今日の産経ニュース(11/26分)(追記・訂正あり)

■【正論】中国膨張の要は国家資本主義だ 拓殖大学総長・渡辺利夫*1
http://www.sankei.com/column/news/141126/clm1411260001-n1.html
 中国の「BRICS銀行」などの動きは「是非はともかく」、「経済大国化すると、政治大国化を目指す国が多い」というよくある事例の一つでしかないでしょう。
 「経済大国化した」日本や韓国が「安保理常任理事国を目指したりする」のと何ら違いはないわけです。しかし中国だけは「危険な膨張主義」呼ばわりするのだから産経も変な新聞です。


■政府、新協定で豪軍の武器・装備の国内受け入れ容認へ 米軍以外初 対中牽制狙い
http://www.sankei.com/politics/news/141126/plt1411260009-n1.html
 まあやれやれですね。憲法の平和主義の観点からこうした協定が適切かどうかはひとまず置くとしても、産経の言うような「対中国牽制」なんかオーストラリアは本当に考えてるんですかね。
 それとも産経的には「中国との対決」をアピールすれば日本国民の理解が得られるという計算なんでしょうか。


■【劇場型半島】「飛び込め!」金正恩氏“高齢幹部いじめ疑惑”浮上…80代元老級に10メートルダイブ強要、人心離反の証言
http://www.sankei.com/world/news/141126/wor1411260001-n1.html

 関係者によると、昨年10月、平壌の「紋繍(ムンス)プール」の開園式で、最初の“惨事”が起きたという。
(中略)
 金第1書記は李雪主(リ・ソルジュ)夫人や側近らを引き連れ、開園式に訪れたが、金己男(ギナム)党書記(85)と呉克烈*2(オ・グンリョル)国防副委員長(83)、崔竜海*3(チェ・リョンヘ)党政治局常務委員(64)の元老級の3人に対し、突然、高さ約10メートルのダイビング台から「飛び込んでみろ」と命じたという。
(中略)
 結局、このダイブで呉氏が大腿(だいたい)部を骨折し、しばらく動けなくなったという。呉氏は金正日(ジョンイル)総書記時代からの側近で、軍内部に絶大な影響力を保持してきたとされる。だが、このときのけがが元で、年末の「金正恩最高司令官推戴(すいたい)2周年」を記念する集会にも参席できなかったという。

 「最初の惨事」以外にも似たり寄ったりの話が出てきますがばかばかしいので紹介は省略します。まあ、怪しい話です。小生も北朝鮮通ではありませんが「安倍が谷垣*4幹事長や二階*5総務会長、菅官房長官など安倍政権首脳に『ダイビング台から飛び込んでみろ』というようなもん」「習近平*6国家主席李克強*7首相ら習政権首脳に(以下略)」でこれが事実なら正恩君の知性が疑われます。別に「自分への忠誠を確かめたい」のならもっとまともなやり方はいくらでもあるわけです。
 結局「アンチ北朝鮮が流した怪しい話」を「産経が裏も取らずに鵜呑みにした」あるいは「鵜呑みにした振りをして」正恩君に悪口雑言流してるという話でしょう。
 あげく「人心離反だ、体制危機だ」ですから呆れます。

*1:中国関係の著書に『社会主義市場経済の中国』(1994年、講談社現代新書)、『中国経済は成功するか』(1998年、ちくま新書)など

*2:朝鮮人民軍航空司令官、朝鮮人民軍総参謀長など歴任

*3:元国防委員会副委員長(朝鮮人民軍総政治局長兼務)。現在、朝鮮労働党政治局常務委員(国家体育指導委員会委員長兼務)。国防副委員長の退任が「失脚ではないか」と噂されたが、2014年10月、黄炳瑞国防副委員長(朝鮮人民軍総政治局長兼務)、金養建朝鮮労働党書記(朝鮮労働党統一戦線部長兼務)と共に「電撃訪韓」したことで、「国防副委員長退任が仮に失脚だとしても」、訪韓時点で一定の地位に復権したと見なされている(もちろんそもそも病気などによる単なる一時的退任だった可能性もあるが。)

*4:橋本内閣科学技術庁長官、小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政務調査会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相など歴任

*5:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相などを歴任

*6:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*7:共産主義青年団中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相