新刊紹介:「前衛」4月号

「前衛」4月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは4月号を読んでください)

■「スターリン秘史――巨悪の成立と展開」(不破哲三*1
(内容要約)
 連載の三回目。
コミンテルン第7回大会では従来の社会ファシズム論が撤回され人民戦術路線が採択された。最大の攻撃対象はナチスのようなファシズムであることが確認された。
・ただし、この決定にはいくつかの問題があった。
1)各国の共産党が過ちを犯したとしながらなぜか「その過ちの多く(例:社会ファシズム論、社民主義主敵論)はコミンテルン決定に基づくものであること」を指摘せず、「コミンテルン決定それ自体は間違いではなく各国の共産党が運用を間違ったか」のように大会報告が行われたこと。
2)何故かスターリンコミンテルン第7回大会において発言せず、大会後も明確な形での方針支持発言をしなかったこと
 これらについて、不破は「スターリンはこの方針転換について自信がなく、失敗した時に備えて『俺は支持していない』と言い訳するための保険をかけていたのではないか」との見方を示している。スターリンって「自分は表だっては何も言わず部下を動かす」小沢一郎のようにせこいですね!
コミンテルン第7回大会ではコミンテルンの「ソ連共産党」「スターリン」への従属が進むとともに中央集権化が強まった。
1)従来「地域書記局」を設置し地域書記局が各地の共産党に指令を出すというシステムだったが、中央書記局だけが指令を出すシステムに改め中央集権化を進めた
2)ディミトロフを書記長ポストに就けたことは「国会議事堂放火事件で無罪を勝ち取った英雄」イメージでコミンテルンのイメージアップという面もあったが「ソ連共産党出身でない」ディミトロフには過去のコミンテルントップ「ジノビエフ」「ブハーリン」(いずれもスターリン粛清で殺害される)と違い、人脈がなくスターリンにとって操りやすい人間だった。 

ジノヴィエフ(ウィキペ参照)
 レーニンの晩年から政治局でスターリンカーメネフと同盟を結び、三人組(トロイカ)を組んでトロツキーと対立し、結果としてトロツキーの失脚と国外追放に関与することになる。1924年レーニンが死ぬと、ジノヴィエフは党の最高実力者の一人となるが、その一方でスターリンが書記長として権力を集中していることに危惧を覚え、1925年「新しい反対派」を組織する。第14回共産党大会では、スターリンの「一国社会主義論」に反対、党の非民主的な指導と官僚主義的統制を批判し、対立していたトロツキー派と「合同反対派」を結成した。しかし、時既に遅く1926年政治局員とコミンテルン議長を解任され、党を除名された。翌1927年第15回党大会で自己批判し、1928年復党する。カザン大学学長、共産党機関誌「ボリシェヴィーク」編集部員を務めるが、1932年再度党を除名。1933年復権し、ソ連消費組合中央連合幹部会員に選出される。
 しかし、1934年12月、キーロフ暗殺事件に連座したとして党を除名の上、逮捕された。1935年に禁固10年の判決を受ける。翌1936年、「モスクワ裁判」でジノヴィエフは1932年にスターリンなど党指導部に対するテロが計画されたという「合同本部」事件で告発された。
 ジノヴィエフは拷問を受けた上、スターリンに生命の保証を約束され有罪を認めたが、結局、1936年8月24日にカーメネフらと共に死刑判決を受けた。その時、「スターリンは約束したんだ」と口走り、カーメネフに連れられて退廷させられた。
 死を悟ったジノヴィエフは、処刑される直前、カーメネフに「イタリアと同じことがおきた」と心情を打ち明けた。カーメネフは「よせ、威厳を持って死んでいこう」と返答したのに対し、ジノヴィエフはイタリアのムッソリーニがローマ進軍で政権を奪取した例を出し、「ソビエトでもファシストがクーデターを起こした」と嘆いたとされる。
 死後の1988年に名誉回復された。

ブハーリン(ウィキペ参照)
 スターリンと組んで党内主流派の一角を占めるが、それも長くは続かなかった。スターリンとは、工業化と農業の集団化をめぐり、対立し、ブハーリンは、ルイコフ(後にスターリン粛清で殺害)、トムスキー(後にスターリン粛清の中、前途を悲観し自殺)と共に、政治局内で反スターリン派を形成するものの、逆にスターリン派から「右翼」と批判され党政治局員、プラウダ編集長、コミンテルン議長を解任された。一度は失脚したものの1934年には、党中央委員候補、「イズベスチヤ」誌編集長として復帰し、1935年の新憲法(いわゆる「スターリン憲法」)起草にも参加する。
 しかし、1936年大粛清が開始されると、イズベスチヤ編集長を解任される。1937年にブハーリンはルイコフとともに党中央委員候補を解任され党から除名される。同年2月にブハーリンは逮捕された。1938年3月のモスクワ裁判でブハーリンは、自らの罪を認めればブハーリン自身を死刑にしないことと、妻子を助けるという約束で有罪を認める。しかし、約束は守られず、ブハーリンは1938年3月15日銃殺された。
 1988年に党籍および名誉が回復された。

3)7回大会以後はコミンテルン総会はコミンテルンが1943年に正式に解散されるまで1回も開かれることはなかった。
4)スターリンコミンテルンにおいても恐怖支配を貫徹するため、チェーカ*2GPU*3出身のモスクヴィン(トリリッセル)と、NKVD*4出身のエジョフを中央執行委員として送り込んだ。

