今日の中国ニュース(2020年9月28日分)

ラオス、重い対外債務 中国と減免交渉、「債務のわな」懸念 - 産経ニュース

 東南アジアの内陸国ラオスが対外債務の返済に苦しんでいる。中国主導による巨大経済圏構想「一帯一路」に参加し、巨額の融資を受けてダムや鉄道などのインフラ整備を進めたが、主に中国に対する債務返済で負担が重くのしかかってきた。途上国が返済の代わりに、完成後のインフラ施設を中国に明け渡す「債務のわな」に、ラオスも陥る懸念が指摘されている。
 「厳しい対外債務の状況に直面している」。格付け機関大手のフィッチ・レーティングスは23日、ラオスの長期債務の格付けを「Bマイナス」から「トリプルC」に2段階引き下げた。
 ラオスの外貨準備高が約13億ドル(約1370億円)なのに対し、年内に約5億ドル、来年からの4年間に毎年、約11億ドルの債務返済義務があることが理由だ。ラオスの対外債務は累積100億ドル以上とされ、国際通貨基金IMF)によると、このうち約4割は中国からの融資だという。
 中国南部と国境を接するラオスも一党支配による社会主義体制で、中国から支援を受けている。ダム建設などのほか、中国側と首都ビエンチャンを結ぶ鉄道も、来年12月の開業を目指して建設が進む。
 今年に入って新型コロナウイルス流行で観光業が打撃を受けたことなどから、ラオスの歳入が急減。通貨安も追い打ちをかけ、財政事情が逼迫してきた。英紙フィナンシャル・タイムズは、ラオスが債務減免について「中国と協議した」と報じたが、中国側の対応はなお不透明だ。
 チャイナマネーに頼ったインフラ整備は世界的に懸念の声が強く、米シンクタンクは、ラオスパキスタンなどと並ぶ「一帯一路の債務負担に対して脆弱な8カ国」の一つに挙げた。
 ただ、中国によるラオス浸透策は加速している。ラオス国営電力会社と中国電力大手は1日、送電事業などで新会社を設立した。
 負担を軽減したいラオス側は経営権を中国に譲ったとされ、ロイター通信は「こうした協定がラオスを巨大な隣国(中国)にこれまで以上に近づける」と警告した。

 「債務の罠ガー」などといっても中国以外に融資してくれる国が恐らく無いわけでラオス政府からすれば「余計なお世話だ」でしょう。
 ちなみに【国際情勢分析】中国「一帯一路」が生む借金地獄 米機関が指摘する「高リスク」8カ国とは(2/3ページ) - 産経ニュースによればパキスタンラオス以外の6カ国は「キルギスジブチタジキスタンモルジブ、モンゴル、モンテネグロ」だそうです。

【参考:ラオス以外の7カ国について】

中国マネーに沸くタジキスタン 中央アジアの最貧国に迫る「債務のわな」のリスク:朝日新聞GLOBE+
 雪に覆われた山々が遠くに連なる首都ドゥシャンベ郊外のバルゾフ渓谷。片側1車線の整備された道路を、資材を積んだオレンジ色の中国製トラックがひっきりなしに行き来していた。
 首都と北部を結ぶ主要な幹線だが、冬も通行可能になったのは数年前のこと。中国が約2.8億ドル(約310億円)を融資して改修したためだ。タクシー運転手のベフルース・ジヤコフ(27)は中国を「タジクの真の友」と呼んだ。
 「助けにきて、山を掘って、首都から外に出るチャンネルをつくってくれましたから」
 南北の送電線もつながるなど、険しい自然とインフラの老朽化で分断されてきた国土は、中国の資金で急速に連結が進む。政治アナリストのアブドゥガニ・ママダジモフ(54)は「国際機関はこんな内陸国に事業を持ってきてくれませんでした。道路や鉄道は我々と国際社会を結ぶもの。だから一帯一路に飛びついたのです」と話す。
 その結果、2006年にはほぼゼロだった中国からの借金は16年に11.6億ドルに達し、二国間債務の9割を占めるまでになった。一帯一路に関係する68カ国の債務を分析した米シンクタンク・世界開発センターはタジクを「返済困難に陥るリスクが高い」8カ国の一つに挙げた。別のリスク国スリランカはすでに返済に窮し、中国が17年、借金のかたのように99年間の港運営権を取得した。「債務のわな」と批判される中国式だ。
 タジクでも昨年、電力と熱を同時に生むコージェネ施設を造った中国企業が金鉱山の権益を取得したと報じられた。建設費を回収するまで採掘できる条件とみられている。
 地元記者によると、それでも国内で中国依存を不安視する声は上がっていない。ここ数年で野党やメディアへの締め付けが強まり、「都合の悪い情報や批判は表に出にくくなった」。町には大統領の肖像写真が増え、政府庁舎と国会議事堂は中国の2.2億ドル(約240億円)の援助で建て替えられることになった。
 だが、だれもが中国との蜜月を快く思っているわけではない。タジクは2011年に決着した国境交渉で、中国に領土の一部を割譲した。俳優業の男性(45)はそれに触れ、「中国はあの手この手を使う」と不信感をみせる。

