今日の産経ニュース(9/2分)(追記・訂正あり)

■【維新分裂】松井氏、片山氏に「ひっぱっていく役割を」 新党での代表就任に期待感
http://www.sankei.com/west/news/150902/wst1509020101-n1.html
 旧たちあがれ出身で元自民党閣僚なんて片山虎之助*1を「共同代表や幹事長、顧問や最高顧問と言った要職で処遇したい」て松井には思わず笑ってしまいました。
 実際どうなるか分かりませんが、これは「人材難の露呈」「将来の自民入り(集団入党)を松井が希望していることを露呈」以外何物でもないでしょう。
 さすがに片山虎之助を関西の橋下御用マスコミも「ほめづらい」とは思うんですが、「共同代表や幹事長、顧問や最高顧問」になれば「バカみたいに褒める」んですかね。とはいえ、片山なんてさんざん橋下一味が売りにしてきた「改革(インチキ改革ですが)」とは真逆のイメージですよね。産経にとっては「片山の要職就任→自民への集団入党」がご希望なんでしょうが。


■【正論】中韓「準同盟」に日米でくさびを 平和安全保障研究所理事長・西原正
http://www.sankei.com/column/news/150902/clm1509020001-n1.html
 米韓同盟が廃棄されたわけでもなければ、中韓同盟が結ばれたわけでもないのに「韓国は米国が参加しないAIIBに参加を決めた」だの何だのと因縁をつける記事です。
 韓国とは違い国家元首ではないとは言え「フランス、イタリアが外相派遣を決定したこと」や「英国、フランス、ドイツ、イタリア(全てNATO加盟国)がAIIBに加入したこと」は西原の脳内ではどう理解されてるんでしょうか。
 「英中準同盟」「仏中準同盟」とか理解されてるのか。

 中国が9月3日に北京で開く抗日戦争勝利70周年記念式典は、歴史の捏造(ねつぞう)に基づく虚構に満ちた行事だ。それを主宰する習近平*2国家主席も、これに参加する韓国の朴槿恵大統領も欺瞞(ぎまん)的である。
 中国共産党は抗日戦に正面きって参加したわけではないのに「勝利」という虚構を作り

1)朴大統領以外にも48の国から政府代表が参加するのに朴氏だけ罵倒することといい
2)この式典は「共産党軍(人民解放軍)勝利と言うよりは中国の勝利を祝う式典」だし「共産党軍も戦闘してるのに」、戦争のメインは国民党軍だと言って式典を侮辱することといい
産経文化人らしいトンデモです。
 むしろ産経の「大東亜戦争はアジア解放の聖戦」「南京事件は中国の捏造」などの方がよほど「歴史の捏造に基づく虚構に満ちた主張」なんですが。

そして自国を救ってくれた米国への恩義はどこへいったのだろうか。

1)少なくとも建前の世界では米国は朴氏を批判していないことも
2)米国はオバマ大統領ほどの大物は出席しないものの、ボーカス駐中国大使が出席するらしいことも
平然と無視する辺りさすが産経文化人らしいトンデモです。

 8月20日、非武装地帯を挟んで南北間の軍事的緊張が高まり、これを回避するため開かれた南北協議が25日に北朝鮮側の譲歩で決着した。朴大統領の強硬姿勢が奏功したことになっているが、その背後には中国の北への圧力と南への保証があったと見るべきである。

 そう認識するなら「拉致問題で中国の力を借りよう」とでも思うのが常識でしょうに中国敵視ですから本当に産経には呆れます。

朝鮮半島が韓国主導で統一に向かえば、中韓は米軍の韓国撤退を促すだろう。

 「産経は南北統一して欲しくないのか、北朝鮮体制に存続して欲しいのか」と中韓政府関係者に聞かれてもおかしくない文章でしょう。まあ、実際には「南北統一すれば米軍が撤退するか」どうかは疑問ですし、だからこそ中国が「南北統一に積極的か」ははなはだ疑問ですが。つうか北朝鮮を無視した統一論なんて非現実的でしょうに。中国だって何でもできる神様じゃありません。


■【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(5)】「金学順さんに会ったのは、弁護士聞き取りの同席の時だけ」
http://www.sankei.com/premium/news/150902/prm1509020009-n1.html
 なんか「だから取材が不十分だ」と言いたげな産経ですが、ほとんどの取材ってそんなもんでしょう。
 「ライフワークにしてるケース*3」でもない限り、「しつこく何度も何度も取材しない」でしょう。
 「新しい動きが出てきたから再取材」と言うことがない限り、「取材は一回きり」「取材内容に疑問点が出てきた場合に問い合わせをする」つうのがほとんどでしょう。
 そしてこんな印象操作を産経がしたところで「記事の間違い」を指摘できなければ無意味ですがその辺りどうなのか見てみましょう。

阿比留
「(元朝日新聞ソウル特派員の)前川恵司さん*4が当時の植村さんの担当デスク、大阪本社担当デスクに取材した。そしたら、(1991年12月25日の記事は)植村氏からの売り込み記事だったと。『彼は義母が遺族会の幹部であることを言わなかったし、私も知らなかった』と」 
植村
「これに関しては、前川さんに僕、会っていない(中略)けれども、これ、大阪のデスクってどういう人ですか。前川さんから何か聞きましたか」
阿比留
「まだ聞いていないですね」
植村
「じゃあ、そんな間接的な情報であんまり答えられないんだけど、売り込みじゃないですよ」
原川
「売り込みではない?」
植村
「売り込みとかじゃないですよ。で、そのデスクの根拠って何か、産経新聞として前川さんのデータ以上にあるんですか。独自に」
阿比留
「ないです。いや、だから確かめているわけですね。(当時の担当デスクは)義母が遺族会の幹部であることを言わなかったし、私も知らなかった、と」
植村
「当時の社会部はですね、知っていたはずですよ。社会部のデスクですか、その人は」
阿比留
「(前川氏の文章では)大阪本社の担当デスク」
植村
「じゃあ、聞いてみてください、直接それは」
阿比留
「で、(前川氏が)知っていたらと尋ねると(担当デスクから)即座に原稿は使わなかったとの答えが返ってきた、と。それもちょっと違うという感じですか」
植村
「うん、もちろんね(違う)」

