今日のロシアニュース(2023年7月23日分)

モスクワ 無人機攻撃か ロシア“ウクライナが仕掛けたが撃墜” | NHK | ウクライナ情勢
 問題は
1)ロシアの発表は事実か(自作自演ではなく実際に攻撃があったのか)
→いずれにせよ死者は出なかった模様
2)攻撃目標は軍事施設か民間施設か
3)犯人はウクライナか、ですね。
 もし「1=事実」「2=民間施設」「3=ウクライナ」なら「ロシアの侵略の違法性」に関係なく「ウクライナは批判されて当然」です。逆に「1=ロシアの自作自演」なら勿論ロシアが批判されます。その辺りが今後明確になって欲しいところです。


ウクライナ軍の反転攻勢 米国務長官「今後 数か月続く」 | NHK | ウクライナ情勢
 勿論「数ヶ月」で終わる保証はないでしょう。恐らく「最低ライン(最低でもこれだけかかる見込み)」を示したにすぎず、「1年以上かかる可能性」も覚悟した方がいいでしょう。

 ブリンケン*1長官はウクライナが供与を求めているF16戦闘機について「彼らが機体を維持管理し的確に使えるようになることが重要だ」と述べて、各国とともにパイロットの訓練などを進める考えを示しました。

 つまりは「いつ使えるのか」はともかく「今すぐには使えない」と言う話です。


CIAとMI6長官 “プーチン政権に不満抱くロシア人を工作員に” | NHK | ウクライナ情勢

 アメリカのCIA=中央情報局のバーンズ*2長官は20日アメリカで開かれた安全保障のフォーラムに出席し、民間軍事会社ワグネルがロシアで起こした武装反乱について(中略)「こうしたロシア人たちを情報工作員などとして取り込みながら諜報活動に生かしたい」とする考えを示しました。
 その前日の19日、イギリスの対外情報機関「MI6」のムーア長官もワグネルによる武装反乱について(中略)「われわれはいつでも待っているし、秘密は必ず守る。流血を終わらせるため、ともに力を合わせよう」と述べ政権に不満を抱くロシア人たちとの協力関係を生かしたいとしています。

 こういうことを大統領や首相ではなく「建前では闇の組織であるはず」の諜報機関トップが公然と言うのかと目が点になりました。
 こんなことは今更言わなくても「可能な限り既にやってるだろ?」「(米国のウクライナへのクラスター爆弾供与について)『ロシアも対抗のために使う用意がある』と言い出すプーチンロシアかよ?(既に供与以前からロシアは使用しているとみられる)」ですし、今頃こんなことを言うのはロシアに「以前からそれやってるよね?」「本来そうした工作は隠すべきなのに、そんなことを宣伝すると言うことはつまりそういう情報工作が上手くいってないということですか?」「そういう情報工作を宣伝するということは軍事面での反転攻勢が上手くいってないんですよね?」とかえって軽く思われ逆効果ではないか?
 こうした「闇の組織のはずのCIAの長官」が公然と宣伝活動していることについては、TBSラジオ森本毅郎スタンバイ」の「日本全国8時です」水曜コメンテーター伊藤芳明*3によると「あくまでもCIAは影の存在」「こうした発言はCIA長官自らではなく、国務長官大統領補佐官(国家安全保障担当)など政治家が『CIAの情報だが』としてワンクッション置いて発表すべき」と苦々しく見る米国政府高官もいるとか。
 なお、いかにプーチン政権に不満があるとは言え、親米派ではないワグネルのような団体、個人が米国やNATOに加担することはないでしょう。

 CIAはプーチン政権に不満を抱くロシア人たちを情報工作員として取り込もうと、ことし5月、ロシアの今のあり方に疑問を抱かせるような動画をSNSなどに投稿しています。
 このうち、「私がCIAに連絡した理由:私の決断」という2分近い動画では、「これが私の夢見た人生なのだろうか」とか「ヒーローになるということは毅然と立ち向かうことだ」などというロシア語のナレーションが入っていて、機密情報を扱っているとみられる人たちがCIAに連絡をとるまでの様子が描かれています。

 吹き出しました。ロシア人はヒーローになりたがっているのか?: 白頭の革命精神な日記も批判していますが「ヒーロー」云々という「こんな脳天気な動画」で心を動かされる人間が「ロシア人以外」でもいるんでしょうか?
 それともこれはロシア人向けと言うより「こうした宣伝を喜ぶらしい脳天気な米国人に向けたアピール」であって本当の「対ロシア人工作」はやはりもっとシビアなのか。

*1:オバマ政権副大統領補佐官(国家安全保障担当)、国務副長官等を経てバイデン政権国務長官

*2:国務省政策企画本部副本部長、ヨルダン大使、ロシア大使、国務次官補、国務次官、国務副長官等を経てCIA長官

*3:毎日新聞カイロ特派員、ジュネーブ特派員、ワシントン特派員、外信部長、編集局長、専務など歴任。著書『アラブ:戦争と生活』(1991年、岩波書店)、『ボスニアで起きたこと:「民族浄化」の現場から』(1996年、岩波書店