今日の産経ニュース(5/21分)(追記・訂正あり)

■【ボクシング】八重樫、衝撃の1回TKO負け 「激闘王」見せ場なく王座陥落 左フックもらい記憶飛ぶ 
http://www.sankei.com/sports/news/170521/spo1705210037-n1.html
 「八重樫もこんな無様な試合をしたくはなかった(引退の危機すらある)」でしょうが、観客からすれば「1回TKO負け」なんてしょっぱい試合は勘弁して欲しいところです。
 一方、八重樫以外は

WBCフライ級王者となった比嘉大吾
WBCライトフライ級王者となった拳四朗
WBOスーパーフライ級王者を防衛した井上尚弥

はもちろん、判定負けでWBAミドル級王座奪還に失敗した村田諒太ロンドン五輪金メダル)も八重樫ほどしょっぱい試合ではなかったわけです。


■谷垣氏*1が杖をついてリハビリ 自民京都府連定期大会にメッセージ 
http://www.sankei.com/west/news/170521/wst1705210037-n1.html
 正直安倍の酷さを考えると早く谷垣氏に復帰して欲しいところです。
 つうか「非常にきついことを言いますが」サイクリングで事故って政治活動ができなくなる(結果、幹事長を事実上更迭されて二階氏*2が後任幹事長に就任)とか「安倍に総裁の座を追われた」この人の脇の甘さを象徴してるような気がします。まあ死なないだけ良かったですけど。本当に転倒の仕方によっては冗談抜きでマジで死にますからね(冗談抜きで安倍は谷垣氏に死んで欲しかったことでしょう)。サイクリングを舐めてはいけない。
 まあこうなると「サイクリングという趣味は辞めざるを得ない」でしょうね。


■中国でCIA要員12人殺害 中国の米スパイ網壊滅、と米紙
http://www.sankei.com/world/news/170521/wor1705210015-n1.html

 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は20日、中国でスパイ活動をしていた米中央情報局(CIA)の情報提供者12人以上が2010年以降、中国当局によって殺害*3されたと報じた。拘束された人を含めると計18〜20人に上り、中国での米国のスパイ網が壊滅的状況に陥ったとしている。

 まあ「CIA工作員=闇の人間」なので

・「大江戸捜査網」の「あくまで陰にて、己の器量伏し、御下命、如何にても果す可し、尚死して屍拾う者無し」
・「スパイ大作戦」の「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。成功を祈る」

みたいな話でしょう。この「ニューヨーク・タイムズ報道」にしても米国政府も中国政府も公式には「ノーコメント」でしょう。
 しかし、それにしても「スパイ大作戦みたいな話」が本当にあるんですかね。


■【加計学園問題】追及側の民進党玉木雄一郎氏、獣医師連盟から100万円献金 
http://www.sankei.com/politics/news/170521/plt1705210005-n1.html
 産経らしい意味不明ぶりです。玉木氏が獣医師連盟から献金を受けているから何だと言うのか。
 百歩譲って「玉木質問が獣医師連盟の献金による金で買われた質問だとしても*4」、そんなことは「加計疑惑」で「安倍の不当な政治介入がなかったこと」を証明するわけでもない。
 いい加減「民進党ネガキャンしてごまかそうとする」のも大概にしたらどうなのか。そもそも加計疑惑は共産、社民、自由と言った「民進党以外の野党」も追及してますし。


■「戦後の反省」に対する反省をすべき時 本紙・安本編集委員が講演 教科書に載らぬ神武天皇楠木正成
http://www.sankei.com/west/news/170521/wst1705210024-n1.html

 安本寿久編集委員が、松江市で「神話の国で考える楠公精神〜日本人の『公』とは何か〜」と題して講演した。島根日産グループ(櫻井誠己社長)の幹部研修を目的とした「経営研究塾」の講師に招かれた安本編集委員

 講演の是非はひとまず置く*5としても、こんな講演を企業研修でやるなんて気が狂ってます。「楠木正成の生き様」と企業経営と何の関係があるのか。これが「ホンダ創業者・本田宗一郎」「パナソニック創業者・松下幸之助」など著名実業家の生き様を語り経営に生かそうとするのなら未だ分かりますが。
 島根日産グループ(日産自動車島根県ディーラー?)がまともな会社ではないらしいことはよく分かりました。

これだけ国の形を一定に保っている例は他にない。

 日本のどの辺りが「一定に保たれてる」のかさっぱりわかりません。そもそも「一定に保たれてること」それ自体はいいことでも悪いことでもないですが。

 例えば元の成立時には漢民族の国ではなくなった。

 元王朝の支配者がモンゴル族だっただけで、支配地域に住む国民は漢民族です。

 サンマリノ共和国の大使が講演でおっしゃった。「日本は、ギリシャやイタリアよりも古い世界最古の君主国*6だ。にもかかわらず、そのはじめの人が教科書に載っていないのはおかしい」と。

