平成28年12月16日:日朝共同記者会見(嘘)

安倍総理冒頭発言】
 金正恩朝鮮労働党委員長。ようこそ、日本へ。日本国民を代表してあなたを歓迎したいと思います。
 今回の訪日が実現するまで時間がかかりましたが、私のふるさとにお招きをし、落ちついた環境の下でたっぷり時間をかけて話し合うことができ、待ち続けたかいがあったと思っています。
 私たちの話合いの進展を長きにわたり待ち続けている人たちがいます。たとえば拉致被害者家族会や「残留邦人の遺族」の皆さんです。その代表の方々から今週、直接お話を伺う機会を得ました。
 拉致家族会や「残留邦人の遺族」の皆さんの平均年齢は既に81歳を超えています。
「もう時間がない」。
 そう語る拉致家族会や「残留邦人の遺族」の皆さんの痛切な思いが胸に突き刺さりました。
 たとえば相当高年齢になられた「残留邦人の遺族」が、自由に墓参りをし、かつてのふるさとを訪れることができるようにしてほしい。この切実な願いをかなえるため、今回の首脳会談では、人道上の理由に立脚して、あり得べき案を迅速に検討することで合意しました。
 そして、戦後71年を経てもなお、日本と北朝鮮の間には平和条約がない。この異常な状態に私たちの世代で、私たちの手で終止符を打たなければならない。その強い決意を、私と金委員長は確認し、そのことを声明の中に明記しました。
 日朝間の問題について、私はこれまでの日本の立場の正しさを確信しています。金委員長も北朝鮮の立場の正しさを確信しているに違いないと思います。
 しかし、互いにそれぞれの正義を何度主張し合っても、このままではこの問題を解決することはできません。次の世代の若者たちに日本と朝鮮の新たな時代を切り拓くため、共に努力を積み重ねなければなりません。
 過去にばかりとらわれるのではなく、日本人と朝鮮人が共存し、互いにウィン・ウィンの関係を築くことができる。日朝関係の未来像を描き、その中から解決策を探し出すという未来志向の発想が必要です。
 この「新たなアプローチ」に基づき、今回、北朝鮮国内において共同経済活動を行うための「特別な制度」について、交渉を開始することで合意しました。
 この共同経済活動は、日朝両国の平和条約問題に関する立場を害さないという共通認識の下に進められるものです。
 これは日朝間の諸問題解決、そして平和条約の締結に向けた重要な一歩であります。この認識でも金委員長と私は完全に一致しました。
 そして、私たちは平和条約問題を解決をする。その真摯な決意を長門の地で示すことができました。
 過去70年以上にわたり解決できなかった平和条約の締結は、容易なことではありません。
 日朝両国民の相互の信頼なくして、日朝双方が受入れ可能な解決策を見つけ出し、平和条約締結というゴールにたどり着くことはできません。
 本日、8項目の経済協力プランに関連し、たくさんの日朝の協力プロジェクトが合意されました。日本と北朝鮮の経済関係を更に深めていくことは、双方に大きな大きな利益をもたらし、相互の信頼醸成に寄与するものと確信しています。
 私と金委員長は、この後、講道館へと足を運びますが、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎師範の言葉を借りるならば、正に「自他共栄」、「自分だけでなく他者、つまり北朝鮮も栄えなければならない」という精神こそが日朝間の諸問題解決に必要です。
 金委員長、今回のあなたと私との合意を「出発点」に、「自他共栄」の新たな日朝関係を、本日ここから共に築いていこうではありませんか。
 ありがとうございました。私からは以上です。

元ネタ
平成28年12月16日:日露共同記者会見
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/1216kaiken.html