新刊紹介:「前衛」8月号

「前衛」8月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは8月号を読んでください)

■今月のグラビア「てっちゃん:ハンセン病に感謝した詩人」(権徹)
(内容要約)
 権徹「てっちゃん:ハンセン病に感謝した詩人」(2013年、彩流社)の紹介。

参考

http://synodos.jp/info/7747
『てっちゃん ハンセン病に感謝した詩人』(彩流社)/権徹 
 「てっちゃん」の愛称で親しまれた詩人で、ハンセン病患者の桜井哲夫さんの姿を写真に収め、綴ったフォト・ドキュメント。
「オレはね、自分の顔に誇りをもっているの。この顔には、苦しみや悲しみがいっぱい刻まれているのね。それを乗り越えてきた自信も。だからね、(注:ハンセン病で)崩れちゃってはいるけど、いい顔なんじゃないかな。だってこの味わいは、オレじゃないと出せないでしょ」
 本書にはてっちゃんだけでなく、ハンセン病患者への偏見、隔離されてきた療養所の様子もおさめられている。だが注目して欲しいのは、てっちゃんの豊かな表情だ。一瞬、目を背けたくなる。あるいは目を背けてしまう。しかし一歩踏みとどまり、改めててっちゃんの表情を眺めてみよう。そこにたくさんの感情が混合し、生き生きとした姿が浮かび上がってこよう。
 あまりにも重厚なテーマだ。それにも関わらず、てっちゃんの姿と言葉の爽やかさが、ゆっくりでも確かに、ページをめくらせる。誰もに、一度は手に取って欲しいフォトブックだ。


■「スターリン*1秘史:反ヒトラー連合とポーランド問題(下)」(不破哲三*2
(内容要約)
・連載の第19回目。
・ノーマン・デイビスワルシャワ蜂起1944(上)(下)』(邦訳、2012年、白水社)を元に「スターリンポーランド対応」が述べられる。
ポーランド支配を企むスターリンは、その邪魔になると見なしたいわゆる「ポーランド国内軍」について「武装解除すること」を赤軍に命令する。「カチンの森事件」を実行しただけのことはある、スターリンらしい無茶苦茶な行為ではある。
・その上で、スターリンは1944年7/21、ポーランドのルブリンに親ソ連組織「ポーランド国民解放委員会」(いわゆるルブリン政権)を樹立する。ロンドンの亡命ポーランド政府を無視した暴挙であった。
・次に1944年8/1のワルシャワ蜂起の説明。
 ワルシャワ蜂起については
「ドイツ軍に勝てるか分からない」「ソ連の支援なしでは勝てなかった場合、ソ連に大きな借りを作ってしまう」とする消極派と、「ワルシャワ解放をソ連任せにする方がむしろソ連に借りを作ってしまう」とする積極派が存在したが結局は積極派の方針が採用される。そして皮肉にも「ドイツ軍には勝てず」また「邪魔なポーランド国内軍がドイツに打倒されるならめっけもの」と考えたスターリンが国内軍を見殺しにしたことによって消極派が危惧した事態が発生してしまう。
・次にいわゆる「パーセンテージ協定(英国がギリシャに対する影響力を確保する見返りに、ソ連に東欧への支配を認めた、詳しくはウィキペディア参照)」を決定したモスクワ会談(1944年10月)の説明。この協定によってポーランドは米英に見捨てられることになる。
・次にヤルタ会談(1945年2月)の説明。この会談での重要テーマはポーランド問題であった。
「ロンドンの亡命政府をベースにポーランド再建がなされるべき(米英)」「ルブリン政権をベースにポーランド再建がなされるべき(ソ連)」と意見は対立したが結局
1)「ロンドン政権、ルブリン政権双方を含む挙国一致政権を作り」
2)「その後、早急に自由選挙を行うこと」が決められた。
 ルブリン政権の誕生の仕方が「明らかにソ連のテコ押しによるソ連傀儡」であることを考えれば不破が言うように「挙国一致内閣」とはいえ、「ソ連にとってより有利な結果だった」と言えるだろう。「ポーランドソ連が実質支配していること」を考えれば「自由選挙」公約は反故にされる危険性が大きかったし、実際反故にされたのである。
・このように米英がソ連に対して弱気な態度をとり続けた背景には「ソ連の協力なしでは枢軸国に勝てるか分からない」or「勝てたとしても勝負が長引いて国力が衰退する」との米英の判断があったと不破は見ている。


