新刊紹介:「前衛」2023年9月号

 「前衛」9月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れています。「俺の無能」のため「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
◆今月のグラビア『HIROSHIMA -Fragment of record-』(堂畝紘子)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
被爆3世の家族、繋いだ命刻む - 日本経済新聞2021.7.8
写真:3世代命のつながり撮る 福岡で被爆者家族の写真展 | 沖縄タイムス紙面掲載記事 | 沖縄タイムス+プラス2021.7.13
「命の繋がりを感じて」生きて、繋いで~被爆三世の家族写真~展【長崎】 | TBS NEWS DIG (1ページ)2022.11.3
被爆3世代 家族の姿写真撮影、長崎で展示…「記憶継ぐ場に」広島の写真家:地域ニュース : 読売新聞2022.11.7
被爆者、家族 写した「生」 堂畝紘子さん作品展 広島 /広島 | 毎日新聞2023.5.2


◆日本の政治を「もとから変える」日本共産党の姿を大いに語ろう:「双方向・循環型」で強く大きな党に(市田忠義*1
(内容紹介)
 『日本共産党の規約と党建設・教室』(2022年、新日本出版社)を刊行した市田氏が改めて「党建設の方向性」について述べていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
 なお、市田氏が

志位和夫委員長の幹部会報告/8中総2023.6.24│党紹介│日本共産党中央委員会
 日本共産党という組織と一人ひとりの党員のなかにも、ジェンダーは、無意識のうちに浸透し、内面化してきます。この面でのゆがみや立ち遅れが、党員、とくに女性党員の生き生きとした力の発揮をさまたげている現状が、わが党の党内にも残されています。そうした人権意識のゆがみや立ち遅れと向き合って、つねに自己変革する努力を続けることを、党活動・党建設の重要な柱として重視していきたいと思います。
 党規約で党員の権利と義務の冒頭に、「市民道徳と社会的道義をまもり、社会にたいする責任をはたす」ことを掲げる党として、あらゆるハラスメントを根絶することが強く求められています。
 この間、残念ながら、これに逆行する言動が党員を深く傷つけ、その成長を妨げ、党組織の民主的運営と団結を損なう事態が、一部に生まれています。

に触れている点が興味深い。「過大評価は禁物」ですが、id:kojitaken、inti-solなど「レベルの低い反共分子の悪口雑言」とは異なり「志位執行部」が「党外の批判」にそれなりに真摯に対応してることは明白でしょう。

参考
赤旗市田忠義著『日本共産党の 規約と党建設 教室』発刊によせて/書記局次長 田中悠2022.10.26


◆若者憲法集会2023記念講演『日本とアジアの平和を創る憲法の力』(渡辺治*2
(内容紹介)
 護憲集会での渡辺氏の講演紹介ですが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


核兵器のない平和な世界へ:草の根の世論と運動の出番(土田弥生*3
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
赤旗
核廃絶 取り組み強く/国連・中満氏主張 NPT再検討会議準備委2023.8.2
核廃絶へ 市民・中小国重要/元国連会議議長 ホワイト氏語る2023.8.3
核兵器廃絶の緊急行動 世界各国の政府に訴え/原水爆禁止世界大会 ヒロシマデー集会2023.8.7
核兵器廃絶へ共同しただちに行動を/原水爆禁止世界大会が閉幕2023.8.9


平和教材「はだしのゲン」削除問題から考える:「新しい戦前」にしないために(神部泰*4
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
<社説>はだしのゲン 今こそ読むべき作品だ:東京新聞 TOKYO Web2023.2.24
右派がこれほどまでに『はだしのゲン』を憎む理由 - 読む・考える・書く2023.3.4
『はだしのゲン』が嘘を書いている、という嘘 - 読む・考える・書く2023.4.17
「はだしのゲン」、教材削除で売り上げ10倍 第1巻の重版も決定 [核といのちを考える]:朝日新聞デジタル2023.5.18

「はだしのゲン」なぜ削除? 背景に迫る - NHK クローズアップ現代 全記録2023.8.2
石川拳太朗記者(NHK広島)
 市の教育委員会は、「検証会議」から削除の方針を示した「改訂会議」までの間に、どのような議論をしたのかは一切明らかにしておらず、その判断に至った経緯が分かる資料も残されていないとしています。
 取材した関係者の多くは経緯については語ることを避けていて、決定までの議論が不透明のままになっているのは問題だと感じました。


◆「沖縄を二度と戦場にさせない」:安保3文書にもとづく沖縄の最前線基地化に広がる反対の世論と行動(比嘉瑞己*5
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
沖縄で進む軍事要塞化の動き | ブログ | 山添拓 参議院議員/弁護士 東京選挙区候補 日本共産党2023.3.17
赤旗
“戦争起こさない”政治の責任/デニー知事が安保3文書懸念/沖縄2022.12.24
苦難の歴史発信こそ/沖縄革新懇 「安保3文書」学習会2023.5.17
平和な島 沖縄復帰原点/紙氏、「安保3文書」ただす/参院ODA・沖縄北方特委2023.5.28
敵基地攻撃兵器は不要/デニー知事、沖縄配備反対要請2023.6.10
主張/沖縄の軍事力増強/再び戦場にするなの声大きく2023.6.19


◆「大学人と日本共産党の集い」講演『欧州左翼との交流:軍事ブロックではなく、外交で平和を』(緒方靖夫*6
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
緒方さん講演「欧州左翼との交流」 | 外交安保・核廃絶 | 活動日誌|日本共産党・井上哲士参議院議員ONLINE2023.6.18
赤旗
平和外交 世界で本流/大学人と共産党の集い開く2023.6.19
欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く(1)/“時宜得た訪問” 大歓迎2022.12.25
欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く(2)/互いに心をかよわせて2022.12.26
欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く(3)/ジェンダーから外交まで2022.12.27
欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く(4)/大陸を超えた共同を提案2022.12.28
欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く(5)/欧州との連携で新境地を2022.12.29
 なお、前衛に掲載された緒方氏の「講演後の質疑応答」も見ておきます(以下は俺の要約です)。
Q:
 ドイツ緑の党についてどう考えるか?
A(緒方):
 ドイツ緑の党NATOを全面肯定している点で「NATOを含む軍事同盟」について「最終的には廃止すべき」という日本共産党の立場では手放しでは肯定できない(勿論、脱原発など肯定面があることは否定しないが)。NATO批判という観点ではドイツ左翼党に「むしろ共感する」。
Q:
 移民問題によって欧州で「フランスのルペン」など極右が力を強めていると思うが?
A(緒方):
 そうした面があることは否定しない。講演ではその点、やや欧州左翼を肯定的に描きすぎたかもしれない。欧州左翼について言えば「フランスでのメランション躍進」「ドイツでの緑の党躍進」といった肯定的な面もあるが「フランスでのルペンの躍進」「ドイツ左翼党の議席減」と言った面もあり、単純に美化できない反面、左翼が衰退の一途というわけでもなく話は複雑だ。
→俺もこれらについては緒方氏と概ね同感です。


