リスキリング(産休・育休中の学び直し)発言で批判される岸田

上西充子*1
 先ほどの日曜討論、野党側(確か小池さん)が、「育児休業中にリスキリングしろとか、何を言っているのか」といった指摘をしたのに対し、茂木幹事長は「育児休業中に仕事をしろなんて言ってないですから」といった感じで反論していた。意図的に話を逸らし*2ていた。

岸田首相「子育て経験した」反論も妻は「ワンオペ育児」を告白の矛盾…「全信頼失う」と火に油 | 女性自身
 自身の発言についての批判に対して質問を受けた岸田首相は、次のように反論している。
「私自身、3人の子供を持つ親であり、まず子育て自体が経済的にも精神的にも、また時間的にも大きな負担があるということは経験しておりますし目の当たりにしているところです」
 決して育児を軽視した発言ではないと強調した上で、リスキリングについては「ライフステージのあらゆる場面において、学び直しを取り組もうとする際に『本人が希望した場合』にはしっかり応援できる後押しできる、こうした環境整備を強化していくことが重要だということを申し上げました」 と、自由意志を尊重する意図だったと釈明した。
 防衛費増額のための増税や、新型コロナによるマスク着用のルール緩和……支持率が低迷する中、多方面からその言動に懐疑の目が向けられている岸田首相。そんな中、首相夫人である岸田裕子さんの過去の”ある発言”が、注目を集めている。
 その発言とは、2022年3月号『文藝春秋』に掲載された、フリーアナウンサー有働由美子(53)との対談企画で話されていたもの。
 対談中、首相夫人となってからの記憶を振り返るなかで、「子育ては広島でお一人でという、今でいう『ワンオペ育児*3』ですか」と聞かれた裕子夫人は、「そうです。子どもが小さい頃は一人が夜中に熱を出したら他の子をどうするかとか、そういう時は結構大変でしたね」と答えていた。
 さらにその後も、反抗期の息子3人という子育てについて「大変そう」と言われると、自身の息子たちについて「人をあまり頼らないというか、自分のことは自分でやるというか。だからワンオペ育児でも平気だったのかもしれないですし」と語っている。
 この裕子夫人の「ワンオペ育児」発言がネット上で注目を浴び、自身を「3人の子供を持つ親」と主張した岸田首相の発言に批判的な声が相次いだ。
《岸田さんの奥様はインタビューでワンオペだったといってるのに、「私も三人の子育てをしてきた」は流石に全信頼失うね》
《えーw 奥さんワンオペだったって言ってるよw奥さんに話を聞こうね》
《岸田よ。お前育児しとらんやないか。奥さんがワンオペ育児っていってるぞ。お前が思ってる育児は全然違うぞ》
《単身赴任で夫に頼れず常時ワンオペで男3人兄弟育てたのに、夫が「俺育児したよ」なんて他人に言いまくってたらアタイならブチギレ》
《もう岸田妻がワンオペと言ってるじゃん笑! なのに、育児を経験しました(ドヤ)、ってよくできるな岸田! 》

育休中は暇じゃない!!…岸田首相の「育休中にリスキリング」答弁に批判殺到、衆院予算委で釈明に追われる:東京新聞 TOKYO Web
 交流サイト(SNS)を中心に「育児の大変さを分かっていない」などと怒りの声が上がる。首相は30日の衆院予算委員会で「決して育休、産後を甘く見るということではない」などと釈明に追われた。
 SNS上では「なぜ産休という大変な時に学び直しまでしなきゃならないのか。それより産休明けできちんと同じポジション・賃金に戻れる労働環境整備を」(ジャーナリストの長野智子*4)などの批判があふれた。立憲民主党山井和則*5も「育児を軽く見ている。現実とずれた発想」と指摘した。
 首相は「私も3人の子の親だ。子育てが大きな負担だと目の当たりにしたし、経験もした」と弁解した上で「本人が学び直しを希望した場合には、後押しできる環境は大事だ。指摘は謙虚に受け止め、丁寧に、誤解のないように発信していきたい」と述べた。
 名古屋大の武田宏子教授(政治社会学)は首相の答弁について「構造的な女性の雇用問題は個人の努力では解決できないのに、労働力として生産性を高めることが重視されるばかりで、子どもと生活を共にするという視点が欠けている。国は子どもを持つと決めた人がその生活を楽しめるよう支援すべきだ」と語った。

育休中のリスキリング「後押し」、首相答弁に批判 識者「理解欠く」 [岸田政権]:朝日新聞デジタル
 29日には与野党幹事長級が出演したNHK討論番組(ボーガス注:日曜討論*6)で、共産党(ボーガス注:書記局長)の小池晃*7が「子育てと格闘している時にできるわけがないのに言う。根本的な反省と改革を求めたい」と述べた。
 国民民主党*8(ボーガス注:幹事長兼選対委員長)の榛葉賀津也氏も「育休中にリスキリングしろとはがっかりした。」と批判した。自民党(ボーガス注:幹事長)の茂木敏充*9は「育休中に仕事をしろとは言っていない。」と反論した。

「育休中のリスキリング」発言 野党が岸田首相を批判: 日本経済新聞
 29日のNHK番組(ボーガス注:日曜討論)で野党から批判が出た。
 共産党小池晃書記局長は「子育てに格闘している時にそんなことができるわけがない」と述べた。
 自民党茂木敏充幹事長は「子育てがキャリアにマイナスにならないようにという話をした。仕事をしなさいなんて言ってない」と反論した。