トリリッセル(ウィキペ参照)
 1921年8月からチェーカー特別課第14特殊班長、警備班長を務めると同時に、コミンテルン執行委員会極東課主任を兼任した。同年12月からチェーカー(後にGPU)外国課長補佐、1922年5月〜1929年10月までGPU外国課長、1926年3月からはGPU副長官を兼任。1928年からソ連人民委員会議附属GPU全権代表。
 1935年〜1938年、モスクヴィン名義でコミンテルン執行委員会幹部会議員兼書記局局員候補。コミンテルンの特務機関、国際連絡課(OMS)を監督し、コミンテルン執行委員会書記局の国外共産党員の全ロシア共産党への移籍に関する委員会に入る。
 このようにキャリアを重ねたトリリッセルだったが、大粛清の強まる中、スターリンに猜疑されるようになっていく。1938年11月23日に逮捕され、1940年2月1日、死刑を言い渡される。翌日、銃殺刑となった。
 1956年、名誉回復。

エジョフ(ウィキペ参照)
・1936年〜1938年までNKVD長官を務めた。スターリンによる大粛清(大テロル)を実行したが、1940年に自らも粛清対象にされて処刑された。
・1936年9月26日に内務人民委員(内務大臣)に就任。エジョフ体制下での粛清は猛威を振るい、容赦ない拷問の結果、多くの者が処刑・追放・収容所送りに至った。
・1938年8月22日、ベリヤ*5が内務人民委員代理に就任する。ベリヤはエジョフの権力を奪い、NKVDの実質的な責任者になった。11月25日にはベリヤが内務人民委員に就任した。1939年3月3日、エジョフはソ連共産党における全官職を解任された。
・1939年4月10日、エジョフは逮捕され、1940年2月4日、銃殺された。


特集「東日本大震災からの復興」
■「農業・漁業の立て直しの本格化を 逆行するTPP参加」(紙智子*6
(内容要約)
 前半が農業、漁業の立て直しにおいて必要とされる事への紙氏の意見、後半が「被災地の農業、漁業復興にも反する」TPPへの批判となっている。

参考
赤旗
『自民のTPP総選挙公約、6項目守るなら参加断念を、参院予算委 紙議員が追及、首相 「国民との約束守る」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-20/2013022001_01_1.html
『論戦ハイライト:TPP不参加しかない、参院予算委 紙議員が迫る』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-20/2013022003_01_0.html
『TPP参加は公約違反 政府は断念を、参院予算委 紙議員の質問』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-21/2013022105_01_0.html
『JA岩手 「復興の足かせだ」、紙議員 TPP阻止共同で一致』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-27/2013022704_02_1.html


■「安倍政権の逆流と対決、参院選での前進をはたす:情勢に働きかけ、危機打開の道、日本の進路を語り」(山下芳生
(内容要約)
 日本共産党第六回中央委員会総会(六中総)で書記局長代行に選任された山下参院議員によるあらためての「六中総」党決定や志位委員長報告の説明。赤旗の記事紹介で代替する。


赤旗
『政党間の力関係は変えられる 参院選躍進へ挑戦しよう、日本共産党第6回中央委員会総会終わる、「比例を軸」に「自らの選挙」として 志位委員長が結語』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-11/2013021101_01_1.html
日本共産党が第6回中央委員会総会、情勢に大局的確信もち大変革の時代にのぞもう、国民に溶け込み結びつき参院選で本格的反転攻勢を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-10/2013021001_01_1.html
尖閣問題を解決する「三原則」、冷静で理性的な話し合いこそ唯一の道、志位委員長提起』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-10/2013021001_02_1.html
『「慰安婦」問題、日韓請求権協定にもとづく交渉による解決を、志位委員長』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-10/2013021002_01_1.html


■「第二次安倍政権論:改憲・軍事大国化と新自由主義の行方」(渡辺治*7
(内容要約)
・第二次安倍政権の目指すものは第一次同様「経済分野での新自由主義」プラス「極右的復古主義(九条改憲、教育の右翼化など)」であろう。
 この点、警戒すべきは「極右新自由主義グループとしての維新の会の衆院選での躍進」「自民、公明、維新、みんなといった改憲派衆院の2/3を占めていること」と「衆院選での左派勢力の不振」であろう。
 こうした状況下、安倍政権は「九条改憲」の足がかりとして「96条改憲」による改憲のハードルを下げることを計画しており要注意であろう。
 なお、「安倍政権の改憲における最大のターゲットは九条」であろうが「96条改憲」により改憲のハードルが下がるのはもちろん9条限定ではないことを指摘しておく。自民党改憲案は九条以外の面でも「天皇の元首化」など、きわめて右翼的な代物であることに注目する必要がある。
・状況は決して楽観を許さないが、一方で「都知事選での社共プラス市民派の共闘」のように様々な政治運動が試行され、一定の成果*8を上げていることを今後、発展的に生かして行けるのではないかと考えている。


■「時代遅れで危険な『アベノミクス』経済政策」(大瀧雅之*9
(内容要約)
・インフレを目指すことによって景気回復を目指すというアベノミクスの主張を支持できない。政策が実施されれば「景気がよくならず物価上昇だけが起こる」スタグフレーションの危険性があると考える。
・不況の大きな要因としては「雇用不安」「賃金の低迷」による消費の減少があると考える。むしろ安倍政権は「雇用の安定」「賃金の引き上げ」の為の政策を展開すべきだが、実際の政策は「雇用の不安定化」「賃金の引き下げ」を助長するものであるように思われる。


