今週の週刊漫画ゴラク(2023年11/25記載)(追記あり)(副題:松本清張『砂の器』、横溝『犬神家の一族』『病院坂の首縊りの家』の一部ネタばらしがあります)

 読まないと理解できない感想が多いですがご容赦ください。読んだ本 - 情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明の感想の形で書いています。

 無茶苦茶な現場も詐欺師も、実際あるあるな話っぽいのがなんとも。>一級建築士矩子(かなこ)の設計思考@鬼ノ仁

 このマンガでの詐欺とは「人材派遣詐欺」。
 工事現場で「工事業者に、人材派遣として人足を2~3回程度世話して信用を得た」後、「それ以降は事前に金をもらっても人足の世話をしないで金を持ち逃げ」と言う話です。
 勿論そんな業者だから、「飛び込み営業」で仕事を取る会社で、人足も「専門性のある人間」はおらず、未経験者でもできる単純作業しかできないし、人足集め自体も登録社員がいるわけではなく「その都度かき集める」自転車操業です。詐欺云々以前に「コンスタントに人足が用意できるのか」怪しいので「それで詐欺として成り立つのか(信用して人材派遣を依頼する工事業者がいるのか)」と思うんですが、人手不足だと怪しい業者でも頼んでしまうのか?
 「無茶苦茶な現場」とは「リフォーム工事において元請けの工事設計図面があまりに杜撰な上に、現場の下請にそれを適切に修正できる人間もいないので、本来なら壊す必要のない基礎を壊して、一から新しい基礎を作る」という酷い話です。
 勿論まともなリフォームなら「元からある部分(基礎など)はできる限り既存のママ生かす」わけですが。

 マグロ。育ってないのを名産として獲る所*1とかもあるのがやっぱりなあ。>酒のほそ道@ラズウェル細木

 「最近はマグロが不漁で高い」と言う前振りなのに、「マグロの乱獲」に危機感が表明されることもなく、脳天気にマグロ専門店でパクパク食べる主人公達に対するダメ出し(日本人は漁業資源保護の意識がなさ過ぎる)の感想です。
 ちなみにマンガでは「マグロ中落ち」「マグロ大根(マグロと大根の醤油煮)」「カマ焼き」「カルパッチョ」「トロたく巻(たくわんとマグロの巻物)」「漬け丼」が登場。
 なお、このマンガでの「中落ち」は以下のように「骨付きのまま出されたもの」を客がスプーンでこそいで食べます。

【築地みたい】本まぐろ中落ちをスプーンでかき出していただく! 生の本まぐろを心底楽しめる超豪快なメニューが「藍屋」に登場したようだゾ | Pouch[ポーチ]
 築地などの魚市場周辺などでは、まぐろの中落ちを骨ごと皿に盛り、スプーンでかき出して食べてもらう、という提供をするお店もあります。

マグロの中落ちはやっぱり最高だ!反マグロ派が「まぐろ商店」で思う存分食べたら一瞬でマグロ派に転向してしまった - ぐるなび みんなのごはん
 解体したばかりの背骨とその周りのお肉がドーンと出される、ド迫力の一品。巨大なので2人ぐらいで食べるのが良いかも!
 背骨の周りの身(中落ち)をスプーンでこそげ取って食べる

 インターン女子大生、郷先生じゃなく「アシスタントの人」作画っぽい異質さがある。>ミナミの帝王@天王寺大×郷力也

 「アシスタントの人」かどうかはともかく、女子大生がかわいらしく描かれてるので、そうではない「メッキ工場社員のオッサンたち」の描写と異質であることは確かです。それと「今回初登場の女子大生」より「最初から登場の女性主人公(会社サラリーマンだったが、社長だった父の死を契機に、会社を辞め、家業のメッキ工場を継ぎ、女性社長)」の方が当初の描写とかなり変わってないか?(女子大生と同じような描写でかわいらしくなってないか?)
 それにしてもインターンのウチ、どれだけの人間が本当にメッキ工場に就職するのか?
【2023.12.8追記】
 どうも「全員が就職しそうな感じ」ですね。女子大学生の中にはインターンでありながら「今までなかった会社ホームページ」を作成し「お問い合わせフォーム」から「メッキ会社への注文を可能」にする強者まで登場。
【2023.12.15追記】
 予想の範囲内ですがやはり全員が就職しました。次回以降、新入女性社員達が本格稼働なのでしょう。