 「前川の話は事実じゃねえよ、あんたが事実だと認めた根拠は何?」「そのデスクって誰?」「そのデスクはなんて言ってるの?。デスクにあんた取材したの?」と聞かれ「取材してません、名前は分かりません」と無様な応答の阿比留。
 阿比留って本当に「バカじゃねえの?」て思いますね。そして「産経はどういう社員教育をしてるんだ」て思う。
 「前川さんはこういってるが」と阿比留が質問すれば「前川の話をあんたが事実だと判断した根拠、何?」「そのデスクって誰なの?」「そのデスクに取材したの?。デスクも前川と同じ事言ってるの?」と植村氏が聞くのは「よほどのバカでない限り」誰だって予想できる。
 しかしその阿比留の答えが「裏は取ってません」。産経はこういうバカでも編集委員になれるのかと思うと唖然です。そりゃ福島香織が産経やめちゃうのもよく分かる。バカでも上層部が気に入るような事言えば出世できる会社にはそれなりに有能な人間なら誰もいたくないでしょう。
 しかも植村氏に「インタビューは基本的に全部載せるんですよね、僕の了解無しに記事ボツにしたり、一部、発言削除したりしませんよね」と最初に念を押されたが故に「こういう無様な応答までのせざるを得ない」というていたらくです。

植村
「そうそう。おお、すごいなあ。僕の動き表をつくっているの? いいなあ。ちょっとコピーさせてよ。取り調べだなあ、原川記者(笑)」

 「やっぱインタビュー名目のつるし上げだったんじゃん(苦笑)」という強烈な植村氏の皮肉ですね。と同時にこういう皮肉が飛ばせる辺り、完全に植村氏が「余裕綽々状態」であることがわかります。

植村
「弁護士らの聞き取り調査に同行し、金さんから詳しい話を聞いたっていうんだけど、弁護士の質問、やり取りを僕は横で聞いていた。なぜなら、弁護士が質問しているとき、僕が質問するのは失礼だし、じゃあ、その後、別にやったらいいじゃないかと言うんだけど、僕としては法的なプロセスとして、もうこれは訴訟準備しているんで、弁護士の前で言うのが一番話としては記録すべきだろうなというふうに思ったんで、一石二鳥だからね」

 要するに「弁護士の聞き取り調査」なら間違いないだろうと。何せ弁護士ってのは「聞き取りのプロ」のわけですから。
 基本的に「弁護士の質問でも分からなかったところ」がない限り、「わざわざ別途取材する必要ないだろう、同じ事の繰り返しはくだらない」という判断を植村氏はしたと言う事でしょう。
 何も問題はないでしょう。問題があるというなら何がどう問題か、阿比留は指摘してみろって事です。

植村
「まあ、ここ(文芸春秋の手記)でも書いたけど、僕は『文藝春秋』92年4月号から、西岡*5(力・東京基督教大教授)さんに、こういうふうに(批判を)やられていたから。そして、その時は阿比留さんと同じでさ、要するに家族がどうだみたいなことをね、遺族会の幹部の義理の息子みたいなこと。
 やっぱり、僕としてはトラウマになっていた。つまり僕がどんどん書けば書くほど、同じことがやっぱり繰り返されると思って、少し距離を置いていたというところ」

 まあ、植村氏の執筆意欲をなくさせることが西岡らゲス右翼の目的であり、植村氏も「距離を置けば西岡らが喜ぶだろう」と不愉快だったでしょうが「でも俺が書いてもバッシングのネタになるんじゃなあ」というためらいがあったし、そのためらいを捨ててまでの思い入れは慰安婦問題にはなかったって事なんでしょうね。
 もちろんこれは植村批判ではなく、単なる事実の指摘ですが。ただ「距離を置いても」酷いデマ中傷をする西岡らに我慢ができなくなった植村氏は今回「西岡相手の訴訟」などで反撃を始めるわけです。

*1:森、小泉内閣総務相自民党参院議員幹事長、たちあがれ日本参院議員幹事長、維新の会(その後、維新の党)参院議員会長を歴任。しかし「旧たちあがれ出身」の片山は、立場的には石原や平沼に近いはずなんですが、次世代に行かずに橋下サイドに寝返っていたんですねえ。

*2:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*3:逆にライフワークにしてたら「反日だ」と言い出すのが産経ですからお話になりません。とにかく非難ありきのわけです。

*4:河野談話を否定する『阿比留の類友ウヨ』の一人。著書『朝日新聞元ソウル特派員が見た「慰安婦虚報」の真実』(2014年、小学館

*5:慰安婦問題の著書に『日韓「歴史問題」の真実:「朝鮮人強制連行」「慰安婦問題」を捏造したのは誰か』(2005年、PHP研究所)、『増補新版・よくわかる慰安婦問題』(2012年、草思社文庫)、『朝日新聞「日本人への大罪」:「慰安婦捏造報道」徹底追及』(2014年、悟空出版)