特集『関東大震災100年と朝鮮人虐殺』
関東大震災における朝鮮人虐殺の記憶はどのように継承されてきたのか(小薗崇明*7
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

小さな歴史の証拠、嘘覆す/関東大震災94周年朝鮮人犠牲者慰霊祭、高津観音寺 | 朝鮮新報2017.9.13
 関東大震災94周年朝鮮人犠牲者慰霊祭(高津観音寺第35回合同慰霊祭)が10日、千葉県八千代市の高津観音寺で行われ、同胞、日本市民ら約90人が参加した。(共催=高津観音寺、萱田山長福寺、高津区特別委員会、千葉県における関東大震災朝鮮人犠牲者追悼調査実行委員会)
 慰霊祭は、東京成徳大学助教・小薗崇明さんによるミニ学習会「関東大震災と高津観音寺:慰霊祭を続けるということ」が本堂で行われた後、境内の「関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊の碑」の前で行われた。同碑の下では、この地域で虐殺された6人の犠牲者が眠っている。

若者たちと探る震災の歴史/東京成徳大学・小薗崇明助教授 | 朝鮮新報2018.8.31
 明日、9月1日で関東大震災朝鮮人大虐殺から95年を迎える。これについて研究している東京成徳大学・日本伝統文化学科の小薗崇明助教(39)は、2016年10月、学生たちと「震災史研究プロジェクト」(以下、震災研)を立ち上げ、千葉県内の関東大震災に関する碑や遺構を調査し、それらが作られ残された歴史的背景を分析する活動に取り組んでいる。

関東大震災95周年慰霊祭・学習会-八千代市高津の朝鮮人犠牲者慰霊 : 谷岡隆(たにおかたかし) 習志野市議会議員(2018.9.9)から一部引用
 9日、八千代市の高津山観音寺で「関東大震災95周年慰霊祭」が開催されました。高津山観音寺、萱田山長福寺、高津区特別委員会、千葉県における関東大震災朝鮮人犠牲者追悼調査実行委員会の共催でした。
 関東大震災時、陸軍習志野支鮮人収容所(捕虜収容所)に収容された朝鮮人の一部が、収容所から騎兵連隊や周辺の村々へ引き渡され、惨殺されました。
 八千代市高津区では、1998年に地域住民と追悼調査実行委員会が6体の遺骨を発掘。翌年、地域住民、観音寺、追悼調査実行委員会が共同で、観音寺に慰霊碑を建立して遺骨を安置したそうです。
 東京成徳大学日本伝統文化学科の小薗崇明さんが「企画展『証言の関東大震災』のねらい」のテーマで報告しました。
 日本共産党習志野市議団と八千代市議団も献花しました。

ひと・ちば:東京成徳大助教 小薗崇明さん(40) /千葉 | 毎日新聞2019.7.14
 80万人以上が犠牲になった1994年のルワンダ大虐殺を大学の授業で学び、民族問題や虐殺などの歴史に関心を持った。(ボーガス注:東京成徳)大学の卒業論文は(ボーガス注:東京成徳大学キャンパスのある千葉県)八千代市などであった関東大震災(23年)発生直後の朝鮮人虐殺事件を取り上げた。(ボーガス注:専修大学)大学院でも同じテーマを研究したが、「記録や本を読むだけでなく、現場に出て話を聴くことで大きな発見がある」と実感した。学会の参加より、地域の体験者や聞き取り調査を進める市民グループの訪問が増えた。


関東大震災朝鮮人虐殺の背景にある「植民地戦争」経験(愼蒼宇*8
(内容紹介)
 愼氏については新刊紹介:「歴史評論」2023年9月号(副題:関東大震災研究の現状と課題) - bogus-simotukareのブログで紹介したのでここでは紹介は省略します。


◆婚姻平等の法制化へいま何が問われているか:台湾の取り組みから学びたいこと(鈴木賢*9
(内容紹介)
 「LGBT権利保護について台湾(蒋介石時代は独裁)から学ぼう」とは何とも複雑な思いです。もはや日本は「アジアにおいてすら」民主主義のトップランナーではない。
 それはともかく「蔡英文支持層に同性婚容認派が多い」が故に台湾で同性婚を認めたが、一方で「敵(中国)の敵は味方」で「同性婚否定の日本右翼(訪台した麻生自民副総裁、馬場維新代表など)」に面会し、こびへつらう「台湾総統蔡英文です(勿論俺はそんな蔡英文が反吐が出るほど大嫌いです)。
 そうした「蔡の矛盾、ねじれ現象」について「前衛記事は残念ながら触れていません」が。
 なお、「同性婚を巡る台湾と日本」の違いは「政権交代の有無(既に台湾では「李登輝(国民党:1988~2000年)→陳水扁民進党:2000~2008年(2期8年))→馬英九(国民党:2008~2016年(2期8年))→蔡英文民進党:2016年~2024年(現在、2期8年の途中))」と政権交代が当然化しているが日本では自民党が万年与党化し、その自民が同性婚合法化に否定的)」「宗教右派の力の違い(日本では統一協会神社本庁などの政治力が強い)」等とされています。


◆年間4万人を銃で殺す国アメリカ:なぜ銃規制が進まないのか(矢部武*10
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

