新刊紹介:「経済」2023年5月号

「経済」5月号を俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
世界と経済
◆中国全人代と経済動向(平井潤一)
(内容紹介)
 新型コロナの悪影響で停滞した経済をどう立て直すかが注目されるとしている。
中国 全人代が開会 ことしの経済成長率の目標 5%前後と設定 | NHK | 中国 全人代2023.3.5
中国全人代~弱まる成長力 経済政策の行方 NHK解説委員室2023.3.6


◆インドの証券市場に衝撃(西海敏夫)
(内容紹介)
 アダニ財閥の不正会計問題が取り上げられている。
不正疑惑で揺れる財閥アダニ 株価暴落、増資を撤回―インド:時事ドットコム2023.2.5
どうなるインド新興財閥アダニの不正疑惑 | 公益社団法人 日本経済研究センター:Japan Center for Economic Research2023.2.23


特集「マルクス経済学のすすめ2023」
◆労働時間をめぐるたたかい(鷲谷徹*1
(内容紹介)
 「労働時間をめぐるたたかい(時短運動)」の観点から資本論が論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆資本主義のあくなき利潤追求と未来社会への展望(斎藤彰一*2
(内容紹介)
 「利潤(剰与価値論)」の観点から資本論が論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


マルクスの商品論・価値論と市場経済(鳥居伸好*3
(内容紹介)
 「商品論」「価値論」の観点から資本論が論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆『資本論』から読み解くジェンダー平等(石川康*4
(内容紹介)
 「ジェンダー平等」の観点から資本論が論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。なお、マルクスの時代にはジェンダー概念はないので、必然的に「資本論の読み替え」が不可避になります。
 なお、マルクスの私生児問題(認知せず、里子に出した)は「反共ウヨがよくネタにする話」「フェミニストに評判の悪いところ」ですが、この点について石川氏は簡単に触れた上で「現在の視点は勿論、当時の英国社会においても批判されても仕方がない態度」と指摘しています。
参考

カール・マルクス - Wikipedia
 マルクス(1818~1883年)の妻イェニー(1814~1881年)のメイドをしていたヘレーネ・デムート(1820~1870年)は、イェニーの母がマルクス家に派遣し、以降マルクス一家と生活を共にすることになった。彼女は1851年にフレデリック(フレディ)・デムート(1851~1929)を儲けた。フレディの出生証明の父親欄は空欄になっており、里子に出されたが、「エンゲルス家の女中の手紙」「マルクスの娘エリノア(1855~1898年)の手紙」からフレディの父親はマルクスであるという説が有力である。
 エンゲルス家の女中の手紙によれば、エンゲルス(1820~1895年)は死の直前に人を介してエリノアにフレディはマルクスの子だと伝えた。


◆商業労働と非正規雇用(佐々木保幸*5
(内容紹介)
 「商業労働(スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど)における非正規雇用の増加」の観点から資本論が論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


マルクスの労賃論に関わって:「賃労働と資本」でのエンゲルスの変更(橋本直*6
(内容紹介)
 マルクス死後、マルクス著作「賃労働と資本」での「労働」と言う用語をエンゲルスが「労働力」に変更した意味について論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


ジェンダー平等、ケア実践と学問の自由(岡野八代*7
(内容紹介)
 「学問の自由」として岡野氏が原告の一人である「フェミ科研費裁判」が、ケア実践として、岡野氏の著書『戦争に抗する:ケアの倫理と平和の構想』(2015年、岩波書店)、岡野氏の訳書『ケアの倫理からはじめる正義論』(エヴァ・フェダー・キテイ、2011年、白澤社)、『ケアするのは誰か?』(ジョアン・C・トロント、2020年、白澤社)、『ケア宣言』(ケア・コレクティヴ、2021年、大月書店)が論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。

参考

新型コロナが問う日本と世界/ケア軽視の政治転換を/同志社大学教授 岡野八代さん2020.5.10
 「ケアの倫理」は個人の尊厳を支え、“もうけ第一”“弱肉強食”で自己責任を強いる新自由主義の資本主義のあり方を鋭く問う視点だと言えます。