岸田首相「育休中の学び直し」答弁に批判 「育児してない人の発想」 | 毎日新聞
 ツイッターでは著名人から厳しい意見が。
 作家の平野啓一郎さんは「何のための産休・育休なのか」
 ソフトウエア会社「サイボウズ」の青野慶久*10社長は「赤ちゃんを育てるのは、普通の仕事よりはるかに大変。子育てをしてこなかった政治家が言いそうなことですね」とツイートした。
 ほかにも、「休みだから時間あるだろうと勘違いしてる」といった政府への批判が相次いだ。

 「異次元の少子化対策」の一環として「いいことを言ったつもりだった」ところ、当事者から「育児のことが分かってない*11」と批判されて釈明する羽目になるのだから滑稽です。
 それにしてもこのような岸田批判の存在には目もくれず、自ブログ松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Amebaで「共産党・志位執行部批判ばかりに全力投球」の松竹とその類友には「お前は何処の党員なのか?、自民党員か?」「そんなに不満があるなら離党してええんやで?」「お前明らかに少子化問題とか女性の育休問題とか興味ないやろ、安保問題しか興味ないやろ、そんなんで党首選挙に出たいとか抜かすのか?、政治をなめてるのか?」「お前も岸田と同じワンオペ育児か?。そして岸田同様にそのことへの問題意識もないのか?(以上、松竹)」「お前等、本当に共産支持者なんか、松竹を弾よけに使って志位攻撃してるだけと違うのか!(類友)」と言いたくなります。

*1:法政大教授。著書『呪いの言葉の解きかた』(2019年、晶文社)、『国会をみよう:国会パブリックビューイングの試み』(2020年、集英社クリエイティブ)、『政治と報道:報道不信の根源』(2021年、扶桑社新書)など

*2:まだそれなら「ある意味まし」ですが今の自民だと「話のすり替え」ではなくマジで「きちんと反論した」と思ってそうなところが何ともかんとも

*3:ワンオペとはもともと、『ワン・オペレーション(コンビニや牛丼チェーン店などが、深夜など人手不足の時間帯に1人の従業員にすべての仕事を行わせること)』を意味する。

*4:1962年生まれ。1985年にフジテレビ入社(1990年退社)。フジテレビ時代には『FNNモーニングコール』司会(1986年4月~1987年9月)、『トークシャワー』司会(1989年4月~1990年3月)など歴任。フジテレビ退社後はテレビ朝日ザ・スクープ』キャスター(2000年4月~2012年1月:2002年10月に不定期の単発放送となってからも出演)、『報道発ドキュメンタリ宣言』司会(2008年10月~2011年10月)、『報道ステーション SUNDAY』キャスター(2011年10月~2017年4月)、『サンデーステーション』キャスター(2017年4月~2020年9月)、ハフポスト日本版編集主幹(2014年1月~2021年4月)など歴任。著書にメルボルン事件 - Wikipediaを取り上げた『麻薬の運び屋にされて』(2003年、扶桑社)、御殿場事件 - Wikipediaを取り上げた『踏みにじられた未来:御殿場事件、親と子の10年闘争』(2011年、幻冬舎)など(長野智子 - Wikipedia参照)

*5:鳩山、菅内閣厚労大臣政務官民主党国対委員長(野田代表時代)、民進党国対委員長蓮舫代表時代)など歴任

*6:児童手当 所得制限撤廃や財源など 与野党が議論 NHK日曜討論 | NHKによれば、自民の茂木幹事長、公明の石井幹事長、立民の岡田幹事長(元党代表)、維新の藤田幹事長、共産の小池書記局長、国民民主党の榛葉幹事長兼選対委員長、れいわの大島参院国対委員長が出演。それにしても各党が幹事長(書記局長)だったところ、れいわだけは高井たかし幹事長でも、大石あきこ共同代表・政審会長でもないことが謎です。つうか、党の代表として日曜討論に大島を出すのに何で「ローテーション」なんて酷い扱いなのか謎です。そのようなNHKの態度が正しいとは思いませんが衰退著しい社民党がもはや呼ばれないらしいこと(議員数が少ないと呼ばれないらしい)にげんなりします。

*7:党政策委員長、副委員長などを経て書記局長

*8:自民党補完勢力「国民民主」ですら批判とは興味深い。そして名前が出てこないと言うことは「予想の範囲内ですが」自民党補完勢力・維新から批判は無かったのでしょう。改めて「維新、ダメ、絶対(元ネタは『薬物乱用、ダメ、ゼッタイ』)」と思いを強くしました。

*9:小泉内閣沖縄・北方等担当相、福田内閣金融等担当相、自民党政調会長(谷垣、第二次安倍総裁時代)、選対委員長(第二次安倍総裁時代)、第二次安倍内閣経産相、第四次安倍内閣経済財政担当相、第四次安倍、菅、岸田内閣外相などを経て現在、幹事長

*10:著書『ちょいデキ!』(2007年、文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(2015年、ダイヤモンド社)、『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(2018年、PHP研究所)、『「選択的」夫婦別姓:IT経営者が裁判を起こし、考えたこと』(2021年、ポプラ新書)

*11:勿論「育休期間中に希望者が自主的にリスキリングすること」それ自体を批判してる人間はいないでしょう。問題は岸田に「育休から復職できないのはリスキリングの努力が足りない」と考えてる(育児や復職の大変さが分かってない)疑いが濃厚なことでしょう。