今日の産経ニュース(2024年7/2、3日分)

<産経抄>あの人に言ってあげたい - 産経ニュース

 「国民連合」(RN)がトップになり、大統領率いる与党連合は大敗を喫した。彼は決選投票*1で左翼との共闘*2を訴えているが、実に見苦しい。
▼ちなみに小欄では、RNを「極右」とみない。最近は同党も極端な移民排斥論を抑え、議会制民主主義を尊重している。第一、「極右」のレッテルを張っているのが、左翼人士であるのが気に食わない。

 極右の産経らしいですが「やれやれ」ですね。「極右の躍進」阻止での「左翼・保守共闘」ならフランスでは、大統領選(シラクVSルペン、マクロンVSルペン:いずれも穏健保守が勝利)で過去に例があるし、国民連合を極右扱いするのは「左翼だけではない」。マクロン与党はせいぜい中道右派だし、「保守」の共和党だって国民連合を極右扱いする人間は多数いる。

 日本である。皆さんご存じのあの人に「そろそろ潮時ですよ」と言ってあげたいのはやまやまだが、逆効果になること請け合いだ。何しろ前任者*3が「首相は責任をとるべきだった」と、倒閣の狼煙をあげたのに怒り心頭だとか。9月の自民党総裁選は、出たい人*4が全部出ればいい。もちろん、勝者には解党的出直しをやってもらわねばならぬが。

 勿論岸田のことですが、内閣支持率が低迷しているとは言え、「モリカケ桜疑惑の安倍」をかばったのと違い、随分と冷たいもんです。昔の宏池会(池田*5、大平*6、鈴木*7、宮沢*8首相、河野*9、谷垣*10総裁など)はともかく「今の岸田*11(大軍拡)」はハト派では全くないのですが。なお、こんなことを言う産経ですが、勝者が「夫婦別姓支持の野田聖子*12」など「自民党内部では比較的にリベラルな人間」が総裁になれば悪口するでしょうし、「産経の希望する右翼人士(高市早苗*13辺りか?)が総裁になる」と見ての放言にすぎないでしょう。


<主張>JAXA情報流出 安保脅かす深刻な事態だ 社説 - 産経ニュース

 効果的な手立ての一つが、サイバー攻撃に先手を打って被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」である。政府はこの導入に向けて、秋の臨時国会での法案提出を視野に入れた検討を進めている。

 「能動的防御」と言ったところで「先手を打つ」でわかるように、要するに「サイバー分野での先制攻撃」です。
 「敵基地攻撃能力(先制攻撃)」を「反撃能力」と言い換え「専守防衛の枠内」と強弁したのと全く変わらない。
 「ハッカー攻撃によるとみられるJAXAの情報流出」について「誰が何の目的で攻撃したのか」「セキュリティの何処に問題があったのか」等の分析とそれに基づく「攻撃に強いサイバーセキュリティの構築」ならともかく「防衛を口実にした先制攻撃」が許されるかどうかは勿論「憲法九条の観点」等から疑問です。
 と言うか俺は「能動的防御」には反対の立場ですし、

サイバーでも先制攻撃/山下氏“米との連携危険”2016.4.18
 政府の国家安全保障戦略はサイバー防衛協力の推進をうたい、2015年4月の新ガイドライン(日米軍事協力の指針)でも「サイバー空間に関する協力」という項目を新設しています。山下氏は、米国防総省のサイバー空間政策報告書(11年11月)がサイバー事案に対する「通常兵力を用いた報復」を明記していること、12年10月にパネッタ*14国防長官(当時)が演説で「サイバー空間で先制攻撃を行う」と述べたことを示し、日本政府の認識をただしました。
 外務省の水嶋光一*15大臣官房審議官は「武力の行使を構成しうるもの」「サイバー攻撃の切迫した脅威を察知した場合、米国は大統領が指示した際には、国家を守るために攻撃者に対して措置をとる」と説明しました。
 2015年の安保法制の審議で中谷*16防衛相が答弁した「武力攻撃の一環として行われたサイバー攻撃に対して武力を行使して対応することも法理として考えられる」という政府の立場について、若宮健嗣*17防衛副大臣は同様の認識を示しました。
 山下氏*18は「米国と一緒に軍事優先のやり方をとるのは危険だ」と強調しました。