家を間違えただけで20歳女性が銃殺…銃による死者数が増え続けるアメリカで銃規制が進まないワケ - ライブドアニュース矢部武
 米国が効果的な銃規制をなかなか実施できない理由としてよく指摘されるのはNRA(全米ライフル協会)と、国民の銃所持の権利を保障しているとされる憲法修正第2条の存在である。
 NRAの強さの秘密は約500万人にのぼる会員の銃所持に関する権利へのすさまじい情熱と団結力に加え、豊富な資金力を使った政治家へのロビー活動などにある。
 NRAは「人を殺すのは人であって銃ではない(銃が悪いのではなく、人間の問題だ)。だから銃規制を強化しても犯罪防止には役立たない」との主張を展開し、銃規制に反対する共和党議員に多額の献金をする一方、銃規制に積極的な民主党議員を落選させるために攻撃する。
 ニクソンレーガンなど共和党の歴代大統領の多くがNRAの会員となり、また現職の有力議員はNRAから多額の献金を受け取っている。たとえば、2016年の大統領選*11に立候補したマルコ・ルビオ上院議員は約330万ドル(約4億4550万円)を、トランプ前大統領も同じ選挙で約2100万ドル(約28億3500万円)相当の献金を受け取っていたことがわかっている。
 その一方で、NRAは銃規制法案に賛成する民主党議員に対し、「国民の銃所持の権利を保障した修正第2条に反する」などと批判し、選挙で落選させるためのキャンペーンを展開する。
 しかし、銃規制は本当に憲法違反なのか。
◆「銃規制は憲法違反」は本当に正しいのか
 まずは修正第2条の規定を見てみよう。
「規律あるミリシア民兵)の結成は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を所有し、携帯する権利はこれを侵してはならない」となっているが、問題はミリシアをめぐる解釈である。
 ミリシアは今から約250年前の建国時代に結成され、イギリスとの独立戦争でも活躍したが、1916年の国家防衛法(NDA)によって各州の防衛軍(州軍)として、「ナショナルガード(州兵)」と呼ばれるようになった。そこで修正第2条を現在の状況に当てはめて考えてみると、武器を所持する権利はミリシア(州兵)に与えられたもので、すべての国民に無制限に与えられたものではないという解釈も可能となる。
 実際、この解釈をめぐっては法律専門家の間でも意見が分かれ、2010年に退任したジョン・ポール・スティーブンス元連邦最高裁判事は、「修正第2条は現在の米国社会の状況に合わないので、廃止すべきだ*12」と発言している。
 それにもかかわらず、NRAはすべての国民が銃を所持する権利を強硬に主張しているのである。
 銃の所持を厳しく規制し、銃による死亡者を年間数人程度に抑えている日本と、銃を事実上野放しにしてきた結果、銃があふれ、年間約4万人が銃で死亡している米国の状況を比較してみると、NRAの「人を殺すのは人であって銃ではない」という主張は間違っている、と言わざるを得ない。
 今後、米国の銃規制はどうなるのかを予想する上で重要になるのは、2024年の大統領選と議会選挙の結果である。もしバイデン大統領が再選され、上下両院とも民主党が多数派となれば、連邦銃規制法を制定しやすくなる。しかし、トランプ氏が再び大統領に返り咲くか、他の共和党候補が勝利すれば、銃規制を進めるどころか逆に規制を緩める可能性もあるため、銃問題は一層悪化することが予想される。


◆論点『奥能登地震:被災者・被災地の実態に即した公的支援を』(佐藤まさゆき*13
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
[能登・珠洲市を中心に発生した地震被害への支援と市民への対応について |日本共産党 金沢市議員団2023.5.8
9日、奥能登地震被害からの生活・生業再建へ、政府に要望書を提出してきました |佐藤まさゆき―日本共産党 石川県議会議員2023.6.11
奥能登地震2か月、珠洲市副市長と復興へ懇談。党石川県委が義援金 |日本共産党石川県委員会2023.7.9
赤旗
主張/能登で震度6強/被害拡大させない対策強化を2023.5.7
能登地震 要望把握を/田村貴昭氏、深刻な人材不足指摘/衆院災害特理事懇2023.5.23
能登地震 実情沿う被災支援を/国に党石川県議が要望/田村貴昭議員同席2023.6.10
 

◆暮らしの焦点『急速に広がる障害者雇用率ビジネス:問われる「働くことの意味」』(赤松英知*14
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。国会でも問題視 障害者雇用「支援」サービスは、何が問題なのか メリットとデメリットを冷静に整理する:働き方の見取り図(2/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンラインも同様の指摘をしていますが赤川氏は「障害者は農業など限られた領域でしか働けないと言う偏見を助長しかねない。そんな状況で働く障害者は本当に労働の喜びを感じられるのか?。それで「働くことの意味」を感じられるのか?」「本来、法の趣旨は企業の障害者直接雇用であり、このような代行業者を使った脱法ビジネスでは勿論ない。形式的には企業で働いていても実際の雇用主は代行業者ではないか。そんな状況で働く障害者は本当に労働の喜びを(以下略)」「規制がないので代行業者が障害者から不当なピンハネをしていても野放し状態だ。そんな状況で働く障害者は本当に労働の喜びを(以下略)」「きれい事と言われるだろうがやはり目指すべきは企業による障害者直接雇用」として雇用率ビジネスには批判的です。

雇用代行ビジネスの虚実 ~障害者雇用の成果の陰で | 令和の幸福論 | 野澤和弘 | 毎日新聞「医療プレミア」2023.1.24
 障害者を集めてビニールハウスの貸農園などで働いてもらい、その障害者をある企業が雇用した形にして、その企業から多額の代金を得るビジネスが全国に広がっている。障害者は企業と雇用契約を結び、賃金も企業から得ているが、実態としては雇用請負業者の管理の下で働いている。

障害者雇用の代行ビジネス広がる 「雇用率をカネで買うのか」批判も:朝日新聞デジタル2023.2.24
 企業には従業員の一定割合(現在2・3%)の障害者を雇う法的義務がある。だが、すぐに任せられる仕事がないなどの理由で、達成に苦労する場合も多い。
 代行ビジネスを手がける業者は、各地で農園を経営する。そこで働きたい障害者を募り、雇用したい企業に紹介する。あわせて農園の一画を貸し出す。企業は障害者に給料を支払い、代行業者には農園利用料を支払う仕組みだ。
 ただ、収穫した作物は、企業が社員食堂で使ったり、寄付したりする例が多く、「労働といえるのか」といった指摘がある。これに対し、業者側は「収益が出ていなくても、他の社員の福利厚生や、社会貢献につながっている」などと反論している。
 厚生労働省は代行ビジネスについて、法律に違反しているわけではないため、一律の規制は行わない考えだ。

国会でも問題視 障害者雇用「支援」サービスは、何が問題なのか メリットとデメリットを冷静に整理する:働き方の見取り図(2/4 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン2023.1.23
 まず1つ目は、障害者雇用支援サービスが間に入ることによって、働き手に支払われる給与が低く抑えられてしまう可能性です。これは職業紹介や労働者派遣など雇用主と働き手の間に事業者が入って提供されるサービス全般に生じうる懸念でもあります。
 次に、会社内のダイバーシティインクルージョンが進まない懸念です。
 障害者雇用は外部に委託すれば良いと安易に考える会社が増えてしまうと、それらの会社では障害者にとって働きやすい職場環境への改善が進まない可能性があります。
 そして最後は、障害者は(ボーガス注:農業など)限られた仕事しかできないという誤ったセグメントが生まれてしまう懸念です。 


メディア時評
◆テレビ:自殺と報道のあり方(沢木啓三)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。内容的には