モルディブ、対中債務の膨張の恐れ 前政権が政府保証 :日本経済新聞
 インド洋の島国モルディブが、対中国債務の膨張リスクにおびえている。中国の政府系銀行から民間企業が借りた資金に、前政権が政府保証を付けていたことが発覚したためだ。想定外の政府保証が発生すれば資金繰りは一層厳しくなりそうだ。
 モルディブのリゾート大手アーメド・シヤムは7月、中国輸出入銀行からの借入金総額1億2750万ドル(約134億円)のうち、1000万ドルの返済を求められた。同社は返済できず、銀行が代位弁済を求めたのはモルディブ政府だった。同国大統領府幹部は「政府が保証人として返済するよう要求された」と明かす。
 モルディブでは親中派のヤミーン前大統領のもとで中国から多額の資金を借り、中国の広域経済圏構想「一帯一路」の一部としてインフラ整備を推進した。2018年の大統領選で敗れると、在任中のマネーロンダリング資金洗浄)疑惑が表面化し、ヤミーン氏は2019年に逮捕された。
 アーメド・シヤムは同国最大のリゾートを建設するため中国輸出入銀行と2016年に契約した。
 2018年の大統領選でヤミーン氏を下し就任したソリ現大統領の政権は専門委員会を立ち上げ、隠れ債務の洗い出しを進めている。モルディブの対中債務は公式には14億ドルとされるが、実際には35億ドル近くあるとソリ氏の側近らは見ている。
 モルディブ政府を悩ませているのは、償還期限を迎える対外債務の返済だ。
 背景にあるのは、新型コロナウイルスの感染拡大だ。モルディブは2019年、過去最大の190万人の観光客を受け入れたが、感染防止で入国を制限したため2020年1~7月の観光客数は38万人にとどまった。

モンテネグロを蝕む中国投資 「一帯一路」結ぶ高速道は債務超過への1本道? | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 巨大な橋や深いトンネルを備えた全長165キロに及ぶ高速道路の建設プロジェクトについて、モンテネグロ政府は「世紀の建設工事」であり、「近代世界への入り口」だと位置づけている。
 この高速道路は、アドリア海に面したモンテネグロの港町バールと、海を持たない隣国セルビアを結ぶ計画だ。だが、第1区間となる首都ポドゴリツァ北部の山間部を結ぶ41キロの難工事が終わると、政府は難しい選択を迫られることになる。
 第1区間に対して提供された中国からの融資により、モンテネグロの債務は急増し、政府は財政規律を取り戻すため増税や公務員の賃上げ凍結、母親向けの給付金廃止を余儀なくされた。
 こうした措置にもかかわらず、モンテネグロの債務は今年、国内総生産(GDP)の8割近くに達する見通しで、国際通貨基金IMF)は、野心的な高速道路プロジェクト完成のために、さらに負債を負う余裕はないと同国に警告している。
 「どうしたら完成できるのか、大きな疑問がある」と欧州連合(EU)の当局者は語る。
 「モンテネグロの財政余地は大きく縮小している。自らの首を絞めているような状況だ。現段階で、これはどこにも行き先のない高速道路だ」
 野心的なシルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げた中国が経済的影響力を拡大する中、アジアやアフリカの貧しい国々は、同国が提供する魅力的な融資や、大規模インフラ計画の約束に飛びついてきた。
 これにより、中国の巨大な外貨準備へのアクセスなしには不可能だったであろう規模の開発プロジェクトが可能となった。だが、スリランカジブチ、モンゴルなど、いくつかの国には負債が重くのしかかり、中国依存をより深める結果となっている。
 新しい高速道路によって国に明るい未来をもたらそうという夢を追うモンテネグロは、そうした立場に追い込まれた欧州初の国だ。
 高速道路の建設によって、発展が遅れている北部経済を活性化し、セルビアとの貿易を増やして、危険な悪路が多い狭くて曲がりくねった山間部の交通路の安全性を確保することを、政府は狙っている。
 「短期的な視点では経済的に正当化できなくても、戦略的に重要な投資はある」と、ミハイロビッチ副首相はロイターに述べた。
 EU加盟国に囲まれた、アルバニアボスニア・ヘルツェゴビナコソボマケドニアモンテネグロセルビアの西バルカン諸国は、1990年代の独立戦争以降、投資の遅れや統治の不備などに悩まされ、経済的に落ちこぼれている。
 モンテネグロのマルコビッチ首相は、どれほど費用がかかっても完成させると述べ、水力発電や観光の分野でも中国と協力を深めると約束している。批判するのは「信じようとしない人たち」だと一蹴した。
 だが野党の政治家は、国の財政や中国の役割を懸念している。


