◆第10話「美人後家*1を守れ! 弁護人*2になった将軍」(2023年10月27日再放送)
あらすじについては以下を紹介しておきます。
暴れん坊将軍9
手の込んだ商家乗っ取り、亡くなった主の通夜に出奔していた兄が罷り出てくる。篤実と見えた番頭が糸を引いており、裏には老中までいやがる始末、お話は相続をめぐって係争のお白州が主な舞台となる。
相続をめぐって(ボーガス注:美人後家と兄が)争うお白州、公事師に老中の手が回っており悉く断られたので徳田新之助が弁護を務める運びに。この「裁判」では負け負け状態、最後は(ボーガス注:老中邸宅に徳田(吉宗)が)乗り込み(ボーガス注:老中と悪徳商人を)成敗で決着。
今回のゲスト俳優は吉宗(松平健)に成敗される「鹿内孝」(悪徳老中)と「中島久之」(老中とつるみ利権を漁る悪徳商人(商家番頭)、自らの不正(業務上横領)に気づいた商家主人を病死に見せかけて謀殺した上で、主人の兄を傀儡(次期当主)に立てるが、結局、『思い通りに動かない』兄も殺害し、別の人間を改めて傀儡に立てる)。
お二人とも「往年の時代劇の常連悪役」ではあるもののテレ朝・おはよう時代劇『暴れん坊将軍9』第7話「謀略! あやつり人形にこき使われた吉宗」他(1999年放送の再放送)(2023年10月26日記載) - bogus-simotukareのブログで紹介した有川博氏同様「渋い二枚目(鹿内氏:もともと、『鹿内タカシ&ブルーコメッツ』のボーカルとして人気を博した)」、
中島久之 - Wikipedia
NHK大河ドラマ
◆国盗り物語 (1973年:司馬遼太郎の同名小説のドラマ化。戦国大名・斎藤道三(演:平幹二朗)、織田信長(演:高橋英樹)が主人公)
織田信長の家臣・森蘭丸役
◆風と雲と虹と (1976年:朝廷に対し反乱した平将門(演:加藤剛)、藤原純友(演:緒形拳)が主人公)
将門追悼軍の武将・藤原為憲役
◆草燃える (1979年:北条政子(演:岩下志麻)が主人公)
北条泰時役
鎌倉幕府第二代執権・北条義時(演:松平健)の息子で、鎌倉幕府第三代執権
◆徳川家康(1983年)
徳川家康(演:滝田栄)の家臣・鳥居成次役
◆八代将軍吉宗 (1995年)
荻原重秀役
5代将軍綱吉(演:津川雅彦)、6代将軍家宣(演:細川俊之)の時代に勘定吟味役、佐渡奉行、勘定奉行等の要職を歴任するが新井白石(演:佐藤慶)との対立から失脚
◆毛利元就 (1997年)
大庭賢兼役
戦国大名・大内義長の家臣。義長が毛利元就(演:中村橋之助(現在の中村芝翫))に滅ぼされると毛利氏に仕えた。賢兼は飛鳥井家の歌道に通じた文人であり、彼が文化的素養を有していたことも毛利氏に家臣として登用された一因と考えられている。
◆風林火山(2007年:武田信玄(演:市川亀治郎(現在の市川猿之助))の家臣・山本勘助(演:内野聖陽)が主人公)
香坂筑前守役
武田氏家臣。後に上杉氏との内通の疑いで処刑
◆天地人(2009年:火坂雅志の同名小説のドラマ化、上杉家の家老・直江兼続(演:妻夫木聡)が主人公)
浅野長政役
豊臣政権五奉行の一人。関ヶ原合戦で東軍につく。真壁藩初代藩主。
等「悪役以外の役、特に甘いマスクの二枚目(中島氏)」も演じるうまい役者は、善人を演じればほんとに善人、悪人を演じればほんとに悪人に思える - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)の一人ではあるでしょう。
◆第11話『しあわせにさせたい!仕立てられたお世継ぎ』(2023年10月30日再放送)
あらすじについては以下を紹介しておきます。
暴れん坊将軍9
高家・日野家のご落胤騒動、これを利用して偽物をたて出世をはかる用人。(ボーガス注:本当にご落胤である)孫でないと知っていて、「祖母」は偽者に仕立てられた幸薄い娘を(ボーガス注:幼くして病死した)孫の代わりにお姫様にしてやろうと黙すが、(ボーガス注:本物のご落胤の出産に立ち会った医師が口封じに殺されるなど)用人たちの非道を見て翻心→新さん登場でワル一巻の終わり。
ご落胤騒動が嘘(悪人の謀略)だと言うことがタイトルで既にばらされてるところが勧善懲悪時代劇らしい。
まあ、タイトルでばらさなくても「予想がつきます」が。
猛虎の伸助
暴れん坊将軍9第11話「しあわせにさせたい!仕立てられたお世継ぎ」
(ボーガス注:自分の傀儡とする『偽のご落胤』を擁立し、主家を乗っ取ろうとして、吉宗に成敗される)高家用人・佐伯半十郎役の #四方堂亘 さん
