。

 赤字部分には吹き出しました。見落とされがちも何も「当たり前じゃん」と言う話です。


台湾、有事対応でシェルター10万カ所整備 人口の3倍超: 日本経済新聞
 正気の沙汰とはとても思えません。


台湾で兵役延長 賛否両論渦巻く 訓練内容に不満強く - 産経ニュース
 中国が侵攻する可能性は低いので不満が出るのは当然でしょう。
 実際、記事にも

 ある台湾の大手紙記者は「富裕層は今後、兵役から逃れるため、子供を高校から海外に留学させることが増えるだろう。社会の不公平感が高まる可能性がある」と指摘する。

と書いてあります。

 台湾の民間シンクタンク、台湾民意基金会が今月中旬実施した世論調査では、市民の73%が兵役延長に賛成しているという。

という「調査結果が正しい」としてもそれは「延長反対と言って叩かれたくないという『面従腹背派』」「延長はすべきだと思うが自分はやりたくないという『フリーライダー派』」が多いようです。
 それにしても

2年後に入隊する予定の16歳の長男を持つ台北市在住の主婦(50)は、「規則正しい集団生活を1年送ることは子供にとっていいことだと思っている」と話す。

ねえ(呆)。軍隊経験とはそういうもんじゃ無いでしょうに。


自民有志が中台緊張の最前線、金門島を視察 - 産経ニュース
 実際に金門島で武力衝突が起こった昔はともかく今や

金門島に中国側から送水開始 台湾が実効支配する離島:朝日新聞デジタル2018.8.5
 台湾が実効支配する離島・金門島に向け、中国側から水を供給する送水管が完成し、同島で5日、通水式が開かれた。

台湾なのに…人民元が流通、中国旗はためく島:朝日新聞デジタル2018.9.13
 金門島が中国への依存を深めている。フェリーでやってくる中国人観光客を目当てに、商店街に中国国旗がはためき、人民元も流通。

なので産経記事は時代錯誤も甚だしい。こうした経済交流をしているのに侵攻などあり得ないし、中国が何か金門島に仕掛ける*2としたら、まずは侵攻では無く「金門島への中国人観光客の訪問を認めない」などの経済制裁的措置でしょう。
 今回の訪問で「金門島での中台間の経済交流の進展が理解できた。中台の軍事衝突を避けるためにもこの交流を今後も進めて欲しい」という見解に自民議員がなればいいですが果たしてどうか(産経にはそうした見解は勿論期待していません)。
 それにしても

世耕氏は日中関係なども考慮し、訪問を見送った。

と言うのが興味深い。


中国抑止の米国防権限法が成立 TikTok禁止も議会通過 - 産経ニュース
 さすがに「TikTokの営業禁止」ではなく「政府端末からの利用禁止」に留まりますが、果たして正当な規制と言えるのかどうか。


米上院委、ウイグル強制労働で質問状 トヨタやホンダに: 日本経済新聞
 続報があるでしょうが、今後の「企業の対応」や「それに対する米国の反応」に注目したい。


WTO “香港製を「中国製」と表示義務づけ” 米措置は協定違反 | NHK | 米中貿易摩擦
 WTOの裁定は不当だから従わないと公言する米帝はさすが世界最悪・最凶のならず者国家というべきでしょう。米国が「権威主義国家呼ばわり」し敵視する中露が同じ事をWTO裁定に対して実行したら非難するでしょうに。
 「温暖化協定脱退(バイデン政権で復帰)」トランプ時代に比べればまだマシとはいえ、バイデン政権でも「俺がルールブックだ」という「ジャイアン主義」は変わらないようです。
 民主主義国家であることと「まともであること」は違うことを改めて痛感します。そして米国がこうした覇権主義を辞めるのはいつの日になることやら。やはり「二大政党制(二つしか選択肢が無いこと)」であることがよくないのか?

*1:中国雲南省との国境に接するラオスのボーテンからラオスの首都ヴィエンチャンまでを結ぶ鉄道。中国側の玉磨線と接続(中国ラオス鉄道 - Wikipedia参照)

*2:勿論仕掛けるか分かりませんが