【最近の芸能人の自殺(年月日は死去の日時)】
◆木村花(2020年5月23日)
 フジテレビのリアリティ番組テラスハウス』出演時の言動などをめぐりSNS上で誹謗中傷を受けていたことが自殺理由ではないかとされており、高市総務大臣(当時、現在は岸田内閣経済安保相)は5月26日の記者会見の中で木村が誹謗中傷を受けていたことに対して「匿名で人を中傷する行為は人として、卑怯で許し難い」と発言し、匿名発信者の特定を容易にするなどの制度改正を含めた対応を実施する意向を示した。その後、2022年6月に侮辱罪に懲役刑を導入したり、法定刑の上限を引き上げる改正刑法が成立した(木村花 - Wikipedia参照)
 なお、りゅうちぇるの自殺については木村氏同様「SNSでの誹謗」が理由ではないかとされている*15が、沢木氏は「SNSの法的規制は政治的SNSの不当な規制や自粛につながりかねない」「勿論現状が野放しでいいとは思わないが、まずは業界自主規制等を目指すべき」と懸念を表明
三浦春馬(2020年7月)
竹内結子(2020年9月)
◆神田沙也加(2021年12月)
上島竜兵渡辺裕之(2022年5月)

等、「過去の芸能人自殺報道」への批判(ウェルテル効果の危険性、遺族へのメディアスクラム)とかなり共通しますが、今回は

市川猿之助(今年5月、自殺未遂、その後、両親に対する自殺幇助容疑で逮捕、起訴)
◆りゅうちぇる(今年7月、自殺)

について触れられています。
参考

ウェルテル効果 - Wikipedia
 マスメディアの報道に影響されて自殺が増える事象を指す。
【日本における事例】
 1986年(昭和61年)にアイドル歌手の岡田有希子が18歳で飛び降り自殺すると、30名余りの青少年が後を追うように自殺し、その多くが、岡田と同様に「高所からの飛び降り自殺」だった。国会の衆議院文教委員会で、江田五月*16がこの件を採り上げ、海部俊樹・中曽根内閣文相(後に首相)に対策を問うまでに至る。これがいわゆる「ユッコ・シンドローム」である。
 2020年(令和2年)下半期に自殺者数が例年より増加した要因について、厚生労働省がウェルテル効果の観点からデータの分析を行った結果、同年7月から9月にかけて相次いだ俳優の自殺報道(三浦春馬竹内結子)の影響の可能性が明らかになった。
 その後も、厚生労働省は模倣・後追い自殺対策強化の一環で、「著名芸能人の自殺」など、「センセーショナルな自殺(未遂も含む)事案(神田沙也加、渡辺裕之上島竜兵、四代目市川猿之助、ryuchellなど)」の発生直後にその都度「自殺報道ガイドライン」(正式名称:『自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識』)の遵守をメディアに促すようになった。これを受けて各メディアも、関連の新聞記事やテレビ報道の末尾に「いのちの電話」などの相談窓口をアナウンスするようになっている。

有名人の自殺をメディアはどう伝えるべきか 自宅前中継に「模倣」リスク | 毎日新聞2022.6.25
 5月11日、お笑いトリオ・ダチョウ倶楽部上島竜兵さんが亡くなったと報じられた。フジテレビは同日朝の情報番組で、発見時の状況について、自殺の手段が分かる表現で伝えた。後続の番組では自宅マンションの前から中継した。テレビ朝日は同日朝の情報番組で自宅前から中継した。
 厚生労働省は同日、報道を受けて、メディア関係者に向けた注意喚起を2度ホームページで発表した。「『手段』を報じる」「亡くなった方の自宅前等から中継を行う」ことなどは自殺リスクを高めかねないとして、WHOの指針に沿った報道を求めた。ソーシャルメディアなどにも、一部のテレビ報道が指針に反しているとする批判が出ていた。

こころの悩みSOS:ウェルテル効果とは | 毎日新聞2022.8.25
 「ウェルテル効果」という言葉を知っていますか? これは著名人の自殺報道に影響されて、自ら命を絶つ人が増える現象のことです。
 18世紀にドイツの文豪ゲーテが「若きウェルテルの悩み」を出版した際、作品の中で自殺した主人公を模倣した若者たちの自殺が相次いだことに由来しています。
 国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦*17医師(精神科)によると、人間はそもそも社会的な動物で、周りの影響を受けやすいことが知られています。「死にたい」という感情がぼんやりとでもあるときに、自分の知っている著名人の自殺報道を目にすると、それが「現実的な選択肢」になってしまう危険性があります。
 厚生労働省は「自殺報道ガイドライン」でメディア関係者に注意を呼び掛けています。
 具体的には、
・自殺の手段を報じないこと
・亡くなった場所の詳細を伝えないこと
・支援先や相談先の正しい情報を記載すること
などです。
 メディア関係者でなくても、今はSNS(ネット交流サービス)を使って誰もが情報発信できる時代です。松本医師は「たとえ弔意を示す気持ちであっても、考えなしに自殺に関する情報をシェアするのは控えたほうがいい。リスクの高い人は、その情報に接することで行動に移してしまうかもしれない」と指摘しています。
 一方で、ウェルテル効果とは正反対の現象もあります。苦しみながらも「死にたい」という思いを乗り越えた体験談に触れることで、受け手が自殺を思いとどまる「パパゲーノ効果」です。
 名前の由来はモーツァルトのオペラ「魔笛」の登場人物「パパゲーノ」です。パパゲーノは愛する女性を失った絶望から自殺しようとしたものの、最後は自殺するのをやめ、生きる選択をしました。
 自殺報道を目にして苦しくなったら、その情報から離れてください。苦しいと思わなかった人もSNSなどによる拡散は控えましょう。心を落ち着かせる方法や相談窓口の情報、パパゲーノ効果を生むような体験談が求められています。