■「マルクス未来社会論の“発掘”[下]」(不破哲三*3
(内容要約)
・前衛7月号「(上)」の続き。なお、(上)では不破による「ゴータ綱領批判」の説明がなされた。
・今回は社会主義過渡期論が論じられ、社会主義過渡期においては「市場経済の利用」は当然のことであるとした上で、その試みの例として中国の改革・開放やベトナムドイモイが挙げられる。

参考
赤旗
『世界の変化と未来社会論:学者・研究者党後援会交流集会 不破氏が講演』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-13/2014041302_01_1.html


特集『「戦争をする国」の歴史が教えるもの』
■「日清戦争120年 東学農民戦争120年:ゆがんだ日本の「歴史認識」をどう正すのか」(中塚明*4
(内容要約)
 中塚氏の著書『歴史の偽造をただす:戦史から消された日本軍の「朝鮮王宮占領」』(1997年、高文研)をお読みの方には既にご存じのことではあろうが「日清戦争は日本軍の朝鮮王宮占領と言う無法行為から始まったこと」がまず述べられる。もちろんこうした無法行為は当時は隠蔽され、「日清戦争は朝鮮独立のための戦争」というイデオロギー宣伝が政府によってなされた。またその後の「義兵闘争」や「安重根義士による日帝伊藤博文*5暗殺」なども「不逞朝鮮人の犯罪」としてネガキャンされたのであった。
 つうか未だに安倍政権は安義士を「犯罪者」とか公言してて唖然とするが。

参考
朝鮮新報『歴史家・中塚明さんに「第7回緑豆大賞」/歴史認識を正すことに貢献』
http://chosonsinbo.com/jp/2014/06/0624ib/

http://japanese.joins.com/article/117/181117.html
中央日報『【コラム】安重根義士がテロリスト?(1)』
 菅義偉官房長官は「初代首相(伊藤博文)を殺害した安重根はテロリストであり、その罪で死刑判決を受けた」と述べた。日本権力側の歴史意識は100年前に止まっている。
(中略)
誰がテロリストなのか。獄中で執筆した「狙撃理由15カ条」には「東洋平和を破傷し、人種の滅絶を招いた」伊藤の人類史的な罪状がぎっしりと書かれている。欧州列強が狙う切迫した状況で、東洋3カ国の結束と道徳的な役割をすべき文明国が、むしろ野蛮な行為を日常的にしていると叱った。その峻厳な訓戒は35年後の不幸にも正確に当てはまる。数万の中国人を絞殺し、数十万の韓国人を奴隷のように働かせ、東南アジアを廃虚にした罪、人種主義とアジア連帯論を前面に出しながら「同じ種族、隣国を剥奪した」罪はまさにその逆天行為から始まった。それを平和論で装ったこと自体がテロだ。「安重根はテロリスト」という主張はむしろ世界に対する無慈悲なテロだ。「東洋平和を維持し、大韓独立を堅持する」という(注:明治)天皇の約束は欺まんであり、その希代の詐欺を代行した者が伊藤だった。


■「「空襲は怖くない、逃げずに火を消せ」 防空法がもたらした空襲被害:大阪空襲訴訟が問いかけた政府の責任」(大前治*6
(内容要約)
 防空法で「空襲の初期消火」を罰則付で義務化したことが空襲被害を大きくした、国は自らの非を空襲被害者に謝罪し、経済補償すべきだとする指摘。

