「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2023年9/17日分:荒木和博の巻)

◆荒木ツイート

荒木和博
 予備役ブルーリボンの会「レブラ君とあやしい仲間たち」154回。「空の神兵顕彰会」会長の奥本康大さん*1が初登場。

 11分14秒の動画です。「空の神兵」が拉致問題と何の関係があるのかと心底呆れます。勿論、奥本は予想通り公然と「大東亜戦争はアジア解放の聖戦」と放言し、荒木も何ら批判しません。
 また

昭和天皇と出光佐三 | 上島嘉郎-公式サイト-
 (ボーガス注:太平洋戦争の)3年8カ月を「出光」の全力を挙げて戦争完遂に協力しました。徴用令に応じて蘭印地区に店員を送り出し、彼らは国のため、店主(佐三)のため挺身しました。

百田尚樹『海賊とよばれた男』は愛国ポルノ! 主人公のモデルは皇国史観丸出し、右翼殺人テロまで礼賛していた!|LITERA/リテラ
 日米戦争になったが、私のところのタンクにはガソリンが一ぱいはいっていた。それを軍の航空隊が使った。その油を売った金で軍票(引用者註:占領下等における疑似通貨)を回収したので、なんとかといった中将が私を玄関まで迎えたことがある。そのころの中将といえば、まるで殿様でわれわれ民間人を玄関まで出迎えるようなことは、ついぞ見も聞きもしないことであった。それは当時、軍票を乱発して無価値になっていたのを石油を売って軍票を回収する、回収すれば軍票の価値が出てくる。それを石油だけでもってやってくれているというので非常に感謝されたわけである。
(『私の履歴書 経済人1』日本経済新聞出版社、1980年)
 これを「戦争協力」と言わずに何と言うのか。

という出光佐三の「戦時中の戦争協力」も奥本は正当化するのだから呆れて二の句が継げません。
 なお、出光の戦争協力について、奥本は

植民地化防いだ「空の神兵」「空の神兵」顕彰会会長 奥本 康大氏に聞く | 世界日報デジタル2022.11.4
 出光佐三は国のために生きた人だ。出光佐三をモデルにした小説(ボーガス注:や小説を元にした映画『海賊とよばれた男』)も有名だが、あくまでも小説(ボーガス注:や映画)なので、九州の荒くれ商売人の印象が強くなっている。実際には一身投げ打って国のために尽くした愛国者だった。

と嘆いていますが、当たり前でしょう。映画でそんなことを公然と正当化したら非難は避けられません。
 なお、将来はともかく「出光」の名前が社名に入り続ける限り「出光興産社内」においてこうした「創業者・出光佐三」の右翼性(百田尚樹『海賊とよばれた男』は愛国ポルノ! 主人公のモデルは皇国史観丸出し、右翼殺人テロまで礼賛していた!|LITERA/リテラによれば戦後も太平洋戦争をアジア解放の聖戦と主張)は「批判されず、なかったことにされる」のでしょう。

参考

植民地化防いだ「空の神兵」「空の神兵」顕彰会会長 奥本 康大氏に聞く | 世界日報デジタル2022.11.4
記者
 顕彰会ではどのような活動をしているのか。
奥本
 基本的には、日本の戦争の正しい歴史を皆さんに知ってもらうことだ。日本が侵略戦争をして近隣諸国に迷惑を掛けたという戦後史観だけが一人歩きしており、(ボーガス注:米国の対日石油禁輸に対し)パレンバンで石油を確保したことで日本が自滅の危機から脱することが出来たことを知る人は皆無に近い。これは非常に残念なことで、それを伝えることがメインの活動だ。
記者
 活動を始めたきっかけは。
奥本
 父がパレンバンの落下傘部隊で殊勲を立てた一人だったが、親戚から話を聞くだけで父本人から戦争について聞くことはほとんどなかった。ところが10年前に父が亡くなった後、遺品整理で、戦時中の記録をまとめた手記が多く出てきた。数年後、パレンバン落下傘部隊について多くの書物を上梓されている高山正之先生*2に相談したところ、貴重な第一次資料だからそのまま本にするのはどうかと提案があった。今から5年ほど前に1冊の本にまとめ、高山先生との共著*3として出版された。昭和天皇大東亜戦争を振り返って「石油で始まり石油で終わった」とご述懐されている。石油がなければ戦うことができず、1年くらいで降伏して米国の軍門に下るのが目に見えていた。パレンバン作戦の勝利で当時の年間消費量を上回る大量の石油を手に入れることができ、それ以降の3年6カ月の戦争を継続でき、結果的には米国の植民地になることが回避できた。

空の神兵 - Wikipedia
 日本軍の落下傘部隊に対する愛称。
 また、落下傘部隊を描いた日本の軍歌(戦時歌謡)や映画のタイトル。
◆軍歌『空の神兵』
 1942年2月のスマトラ島パレンバン攻略作戦の成功を称える目的で、1942年4月に軍歌(戦時歌謡、軍国歌謡)として、ビクターレコードから発売。この歌は、映画『空の神兵』の主題歌にも採用された。
 この歌は、帝国陸軍落下傘部隊(第1挺進集団)の後身にあたる陸上自衛隊第1空挺団に継承され、第1空挺団の事実上の隊歌として使用されている。「降下訓練始め」では歌唱付きの『空の神兵』が場内で放送されている。このほか、 富士総合火力演習や駐屯地祭、基地祭での降下展示の際に、音楽隊の演奏が流される場合がある。
◆映画『空の神兵』
 1942年9月公開。陸軍全面協力によるドキュメンタリー映画(戦争映画)。

 ウィキペディアの記述が事実なら、「パレンバン作戦(侵略行為)を美化する歌を演奏」とは、自衛隊の行為はあまりにも問題がありすぎでしょう。

*1:元出光興産社員。父・奥本實は、昭和17年パレンバン奇襲作戦に従軍(アマゾンの著者紹介による)。著書『正伝・出光佐三』(2021年、展転社

*2:産経新聞社会部次長、テヘラン支局長等歴任

*3:高山、奥本『なぜ大東亜戦争は起きたのか?:空の神兵と呼ばれた男たち』(2016年、ハート出版)のこと