こころの悩みSOS:「ウェルテル効果」苦悩する支援の現場とメディアの役割 | 毎日新聞2022.9.6
 「私もいなくなってしまおうか」。
 そんな考えが、頭の中をよぎった。2021年12月19日、宮城県在住のタカコさん(仮名、44歳)は、「#いのちSOS」に電話をかけたが、相談者が急増しているのか、つながらなかった。東京都内にある自殺対策支援センター「ライフリンク」が運営する相談窓口だ。
 ある俳優の女性*18(当時35歳)が亡くなった翌日だった。
 「ファンというわけではなかったのですが、突然亡くなったと聞いて心が落ち着かなくなりました」。
 テレビのニュースやツイッターの投稿で、その俳優に関する情報を目にすると心がざわついた。
 「有名人が亡くなったニュースを見ると、『いなくなりたい』という方向に精神が引っ張られる感じがするんです」
(中略)
 「私も死ねば楽になるんじゃないか」「自殺してしまいそうだ」。
 お笑いタレントの男性*19(61)が亡くなった2022年5月11日、自殺対策支援センター「ライフリンク」には、男性の死去を伝えるニュースを見た人々からの相談が相次いでいた。
 ウェルテル効果による自殺を防ぐ方策としてメディアに求められているのが「パパゲーノ効果」だ。モーツァルトのオペラ「魔笛」で自殺をやめて生きることを選択した登場人物から、その名がついた。メディアが、自殺を思いとどまることに成功した事例を紹介することで社会的な自殺リスクを低下させることができるとされる。
 (ボーガス注:ライフリンクの)清水代表は、「日本では毎日のように自殺で人が亡くなっていますが、それ以上の人たちが毎日生きる道を選び取っています。マスコミは死にたい気持ちを抱えながらも生きている人の話を伝えてください。そうした報道が、どれだけの自殺を防いだか、数値としては表れないでしょう。それでも、『死にたい気持ちを抱えながら生きている人が大勢いるのだという事実』や『多くの人がどうやって生きる道を選んだかという情報』を、自殺を防ぐための報道の柱の一つにすべきです」と訴える。

【プレスリリース】自殺報道ガイドラインを踏まえた報道の呼びかけ(著名人に関する報道について) │ 新着情報 │ 厚生労働大臣指定法人・一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センター2023.5.18
 本日(5月18日)、有名俳優*20とご両親が倒れているのが見つかり、自殺の可能性が報じられています*21。 自殺未遂であっても(既遂していなくても)、自殺の手段・場所を詳しく報じることは、自殺念慮を抱えている人に強い影響を与え、「模倣自殺」を誘発しかねません。 メディア関係者各位におかれましては、今一度、そのリスクについてご留意いただき、WHO(世界保健機関)発行の『自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2017年版』(いわゆる『自殺報道ガイドライン』)を踏まえた報道を、お願いいたします。

ryuchellさん急死、マスコミの自宅押しかけに「どうかもうこれ以上は...」 pecoが自粛要請「ちいさい息子もいます」(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース2023.7.14
 タレントのryuchell(りゅうちぇる)さんの訃報を受け、元妻のpeco(ぺこ)さんが2023年7月14日、インスタグラムのストーリーとツイッターで報道関係者に向けて取材に関する配慮を求めた。
 過度な取材が子どもや近隣の住人に迷惑になるとしている。
 「自宅や事務所の周りでお待ちいただくことは近隣の方へのご迷惑にもなっております。そしてまだ、ちいさい息子もいます。昨日の投稿でお伝えさせていただいたこと以外今お話させていただけることはなにもありませんのでどうかもうこれ以上は、ご遠慮いただきますようよろしくお願いいたします」「親族や友人への取材や、憶測などでの記事掲載も、どうか控えていただきますようよろしくお願いいたします」とつづっていた。

ryuchellさん急死、空港でpeco撮影のマスコミに「心境なんて想像つくじゃん」 「表情」報道をコラムニスト批判(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース2023.7.14
 コラムニストの妹尾ユウカさんが2023年7月13日にツイッターを更新。12日にタレントのryuchellさんが急死したことを受け、滞在先のグアムから帰国した元妻でタレントのpecoさんを空港で撮影したマスコミを批判した。
 ryuchellさんの突然の死去を受け、pecoさんは13日午後に成田空港に到着したことが複数メディアに報じられている。一部メディアは、キャップを深く被ってマスクを着けて息子の手を引いて空港内を歩くpecoさんの写真を公開。「表情はうかがえなかった」とつづっていた。
 この報道について妹尾さんはツイッターで、「『表情は伺えなかった』とか書いてあるけど、伺わなくても心境なんて想像つくじゃん」と苦言。「想像つかないから空港まで行って5歳になったばかりの息子の手を引くお母さんのことを平然と撮影できるのかなって思ってしまう」と批判していた。


ジェンダー覚書:The personal is political『改正刑法施行の意義と課題』(韮澤彰)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
赤旗

男性優位とり払おう/刑法改正 性犯罪規定巡り仁比議員/参院本会議審議入り2023.6.10
 今回、罪名を、2017年の改正の「強制性交等罪」から「不同意性交等罪」へと変え、「同意の有無」を成立要件の中核としたことは、被害当事者や性暴力の根絶を求める運動の成果であり、前進だと強調。「さらに性的行為には相手の積極的同意を必要とし、広く『個人の尊厳』を保護するよう捉え直すべきではないか」と呼びかけました。
 また、仁比氏は、16歳未満への性的行為を処罰対象にしたのは前進だが、5歳以上年長の者に限定する要件には疑問が残るとして、さらなる法改正の検討を提起。さらに、今回の改正による公訴時効の延長の意義を認めつつも、本法案によっても、幼少期の被害を認識し、捜査機関に相談した時点で公訴時効が成立している事態が起こるのではないかと指摘し、実態調査を求めました。斎藤健法相は「ご指摘のような事態が生じないとは言えない」と認め、法成立後適切に対応したいと述べました。
 仁比氏は法案に盛り込まれた、(ボーガス注:被害者に法廷で証言させることが精神的打撃となる恐れを考慮し捜査機関による)被害者の聴取結果の録音・録画記録媒体を証拠として認める例外規定は、対象が性犯罪に限定されていないなど、このままでは捜査機関が供述を誘導し、その録音・録画が事実上(ボーガス注:法廷で弁護士による)反対尋問をさせない有力証拠として裁判を誤らせてしまう危険があると指摘しました。

参院本会議 刑法等改正案/仁比議員の質問(要旨)2023.6.11
 法案が、罪名そのものを「強制性交」から「不同意性交」へと変え、「同意の有無」を中核とする構成要件としたことは前進です。さらに性的自由を脅かすジェンダー不平等を一切とり払い、性的行為には相手の積極的同意を必要とし、広く「個人の尊厳」を保護するよう捉え直すべきではありませんか。
 本法案でも、(ボーガス注:親と子(近親相姦)、教師と生徒、選手とコーチ、教祖と信者、医師と患者、障害者と施設職員、上司と部下と言った)地位関係性を利用し、その優位に乗じて行う犯罪類型の創設を見送ったのはなぜですか。力関係の差という現実を直視するさらなる改正を検討すべきではないですか。
 現行法上の13歳という低すぎる性的同意年齢を改め、16歳への引き上げを明記して、中学生まで原則保護することを宣言したことは極めて重要ですが、保護すべき16歳未満の者に対する性的行為について、処罰対象を被害者と5歳以上年が離れた者に限定しているのは疑問です。
 「性的搾取から子どもを守る」立場に立ち、「18歳以上の者」からの性的行為を処罰するなど、さらなる法改正を検討すべきではありませんか。
 18歳に達するまで公訴時効を停止する特例を設けることは極めて重要ですが、幼少期、思春期に加えられる性被害がどれほど深く人を傷つけるかを私たちは学ぶべきです。
 本法案によっても、被害をようやく認識し、捜査機関に相談した時点で、公訴時効が成立しているという事態が起こるのではありませんか。ドイツでは被害実態調査を行い、30歳に達する*22まで時効を停止するなどの法改正が行われてきました。わが国でも政府として実態調査をすべきではありませんか。