赤旗
『空襲被害者の救済を、“差別なき補償へ、党派超え力尽くす” 小池氏あいさつ、集会開く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-06/2014030615_01_1.html

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-04/2014030401_06_0.html
赤旗『きょうの潮流』
 大阪が火の海に包まれたのは太平洋戦争末期、1945年の3月が最初でした。米軍機による深夜の大空襲。都心部の住宅密集地を標的に街を焼き尽くしました▼連続テレビ小説ごちそうさん」も戦争の真っただ中です。娘の出産中に空襲にあう、主人公の、め以子たち。降り注ぐ焼夷弾、破壊され、炎の街を逃げ惑う人びと…。無差別の爆撃は大都市をはじめ、日本各地でおびただしい犠牲者を出しました▼先週は、大阪市役所に勤める夫・悠太郎が逮捕される事態に。防空訓練でガソリンをまき、「焼夷弾は空からガソリンが降ってくるようなもの。命が惜しかったら、とにかく逃げろ」と訴えた悠太郎。住民に消火を義務付けた戦時中の「防空法」に背いたからでした


■「「海外で戦争をする国」への暴走を許すな:浮き彫りになった集団的自衛権の本質」(山根隆志)
(内容要約)
・安倍政権の「集団的自衛権容認論」を「海外で戦争できる国作り」として批判。

参考
赤旗
主張『集団的自衛権閣議決定こそ国民の命脅かす主張』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-20/2014062001_05_1.html

主張『高村座長試案、「限定」は悪質なごまかしだ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-27/2014062701_05_1.html

『安倍政権の“解釈改憲”、国民だましの全過程』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-30/2014063003_02_1.html

集団的自衛権容認を閣議決定
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-02/2014070201_02_1.html

『「閣議決定」後の安倍首相会見、ウソ、デタラメ並べ憲法破壊を合理化』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-02/2014070201_04_1.html

主張『安倍首相記者会見、ウソで固めて、突き進むのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-03/2014070301_05_1.html


■「日本の農を破壊する安倍農業「改革」とのたたかい」(有坂哲夫)
(内容要約)
・安倍政権の農業政策の内、主として「農協解体論」を批判。

参考
赤旗
『農業委員会の見直し、要望ない「改革案」、紙議員主張』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-24/2014052404_02_1.html
『農業「規制改革」案、財界本位の構想を許さない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-06/2014060601_05_1.html
『亡国安倍農政「改革」 通常国会を振り返って (上)/紙 智子参院議員 党農林・漁民局長に聞く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-04/2014070403_01_1.html
『亡国安倍農政「改革」 通常国会を振り返って (中)/紙 智子参院議員 党農林・漁民局長に聞く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-05/2014070504_02_1.html
『亡国安倍農政「改革」 通常国会を振り返って (下)/紙 智子参院議員 党農林・漁民局長に聞く』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-06/2014070604_01_1.html


■「教育委員会制度「改革」は何をもたらすのか(下):教育委員会制度の歴史と民主的〈再生〉を探る」(三上昭彦*7
(内容要約)
6/13に可決成立した地方教育行政組織法(いわゆる教委制度改悪法)への批判。と同時に「短期的には新制度の下での戦い*8」を、中長期的には「教育委員会制度の自由主義的、民主的改革」を目指すことを主張している。

参考
赤旗
『教育委改悪法が成立、田村議員批判 「愛国心」押しつける、参院本会議』

教育委員会改悪の狙い許さない国民の共同を、山下書記局長が談話』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-15/2014061501_03_1.html
主張『教育委改悪法成立、政治介入許さぬ共同をさらに』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-18/2014061801_05_1.html


■「キーワードは核兵器禁止条約:2015年NPT再検討会議第3回準備委員会の討論から」(高草木博*9
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替する。