当時とあるテレビ誌に「若い時代劇の悪役*3は珍しいので注目して下さい」とコメントしていたそう
(ボーガス注:吉宗に一緒に成敗される)腹心には「ダイナレッド」でお馴染み #沖田さとし*4さん
ということで「時代劇=マンネリ」のイメージがありますが、「与えられた枠組み(常に正義が勝つ、主要キャラは絶対に死なない等)」の中でそれなりに新機軸(今回は時代劇悪役の経験の少ない若手を登用)を狙っていたわけです。
◆第12話「吉宗危機一髪! 美しき婚約者の献身」(2023年10月31日再放送)
魔境夢御殿
『暴れん坊将軍9』第12話「吉宗危機一髪!美しき婚約者の献身」。本編開始早々代官所の役人と忍者に追い回され崖から転落する上様。上様を追い回す役人は福本清三と入江毅。崖に掴まりながらここにいたるまでの2日間を回想するのが本筋。
猛虎の伸助
暴れん坊将軍9第12話「吉宗危機一髪!美しき婚約者の献身」
代官・郡司源一郎(亀石征一郎)は徳田新之助が将軍と知ってもお構いなし矢を射掛け、銃隊に忍びまで使い新さんを追い詰める。
郡司は綱紀粛正と言い立て民を厳しく統制し秘密裡に隠し金山を掘っていた。悪行三昧の郡司を吉宗が怒りの成敗!
暴れん坊将軍9
タイトルに危機一髪とかあっても、たいていは大したことナイのがほとんどだが、これはマジで上様がかなりヤバい目に遭うお話。相手は亀石征一郎で凶悪そのもの、徳田新之助が将軍と知ってもお構いなしで「(ボーガス注:俺が上様を暗殺すれば)大騒動が起きるぞ」なんて言って(ボーガス注:精神的に興奮して)ハイな状態。手下には福本先生なんかもいて、矢を射掛けられるわ銃隊は出てくるわ、挙句の果て忍者まで出て新さんを追い詰める。でも正義の鷹・雷鳴号が飛んできて助けてくれちゃったり。
舞台は八王子、狩りに出た上様は、処刑されたという散田村庄屋の息子が呆けてしまっている*5さまに(ボーガス注:代官が処刑理由をまともに説明しないこともあって)異変の匂いを嗅ぐ。綱紀粛正と言い立て民を厳しく統制する代官は、秘密裡に隠し金山を掘っていた。
ということで最初に出てくるのは「お忍びに出かけた吉宗が何者か(→答えを言えば上記にあるように悪代官の手先たち)に襲撃され崖から転落するシーン」です。
見てるこっちは「え、何?」ですね。
いつもの「暴れん坊」は「悪人が誰か」が視聴者にある程度分かったところで、吉宗が調査に乗り出していくストーリー展開(吉宗が危機に陥ることもまずない)ですが、今回は「いきなり吉宗危機一髪」で「悪人が誰か」もすぐにはわかりません。
「何故吉宗が襲われたのか?」「そもそも何故お忍びに出かけたのか?(→答えを言えば、将軍として鷹狩りに出かけた場所で現地を統治する代官の悪事の疑いに気づき調査を始める)」という謎から話が始まり「襲撃されるまでの経緯の回想→(回想終了後)現実の話に戻る」という展開です。
さて徳田新之介として調査を始めた吉宗を「怪しい奴」として代官(悪役常連の亀石征一郎氏)が捕まえ、吉宗を引き取りに行く大岡越前(田村亮)。
しかしそこで「南町奉行所が追っていた悪党をよく捕まえてくれた、引き渡し願いたい」とヌケヌケという辺りには吹き出しました。
しかし今回「代官の悪事」が何かはなかなか明らかになりません(当初は年貢米の横領かと思わせますが、途中から「年貢米横領レベルの悪事ではない」こと*6が示唆されます)。しかも今回、悪代官は「余の顔を見忘れたか!(最後の吉宗の決め台詞:実際、それまで悪党達は徳田新之介が吉宗と気づかない)」どころか「大岡が吉宗を引き取ったこと」をきっかけに「徳田は大岡にとって重要な人間→アレは先日お目にかかった吉宗公!」と気づくにもかかわらず『悪事に気づかれれば切腹は免れない。毒を食らわば皿まで』とかえって吉宗暗殺*7を決意。
そして暗殺に乗り出した代官の手先によって襲撃され崖から転落する「最初のシーン」になるわけです。崖から落ちた吉宗も自力では這い上がれず、それを救出するのは今回は「大岡越前ら家臣達(「吉宗がかわいがってる鷹なら吉宗を見つけてくれるのではないか」として放たれた鷹狩りの鷹によって発見される)」。
ということで「悪代官が悪役常連・亀石氏」とはいえ、いつもと比べかなりトリッキーな展開です(とはいえ、吉宗が崖からの転落から助かって以降はいつもの暴れん坊で代官を「成敗!」ですが)