■「安倍内閣の危険な教育改革の意図と手法:「地域主権」下の自治体教育改革との関連を踏まえて」(佐貫浩*10
(内容要約)
 安倍政権の教育政策はまだ明確な形では出ていないが自民党公約パンフ(http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf)、自民党教育再生実行本部中間取りまとめ(http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/economic_recovery/119466.html)から分析してみると言う内容。
 筆者の主張の要約は結構面倒なのでネット検索で見つけた記事をいくつか紹介する。平たく言えば「安倍の狙いは教育の右傾化と国家統制の強化」ということになるわけだが(もちろん既に第一次安倍内閣で「教育基本法改定」「教員免許更新制度の導入」「格闘技(剣道、柔道など)の必修化」という形で一定の右傾化政策は採られている)。

http://mainichi.jp/feature/news/20121225ddm001010039000c.html
毎日新聞『政権再交代:「教育再生」、標的は教育委員会
 自民党の教育分野の公約は「教育再生実行本部」がまとめた。本部長の下村博文衆院議員は前安倍政権の官房副長官。五つある分科会の座長は、教育再生会議メンバーだった義家弘介参院議員(当時)らが務めた。
 下村氏や義家氏が口をそろえるのが「教員の政治的行為の制限に罰則を設ける」法改正だ。教委改革の背後には、教員を管理する教委への不満も見える。
 安倍総裁はアジア諸国に配慮した教科書検定の「近隣諸国条項」の見直しも公約に掲げる。昨年、下村氏との月刊誌の対談で「(前政権時に)学習指導要領も変えたが、日本の伝統文化や皇室に対する敬意をはぐくむと書いてあるにもかかわらず、教科書会社は逆行する教科書を作り始めている。危機感を強く持っている」と不満を示す。

 安倍が目指している事、やりたいことが「教員の政治活動を罰則付きの法律で取り締まること」「教育委員会へ国が直接介入できるような制度を作り教育の国家統制を推し進めること」「近隣諸国条項の廃止により歴史捏造主義(南京事件慰安婦否定論など)を公然と教科書に持ち込むこと」「教育内容に皇室崇拝を持ち込むこと」であることがわかる。
 ま、近隣諸国条項に限れば見直しとやらを実行すれば確実に中国、韓国との関係が悪化するので安倍はやりたくてもやれないだろうが。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-12/2013011201_04_1.html
赤旗教育再生会議メンバーに「つくる会」「靖国派」』
 政府は11日までに、首相官邸に設置する「教育再生実行会議」(仮称、本部長・安倍晋三首相)の有識者メンバーを内定しました。
 日本の侵略戦争を肯定する「新しい歴史教科書をつくる会」元会長で、「ジェンダーフリー」や男女共同参画を攻撃してきた八木秀次高崎経済大教授、教育現場での「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱を主張し、沖縄戦での集団自決強要はなかったとする著書を出版した曽野綾子氏、改悪教育基本法に「愛国心」を盛り込むことを主張した全日本教職員連盟委員長の河野達信氏といった「つくる会」「靖国派」が名を連ねています。安倍政権の公約である教科書検定基準の「抜本的な改善」などを狙う危険な布陣です。

 教育の右傾化を目指すという方針が実にわかりやすい。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-27/2013012701_01_1.html
赤旗『安倍政権・35人学級見送る、条件整備の後退鮮明』
 政府は26日までに、文部科学省が求めていた2013年度から5年間で公立小・中学校の全学年で35人学級を実現する計画を見送る方針を固めました。

 安倍の教育改革が『教育の右傾化と国家統制の強化』でしかなく『教育環境の整備充実』に全く関心がないことがよくわかる。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-17/2013021702_02_1.html
赤旗『「道徳」教科化提言へ、教育再生会議 いじめ・体罰論議
 安倍晋三首相肝いりの政府の「教育再生実行会議」(座長・鎌田薫早稲田大総長)は15日に首相官邸で開いた第2回会合で、いじめ・体罰問題について議論しました。道徳を教科として位置付けることを求める意見が大勢を占めたとして、今月中に予定する次回会合で安倍首相に提出する提言に盛り込む方針です。
 鎌田座長は終了後の記者会見で「教科化すべきだとの意見が大勢ということを踏まえて提言を取りまとめる」と述べました。
 会合冒頭のあいさつで、安倍首相は「道徳教育の充実は大切」と強調するとともに、「スピード感を持っていじめ対策を充実し、与党とも連携して法制化につなげたい」と発言しました。
 道徳の教科化は、第1次安倍内閣が設置した「教育再生会議」も提言しましたが、世論や学校現場の批判で断念された経緯があります。


解説
愛国心」植え付け
 安倍晋三首相は、第1次安倍内閣教育基本法を改悪するとともに、「教育再生会議」を設置。同会議は数次にわたる提言を出し、第2次報告で、道徳の教科化を求めました。しかし、世論の批判で、中央教育審議会文部科学相の諮問機関)も実施を見送りました。
 市民道徳を学校で教えることは大事です。しかし、それは上から「規範意識」を教え込むことで身につくものではありません。
 「道徳」を教科にすれば、国が検定する教科書などで、時の国家や政府の特定の価値観を押し付けることになります。憲法の「思想・良心の自由」に反することです。
 しかも、安倍首相が狙うのは「命をなげうっても守るべき価値が存在する」(首相の著書『美しい国へ』)といった「愛国心」や復古的な価値観の植えつけです。
 学校教育においても、道徳教育は特定の時間のみで行われるものではありません。児童生徒が学校生活を送る中で、現実生活に即して子ども自身が考える中で全体として育まれるものです。

 いじめ対策を口実に「戦前型道徳」の持ち込みを企む安倍。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-02/2013030204_02_1.html
赤旗文科省による教科書「指導」、不当と住民ら抗議、沖縄・竹富町
 憲法改悪を志向する育鵬社版中学公民教科書を拒否して「東京書籍」の教科書を配布した沖縄県竹富町教育委員会にたいして、文部科学省は1日、義家弘介政務官を同町に派遣し、育鵬社版を推した昨年8月の八重山採択地区協議会の「協議の結果」に従うよう「指導」しました。これに対し、住民らは義家政務官に「不当な『指導』」であると抗議しました。

 自らの支持するつくる会教科書を権力的に押しつけようとする安倍。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/130107/edc13010722270001-n1.htm
産経新聞『「心のノート」配布復活 体力テストも全員に 文科省
 文部科学省は7日、道徳の副教材「心のノート」を小中学生全員に配布する方針を固めた。民主党政権事業仕分けで予算が削られ配布をやめたが、政権交代で復活する。平成24年度補正予算案に約6億円を盛り込む。