という共産も反対の立場でしょう。
 なお、サイバー攻撃と言えばJAXA以外でも以下の通りKADOKAWAが騒がれてますね。

KADOKAWAサイバー攻撃、N高・S高生の個人情報も流出 - 日本経済新聞
 KADOKAWAは3日、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃により通信制高校「N高」「S高」の在校生と卒業生、保護者の個人情報の一部が流出した可能性が高いと発表した。漏洩の可能性が高いと認識した人には個別に連絡をしている。
 N高とS高は角川ドワンゴ学園が運営し、約3万人が在籍している。どのような情報が流出した可能性があるのかは明らかにしていない。
 サイバー攻撃の対象は子会社ドワンゴのファイルサーバーで、同社と直接取引のあった作家、クリエーターの情報の一部漏洩を確認している。
 KADOKAWAへのサイバー攻撃を巡っては、「BlackSuit」を名乗るハッカー集団が6月27日、ダークウェブ(闇サイト群)に犯行声明を出した。同社の契約書やサービスの利用者の情報など1.5テラ(テラは1兆)バイトのデータをダウンロードしたと主張した。KADOKAWAは翌28日、取引先や社内の情報の一部の漏洩を確認したと発表している。


<主張>自衛隊発足70年 国民は頼りに思っている 社説 - 産経ニュース
 確かに「頼りに思ってる」かもしれませんが、それは災害救助の面であり、産経のような「戦争」ではない。
 また「五ノ井氏が告発したセクハラ問題」等、自衛隊の「問題点」にも注目すべきは当然です。
 例えば陸自の29歳隊員、別の隊員が投げた手りゅう弾の破片が当たり死亡…全部隊で訓練での火器使用中止 : 読売新聞(2024.5.30)は「原因究明と再発防止策(場合によっては業務上過失致死での刑事訴追)」が必要なはずでしょうに、続報がない気がしますが、一体どうなったのか。
 

*1:フランスの国会議員選挙は日本と違い、第1回投票で過半数を得た候補がいない場合は1位と2位の決選投票になる

*2:要するに候補者一本化

*3:菅前首相のこと

*4:現在名前が出てるのは「前回出馬した河野デジタル相、高市経済安保相、野田元総務相」「派閥ボスの石破元幹事長、茂木幹事長」など

*5:吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相等を経て首相

*6:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、蔵相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)等を経て首相

*7:池田内閣郵政相、官房長官、佐藤内閣厚生相、福田内閣農林相、自民党総務会長(佐藤、田中、大平総裁時代)等を経て首相

*8:池田内閣経企庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経企庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相等を経て首相

*9:中曽根内閣科技庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相等を歴任

*10:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相自民党総裁、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)等を歴任

*11:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)等を経て首相

*12:小渕内閣郵政相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣総務相、岸田内閣少子化担当相等を歴任

*13:第一次安倍内閣沖縄・北方等担当相、第三次安倍内閣総務相自民党政調会長(第二次安倍、岸田総裁時代)等を経て岸田内閣経済安保相

*14:クリントン政権大統領首席補佐官、オバマ政権CIA長官、国防長官等を歴任

*15:外務省大臣官房審議官、国連大使、サイバー担当大使、領事局長、イスラエル大使等を経て、現在、韓国大使

*16:小泉内閣防衛庁長官、第三次安倍内閣防衛相等を歴任

*17:第二次安倍内閣防衛大臣政務官、第三次安倍内閣防衛副大臣、第四次安倍内閣外務副大臣、岸田内閣万博等担当相を歴任

*18:共産党書記局長等を経て現在、副委員長。元参院議員