参考
赤旗
核兵器禁止条約交渉訴え、NPT再検討会議準備委、国連本部』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-30/2014043001_02_1.html
マーシャル諸島の核保有国提訴、国連本部で支援会合、NPT再検討会議準備委の関連行事』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-04-30/2014043014_01_1.html
『NPT再検討会議準備委、核保有5カ国報告に批判、核軍縮「重要な進展なし」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-05/2014050504_01_1.html
『NYで新アピール署名、原水協・被団協の代表団』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-04/2014050404_04_1.html
核兵器廃絶 370万署名、原水協・被団協 国連に提出』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-04/2014050401_03_1.html
核兵器禁止条約を支援、原水協・被団協要請 エジプト代表が強調、仏代表にも要請』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-03/2014050304_01_1.html


■「原発廃炉・エネルギー転換時代のドイツから学ぶこと」(坂口明*10
(内容要約)
Q&A形式で書いてみる。
Q(俺)
「ドイツの脱原発は、電力を他の国から輸入しているからだ。その輸入先には原発大国フランスがあるんだ、とか、日本は島国だから電力輸入したくても出来ないなどということを原発推進派は言っていますね。」
A(坂口氏)
「まずドイツの電力輸入について説明しましょう。ドイツが夏場にフランスから安い電力を輸入していることは事実です。これは『フランスが原発大国であること』を考えれば望ましいことではないでしょう。ただここから、『電力が足りないからフランスから輸入しているんだ』と見なすのは適切ではありません。単に「フランスの電力価格が安いから購入している」に過ぎないのです。またドイツは冬場にはフランスに電力を輸出しています。冬場に電力を自前で調達できない(と見られる)フランスがドイツから電力輸入していることを見ても原発推進派のドイツ批判は適切ではありません」
「次に日本は島国云々、について。イギリスは島国ですがフランスから海底ケーブルを通して電力輸入をしています。したがって日本だって『そうすることの是非』はともかく隣国(中国、韓国、ロシア)から海底ケーブルで電力輸入することは不可能ではないでしょう。また島国ではありませんがスペインの取り組みも参考になると思います。スペインには8基の原発がありますが、一方で使用電力の3割をいわゆる自然エネルギーで賄っています(なお、スペインは電力輸入はあまり行っていません)。」
Q「ドイツの電力買い取り制度が電気料金を高騰させているという批判がありますが?」
A「そうした批判に対しては『買い取り価格の引き下げ』などといった声が出ています。政策的に充分解決可能な問題だと思います。一方、原発が事故を起こしたときの『電力料金高騰』はそうした政策的解決は不可能な問題でしょう。」


■「アジア太平洋の平和・安全保障問題とASEANの新しい構想」(井上歩)
(内容要約)
 インド太平洋友好協力条約構想(ユドヨノ構想)など、アジアの平和構想の紹介。

参考
赤旗
『日米中含む戦争放棄条約を、インドネシア大統領が呼びかけ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-14/2013121407_01_1.html
『北東アジア平和協力構想 緊張激化のなかで広がる共感(1)響きあう壮大な提唱』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-03/2014010301_01_1.html
『北東アジア平和協力構想 緊張激化のなかで広がる共感(2)空転する「積極的平和主義」、ASEAN同調せず』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-04/2014010401_02_1.html
『北東アジア平和協力構想 緊張激化のなかで広がる共感(3)相次ぐ多国間の平和構想、協調外交が真の“抑止力”』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-05/2014010501_02_1.html
『北東アジア平和協力構想 緊張激化のなかで広がる共感(5)広がる 対話を進める動き、地域の枠組みづくりへ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-07/2014010701_03_1.html
『北東アジア平和協力構想 緊張激化のなかで広がる共感 (6)憲法9条生かすチャンス、歴史逆行とのたたかい』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-01-08/2014010801_03_1.html


■「欧州統合のいま:欧州議会選挙と欧州左翼のたたかい」(森原公敏*11
(内容要約)
新自由主義への批判の高まりから、欧州左派が一定の存在感を増していることの紹介。