 民主党事業仕分けで廃止されたものをわざわざ復活させる「道徳教育の鬼」安倍。ま、「戦前型道徳」「権力者に都合のいい奴隷の道徳」であることは間違いないだろう。要するに安倍は対象外。第一次内閣での安倍の無様な首相辞任劇自体が道徳に反する行為なのだから自分が「道徳教育の対象」の訳がない。あの辞任劇は責任感がなさ過ぎる。


■「今こそ求められる東アジア市民の歴史対話:『歴史認識と東アジアの平和』フォーラム東京会議の開催と日中韓三国共同編集『新しい東アジアの近現代史』の発行」(笠原十九司*11
(内容要約)
・「今こそ」というのは「河野談話否定派」で「尖閣竹島問題」で中韓を挑発して恥じない極右・安倍が首相の「今こそ」という意味であることは言うまでもないだろうが一応言っておく。
・なお、笠原氏も批判しているが安倍の言動は、第一次安倍内閣での「日中歴史共同研究報告書」に明らかに反しており、「およそ国際的に通用するものではない」ことを指摘しておく。報告書は不十分なものかもしれないが、つくる会のような歴史捏造主義には立っていない。
 日中歴史共同研究報告書については笠原氏は『戦争を知らない国民のための日中歴史認識「日中歴史共同研究<近現代史>」を読む』(編著、2011年、勉誠出版)を出版している。

Internet Zone:WordPressでBlog生活『日中歴史共同研究報告書が公表されました』
http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2010/01/31194705/

・本論文は副題になっている、『歴史認識と東アジアの平和』フォーラム東京会議及び『新しい東アジアの近現代史』の説明が主たる内容である。会議の主な内容は次のようなものらしい。

基調講演
 孫崎享*12「東アジアの平和と対米関係〜尖閣にどう対処すべきか」
基調報告(各国代表)
 日本:内海愛子*13(実行委員会共同代表、早稲田大学教授)「市民からはじめる東アジア平和共同体〜領土ナショナリズムを超えて」
 中国:歩平*14中国社会科学院近代史研究所研究員)「歴史認識の衝突と相互理解―日中国交正常化と日中歴史問題」
 韓国:安秉佑(アジアの平和と歴史教育連帯共同常任代表、韓神大学教授)「東アジアの葛藤の高まりと市民社会の役割」
第1セッション「核のない東アジアをつくる」
 日本:新崎盛暉*15沖縄大学名誉教授)「東アジアと沖縄」
    川崎哲(ピースボート共同代表)「原発と核問題」
 中国:王也揚(中国社会科学院近代史研究所研究員)「東アジアの民族主義問題―中国および日中関係をテーマとする討論」
 韓国:鄭旭�莫(平和ネットワーク代表)「核のない東アジアをつくろう」
特別報告
 エッカート・フックス(ゲオルク・エッカート国際教科書研究所)「国境・領土問題においての二国間教科書協議」
第2セッション「平和をきづく歴史認識
 中国:朱漢国(北京師範大学教授)「平和の展望に基づいて:中国の歴史教科書の中日関係に関する記述」
    劉文楠(中国社会科学院近代史研究所編集)「歴史的記録に対する感情:叙述と研究」
 韓国:朴鎭希(国史編纂委員会)「領土問題と歴史認識
    李智媛(大林大学教授)「韓国の教科書と歴史認識
    李東奇(ソウル大学統一平和研究員 HK 研究教授)「博物館と歴史認識―最近の韓国の二つの歴史博物館に対する批判」
 日本:上村英明*16恵泉女学園大学教授、市民外交センター代表)
   「領土問題と歴史認識〜「尖閣諸島」問題を先住民族である琉球民族の視点で考える」
    俵義文*17子どもと教科書全国ネット21事務局長)「日本の右派の最近の動向と教科書問題」
第3セッション「東アジアの平和をめざす市民運動
 韓国:張王翼(韓国労働組合総連盟対外協力本部長)「韓国における強制動員被害問題の現状」
    李壽珍(韓国労働組合総連盟全国医療産業労働組合連盟主席副委員長)「江汀から古里まで」
 日本:土井登美江(脱原発をめざす女たちの会事務局)「3・11以後の脱原発の運動」
    梁澄子(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動2010共同代表)「日本軍「慰安婦」問題の解決をめざして」
特別報告
 朴三石*18朝鮮大学校教授)「朝鮮学校無償化除外反対の運動と在日朝鮮人差別問題」

 本については版元・日本評論社のホームページから目次だけ紹介しておく。以前、編集された『未来をひらく歴史』(2005年、高文研:目次についてはhttp://www.koubunken.co.jp/0375/0369.html参照)を踏まえ新版に当たるものを作成したと見ればいいのだろう。上が時系列、下がテーマ別の章立てのようだ。時系列はなじみ深いがテーマ別というのは珍しいのではないか。時系列の場合、記述内容はともかく章立てに異論が出ることは少ないのではないかと思うが、テーマ別の場合、『なぜこのテーマにしたのか』という異論はかなり出るのではないか。

http://www.nippyo.co.jp/book/6032.html
(上)
1章 西洋による衝撃と東アジア伝統秩序の動揺
2章 日清戦争と東アジア伝統秩序の解体
3章 日露戦争と列強の覇権争奪
4章 第1次世界大戦とワシントン体制
5章 日本の侵略戦争と東アジア
6章 戦後世界冷戦体制の形成と東アジアへの影響
7章 東アジアにおける冷戦体制の変容
8章 冷戦体制崩壊後の東アジア

http://www.nippyo.co.jp/book/6033.html
(下)
1章 憲法──国の仕組みと民衆
2章 東アジアの都市化──上海・横浜・釜山
3章 鉄道──近代化と植民地支配、民衆生
4章 移民と留学──人の移動と交流
5章 家族とジェンダー──男女の関係・親子の関係
6章 学校教育──国民づくり
7章 メディア──つくられる大衆意識と感情
8章 戦争と民衆──体験と記憶
9章 過去を克服し未来へ向かう