刑法等改正案 参院委可決/不同意性交等罪の創設 仁比氏が賛成討論2023.6.16
 日本共産党の仁比聡平議員は賛成討論で、改正案が、性犯罪の被害者が泣き寝入りや沈黙を強いられる大きな原因となってきた「暴行・脅迫」「抗拒不能」という罪の成立要件を、同意の有無を中核とした要件に変更することは「大きな前進だ」と指摘。「声を上げ続けた被害当事者のみなさんへ心からの敬意を申し上げる」と表明しました。
 その上で、一定の年齢未満の若年者への性交を処罰対象とする性的同意年齢を13歳から16歳に引き上げ、中学生まで原則保護するのは重要だが、13~15歳の場合は5歳以上年上からの性交等を処罰対象とするのは合理性に疑問があると指摘。18歳以上から16歳未満への性加害・搾取の実態を把握し、さらなる改正を検討すべきだと求めました。
 公訴時効期間の延長も前進だが、とくに幼少期・思春期の性被害の影響などについて国として大規模な実態調査を行い、30歳までの時効停止などの改正が必要だと求めました。
 一方、(ボーガス注:被害者に法廷で証言させることが精神的打撃となる恐れを考慮し捜査機関による)被害者への聴き取り結果を記録した録音・録画媒体を例外的に証拠として認める規定が対象犯罪も対象者の年齢も限定していないのは問題だと指摘。児童相談所で行われてきた司法面接に限定し、中立的な、児童心理などの専門家によって、捜査機関から独立して行う体制を整えるべきだと主張しました。

改正刑法が成立/不同意性交等罪を創設/全会一致2023.6.17


文化の話題
◆写真『自分の視点にこだわって撮る:日本リアリズム写真集団・三重支部の活動』(白鳥悳靖)
(内容紹介)
 日本リアリズム写真集団・三重支部の活動が紹介されていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆映画『オレンジ・ランプ:若年性認知症のご本人の思い』(伴毅)
(内容紹介)
 若年性認知症を描いた映画「オレンジ・ランプ」の紹介。
参考

「笑顔で生きる」と涙 〜映画「オレンジ・ランプ」を観る〜 | 認知症フォーラムドットコム|認知症に関わる全ての方に「本人の心の声」を届けていきます。2023.4.3
 映画「オレンジ・ランプ」は、その丹野智文*23がいかにして「笑顔に生きる」境地に到達するかの、その間の悲嘆と絶望と、最愛の妻との葛藤の日々を描いている。
 しかし実は、丹野智文さん自身は、これまでこうした自分の嘆きと不安の日々を表立っては語っていない。それはなぜか。
 それは彼自身が立ち向かったのは、「認知症になったら何もできない。わからなくなる」という世間の「常識」であり、同時にそれは自分自身の中にもあった「認知症は人生の終わり」というセルフ・スティグマだった。
 だからあえて、自分のつらく困難な時期にはほとんど触れない。
 「笑顔で生きる」とする自分が認知症のつらさや絶望を語れば、聴いた人が「ああ、やっぱり」「認知症になればあんなに大変なのだ」と、ネガティブな認知症を固定させてしまう。そうではなく、認知症と診断されて嘆き泣き暮らす時間を飛び越えて、ともに笑顔で生きる仲間となろう、そのようにひたすらポジティブな自分を語り続けてきた。
 映画「オレンジ・ランプ」は確かに丹野智文さんがモデルとなっている。
 しかし、これを丹野智文個人の称賛と感動の物語と観てしまっては、おそらく丹野さんも本意ではないだろう。
 丹野智文の素晴らしい映画として感動するだけでは、自分から離れた別の世界の話になってしまう。
 只野晃一はあなたなのだ。真央もまたあなたなのだ。ふたりが歩み出す地域社会は、あなたのまちだ。
 これはあなたの物語なのだ。そのような映画である。

認知症のイメージ変えたい 実話映画化の丹野智文さん【生活ワイド】|あなたの静岡新聞2023.6.19
 39歳で若年性アルツハイマー認知症と診断され、約10年にわたって当事者の立場から発信を続けている仙台市の会社員丹野智文さん(49)の実話を基に描いた映画「オレンジ・ランプ」(三原光尋監督)が公開される。「認知症になったら何もできなくなる、というイメージを変えたい」と長年、活動してきた丹野さんに思いを聞いた。
 映画は自動車販売会社の営業マンとして働いていた晃一(和田正人さん*24)が、物忘れのひどさを自覚した頃からを描く。検査の結果、認知症と診断されて戸惑う晃一。妻の真央(貫地谷しほりさん*25)は心配のあまり、晃一の身の回りのことを何でも先回りして「やってあげる」ようになる。
 作中の出来事は「ほぼ全て、実際に僕の身に起こったこと」と丹野さん。家事を任されなくなったり、一人で外出させてもらえなくなったり。「今まで通りできることまで『病気なんだから』と取り上げられてしまったら、無力感でもっと動けなくなる。逆効果だと思いました」と振り返る。
 「周囲の偏見が、認知症を『何もできなくなる病気』にしている」と力を込める。
 丹野さんの思いに共鳴したのが、介護をテーマにした映画「ケアニン」シリーズで知られる山国秀幸プロデューサーだ。