「一つの中国原則を支持」VTuber所属事務所の声明、日中で批判が寄せられる。台湾めぐる「踏み絵」は過去にも... | ハフポスト

 バーチャル世界で3Dアバターとなって活動する「VTuber」が、生放送中に不適切な言動をしたとして、運営元会社は当該タレントについて一定期間、活動を自粛させると発表した。
 問題となった放送は、タレントが「動画の視聴者が多い国」を発表するというもので、このなかで台湾を取り上げたことから「台湾は中国の一部」と主張する中国大陸のユーザーから批判が相次いでいた。これを受け、運営会社が中国向けに「一つの中国原則を支持」などとする声明を出したことで、今度は日本のファン*1から抗議の声が上がる事態となっている。
 VTuber事務所「ホロライブ」を運営する「カバー」は9月27日、所属するVTuberタレント2名の生放送で、機密情報であるYouTubeの統計情報を開示したこと*2や、一部で不適切な発言があったと謝罪。2名については3週間の活動自粛とした。
 問題となった放送は、タレントが、YouTubeのアナリティクス(分析)画面を映しながら、自身の動画の視聴者が国を発表するというもの。このなかでランクインしていた「台湾」を読み上げた。
 この内容に中国大陸の視聴者とみられる人たちから批判の声が上がった。
 運営元会社は、日本語の声明では「公にしていない情報の開示やナショナリズムの配慮に欠けた言動」があったとして謝罪する一方、動画サイト「bilibili(ビリビリ)」では中国向けの声明を出し「中国の領土と主権の完全性を常に尊重し、日中共同声明と日中平和友好条約を尊重し、一つの中国原則を支持します」と中国ユーザーに配慮した内容になっている。
半沢直樹でもあったトラブル
 台湾をめぐるトラブルは過去にも起きている。人気VTuberの「キズナアイ」は2019年、中国語で活動するチャンネルで、台湾を「中国台湾」などと呼び批判が寄せられた。「中国台湾」は大陸の主張を反映した呼び方で、日本や台湾のネットユーザーから疑問視された。
 また、大人気ドラマ「半沢直樹」では一部で台湾政府が「国旗」とする「青天白日満地紅旗*3」が映り込み、大陸で批判の声が上がった。再放送ではこの旗が他の国の国旗と一緒に消されたが、理由についてTBSは回答を避けた。

 まあ「『一つの中国』を否定したいというよほどの政治的覚悟がない限り」こうなるのは「ある意味」当たり前の話です。
 個人でやってるユーチューバーならともかく「芸能事務所バックアップのタレント営業」でしかも「中国も営業対象として想定」しているなら「事務所がきちんと管理しろよ」つう話です。


【政治デスクノート】菅首相が中国に突きつけた親台派防衛相 - 産経ニュース
 実に産経らしいですが「実兄・安倍の名代」として訪台したことがある岸信夫も、防衛相として産経が期待するような反中国、親台湾政策なんて事はしないでしょう。防衛相、それも「前首相の実弟」なんて人間がそんなことをしたら日中関係の悪化は避けられないからです。

*1:というよりただの反中国ウヨでしょう。「活動自粛」はともかく、「一つの中国原則」支持に悪口するのは反中国ウヨ以外居ない。

*2:この辺り、「実際にYouTube側から抗議があった」のか、それとも「中国びいきだ」と言うウヨの非難を交わすために付け加えた物で実はYouTube側はそんなに問題視してないのかでこの話の意味合いは若干変わります。

*3:そりゃ台湾が舞台でも無い「半沢直樹」でそんなもんを映す必要はどこにも無いですからねえ。批判の声が出るのはある意味当然ですし、TBS側に「どうしても青天白日満地紅旗を登場させたい理由」が無ければ削除するでしょう。