【産経以外のプーチン訪日関係記事】
■NHK『北方領土の元島民アンケート「まず2島返還」が最多』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161213/k10010805471000.html
・「まず歯舞・色丹の2島を返還し、残りの国後・択捉の帰属について協議を続ける」と答えた人が42%
・北方領土問題に詳しい九州大学アジア太平洋未来研究センターの岩下明裕*1教授は(中略)「まず2島を返還」と答えた人が最も多くなったことについて、「元島民たちの平均年齢が80歳を超えて残された時間が少なくなり、建前ではなく、これまで抑えていた本音をはっきり言おうという機運が徐々に高まっていることが見て取れる」と指摘しています。
救う会、家族会などと比べたら元島民がすごく現実的で驚きました。
【産経のプーチン訪日関係記事】
■安倍晋三首相「プーチン露大統領から経済制裁解除の要求なし」 年明け解散、重ねて否定
http://www.sankei.com/politics/news/161217/plt1612170019-n1.html
言ってる意味がさっぱりわかりません。「経済協力を推進する」んだから事実上、制裁解除と同じでしょうよ。それにしても「島返還」と言う意味ではあれほど成果がなかった会談で何で「年明け解散」なんて話が出てくるのかさっぱり分かりません。日本は本当に「国の将来がマジで危ない世界」に突入してると思います。
■【日露首脳会談】「私を信じてもらいたい」とプーチン氏明言 安倍晋三首相明かす「日露が安全保障で連携できれば日本の立場はもっと強くなる」対中牽制姿勢明確に
http://www.sankei.com/politics/news/161219/plt1612190006-n1.html
■【プーチン大統領来日】なぜ安倍晋三首相は日露防衛協力を急ぐのか 膨張する中国脅威、露との間にくさび
http://www.sankei.com/politics/news/161217/plt1612170024-n1.html
「領土が返ってこないヤン!」と言う批判がよほど痛いのか「中露にくさびを打ち込んだ」と言い出す産経&安倍です。ぶっちゃけ何で中国を敵視するのかわけがわかりません。金儲け的観点で言えばロシアより中国を重視すべきだと思いますが。それにロシアだって必要以上に経済大国・中国と敵対する気もないでしょう。
■【プーチン大統領来日】領土交渉の「壁」は日米安保条約 露、オホーツク海の要衝軍事化を警戒
http://www.sankei.com/politics/news/161217/plt1612170023-n1.html
「何で壁なんだろう?」と思ったらロシアから「返還したとして北方領土に米軍基地は置かないと約束できるか」と聞かれ、日本側が「米国と相談しないと何とも言えない」と答えたからだそうです。
バカなんですかね?。そんな事言って向こうが「返します」ていうわけがないでしょう。
いや「絶対に米軍基地は置きません」と言ったからって返す保証もないですけど「置くかも知れない」なんて言って返してくれると思ってたらただのバカでしょう。
■【プーチン大統領来日】自民・二階俊博*2幹事長「国民の大半がガッカリしている」
http://www.sankei.com/politics/news/161216/plt1612160046-n1.html
■【日露首脳会談】「ゼロで終わった」元島民ら落胆
http://www.sankei.com/politics/news/161216/plt1612160066-n1.html
■【日露首脳会談】安倍晋三氏「敗北」と韓国紙
http://www.sankei.com/world/news/161216/wor1612160054-n1.html
そりゃ「人によっては」そういう感想になるでしょう。「散々安倍が、島の返還について、期待値を高めた癖に」島の返還という意味では目立った進展は何もないからです。
「日本企業がロシア進出できて良かった!」と考えれば成功ですけど。
ただ元島民や韓国紙はともかく政府高官である二階氏が他人事みたいな物言いをするのはやはり無責任でしょう。「俺は党務担当で外交担当じゃない」なんて言うのでしょうが、それは詭弁です。
■【日露首脳会談秘話(上)】安倍−プーチンの信頼関係は一時破綻寸前に…仲を取り持ったのはまたもやあの男だった!