参考
赤旗
南欧3国*12の左翼前進』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-05-27/2014052707_02_1.html
欧州議会 左翼会派1.5倍に、「緊縮財政やめさせる」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-13/2014061307_02_1.html


■論点
【国会を政府の秘密保全体制にくみこむ「秘密国会法」】(白髭寿一)
(内容要約)
・「秘密国会法」とはあまり聞き慣れない言葉だが、ここでは「秘密会である情報監視審査会の設置を目的とする国会法改正」のことを意味している。これについては赤旗の記事紹介で内容要約に代替する。

参考
赤旗
『「国会が秘密法の共犯に」、秘密会設置法案 志位委員長が批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-13/2014061302_03_1.html
『秘密会設置法案、国会を政府の秘密保護体制にくみこむ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-13/2014061302_04_1.html
『根拠不明なまま懲罰、仁比氏 秘密国会法案を追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-21/2014062102_02_1.html
『秘密国会法(情報監視審査会の設置)、仁比議員の反対討論、参院本会議』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-23/2014062304_02_0.html
主張『進む秘密法準備、施行許さず廃止に向け運動を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-28/2014062801_05_1.html


■暮らしの焦点
【実効性のある職場のメンタルヘルス対策へ】(天笠崇*13
(内容要約)
 今国会で成立した過労死防止法や改正労働安全衛生法ストレスチェックの実施を事業者に義務づける)を実効性のあるものにしていくための各人(労組、市民運動など)の努力が必要との指摘。

参考
赤旗
『過労死防止法が可決、参院委で全会一致』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-20/2014062002_04_1.html
『過労死防止法が成立、超党派議連など報告集会、高橋議員あいさつ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-21/2014062104_01_1.html


【パートタイム労働者への不当な差別と待遇の改善をさらに】(米沢玲子)
(内容要約)
 今国会で成立した改正パートタイム労働法の説明。
1)正社員との差別的取り扱いの禁止されるパート労働者が拡大された(第9条)。ただし国会での政府答弁では「1.3→2.1%(0.8ポイント増)」「人数にして10万人程度増」でありパートタイム労働者の全体数からすればまだまだ少ない。
2)パート労働法違反の事業者について厚労相の改善命令に従わない事業者の企業名公表制度の新設(第18条)

参考
高橋千鶴子『パートタイム労働法改定案:修正案の提案』
http://chiduko.gr.jp/kokkai/kokkai-1859


■文化の話題
【映画:性的マイノリティーの映画】(児玉由紀恵)
(内容要約)
1)『蜘蛛女のキス』(1985年アカデミー主演男優賞)、『フィラデルフィア』(1994年アカデミー主演男優賞)、『ブロークバック・マウンテン』(2006年アカデミー監督賞)など、古典的な「性的マイノリティーの映画」
2)『チョコレートドーナツ』(2012年、)『アデル、ブルーは熱い色』(2013年)など、近年公開された「性的マイノリティーの映画」
の簡単な紹介。
 なお、邦画としては『ハッシュ!』(2001年)、『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年)が紹介されている。

参考
ライプツィヒの夏『かなりすごい性描写の映画が公開される(『アデル、ブルーは熱い色』)』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/098346f8aab20f28afa91fc0e981c924
映画『アデル、ブルーは熱い色』公式サイト
http://adele-blue.com/
映画『チョコレートドーナツ』 オフィシャルサイト
http://bitters.co.jp/choco/


【演劇:緊迫の会話劇・加藤健一事務所「請願:核なき世界」】(鈴木太郎)
(内容要約)
「請願:核なき世界」の劇評。

参考
因幡屋ぶろぐ 加藤健一事務所 vol.89『請願〜核なき世界〜』
http://inabaya-k.mo-blog.jp/inabayakmoblogjp/2014/06/vol89_be4b.html
加藤健一事務所が好き! 「請願〜核なき世界〜」初日感想
http://katoken-love.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06