フェミ科研費裁判 歴史修正主義に迎合の不当判決/支援者「全部棄却信じられぬ」/京都地裁2022.5.26
 判決後の記者会見で、原告の一人、岡野八代同志社大学教授は「研究内容を『ねつ造』、研究の根幹である研究費を『不正使用』と発言されたにもかかわらず、判決では、社会的評価をおとしめるものではないと判断された。研究者の社会的評価とは一体なんなのか」と不当判決への強い怒りを語りました。


◆赤字を抱えて出発した大学ファンド:「国際卓越研究大学」への助成は期待できるか(増田正人
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

大学基金、損失1881億円 運用開始半年、債券下落で(共同通信) - Yahoo!ニュース2022.11.21
 世界最高水準の研究力を持つ大学の育成を目指して政府が設立した大学ファンド(基金)が、運用開始から半年の4~9月に1881億円の損失を抱えたことが22日分かった。世界的な債券価格や株価の下落で運用資産が目減りした。年間3千億円の運用収益を上げて大学支援に充てる計画だが、運用難が続けば2024年度の支援開始が遅れるなど支障が出かねない。最終的に基金の元本が損なわれて国民負担が生じる恐れもある。


◆「国に責任はない」原発国賠訴訟・最高裁判決は誰がつくったか:裁判所、国、東京電力、巨大法律事務所の系譜(後藤秀典)
(内容紹介)
 「国に責任はない」と言う多数意見を書いた判事たちについて

菅野博之最高裁第二小法廷裁判長(判事出身)
 最高裁判事退官後、長島・大野・常松法律事務所(いわゆる四大法律事務所*8の一つである大手)の顧問に就任。「長島・大野・常松」は株主代表訴訟での東電側代理人
◆草野耕一判事(弁護士出身)
 西村あさひ法律事務所所属。「西村あさひ」は「ふるさとを返せ・津島原発訴訟」での東電側代理人

と指摘。

・李下に冠を正し、瓜田に足を入れてるのではないか?
・東電とつながりがある「長島・大野・常松」や「西村あさひ」との関係(情実)で原告敗訴意見を書いたと疑われても文句は言えないのではないか?

と批判している。

*1:中央大学名誉教授

*2:岩手大学教授。著書『マルクス剰余価値論の地層』(2012年、八朔社)

*3:中央大学教授。著書『なるほどマル経』(2020年、桜井書店)

*4:神戸女学院大学名誉教授。全国革新懇代表世話人。著書『現代を探究する経済学』(2004年、新日本出版社)、『いまこそ、憲法どおりの日本をつくろう! 政治を変えるのは、あなたです。』(2007年、日本機関紙出版センター)、『覇権なき世界を求めて』(2008年、新日本出版社)、『人間の復興か、資本の論理か:3・11後の日本』(2011年、自治体研究社)、『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)、『橋下「日本維新の会」がやりたいこと:何のための国政進出?』(2012年、新日本出版社)、『「おこぼれ経済」という神話』(2014年、新日本出版社)、『社会のしくみのかじり方』(2015年、新日本出版社)など。個人サイトはげしく学び はげしく遊ぶ-石川康宏研究室

*5:関西大学教授。著書『現代フランスの小売商業政策と商業構造』(2011年、同文舘出版)

*6:鹿児島大学名誉教授。著書『「共産党宣言」普及史序説』(2016年、八朔社)、『1850年マルクスによる経済学研究の再出発』(2018年、八朔社)

*7:同志社大学教授。著書『法の政治学:法と正義とフェミニズム』(2002年、青土社)、『シティズンシップの政治学』(2003年、現代書館)、『フェミニズム政治学』(2012年、みすず書房)、『戦争に抗する:ケアの倫理と平和の構想』(2015年、岩波書店

*8:四大法律事務所 - Wikipediaによれば、「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」、「長島・大野・常松法律事務所」、「西村あさひ法律事務所」、「森・濱田松本法律事務所」。近年は「西村あさひ法律事務所」所属弁護士が退所して結成した「TMI総合法律事務所」が急成長したため、これを含めて五大法律事務所ともいう。