http://www.sankei.com/politics/news/161216/plt1612160008-n1.html
「安倍には裏切られた。全く信用できない男だ」
平成26(2014)年8月、露チェリャビンスクで開かれた世界柔道選手権の最中、プーチンは、柔道家で五輪金メダリストの山下泰裕に対し、ロシアのクリミア併合を受け、欧米が行った対露経済制裁に日本が同調したことへの怒りをぶちまけた。
これに先立つ同年2月、安倍は露ソチで冬季五輪開会式に出席した。欧米首脳がロシアの人権問題などを理由に相次いで出席を見送る中での訪露だっただけにプーチンは心から喜び、自らの別荘でもてなした。そのわずか1カ月後の経済制裁は、プーチンの目に「裏切り」に映った。
北朝鮮も「拉致被害者を帰したのに制裁とはどういう事だ、日本には裏切られた」と憤慨してることでしょう。
日本が行った制裁は、ロシアに実害を与えぬ内容だった。安倍は制裁発動を逡巡したが、外務省幹部に「これは真空斬りですから」と説得され、渋々応じたのが実情だった。
プーチンの怒りを知った山下は、自らとプーチンの仲を取り持った元首相の森喜朗*3に連絡した。「これはまずい」と考えた森は1カ月後に訪露し、プーチンと向き合った。
「シンゾーへの怒りは誤解にすぎない。経済制裁はすべて実害がないものばかりだ。信じられないなら調べてごらんなさい」
森は25年2月に訪露した際、プーチンに1枚の写真を見せたことがある。安倍の父で元外相の安倍晋太郎*4と旧ソ連大統領、ミハイル・ゴルバチョフとの最後の会談の写真だった。
「この痩せ細っているのがシンゾーの父親で、後ろで支えているのが若き日のシンゾーだ。シンゾーの父親は直後に亡くなった。『日露関係をよくしたい』というシンゾーの思いは本物だ」。森の話を聞いたプーチンはじっと写真を見入っていた。
森は写真の話を再び持ち出し、「シンゾーは昔と少しも変わっていない」と説いた。直後の9月21日、プーチンは安倍に誕生日祝いの電話をかけた。安倍も10月7日のプーチンの誕生日に電話で祝意を伝え、なんとか両者の絆は保たれた。
ということで「あの男」とは森元首相です。
しかし「森氏、山下氏*5というパイプの是非」はともかく北朝鮮との間にこの種のパイプは果たしてあるんでしょうか。
■【プーチン大統領来日】元島民ら共同経済活動に懸念 北方四島の帰属に言及なし
http://www.sankei.com/life/news/161216/lif1612160002-n1.html
会談発表当初の「期待値を高める安倍らの態度」から比べたら「島返還という意味では何の進展もない論外の代物」ですから、懸念くらいは表明するでしょう。とはいえ「小泉訪朝」すら「拉致被害者が五人しか帰ってこなかった」などと罵倒した救う会や家族会のように糞味噌に罵ったりはしないわけです。罵ってもどうにもならないですしね。正直、冷戦崩壊直後とかも「これで島が帰ってくる」とか一部メディアや政府関係者は言ってたわけで「ある種の忍耐力」も身についているのでしょう。
■【プーチン大統領来日】日本企業の極東進出加速も
http://www.sankei.com/economy/news/161215/ecn1612150031-n1.html
ロシアのガルシカ極東発展相は「お互い尊敬し、実りある経済交流を行えば、長年抱えた複雑な係争問題の解決にもつながる」と述べ、北方領土問題を解決するためにもこうした経済協力が必要だと力説する。
「だーかーら、そう言うロシアの言い分認めるなら、政府は拉致解決のために北朝鮮に経済進出しろよ」と思う俺です。
もちろん冗談でも皮肉でもなくまじめです。
■【プーチン大統領来日】日露首脳会談終了 安倍晋三首相「北方四島における特別な制度の下の共同経済活動について議論」
http://www.sankei.com/politics/news/161215/plt1612150059-n1.html
予想の範囲内ですが「島の返還」なんて話は出ないわけです。これを「プーチンと話せて進展があった」というならそれこそ金正恩と対話でもしたらどうなんですかね。