 後ろ*2を見せるのは駄目だろ。>スマイリー@服部未定。

 背後から襲撃されて殺害ないし重傷を負わされればその通りですが、「あえて隙を作り、相手が襲撃(今週号では包丁を振りかざして襲おうとしている)したところを殺人未遂または傷害未遂の現行犯で逮捕」の思惑もありうる。その辺りは次号で分かりますが。
【2023.12.8追記】
 やはり予想通り「あえて隙を作った」のだが結局襲撃できない教団幹部。教団関係者全てが「キチガイじみた殺人鬼」ではない設定の訳です。

 どんどん増える死者。管理人としての力がもう発揮されてるという事か。>ラクガキ~呪いの館~@志名坂高次×粂田晃宏。

 首相、国交相警察庁長官等と言った政財官の要人が「管理人としての力」のせいか、次々変死し、怯える主人公達。作者もどう落とす気やら。
【2023.12.1追記】
 その後も「埼玉県知事」「メガバンク会長」「大手生保社長」など次々起こる著名人(大物政治家、官僚、財界人など)の連続怪死について今回はネタばらし。
登場人物A
「ネット上に『呪いの館に行って恨みに思う人物の名前を書けばその人間を殺せる(但し、自分の命など自分の大事なものを失うリスクがある)』という書き込みがあったことは知っているな(ボーガス注:その『呪いの館』によって既に多数の人間が死亡)。今度は『呪いの館に行かなくても、建物の壁でも、チラシの裏でも、どこでも恨みに思う人間の名前を書けば殺せる*3』と言う書き込みがネットにあってそれを信じた人間のラクガキ*4によって沢山の人間が死んでいる。
 恨みのラクガキで簡単に人が殺せるようになった」
「政府の推定ではこの4日間で国内で少なくとも4万人がそうしたラクガキで殺された」
「政治家や官僚、財界人なんて人種は偉くなるため、金のために悪事を働いて、被害者に恨まれてる奴が多いからな」
「但しそうしてラクガキした連中は軒並み、自分の大事なものである過去の記憶を失ってるらしい」
登場人物B
「そのネットの書き込みをやった人間が誰か分からないのか?」
登場人物A
「最近の書き込みは名古屋のマンガ喫茶だったが個人までは特定できてない」
 嫌だなあ、その設定。人間、どこで恨みを買ってるか分かりませんからね。どうやって終わらせる気なのやら。
 とりあえずは「ネットに書き込んだ人間」を探すようですが。
 なお、

読んだ本 - 情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明
 名前を書けば殺せる、オープンデスノートってわけだ。同姓同名で巻き添えとかあったら気の毒だが、「書く」という行為で込められた念から特定すんのかな。(ボーガス注:殺したい相手が氏名不詳の場合だけでなく、殺したい相手の名前を書いても『砂の器』の和賀英良(本浦秀夫)、『犬神家の一族』のニセ犬神佐清(青沼静馬)、『病院坂の首縊りの家』のニセ法眼由香利(山内小雪*5などのように、偽名では効果がないという設定*6だが)それなら偽名でも効きそうだが。>ラクガキ~呪いの館~@志名坂高次×粂田晃宏。

の指摘で気づきましたが「名前を書けば殺せる」と言う設定は週刊少年ジャンプ連載のDEATH NOTE - Wikipediaと共通しています。

【2023.12.8記】
 主人公達が見つけ出すまでもなく警察が「書き込みした人間」を見つけ出したものの、「書き込めという声が聞こえるから書き込んだ」等、供述は要領を得ず「何だかなあ」です。
 嘘をついてるわけではなさそうですが。

*1:いわゆる「マグロの乱獲」

*2:というか背中

*3:このマンガにおいて「落書きする人物」「殺したい相手」が日本国内限定なのかどうかは現時点では不明です。多分どちらも「国内限定」でしょうが(ウクライナ人が「死ねプーチン」、パレスチナ人が「死ねネタニヤフ」と書いてもこのマンガの設定では死なない)。

*4:タイトル名の「ラクガキ」に今回落ちがついたわけです。

*5:かなりネタばらしになりますが、このうちニセ犬神佐清(青沼静馬)とニセ法眼由香利(山内小雪)は事件の渦中で命を落とします(但し原作では死亡する小雪は映画では死亡しない)。

*6:それだと「美空ひばり加藤和枝)など芸名」「鮎川哲也(中川透)、不破哲三(上田建二郎)などペンネーム」でも殺せない設定なのか?