■「座談会:スポーツ部活動における体罰・暴力指導を考える」(石川正士、星野直之、星野実、広畑成志*19
(内容要約)
・スポーツ指導で体罰が横行するのは「教育には体罰が不可避、必要悪」という考えが蔓延しているからであり、ことはスポーツ指導限定ではない。
体罰の横行には「試合に勝ちさえすれば何でも許される」という「ゆがんだ形の勝利至上主義」があると思われる。「勝利しようと体罰は許されない」という考えを広めるとともに「体罰に頼らない合理的指導法の開発、普及」を学校関係者、スポーツ関係者が目指す必要がある。
体罰横行には「顧問教諭がボス化」しており、生徒が声を出せない、保護者や他の教員などが口出しできないという問題があるのではないか。
 顧問教諭の指導の自主性を阻害しない形で「生徒が声を出せる形」「外部からのチェックができる形」にする必要があるのではないか。
・今回、柔道女子代表の告発で日本スポーツ界には体罰だけでなくセクハラも横行してることが明らかになった。セクハラへの対応もスポーツ界の重要な課題である。


参考
赤旗
朝日新聞『「体罰は自立妨げ成長の芽摘む」桑田真澄さん経験踏まえ』
http://www.asahi.com/edu/articles/TKY201301110314.html
体罰ない桜宮高校に、保護者・卒業生・市民ら会を結成、大阪』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-28/2013012815_02_1.html
体罰はスポーツの否定』(スポーツ部長・和泉民郎)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-11/2013011103_01_1.html
『柔道女子代表監督暴行問題、日本のスポーツ界への告発』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-31/2013013101_03_1.html
主張『体罰・暴力問題、スポーツ指導の根本問われる』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-09/2013020901_05_1.html
『なくそう「体罰」・暴力、党大阪府委 提言を発表』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-19/2013021901_02_1.html
体罰一掃・いじめ克服へ大会、大阪教職員組合・全教滋賀教組』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-24/2013022404_01_1.html


■「赤旗」記者が行く
【電機リストラ 草の根の力で告発(酒井慎太郎)】
(内容要約)
赤旗の記事紹介で代替する。

赤旗
東芝は地域経済守れ、福岡の工場閉鎖 赤嶺議員ら撤回要請」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-17/2012011705_02_1.html
「電機リストラ反対、“赤字は偽り 体力はある”、電機懇など NEC本社前で宣伝」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-07/2012020701_01_1.html
「リストラ打開探る、山下議員 電機・情報ユニオンと懇談、事例は8万人」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-17/2012021704_01_1.html
東芝は雇用責任果たして、北九州市議会が決議を可決」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-24/2012032404_02_1.html
ソニー期間社員に“春”、解雇撤回 正社員で再就職へ会社と団交し合意、労組仙台支部「団結と支援のおかげ」」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-29/2012032901_01_1.html
ソニー期間社員 晴れ晴れ出勤、解雇撤回 自宅待機解かれる、1年ぶり」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-03/2012040301_03_1.html
「電機リストラ 「NEC調査、指導必要」、厚労相 田村氏「退職強要」追及に、参院決算委」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-08-28/2012082801_03_1.html
「パート110人雇用守れ、北九州 安川電機共産党要請」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-04/2012090404_02_1.html
「電機リストラ 退職強要やめさせよ、田村議員、電機・情報ユニオン 厚労省に指導求める」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-13/2012091301_02_1.html
主張「電機大リストラ、雇用と地域経済の破壊許すな」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-13/2012091301_05_1.html
「退職強要の面談・本業黒字なのに、13万人リストラ電機労働者告発」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-16/2012091601_01_1.html
「退職面談10回 「シリアに行け」「残業つけるな」、電機大手リストラ許すな、組合員倍増 たたかい前進、電機・情報ユニオン大会」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-18/2012091801_01_1.html
「電機リストラ 非正規切り裁判 最賃引き上げ、党神奈川県委など 横浜で交流会、“たたかいを前進させよう”」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-25/2012092504_03_1.html
「13万人電機リストラに反撃、「経営危機」口実に雇用犠牲の収益確保」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-01/2012100101_03_1.html
「「君に仕事はない」長時間、10回面談、電機リストラ この無法」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-01/2012100103_01_1.html
「11回“面談”で退職強要、NEC 1万人リストラ、一問一答メモで告発」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-09/2012100901_02_1.html
「私はこうして退職を強要された、NECリストラ 面談一問一答メモ」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-09/2012100906_01_0.html
「大リストラ撤回要求、広島 シャープ福山に仁比氏ら、市の部長と懇談「地域に影響大」」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-12/2012101205_02_0.html
「IBM指名解雇を告発、JMIU 笠井・田村氏と懇談」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-13/2012101305_01_1.html
「日本IBMの解雇不当、JMIU組合員が提訴」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-16/2012101601_03_1.html
「電機大リストラ止めよう、大阪で実行委員会を結成」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-19/2012101904_02_1.html
「午後5時解雇通告。「終業までに私物まとめろ。明日から出社禁止だ」、日本IBMこの非道「ロックアウト解雇」 労働者撤回求め提訴」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-10-29/2012102901_01_1.html
「首切りで人は育たぬ、大阪 電機リストラ抗議の宣伝、パナソニック本社前」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-03/2012110304_01_1.html
「無法な電機大リストラ、「やめません」と言おう、大阪・シャープ本社前 実行委が宣伝」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-06/2012110604_01_1.html
主張「リストラ追及、大企業に遠慮しない党だから」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-14/2012111401_05_1.html
「違法・非道 電機リストラやめさせよ、人減らしで産業「復活」ない、衆院予算委 志位委員長が迫る」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-14/2012111401_01_1.html
「人を大事にする政治に 電機リストラ許すな、NEC本社近く 「赤旗」受け取り次々」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-15/2012111501_07_1.html
「夫は退職強要された シャープ 何度も面談 妻証言、昼休みにメール… 「まともな仕事がないよだって」、違法行為正すのは政治の責任」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-11-22/2012112203_01_1.html
「電機などの退職強要、厚労相“実態把握へ調査”、日本共産党 国会で追及」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-10/2013011001_02_1.html
ソニー労組仙台 たたかいへ立つ、リストラから被災地守る、正社員の相談・加入相次ぐ」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-16/2013011601_01_1.html
「リストラ部屋 調査と指導を、8部屋新設され半数退職 NEC子会社の男性が告発、高橋・田村議員 厚労省に求める」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-23/2013012305_01_1.html
「電機リストラで厚労省、初めて調査結果発表 5社に啓発指導」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-30/2013013004_01_1.html
ソニー 退職強要の面談再開、厚労省の調査・指導後にも」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-04/2013020401_01_1.html
ソニー「リストラ部屋」250人、社員と家族 厚労省に指導求める、高橋・田村両議員同席」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-08/2013020801_01_1.html
ソニー仙台の退職強要、田村議員 厚労省は指導を」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-03-03/2013030303_01_1.html


