今日の朝鮮・韓国&ロシアニュース(2019年7月1日分)

G20前の“駆け込み訪朝”も思惑外れた習主席 退勢挽回で金委員長招待の可能性 - 産経ニュース
 「はあ?」ですね。なんでそういう理解になるのか。もちろん何がどうなっているのかは外部からよく分かりません。
 しかし浅井基文氏が指摘するように「習主席、金委員長会談について習主席からトランプ大統領に報告→それを受けてトランプが金委員長と会談」、つまり「習主席にとってトランプ・金会談は希望する結果(おそらく習・トランプ会談で早期の訪朝&金委員長との会談を求めた)」と見るのが自然でしょう。そもそも中国と密接な関係にある北朝鮮が、中国の希望を無視して米国べったりになるわけもない。
 とはいえ中国も今後の方針を決めるため、「金委員長・トランプ大統領会談」について金委員長から報告を求め、彼が訪中することはあり得るでしょうが、それは少なくとも「思惑外れた習主席 退勢挽回で金委員長招待の可能性(産経)」という「思惑外れ」「退勢挽回」なんて話ではない。


「地獄の島」は誤解 軍艦島の元島民らが韓国側に反論 - 産経ニュース
 「正気なのか」ですね。まあ要するにウヨ連中のデマ垂れ流しですが、こんなもんが世界に通用するわけがないでしょう。もはや「ふざけたことをいつまでも抜かすならユネスコ世界遺産登録は取り消すbyユネスコ」でいいんじゃないか。


韓国研究者「徴用工差別は嘘」 2日の国連シンポで主張へ - 産経ニュース
 勿論こういう主張こそが嘘です。というかそもそもユネスコが「軍艦島端島炭鉱)」を世界遺産登録した際に「徴用工に対する不当な扱いの存在」を認めてる以上、こんなことを言って国連に通用するわけがないでしょう。産経などがあまり馬鹿なことをいってるとそれこそ「軍艦島世界遺産登録」が取り消される可能性すらあります。それにしてもこの「韓国人研究者」とやらは「アンチ北朝鮮のためなら日本ウヨに媚びる」つう類の輩でしょうか。


米朝首脳板門店会談(環球時報社説)|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ

 イラン、シリア、パレスチナアフガニスタン、ヴェネズエラ等世界中でごり押しの政策を行い、至る所で挫折し、今や四面楚歌、八方塞がりに陥っているトランプ政権ですが、こと対朝鮮政策に関する限り、トランプの思いつきの行動が米朝関係を前に動かす動力となることがしばしばあるのは何故か、というごく自然な疑問に答えておく必要があると思います。

 「これに対する回答は何なのか」について「浅井先生の意見を参考にしながらも」、「浅井先生の意見に関係なく」俺の考えをいえば、まず第一に「韓国、中国、ロシア」の存在でしょうね。北朝鮮問題についてこれら「北朝鮮の隣国」の意向を無視することは現実的じゃないわけです。そしてこれらの国々は北朝鮮打倒路線なんか支持してない。つうかEU諸国だってそんな立場じゃないですが。
 第二に「北朝鮮だけは核保有してること」。まあ「核保有していい」とはいいませんが「核をソウルにぶち込んでもいいのか」と開き直られたらトランプもお手上げなわけです。
 第三に「オバマ逆張りオバマを否定することで自分の威信を高めようとする)」でしょうね。イランにおいてオバマ逆張りは「核合意否定」でしたが、北朝鮮においては「対話路線」という逆張りもあり得るわけです(オバマは対話路線ではなかったので)。実際、トランプはほとんど、あらゆる政策において「俺はオバマとは違う」アピールをしています。
 第四に「北朝鮮に核廃棄する意思が一応ある(米国が体制保証さえすれば核廃棄すると表明)」「それに対してトランプ政権は核廃棄さえ実現すれば体制保証の意思がある」としていることでしょうか。一方、浅井先生が挙げてる他の例(イラン、シリア、ベネズエラなど)ではトランプは「どこまで本気かはともかく」、政権転覆こそ正義と放言しているわけです。これでは北朝鮮と違い妥協が成立しません。
 第五に「ユダヤロビー(イスラエル問題)」「キューバ亡命右翼(キューバと親密な関係にあるベネズエラ)」といった連中が「打倒パレスチナ、万歳イスラエル」「打倒キューバベネズエラ」を叫ぶのに比べ、北朝鮮にはその種のロビーが米国ではおそらくほとんどないといったことかと思います。


「拉致解決に大きな後押し」 米朝首脳会談で西村氏 - 産経ニュース
 「文大統領とは違い」完全に日本は蚊帳の外だったのに、そしてどう見ても、拉致問題が提起されたとは思えないのに良くも言ったもんです。