【音楽:欧州の伝統としての「プロメテウス」】(宮沢昭男)
(内容要約)
日本フィルハーモニー交響楽団第660回東京定期演奏会のリスト・交響詩『プロメテウス』、スクリャービン交響曲第5番『プロメテウス』の批評。
 なおググったところ、このほかにも
ラヴェルバレエ音楽『ダフニスとクロエ』第1、2組曲
ボロディンのオペラ「イーゴリ公」から「ダッタン人の踊り」(アンコール曲なので当初予告にはない)
が演奏されたそうだがタイトルから分かるとおり、「プロメテウス」のみが論じられている。


■メディア時評
【新聞:法人税減税と国民生活】(金光奎*14
(内容要約)
 政府の法人税減税に賛同する読売、産経、日経を批判した上で、、減税を批判する朝日、毎日、地方紙*15を評価。


【テレビ:放送法改正がもたらすもの】(沢木啓三)
(内容要約)
放送法改定について説明。
・今回、経営困難なローカル局の救済を理由にいわゆる「メディア集中排除原則」が緩和された。しかしこの結果としてローカル局の地域性確保が困難になるのではないか。
・また今回、NHKのインターネット業務への本格参入が認められた。しかし「受信料制度で経営が盤石なNHKがインターネット事業参入することはいわゆる民業圧迫のおそれがある」し、「インターネット利用者に今後、受信料のようなNHKへの料金支払いが生じないか」と言う問題もある。参入容認については疑問を感じざるを得ない。

参考
赤旗
ローカル局の地域性確保が困難に 国民の知る権利後退、放送法改定案を批判 吉良議員』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-21/2014062114_01_1.html

*1:ソ連共産党書記長

*2:スターリン関係の著書に『スターリン大国主義』(1982年、新日本新書)

*3:本論文に関係する著書として『古典研究・マルクス未来社会論』(2004年、新日本出版社

*4:著書『近代日本の朝鮮認識』(1993年、研文出版)、『歴史の偽造をただす:戦史から消された日本軍の「朝鮮王宮占領」』(1997年、高文研)、『これだけは知っておきたい日本と韓国・朝鮮の歴史』(2002年、高文研)、『東学農民戦争と日本』(共著、2003年、高文研)、『司馬遼太郎歴史観:その「朝鮮観」と「明治栄光論」を問う』(2009年、高文研)など

*5:首相、貴族院議長、枢密院議長など要職を歴任。前韓国統監。

*6:筆者は大阪空襲国賠訴訟弁護団メンバー。著書『検証・防空法:空襲下で禁じられた避難』(共著、2014年、法律文化社)。なお、こうした国賠訴訟は東京空襲においても行われている。

*7:著書『教育委員会制度論』(2013年、エイデル研究所)

*8:首長権限は強められたが教委は廃止されたわけではなく新制度の下での教委の「合議活性化」を出来る限り目指すべきであろう。赤旗『主張』や山下書記局長談話もそうした立場に立っていると考えられる。なお、教委廃止を掲げていたという意味で「民主・維新案」は自公案より改悪度の酷いものであり、河野談話否定派を幹部とする維新は当然ながら民主党もおよそ「教育の自治」などに理解のない駄目政党といえる。

*9:著書『核兵器はなくせるか?:Yes,We Can!!』(共著、2009年、かもがわ出版

*10:著書『国連・その原点と現実』(1995年、新日本出版社

*11:著書『NATOはどこへゆくか』(2000年、新日本新書)

*12:ギリシャ、スペイン、イタリアのこと

*13:著書『成果主義メンタルヘルス』(2007年、新日本出版社)、『現代の労働とメンタルヘルス対策』(2008年、かもがわ出版)、『救える死:自死のない社会へ』(2011年、新日本出版社

*14:著書『マスコミはなぜ権力に弱いか』(1994年、新日本出版社

*15:金光氏は北海道新聞東京新聞京都新聞西日本新聞宮崎日日新聞琉球新報社説を紹介している