■【プーチン大統領来日】今回も…遅刻常習犯プーチン氏 中国との会合は時間厳守
http://www.sankei.com/world/news/161215/wor1612150058-n1.html
ロシアのプーチン大統領は15日、日露首脳会談が行われる山口県に予定より3時間近く遅れて到着した。
(中略)
2014年10月には、ミラノで予定されたドイツのメルケル首相との会談が4時間15分遅れで開始。ローマ法王フランシスコは13年11月に50分、15年6月に1時間の待ちぼうけを食った。インドのモディ首相は14年7月、1時間遅れのプーチン氏を待たずに就寝に向かう“逆襲”をみせた。
「遅刻魔」のプーチン氏だが、中国の首脳や財界要人との会談のほか、露連邦保安局(FSB)や内務省など、シロビキ(軍や治安・特務機関の関係者ら武闘派)の会合には遅れないことで知られている。プーチン氏が態度を使い分けているという説が消えない所以(ゆえん)だ。
「故意に遅刻してる」だの「さすがに故意ではないが重要な相手(産経曰く中国)は時間厳守で、舐めてる相手(安倍やメルケルやモディ)だけ平気で遅刻してる」だのいう産経説の真偽は不明ですが一般論で言えば遅刻が悪であることは言うまでもありません。「何様だ」と言う反感を買う危険性も大です。
【産経のプーチン訪日以外の記事】
■映画上映前の国歌に起立せず12人逮捕、インド南部
http://www.sankei.com/world/news/161215/wor1612150056-n1.html
インド南部ケララ州トリバンドラムで行われた国際映画祭の会場で、上映前の国歌を流している最中に起立しなかったインド人の男女12人が、「無礼な行為だ」として、公務員の命令に対する不服従の疑いで地元の警察に逮捕された。インドの最高裁が最近、映画館では上映前に国歌を流し、観客は起立しなければならないとの判断を示したことを受けた措置という。
(中略)
まもなく釈放されたが、罰金を科せられる可能性が高いという。
(中略)
PTI通信によれば、逮捕を問題視した市民らが13日、トリバンドラムの会場前で「映画館は娯楽を売る場所だ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議運動を行った。
「卒業式での国歌斉唱」を当然視する産経的にはこれは「日本でもこうあって欲しいのか」、それとも「さすがにこれは酷い」のか気になるところです。
■「南京大虐殺記念館」名誉館長が来日 講演で「世界記憶遺産登録を勧めたのはフィリピンの閣僚」と主張
http://www.sankei.com/politics/news/161216/plt1612160028-n1.html
朱氏はこの日の講演で、「名古屋で講演したとき、右翼が『南京の人口が20万人なのに、被害者数が30万人に上るのはおかしい』と質問した」エピソードを紹介し、1937年5月時点で南京の人口は101万人*6余りだったと主張。「20万人は国際安全区の中に収容された数だ」と反論した。面積も3・86万平方キロというのは国際安全区の面積で、南京行政区は476万平方キロあったと説明した。
産経が朱氏の反論について何の釈明もしないのには吹き出しました。
まあ「細部はともかく大筋では朱氏の言う通り(南京の人口は20万人どころか30万人以上いた)」なので釈明のしようがないんですが、ということは産経は今後「南京の人口が20万人なのに、被害者数が30万人に上るのはおかしい」というデマ(実は過去に産経も垂れ流していたデマですが)は批判でもしていくんでしょうか?。
なお朱氏の訪日については
■人民日報『真実の歴史を 日本で南京大虐殺79周年記念集会』
http://j.people.com.cn/n3/2016/1217/c94474-9156249.html
と言う記事があります。
■【「文春砲」不倫疑惑報道】朝の番組謹慎中のテレ朝・田中萌アナ、深夜のバラエティに出演していた 報道・情報番組以外はOK?