【異色のキャリア】“広告営業マン”だった山国秀幸Pが「介護」をテーマに映画を製作するようになったワケ2023.7.6
 映画業界は華やかに見えるが、製作に莫大な費用がかかる一方でヒットさせることが難しい。そこに問題を感じていた山国氏は、劇場公演だけに依存しない「上映会モデル」に注目。介護業界を描いた「ケアニン」シリーズを成功させた。また、貫地谷しほり和田正人がW主演を務め、39歳で若年性アルツハイマー認知症と診断された夫と妻の9年間の軌跡を、実話に基づいて描く最新作『オレンジ・ランプ』も、6/30より公開中だ。
 今回は、山国氏が映画業界に足を踏み入れ、「介護」周りのエピソードを描く映画をビジネスとして成立させるまでのお話を伺った。
 業界に入ってみて山国氏が感じたのは、現状、ビジネスモデルとしては「映画作りはギャンブルだ」ということだった。
「入社した映画会社がこれまでに出した全作品の分析をしてみたのですが、ほとんどの作品はまったく儲かっておらず、その中の1~2本*26が当たってチャラになっている、みたいな構造があった。さらに、ほとんどのプロデューサーは毎回恋愛だったりホラーだったり、ばらばらなジャンルの作品を作っているので、マーケティングの知見が積み上がっていかないのも問題だと感じました」
 山国氏はその後独立し、映画をビジネスとして成立させる方法を模索。そんな中でたどり着いたのが、映画館での興行のみに頼らず、非劇場での展開をはかる「上映会モデル」だ。
 「上映会」とは、映画配給会社が映画館で興行を行うのではなく、一般の方が主催者となって企画し、地域のホールや公民館などで開催するもの。上映会の開催にあたり、主催者は映画会社に上映料を支払うというシステムである。
 山国氏はこの「上映会モデル」を成功させるためのテーマを研究。結果、「介護」がヒットするのではないかと仮説を立てる。
 「上映会が成功している映画を分析するとそのテーマには、2つのセオリーがあることが分かりました。1つめは、上映会の『主催者』がいるテーマであるということ。例えば恋愛映画がすごく好きな人がいたとしても、あくまで個人の趣味にとどまるので『地域のみんなを集めて上映会をしよう』とはなかなかなりませんよね。『この映画を地域の仲間で見たい』と思ってもらえるようなテーマである必要があります。
 2つめは、上映会に来る『お客さん』がいることです。一過性のテーマだと思いを持った主催者は多くいても、しばらくするとお客さんがいなくなっちゃって。だんだんお客さんが集まらないと上映会自体が赤字になってしまうので続かないんです。だから、普遍的なテーマが必要だということが分かりました。
 ではどんなテーマがいいんだろうと考えたときに、介護や認知症といったテーマであれば、これからどんどん高齢化が進んで認知症の人たちも増えていくし、社会的にどう対応するかを考えていく必要がある。それに、介護をテーマにした映画を作れば、介護業界の人たちに『これをみんなに見せたい』と思ってもらえるんじゃないかなと」
 そうして誕生したのが、介護業界を描いた映画「ケアニン」シリーズだった。
 「ケアニン」とは、介護、看護、医療、リハビリなど、「ケア」に誇りと愛情を持って働いている全ての人を指す山国氏の造語。戸塚純貴が認知症の利用者と向き合う新人介護士を好演した『ケアニン〜あなたでよかった〜』(2017年)とその続編『ケアニン〜こころに咲く花〜』(2020年)、在宅医療に取り組む若手医師の姿を描くスピンオフ作品『ピア〜まちをつなぐもの〜』(2019年)は劇場公開終了後も市民ホールや学校などの非劇場公開で広がり続け、シリーズ合計で20万人以上の動員を記録。現在も拡大を続けている。
 「ケアニン」シリーズの脚本執筆にあたり、山国氏は数多くの介護施設を取材したうえで臨んでいる。当初はマーケティング的観点からテーマに取り上げた「介護」だったが、取材を重ねる中で、自らの意識に変化が生まれた。
「取材していくうちに、だんだん『この施設、綺麗だけど、なんかスタッフ、活気がないよな』『ここは建物は古いけど利用者さんみんな楽しそうだよね、これってどういうこと?』なんて思い始めたんです。気がつくと『自分だったらここがいいな』とか、『ここはうちの両親にはちょっと...』なんて考えはじめて。あれ、介護って“自分ごと”じゃん、と」
 「最初はマーケティングから入ったのですが、製作していく中でこういったテーマの作品を世に出すことの意味を改めて実感して、僕はこの分野でずっと映画を製作していこうと心に決めました」


◆美術『描かれた朝鮮人虐殺』(武居利史)
(内容紹介)
 高麗博物館『関東大震災100年:隠蔽された朝鮮人虐殺』の紹介。
参考

「朝鮮人虐殺」絵巻を初公開へ=発見者「過去と向き合って」―関東大震災から100年 | 時事通信ニュース2023.6.26
 関東大震災直後に起きた朝鮮人虐殺を巡り、当時の状況を描いたとみられる絵巻が新たに見つかり、7月5日から高麗博物館(東京都新宿区)で一般公開される。9月で震災から100年。発見した前館長の新井勝紘*27・元専修大教授(78)=日本近代史=は「日本が他民族といかに共存できるのかが問われている。絵巻を見て過去と向き合ってほしい」と語る。
 新井さんによると、絵巻は震災から3年後の1926(大正15)年に描かれた全2巻の「関東大震災絵巻」。「淇谷(きこく)」という雅号が記されていた。絵巻は新井さんがオークションサイトで発見し、2021年3月に落札。昨年8月、絵巻についての著書*28を出版したが、現物は公開していなかった。
 「淇谷」が誰なのかは分からなかったが、同10月、福島県の元小学校教師、大原弥市が「淇谷」の雅号を使っていたことが判明した。新井さんはこの人物が作者の可能性が高いとみている。

〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉高麗博物館関係者が会見 | 朝鮮新報2023.7.11
「隠蔽された朝鮮人虐殺」、関東大震災100年展開催中 絵巻で惨禍の史実に向き合う | 週刊金曜日オンライン2023.7.18
関東大震災100年関連行事、新宿区が後援せず – イオWeb2023.7.18


スポーツ最前線
女子サッカーW杯、ジェンダー平等の息吹(和泉民郎)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

football life:世界で進む男女の同一報酬、日本では……サッカー女子W杯 | 毎日新聞2023.7.19
 近年のサッカー界で広がりを見せ始めたのは、ジェンダー平等を目指し、男女代表チームの報酬を同一にする動きだ。
 国際サッカー連盟FIFA)は今回の女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会の賞金総額を前回2019年フランス大会の3000万ドル(当時約34億円)から1億1000万ドル(約154億円)に増額した。
 男子の22年W杯カタール大会の4億4000万ドル(同約610億円)とは開きがあるが、FIFAは次回の27年女子W杯の賞金を、男子の26年大会と同額にする目標を掲げる。
 日本はどうか。日本サッカー協会は男女代表の報酬について、ここ10年ほど公開していない。日本プロサッカー選手会の松本泰介*29業務執行理事は、報酬の一つ、男女代表の勝利給を例に「金額に大きな違いがあるのは事実」と語る。男子へのスポンサーが多く、収入の違いが背景にあるという。「ジェンダー平等の観点が大事というのは認識しているが、女子サッカーの価値をどう上げていくかも考えていかなければならない」と話している。