【主張】米朝首脳会談 「非核化」はどこへ行った - 産経ニュース
 産経の社説タイトル「どこへ行った」に回答すれば「どこも行ってねえよ」ですね。
 もちろん会談で「核問題」がすっきり解決したわけではない。とはいえ、核問題がどうでもいいことになったわけではなく、「核問題の具体論については今後事務方で話し合う」つう話になったわけです。
 ならば「逢うことに意味がなかったのか」といえば少なくとも俺個人はそうは思いません。「改めて逢うことで、交渉で問題を解決していく意思を国際社会にアピールしたこと」は意義あることでしょう。
 まあ産経はアンチ北朝鮮で、交渉否定論なので「すっきり非核化」でないと因縁つけるし、下手したら「すっきり非核化」ですら「強制収容所問題がある」とか言い出しかねませんが。
 つうか「逢って意味があったのか」つうならむしろ「安倍・ハメネイ会談」「安倍・プーチン会談」ですよね(プーチンとの会談については産経もさすがに【主張】日露首脳会談 領土交渉根底から見直せ - 産経ニュースで安倍を批判していますが)。
 前者は安倍が会談した後に「犯行者は今も不明ですが」、タンカー攻撃事件がありました。タンカー攻撃者が「イラン革命防衛隊末端の暴走*1」か「イランに濡れ衣を着せようとするCIAやイスラエルの謀略」かはともかく攻撃者は安倍のイラン訪問を「ぶち壊しにしよう」としていたことは間違いないでしょう。
 で、それに対し、安倍はろくな対応が出来ないわけです。さすがに「犯行者は不明」ということもあって安倍も「米国のイラン攻撃には反対だ」位は言いますが。
 後者は「日露の経済・文化交流」はともかく「島の返還」という意味では成果ゼロです。「島の返還は諦めた」つうならそれでもいいでしょう。しかし、建前では諦めてないわけです。それであんな会談成果でいいのか。


【主張】日露首脳会談 領土交渉根底から見直せ - 産経ニュース

 ロシアの思惑を読み違え、北方四島返還の原則を曲げて迎合した結果にほかならない。
 大阪で行われた日露首脳会談で懸案の北方領土問題に関する進展はなかった。安倍晋三首相は今回の会談で日露平和条約の大筋合意を目指す考えだったが、危惧した通りの独り相撲だった。

 「独り相撲(相撲をしようと相手に呼びかけても相手にしてくれないので相撲が成り立たない→領土交渉しようと言ってもプーチンが相手にしてくれないので領土交渉が成り立たない)」とは珍しく産経が安倍自民を酷評です。

 ロシアが突きつけたのはゼロ回答である。北方領土の主権がロシアにあることを認めるよう要求し、日米安全保障条約が日露交渉の障害になっていると主張している。日本がとうてい認められない内容だ。

 「ロシアの主権を認めろ」つうのは確かに「おいおい」でしょう。それでは日本が返還を求める法的根拠がなくなる。
 「ロシアの主権を認めたら」、日本が出来ることは「今は合法的な形でロシア領ですが、昔は日本領だったので、日露友好の観点から、ぜひ譲渡して頂けませんでしょうか」という話にしかなりません。それで「分かった、譲渡しよう(ロシア)」となればいいですがならなかったら「返還請求の法的根拠を日本が否定した」つう不利益しか日本に残りません。
 これは「ロシアの主権を認めれば確実に島が帰る」「島が帰りさえすればその理由は何でもいい」という立場に立たない限り安倍に飲める話ではありません。しかもプーチン側は「島を返す」と一度も公式には明言していない(非公式にはどうか知りませんがこういう場合に非公式発言なんか持ち出しても意味がない)。
 そういう意味で「ロシアの主権を認めろとはロシアは無茶苦茶だ」「主権を認めたら島を返してくれるのか」「返す気がないならそんな要求はのめない」つう産経の批判は正論です。
 しかし「日米安全保障条約が日露交渉の障害になっている=返還した島に米軍基地を置かないと事前に確約しろ」は全然無茶な要望じゃありません。むしろ当然の要求でしょう。まあこれが「日米安保をやめろ」つうなら「日米安保廃止派の俺」ですら「無茶な要求」だと思いますが。

北方領土の返還こそが日露関係を劇的に好転させる前提条件であり、ロシアの望む大規模な経済協力にも道を開く。

 「経済支援は北方領土を返還した後の話だ」て、まるきり「国交正常化は拉致を解決した後の話だ(北朝鮮)」と一緒ですね。
 むしろ北方領土も拉致も話は逆でしょう。「やらずぼったくりの危険性」はありますが「まず日本から経済支援をすること」が必要かと思います。

*1:仮にイラン側の犯行だとしても、さすがに最高指導者ハメネイ自ら犯行を事前承認はしてないでしょう。安倍と会談しながらそんなことをするのは外交上「非礼の極み」「背信行為」であり、後でばれたら大問題になるからです。