【根深い原子力行政の癒着、隠ぺいに迫る(松沼環)】
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替する。

赤旗
「日本原電 審議官と5回面会、活断層調査 報告案を要求」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-03/2013020315_02_1.html
「規制庁漏えい 名雪元審議官と日本原電、公開質問後に個別面談」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-05/2013020501_02_1.html
「元規制庁審議官の資料漏えい、保安院と体質変わらず、島崎委員長代理が指摘、田中規制委員長は「個人の考え違い」」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-07/2013020701_04_1.html
「虚偽説明 国政調査権の妨害、笠井議員 東電社長ら喚問要求」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-09/2013020902_02_1.html
原子力規制庁元審議官、内規違反が常態化、資料漏えい時 「取り扱い厳重に」」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-10/2013021001_04_1.html
「東電「赤旗」を排除 福島第1の現場取材、会見場からも「おかしい」「不平等」」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-21/2013022101_03_1.html


■論点
【NTTの新たな賃下げリストラとのたたかい(武田清春)】
(内容要約)
赤旗の記事紹介で代替する。

赤旗
「NTT西 配転無効、最高裁上告棄却 労働者勝利が確定」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-02-19/2011021904_01_1.html
「NTT不当労働行為が確定、最高裁
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-26/2011052605_04_1.html
「NTT 50歳定年廃止、労組「たたかいの成果」、働く意欲奪う 技術継承が困難」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-20/2012042001_01_1.html


■暮らしの焦点
【私立高校で「偽装請負」(永島民男)】
(内容要約)
埼玉の私立高校で「偽装請負」が発覚した事件を元に
・私立学校でも偽装請負が横行していること
偽装請負の取り締まりを行政に強く求めること
・そもそも非正規雇用を増やすこと自体、教員労働者の雇用の安定と言う意味でも、「不安定雇用で生徒にきちんと向き合えるのか(精神的な余裕という意味で)」と言う意味でも問題であり、できる限り正規雇用に切り替えるべき事
などが指摘される。

参考
毎日新聞『埼玉の私立高:「教員の偽装請負」と非常勤講師が提訴』
http://mainichi.jp/select/news/20130305k0000m040080000c.html


■文化の話題
【音楽:『モーツァルトナチス*20を読む(小村公次)】
(内容要約)
・『モーツァルトナチス』の著者リーヴィーには『第三帝国の音楽』(邦訳:2000年、名古屋大学出版会)がある。『モーツァルトナチス』はその続編と考えればいいようだ。
ナチスの音楽利用として特に有名なのは「反ユダヤ主義者」でありナチスとして利用しやすかったワーグナーだろう。しかし意外なことにナチスモーツァルトも「偉大なドイツ人作曲家」として政治利用を図った。
・しかしモーツァルトを政治利用するにはナチスにとっていくつか不都合な点があった。
1)モーツァルトオーストリアザルツブルグ生まれでありドイツ人と呼べるかは疑問
2)モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」の台本を書いたロレンツォ・ダ・ポンテはナチスが激しく敵視するユダヤ人であった。モーツァルトワーグナーとは違い反ユダヤ主義者ではなかった
3)ナチスフリーメーソンを激しく敵視したがモーツァルトフリーメーソンの会員だった。
 こうした都合の悪い事実についてはナチスは故意に無視し、モーツァルトを「ナチスイデオロギー」に利用しようとした。


参考
モーツァルトアーリア人種に魔改造せよ! エリック・リーヴィー『モーツァルトナチス』について」
http://blog.livedoor.jp/reichsneet/archives/22336422.html
日本経済新聞「書評:モーツァルトナチス
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50549240S3A110C1MZC001/


【演劇:劇団昴『イノセント・ピープル:“原爆を作った男たちの六五年”』(水村武)】
(内容要約)
 ググって見つけた劇評で要約に代替する。

田中浩朗の教育研究日誌2.0
「イノセント・ピープル再演」
http://sitetanaka.net/nissi/?p=15863
「観劇」
http://sitetanaka.net/nissi/?p=11301


梁塵日記「名作イノセント・ピープル」
http://ryo-jin.at.webry.info/201301/article_28.html


しのぶの演劇レビュー: 劇団昴ザ・サード・ステージ『イノセント・ピープル』
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2010/0901110706.html
 昴の劇評とは言えこれは水村氏と違い「初演の劇評」だが。


