今日の産経ニュース(10/23分)ほか

■浅井基文ブログ『ドゥテルテ訪中と中比関係:中国の冷静な受け止め』
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2016/854.html

■解放日報・呉正龍(元大使)署名文章「ドゥテルテがアメリカにしきりに「放った」シグナル」
 米比同盟はすでに数十年の歴史があり、両国は共通の歴史、価値観及び文化を分かち合っている。フィリピンの過去の宗主国及び最大の貿易パートナーとして、アメリカの影響はフィリピンの各領域及び社会の各方面に浸透しており、米比同盟を中止することは明らかにフィリピンの利益に合致しない。中国との間で新たな連盟を結成するというのは口にしているだけのことであり、中比関係調整のための世論上の雰囲気作りである。
(中略)
 ドゥテルテが中比関係を改善するのは、中国資本を招き入れてフィリピン経済を発展させるという考慮もあれば、地縁政治上の不利な状況を改善し、大国関係でバランスを図り、自国の利益を最大化するという意図もある。
(中略)
 以上を要するに、ドゥテルテの「放言」は、アメリカの当局者に対する発言が自制を欠くなど、時として方向が定まっていないミサイルであるが、その大部分は彼が追求する外交に関する「率直」な表明であり、(中略)その発するシグナルは、独立外交政策と大国間バランス外交の構築であり、「棄米親中」という意図があるわけではない。

■環球時報社説
 ドゥテルテが中国でどのような表現で過去の米比関係を批判したとしても、中国の外交のプロたちが、フィリピンとアメリカが「交流を断絶する」というような激しい転換をするとか、米比同盟関係を終了させるとか、在比米軍基地を閉鎖するとかの期待をするはずがない。
 ドゥテルテが帰国後に述べた「今後はアメリカの対外政策に迎合しない」という発言は、フィリピンの新外交路線に関する再確認である。フィリピン外相も、「アメリカは相変わらず我々の「もっとも親しい友人」であるが、今後のフィリピンは、アメリカに依存し、従う心情を改め、他の国々とより親密な関係を構築していく」と述べた。
(中略)
 ドゥテルテという人物は、物事を行うスタイルが通常の人とは違っており、彼は好んで鋭い、時として「誇張」的な言葉を用いることにより、より広汎な注目を集め、自らの路線調整を強化しようとする。しかし、これまでのスタイルが明確に示しているのは、彼は巧言令色、朝令暮改政治屋ではなく、彼の政策・ロジックは一貫して明確であり、確固たるものがあるということだ。
(中略)
 彼が北京との関係を改善するというのは一時的気分によるものではなく、彼は大国間におけるバランス外交を行おうとしており、北京をして南海*1における対立者から、フィリピンの貧困落伍状況を改造する上での強力な支援者・パートナーにしようとしているのであり、これは彼及びそのグループの政治的利益に合致するだけでなく、フィリピンの長期的国家的利益にも合致するものだ。

 「同盟廃棄とはあくまでも、我が国(中国)の経済援助を得るためにドゥテルテが行った、我が国に対するただのリップサービスである(廃棄などない)」が「しかし、そこまでリップサービスをするドゥテルテがもはや反中国路線を展開することはないだろう」という中国の認識は浅井氏が言うように正当なもんでしょう。


■浅井基文ブログ『中比関係の質的転換の本質的意義は何か』
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2016/853.html
 「中国との和解でドゥテルテを批判する日本マスコミ(例えば朝日*2)は一体何を考えてるんだ」と憤慨する浅井氏です。おっしゃるとおりで「下手に対立をエスカレートさせたら」経済的な意味で中国にとってもフィリピンにとっても困ったことになります。そしてそれは東南アジア諸国や欧米、日本にとっても望ましいことではないのではないか。
 「何らかの形で和解すること」は浅井氏の言うように現実的方策です。「ドゥテルテ批判する日本マスコミは一体何を落としどころと考えてるんだ。何も考えてないのか?」という浅井氏の嘆きには同感です。
 「麻薬犯罪取締はともかく、対中国外交に限れば乱暴で非現実的なのはドゥテルテよりもむしろ日本マスコミ」と俺も思います。


【ここから産経です】
■【緊迫・南シナ海ベトナムが米中の狭間でバランス外交 中国艦3隻がカムラン港に寄港 対中「すり寄り」比政権とは別路線
http://www.sankei.com/world/news/161023/wor1610230018-n1.html
 ベトナムベトナムの、フィリピンにはフィリピンの計算があるわけで、一概に「どっちが正しい」「どっちが間違ってる」とは言えません。
 いずれにせよ「フィリピンに比べれば中国と距離をとっている」と産経が評価するベトナムにしても

 中部の軍事要衝カムラン湾に22日、中国海軍の艦船3隻を寄港させた

わけで「産経レベルの反中国」の国はどこにもないわけです。


■【宇都宮公園爆発】焼死体は72歳の元自衛官 靴下に遺書挟む 「命を絶って償います」 目撃者は「テロかと思った…」
http://www.sankei.com/affairs/news/161023/afr1610230014-n1.html
 当初は何が何だか謎だった怪事件も「遺書の発見」で自殺であることが判明しました。後は「何故自殺したのかと言う動機の解明」と「どうやって自殺したのかという自殺方法の解明(元自衛官なので爆発は自衛隊時代に取得した爆破技術による物か?)」でしょう。無差別テロ犯罪事件でなかったこと、「負傷者は出ても死亡者は出なかったこと」は不幸中の幸いです。


■【宇都宮公園爆発】焼死の元自衛官がネットに動画投稿 妻との離婚で不満切々と…「もう預金も住む場所もなくなる」「全てに負けた…」
http://www.sankei.com/affairs/news/161023/afr1610230019-n1.html

元陸上自衛官、栗原敏勝容疑者(72)

 自殺は法律上犯罪ではないので「他人を巻き添えにしなければ」容疑者とよばれることもなかったのですが、他人を巻き添えにしたことで「傷害事件の容疑者」になったわけです。「殺人の容疑者」にならなかったことは不幸中の幸いです。

「もう預金も住む場所もなくなる」

 生活苦による自殺なら「他人を巻き添えにしたことは非難されて当然」とはいえ彼もある種の被害者であり「社会の対策(政治による貧困者支援など)」が必要かも知れません。

*1:南シナ海のこと

*2:一番酷いのは産経ですが。