http://www.sankei.com/entertainments/news/161215/ent1612150020-n1.html
正直「不倫していいとは言いません」し、このアナのファンでもないですが、何でこの程度の事で週刊誌記事になったり、「番組出演自粛」なんて話になるんですかね。「文春とテレ朝」には心底呆れます。
■【民進・蓮舫*7代表会見詳報(2)】台湾総統選投票“疑惑”は事実無根「なぜ事実でないことが事実のように流れるのか」
http://www.sankei.com/premium/news/161215/prm1612150010-n1.html
常識で考えてそんな事はあるわけもないでしょう。全くこういうデマ流す馬鹿には心底呆れます。
■「望むのは死刑だけ」 闇サイト殺人遺族、日弁連の死刑廃止宣言に憤り 17日にシンポジウム
http://www.sankei.com/affairs/news/161215/afr1612150036-n1.html
こういう感情論でシンポジウム(?)なんか開いても「復讐心に凝り固まった死刑愛好家のお仲間の皆さん」以外には何らの共感も得られないでしょう。もちろん俺も呆れるだけで共感などしません。バカバカしい限りです。
「望むのは死刑だけ」て一人殺害では死刑の可能性は低いし「殺人事件の被害者遺族」が「殺人の刑罰は死刑だけにしろ」とでも言ったらそうするのか、て話です。
■台湾、中国の報復恐れ警戒 トランプ氏発言で
http://www.sankei.com/world/news/161214/wor1612140053-n1.html
台湾の李大維外交部長(外相)は14日、トランプ次期米大統領が台湾重視の姿勢を示唆していることに絡み、中国が、台湾と外交関係を持つバチカンなど22カ国に対して断交を迫るなど報復に出る可能性があると警戒感を示した。
なお、ウィキペ「中華民国」によれば台湾と国交のある国は
■オセアニア:6ヶ国
・キリバス、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ソロモン諸島、ツバル
■ヨーロッパ:1ヶ国
・バチカン市国
■アフリカ:3ヶ国
・ブルキナファソ、サントメ・プリンシペ、スワジランド
■中南米(ラテンアメリカ):12ヶ国
・ベリーズ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン
だそうです。
この記事には思わず吹き出しました。経済制裁や軍事攻撃ならまだしも「中国が国交をもつ国を増やす」つうのは別に違法行為でも何でもないし、少なくとも建前は「報復でも何でもない」んですけどね。
仮に馬前総統時代に中国がその辺り配慮して「自重していた」としても自重しなきゃいけない義務もないわけです。台湾の方は「これ以上、国交樹立を目指してない」のかもしれませんがそれにしたって「現実性がないからあきらめた」とか「中国との関係に配慮してる」とか言う話に過ぎず「中国が感謝する話」でもないでしょう。
■【主張】中国の虚偽宣伝 挑発許さず領空守り抜け
http://www.sankei.com/column/news/161215/clm1612150002-n1.html
もちろん中国が嘘をついてる可能性はあるでしょう。しかし産経がそうだと断定する根拠は何なのか。
先ず第一に「日本政府がそう発表したからだ」というのはおよそジャーナリズムの回答ではない。日本政府が嘘をつかないという保証はないからです。
第二に産経には今回「日本政府が、安倍政権がそう発表したからだ」という回答はできません。
なぜならこの社説で産経も書いていますが
6月中旬、尖閣諸島周辺の公海上空で中国軍機がミサイル発射態勢をとって空自機を威嚇し、追尾された空自機は安全確保のため、命中を回避するための火炎弾「フレア」を作動させた。この件で、政府は「近距離のやり取り」があったことしか認めなかった。
として産経は「6月下旬の安倍政権の発表(中国機の威嚇や自衛隊機のフレア発射などなかった)」を「中国に配慮した日本政府の嘘」扱いしてるからです。
当然ながら「今回、日本政府の発表を信じる」というなら「六月の発表」だって信じないとおかしい。当然ながらそこには「今回にせよ六月にせよ」中国が問題行動をしたと判断した「産経なりの根拠があるはず」です。
とはいえ小生、「あるはず」と書きましたが産経にはまともな根拠なんか何一つないでしょうね。産経が反中国だから単に「中国に否定的な情報には平気で飛びつく」だけでしょう。「根拠は何か」と聞かれて産経は恐らくまともには答えられない。
だから「例の江沢民死去というガセネタ」にも平気で飛びつくし、それをろくにまともに謝罪もしないわけです。
およそ産経はジャーナリズムではない。
*1:著書『北方領土問題』(2005年、中公新書)、『北方領土・竹島・尖閣、これが解決策』(2013年、朝日新書)など
*2:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任
*3:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)を経て首相
*4:三木内閣農林相、福田内閣官房長官、自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党総務会長(中曽根総裁時代)、幹事長(竹下総裁時代)を歴任
*5:ちなみに常岡はツイッターで両氏を「プーチンの走狗」呼ばわりし、この産経記事も「プーチン提灯記事」と非難しています。
*6:101万人かどうかはともかく30万は優に超えるというのが通説的見解です。これについては『二十万都市で三十万虐殺?』(http://www.geocities.jp/yu77799/jinkou.html)を紹介しておきます。