劇団大阪『イノセント・ピープル』
http://blog.goo.ne.jp/ryonryon_001/e/2274e053ec139349bb34570a7e1d8939
 昴の公演ではない。そのため細部では脚本、演出に違いがあるかもしれないが参考までに。


■メディア時評
【新聞:緊迫するTPP交渉参加問題(金光奎)】
(内容要約)
・地方紙はTPPに対して一定の批判的報道をしているが、全国紙(朝日、読売、毎日、日経、産経)は事実上のTPP応援団だという批判。個人的には東京新聞の報道が評価できると思う。

参考
東京新聞
「TPP参加に極秘条件 後発国、再交渉できず」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013030702000237.html
「極秘条件 6月には把握 TPP 政府公表せず」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013030890070504.html
「TPP不利な条件 首相、事実説明を拒否 照会の有無も答えず」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030802000256.html
「TPP後発国に不利条件 首相 説明は後ろ向き」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030902000165.html
「TPP 首相「熟慮の時間ない」」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030902000258.html


【テレビ:何のための「新技術」か(沢木啓三)】
(内容要約)
 テレビ界は今までのテレビの4倍の画素数の4K、8倍の画素数の8Kという高画質のテレビ開発を家電業界とともに進めているがそれはよいことなのかという疑問提示。
 超高画質が求められるテレビ番組というのは必ずしも多くはないだろう(通常のバラエティやドラマで今以上の高画質を視聴者の多くが求めているという事実はないのではないか)。
 むしろ放送設備を高画質対応に更新するためテレビ局の経営が圧迫される恐れすらあるのではないか。


■スポーツ最前線「野球プロアマ“雪解け”への期待と課題」(佐藤恭輔)
 ネット上の記事の紹介で代替する。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130220k0000m070132000c.html
毎日新聞『記者の目:野球界プロアマ雪解け』堤浩一郎(大阪運動部)
 日本高校野球連盟(高野連)が1月17日、プロ野球経験者による高校野球指導の条件としてきた「教員免許取得と2年間の実務経験」の撤廃をプロ側に提案した。プロ側も歓迎し、元プロ選手が高校野球監督に就任するハードルが事実上なくなる。かつて元プロへの門戸が閉ざされていた不幸な時代を考えれば、歴史的な決断だ。それでもあえて言いたい。高校野球の指導者は、教員が望ましいと思う。
(中略) 
 極論すれば、野球の技術を教えること自体は、指導者の役割のほんの一部ではないか。相手はやんちゃ盛りの高校生。グラウンド外で問題を起こす者もいる。「高校野球は教育の一環」で、生徒に生活面の指導も求められる。授業態度などから目配りする必要があり、やはり教員がより良いと思える。ましてや、体罰や自殺の問題が噴出する昨今。保護者との関係作り、安全対策も重要だ。
 元ヤクルト、ロッテ投手で埼玉・川越東高監督だった阿井英二郎氏(48)が、今季から日本ハムのヘッドコーチに就任した。私は1月8日から朝刊運動面で5回連載した「インサイド 阿井先生の挑戦」を担当し、05年に初めて取材した阿井氏に昨年12月、改めてじっくりと話を聞いた。
 まだ川越東高に世界史・地理の教諭として勤務し、野球部も指導していた時期だ。今回の教員条件撤廃については、阿井氏は「デリケートな問題なので」とコメントは避けたものの、高校野球の指導に関する一般論として、「そう甘いもんじゃないよ」とつぶやいたのが耳に残る。
 野球部の教え子にも話を聞いた。日本ハム入りについて「そんなにすごい人に教わっていたのだと、初めて気付いた」という感想は、面白かった。「阿井先生の授業は、黒板に書くことがまとまっていて、とても覚えやすかった」との声もあった。彼らにとっての阿井監督は元プロ選手ではなく、まず教師として尊敬する存在であることが伝わってきた。阿井氏も「野球の技術以前に、普段の生活、授業を大事にすること」を理念とし、あくまでも週18コマの授業を担当する教師としての仕事を大切にしていた。
「元プロ」に対して私が慎重論を唱えるのは、プロ側の認識の甘さを感じるからだ。教員資格撤廃の代わりに新設される予定なのが、プロ、アマ双方で行う研修制度。だが、当初にプロ側が示した試案は、プロ側で設ける研修だけでよしとするもので、研修時間も数時間程度だった。
 プロの技術さえあれば、高校野球レベルの指導は十分との「おごり」がなかったか。今回の発表を受けた現役選手の中には、「プロで活躍できなかった選手にも、引退後の活動の場が広がる」といった趣旨のコメントもあった。そこには「セカンドキャリアの拡大」という一方的な視点しかない、と感じる。
 1932年に旧文部省が制定した学生野球の統一ルール「野球統制令」で、「職業選手」との交流試合は禁止された。プロ、アマの壁が生じたスタートだ。さらに新人選手選択(ドラフト)会議導入前の61年、プロ球団の社会人選手引き抜きを機に、アマ側は態度を硬化。元プロの復帰を認めない「断絶」の時代が長く続いた。そこから高校指導者については、84年に「教諭特例」で復帰が認められ、その実務経験条件も通算10年から5年、2年と短縮されてきた。
 アマ復帰に当たっては、こうした歴史を十分に理解したうえで、その重みを厳粛に受け止めるべきだ。人間的にも未熟な高校生の指導は、責任も重大。今後はプロ・アマ両者で研修の内容を練り上げるが、慎重に進めるべきだろう。「雪解け」ムードにあおられて、事を急ぐ必要はない。
 プロ・アマ関係の正常化は歓迎されるべきで、競技の普及・強化の面でも、高い技術がアマ球界に還元されることは素晴らしい。日本高野連は将来的に、新設する研修の受講を元プロ以外で教員ではない指導者、新卒など初めて指導に携わる教員にも義務付ける意向で、公平性の観点からも賛成だ。より良い「指導者像」を野球界全体で見つめ直してほしい。