サッカー女子W杯“多様性”腕章めぐるFIFAとの攻防 - ジェンダーをこえて考えよう - NHK みんなでプラス2023.7.31
 今大会、FIFA国際サッカー連盟)はジェンダー平等などのメッセージを記した腕章の着用を許可しました。
 この決定の裏に何があったのか。プロサッカー選手の国際的な労働組合FIFPROの職員として交渉現場に立ち会った辻翔子さんに話を聞きました。
◆辻翔子さん
 今回の腕章に関しては「メッセージがソフトすぎる」という声は一部の選手からもあがっています。全チームの主将がそれぞれの思いに合わせてメッセージ腕章を着用できたことは大きな前進ではありますが、これがベストだとは選手たちもFIFPROも考えてはいません。
 参加国全ての要望や社会的・文化的背景を考慮し、全選手が納得するメッセージ腕章を着用できるように粘り強く交渉を続けて行きたいと思っています。

*1:参院議員。日本共産党書記局長を経て党筆頭副委員長

*2:一橋大学名誉教授。著書『日本国憲法「改正」史』(1987年、日本評論社)、『現代日本の支配構造分析』(1988年、花伝社)、『憲法はどう生きてきたか』(1989年、岩波ブックレット)、『戦後政治史の中の天皇制』(1990年、青木書店)、『「豊かな社会」日本の構造』(1990年、労働旬報社)、『企業支配と国家』(1991年、青木書店)、『政治改革と憲法改正』(1994年、青木書店)、『現代日本の政治を読む』(1995年、かもがわブックレット)、『日本の大国化は何をめざすか』(1997年、岩波ブックレット)、『日本とはどういう国か、どこへ向かって行くのか』(1998年、教育史料出版会)、『企業社会・日本はどこへ行くのか』(1999年、教育史料出版会)、『憲法「改正」は何をめざすか』(2001年、岩波ブックレット)、『日本の大国化とネオ・ナショナリズムの形成』(2001年、桜井書店)、『「構造改革」で日本は幸せになるのか?』(2001年、萌文社)、『構造改革政治の時代:小泉政権論』(2005年、花伝社)、『安倍政権論』(2007年、旬報社)、『憲法9条と25条・その力と可能性』(2009年、かもがわ書店)、『渡辺治政治学入門』(2012年、新日本出版社)、『安倍政権と日本政治の新段階:新自由主義・軍事大国化・改憲にどう対抗するか』、『安倍政権の改憲構造改革新戦略:2013参院選と国民的共同の課題』(以上、2013年、旬報社)、『現代史の中の安倍政権』(2016年、かもがわ出版)、『戦後史のなかの安倍改憲』(2018年、新日本出版社)、『安倍政権の終焉と新自由主義政治、改憲のゆくえ』(2020年、旬報社)、『「平成」の天皇と現代史』(2021年、旬報社)等

*3:原水協原水爆禁止日本協議会)事務局次長

*4:全広島教組書記長

*5:沖縄県議(日本共産党

*6:日本共産党副委員長(国際委員会責任者兼務)。著書『フランス左翼の実験』(1987年、大月書店)、『日本共産党の野党外交』(2002年、新日本出版社)、『イスラム世界を行く』(2003年、新日本出版社)、『つながる9条の絆』(2014年、新日本出版社)等

*7:東京成徳大助教を経て公益財団法人政治経済研究所研究員

*8:法政大学教授。著書『植民地朝鮮の警察と民衆世界 1894-1919』(2008年、有志舎)

*9:明治大学教授。著書『台湾同性婚法の誕生』(2022年、日本評論社)等

*10:著書『アメリカ病』(2003年、新潮新書)、『ひとりで死んでも孤独じゃない:「自立死」先進国アメリカ』(2012年、新潮新書)、『日本より幸せなアメリカの下流老人』(2016年、朝日新書)、『大統領を裁く国アメリカ:トランプと米国民主主義の闘い』(2018年、集英社新書)、『アメリカ白人が少数派になる日』(2020年、かもがわ出版)、『年間4万人を銃で殺す国、アメリカ』(2023年、花伝社)等

*11:正確には共和党予備選挙

*12:まあ、どうみても「敵の出方論」のようなもんでしょう。米軍だけで対応できず民兵が必要になるケースがあるとは思えない。

*13:石川県議(日本共産党

*14:きょうされん常務理事

*15:例えば匿名の銃眼から平然と人を撃つ奴ら | inti-solのブログ - 楽天ブログ参照

*16:社民連代表、細川内閣科技庁長官、参院議長、菅内閣法相など歴任

*17:著書『アルコールとうつ・自殺』(2014年、岩波ブックレット)、『もしも「死にたい」と言われたら: 自殺リスクの評価と対応』(2015年、中外医学社)、『薬物依存症』(2018年、ちくま新書)、『「死にたい」に現場で向き合う:自殺予防の最前線』(編著、2021年、日本評論社)等

*18:神田沙也加のこと

*19:上島竜兵のこと

*20:市川猿之助のこと

*21:その後、猿之助は6月27日に母に対する、7月18日に父に対する自殺幇助容疑で逮捕、7月28日に起訴された(市川猿之助 (4代目) - Wikipedia参照)

*22:トラウマですぐに被害を告白できないと言うことでしょう。

*23:著書『認知症の私から見える社会』(2021年、講談社+α新書

*24:1979年生まれ。日本大学陸上競技部に所属し、大学卒業後はNEC陸上部に入るが、2003年に陸上部が廃部となった。その後、俳優の道を志し、2004年7月、『第1回D-BOYSオーディション』に出場。特別賞受賞により2004年10月、D-BOYSに加入(和田正人 - Wikipedia参照)

*25:1985年生まれ。2007年、NHK連続テレビ小説ちりとてちん』のヒロインに選ばれ初主演。2013年、『くちづけ』で映画初主演。2014年、同作でブルーリボン賞主演女優賞を受賞。「貫地谷(かんじや)」という名字は大変珍しく、日本国内に6世帯しかないという。(貫地谷しほり - Wikipedia参照)

*26:松竹の「寅さんシリーズ」「釣りバカ日誌シリーズ」はその一例でしょう。

*27:著書『五日市憲法』(2018年、岩波新書)等

*28:新井『関東大震災・描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』(2022年、新日本出版社)のこと

*29:早稲田大学教授。弁護士。著書『代表選手選考とスポーツ仲裁』(2020年、大修館書店)、『スポーツビジネスロー』(2022年、大修館書店)