ということで「時代劇=マンネリ」のイメージがありますが、「与えられた枠組み(常に正義が勝つ、主要キャラは絶対に死なない等)」の中でそれなりに新機軸を狙っていたわけです。
なお、福本清三氏は「斬られ役・殺され役(時代劇やヤクザ映画)」という本来地味な役でありながら
福本清三 - Wikipediaから一部引用
1943年生まれ。1958年に15歳で東映京都撮影所に入社し、いわゆる「大部屋俳優」となる。
「斬られ役のプロ」というべき存在感から、所属の東映以外に外部のプロダクションからの依頼が多数あり、杉良太郎主演のフジテレビ「同心暁蘭之介」(杉友プロダクション制作、1981~1982年放送)、松方弘樹主演のテレビ東京「大江戸捜査網」(三船プロダクション制作、1979~1984年放送)などにも出演している。
2002年、ハリウッド映画『ラストサムライ』に出演し、主人公から何度話しかけられても返答しない寡黙なサムライに扮した。最後の戦いで戦死するシーンは、いままで培ってきた斬られ役としての演技力を生かし、迫力ある「死に方」を見せた。
2003年に東映を定年となったが、その後も嘱託というかたちで東映に籍を置いたまま俳優業を続けており、活動の幅をさらに拡げた。2006年にはNHK大河ドラマ『功名が辻』から出演のオファー(今川義元の家臣)を受け、ここでも斬られ役としての技量を披露した。
2010年には特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』の劇中劇『風の左平次』に悪役として登場。2011年の仮面ライダー生誕40周年記念映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』では、ショッカーの大幹部ブラック将軍を演じた。
2014年6月14日公開の映画『太秦ライムライト』では「時代劇の斬られ役一筋のベテラン俳優」役で初主演を務め、第18回ファンタジア国際映画祭において日本人初となる主演男優賞を受賞し、同時に歴代最年長受賞記録を更新した。
2021年1月1日、肺がんのため、京都市の自宅で死去。77歳没。
著書『どこかで誰かが見ていてくれる:日本一の斬られ役・福本清三』(2003年、集英社文庫)、『おちおち死んでられまへん:斬られ役ハリウッドへ行く』(2007年、集英社文庫)
◆『探偵!ナイトスクープ』と『徹子の部屋』
福本の知名度を一気に高めるきっかけとなったのは、1992年6月5日の朝日放送のテレビ番組『探偵!ナイトスクープ』への出演である。時代劇でいつも斬られ続ける福本の存在が非常に気になっていた視聴者から「あの斬られ役は誰? できれば『徹子の部屋』に出演させてあげたい!」という依頼が寄せられた。しかし、当時無名であった福本をいきなり番組に出演させることは無理があった。そこでスタッフは『徹子の部屋』のセットを借りて、探偵の落語家・桂小枝が黒柳徹子に扮して、福本を『偽・徹子の部屋』に“出演”させたが、ロケ中、偶然「本物の」黒柳徹子が現場に現れ状況が一変した。「日本一の斬られ役」という裏方の仕事に興味を持った黒柳が、その場にいた福本に話を聞いているうちに、是非とも自分の番組内でこの人の話を聞いてみたいという方向に話が進んだ。こうして1992年9月24日に本物の『徹子の部屋』への出演を果たした。
と晩年一躍有名になった御仁です。「一芸を突き詰めた成果」とは言えるでしょう。
*1:沖直未が演じた
*3:1962年生まれで当時36歳
*4:1958年生まれ。1982年、テレビ朝日『ザ・ハングマンII』にハングマンの一員「ヨガ(高原徹)」役で出演し、知名度が上がる。翌1983年には、スーパー戦隊シリーズ『科学戦隊ダイナマン』に弾北斗(ダイナレッド)役で主演。そのほか、朝日放送『部長刑事』(1984~1989年、三杉刑事)に出演(沖田さとし - Wikipedia参照)。というわけでまあ、よくあることですが「悪人も善人もやった俳優」の一人の訳ですね(名優かどうかはともかく)
*5:答えを書いておけば、「隠し金山に気づいたことで、代官に濡れ衣を着せられて父子共々、拷問をされた上、父(庄屋)に至っては殺されたのでショックで気が触れてしまった(気が触れたふりではない)」のだが「吉宗の活躍で代官が処罰されたこと」で正気に戻り「次の庄屋」に就任
*6:答えを言えば隠し金山です。
*7:但し、吉宗の正体に気づいたのは代官だけで、子分達は気づきませんし、さすがに暗殺を命じる代官も吉宗の正体を子分には伝えません