 佐藤氏(赤旗記者)も堤氏(毎日記者)同様、「学校教育での指導はプロ野球の指導とは性格が違うのではないか?」「その点に配慮した研修制度にすべし」「プロ野球選手の再就職という視点のみから見るのは問題」としている。
 また佐藤氏は「この研修制度を発展させて、桑田真澄氏などが主張する『体罰やしごきのない、故障者のでない合理的スポーツ指導』の方向に持って行けないか」としている(まあ、夏の炎天下に高校野球をやること自体が異常だと個人的には思う)。
 最後にプロアマ断絶の原因となった柳川事件についてウィキペディアの記述を紹介。

柳川事件(ウィキペ参照)
 1961年(昭和36年)に起こったプロ野球界と社会人野球界との間に起こったトラブル。
概要
 日本野球機構は社会人野球協会(現日本野球連盟)との間で契約問題について毎年協定を締結していた。以前から、社会人野球協会は産業対抗大会(現・社会人野球日本選手権大会)が終了するまで選手をスカウトしないよう、3月1日から10月31日までの間、プロ野球チームは社会人野球の選手と契約を締結しない注文をつけ、プロ側は守っていた。ところが、1960年の協定では新たに、プロ野球を退団した選手が資格審査を受けた後、翌年秋の産業対抗大会終了後(=退団1年後)でなければ社会人野球チームに登録できない。加えて、その人数を1チームに付き3人までと限定する取り決めを言い渡した。これは公式戦出場経験がない二軍選手まで対象になった。
 プロ側は退団選手の身分保障のため、退団者が翌年夏の都市対抗野球終了後から登録可能となるよう社会人側に要求した。しかし社会人側がこれを拒否したため退団選手の死活問題になると考え、プロ側は協定の破棄を通告した。
 こうした無協定状態の中で1961年を迎え、中日ドラゴンズが4月20日日本生命柳川福三外野手と契約、入団を発表した。
 社会人野球協会は緊急理事会を開催し、プロ野球界との関係断絶を発表した。同時に、プロ野球退団者の社会人野球チーム入団を拒否した。中日はこの直後にも大分県立高田高等学校の門岡信行と第43回全国高等学校野球選手権大会の1回戦敗退直後に、まだ退部届けを提出していない段階で接触する行為を行った事から、高校野球大学野球を傘下におく日本学生野球協会も社会人野球協会の決定に同調し、学生野球憲章でもプロ野球関係者からの指導を禁じた。
 その後30年余りプロ・アマの断絶状態が続いた。1990年代後半に入り雪解けが進み、1999年シーズンから、日本野球連盟に届け出ること、選手登録は1チーム2名までを条件として元プロ野球選手の社会人野球チーム入りが認められ、その年、元阪神タイガースの林純次投手が昭和コンクリートに入団した。

*1:著書『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*2:反革命サボタージュ取締全ロシア非常委員会」の略称。1917〜1922年に存在したソ連の秘密警察組織

*3:国家政治保安部の略称。チェーカーの後身。1922〜1934年に存在したソ連の秘密警察組織

*4:内務人民委員部の略称。GPUの後身。1934〜1946年に存在したソ連の秘密警察組織。1946年に内務省の一部門に格下げになるが、1954年にKGB(国家保安委員会)として再び独立機関となった。

*5:スターリン死後失脚し国家反逆罪で処刑された

*6:参議院議員、党農林・漁民局長。著書『食の安全よりアメリカが大事?:―牛肉輸入再開に異議あり!』(共著、2006年、新日本出版社

*7:著書『構造改革政治の時代:小泉政権論』(2005年、花伝社)、『安倍政権論』(2007年、旬報社)、『渡辺治政治学入門』(2012年、新日本出版社

*8:選挙戦での勝利はかなわなかったが、従来、都知事選において統一候補をたてられなかったが今回とにもかくにも統一候補を擁立したことは一定の評価ができるだろう

*9:著書『景気循環の読み方:バブルと不良債権の経済学』(2001年、ちくま新書)、『平成不況の本質:雇用と金融から考える』(2011年、岩波新書

*10:著書『新自由主義と教育改革:なぜ、教育基本法「改正」なのか』(2003年、旬報社)、『学力と新自由主義』(2009年、大月書店)

*11:著書『南京事件』(1997年、岩波新書)、『南京難民区の百日』(2005年、岩波現代文庫)、『南京事件論争史』(2007年、平凡社新書

*12:著書『日本の国境問題:尖閣竹島北方領土』(2011年、ちくま新書)、『これから世界はどうなるか:米国衰退と日本』(2013年、ちくま新書

*13:著書『戦後補償から考える日本とアジア』(2002年、山川出版社日本史リブレット)、『キムはなぜ裁かれたのか:朝鮮人BC級戦犯の軌跡』(2008年、朝日選書)

*14:著書『日本の中国侵略と毒ガス兵器』(1995年、明石書店

*15:著書『沖縄現代史(新版)』(2005年、岩波新書

*16:著書『世界と日本の先住民族』(1992年、岩波ブックレット)、『先住民族の「近代史」:植民地主義を超えるために』(2001年、平凡社選書)

*17:著書『「つくる会」分裂と歴史偽造の深層:正念場の歴史教科書問題』(2008年、花伝社)

*18:著書『海外コリアン:パワーの源泉に迫る』(2002年、中公新書)、『外国人学校インターナショナル・スクールから民族学校まで』(2008年、中公新書)、『教育を受ける権利と朝鮮学校:高校無償化問題から見えてきたこと』(2011年、日本評論社)、『知っていますか、朝鮮学校』(2012年、岩波ブックレット

*19:著書『アテネからアテネへ:オリンピックの軌跡』(2004年、本の泉社)、『終戦ラストゲーム:戦時下のプロ野球を追って』(2005年、本の泉社)

*20:エリック・リーヴィー著、邦訳は2012年、白水社