 「はじめの人(はじめの君主)」つうのは勿論神武ですがフィクションですからね。のってなくても当然でしょう。
 いや載せてもいいですが、その場合はっきりと「コレはフィクションです」と断る必要がある。
 しかし例のサンマリノ大使もウヨにこびへつらって適当なこと抜かすのも大概にして欲しいですね。俺にとってサンマリノのイメージががた落ちしています。

戦後、「神武天皇はいなかったのではないか」と言われている。

 「いなかったのではないか」ではなく「間違いなくいなかった」ですね。「あの時代で寿命が100歳越えてる」とかあるわけがない。
 「戦後」ではなく戦前だってまともな学者(例:津田左右吉)は実在説なんか主張してません。
 「神武天皇実在説」なんて「堯舜(古代中国の伝説上の皇帝)実在説」「檀君(古代朝鮮の伝説上の皇帝)実在説」並みにバカバカしい話だと思います。

 「国父」ともいうべき神武天皇が、今の教科書には詳しく載っていない。それは楠木正成も同じ

 「レーニン*7」「孫文*8」「毛沢東*9」「金日成*10」「ホーチミン*11」「ネール*12」「アウン・サン*13」「ケマル・アタチュルク*14」「ホメイニ*15」辺りならまだしも日本で「国父」なんて言葉を目にするとは思いませんでした。
・小生も最近の教科書を知らないので何とも言えませんが、小生が学生の頃は『フィクションである神武はともかく』、実在の人物である楠木正成は勿論のっています。今も多分正成はのってるでしょう。
 問題は安本発言「詳しく載ってない」ですね。
 つまり皇国史観的な意味で「七生報国」とかが載ってないのが許せないつう話です。安本の願いを叶えたらもはや歴史教科書ではなく、ただの右翼イデオロギー本だと思います。


■【書評】『スターリンとモンゴル 1931−1946』寺山恭輔*16著(評者:楊海英*17
http://www.sankei.com/life/news/170521/lif1705210022-n1.html

・モンゴル人の領土は大きく4つの部分からなり、北から順にブリヤート・モンゴルとモンゴル人民共和国(現モンゴル国)、満州モンゴルと中西部モンゴル*18だ。
満州に暮らすモンゴル人は(ボーガス注:満州国という形で)日本の植民地体制に組みこまれ、中西部のモンゴル人は日本の勢力下で自治邦という国家*19を創っていた。モンゴル人民共和国関東軍ノモンハン草原で激突*20、45年8月にはソ蒙連合軍を結成して対日戦勝国となった。4つの地に住むモンゴル人がそれぞれ異なる国際関係を作ってきた過去を、本書は主にソ連側の公文書を用いて再現している。
ブリヤート・モンゴルはソ連邦の一構成員とされ、モンゴル人民共和国は(ボーガス注:ソ連の)衛星国でありながらも独立を果たし、内モンゴル満州モンゴルは中華民国に売り渡された。
スターリンの(ボーガス注:モンゴル分割という)非情な政策を容認していたのは、45年2月に米英ソが交わした「ヤルタ協定」の密約*21である。

 まあいつもの楊海英の主張ですが今さら「ヤルタ協定で中国に内モンゴルが売り渡された」「ブリヤート共和国(ロシア)ももともとはモンゴルだ」とか言ってもねえ。
 「いや、中華民国内モンゴルの独立なんて1度も認めたことないし」「帝政ロシア時代からブリヤートの独立なんかロシアは認めてないし」で終わる話です。
 まあ、今さら内モンゴルブリヤートの独立だの、外モンゴルとの統一だの現実味もないんで「内モンゴル自治区」「ブリヤート共和国」としてどうやって自治区、共和国の「自主性」を拡充していくかつう方向性しか現実的な方向はないでしょう。


■【赤字のお仕事】「全国巡行」「鹵薄でのパレード」 皇室関連用語ですが、どこが間違いでしょう?
http://www.sankei.com/premium/news/170521/prm1705210015-n1.html

 「正論SP」にこのような記述がありました。
 「昭和天皇は…沖縄をのぞいて、全都道府県、千四百十一カ所を巡行されました。昭和二十一年二月の神奈川県への行幸を皮切りに、八年半掛かって全国巡行をされました」

 これを「皇室の場合は巡行じゃなくて巡幸だろ!」とすぐ即答できるのがやはり本当の右翼でしょうか?
 まあ一般人にはどうでもいい話です。

「鹵薄(ろぼ)でのパレード」 皇室関連用語ですが、どこが間違いでしょう?

 コレは皇室用語を知らなくても敏感な人なら即答できるでしょう。
 「鹵薄(ろぼ)の『ぼ』が『薄い(うすい)』の『薄』になってるが『薄』の音読みは『ハク』のはずだ。これは『名簿』の『簿(ぼ)』の誤記じゃないか」と(実際そうですが)。
 ちなみに「鹵簿(ろぼ)」とは

行幸・行啓の行列」(『岩波国語辞典』)で、もう少し詳しくは「儀仗(ぎじょう)警衛の隊列を整えた行幸啓の列」

とのことです。

校閲の仕事をしていて、分からない言葉に出合うと慎重にならざるをえず

 まあ「鹵簿(ろぼ)」なんて普通知らないでしょう。そもそもルビがないと読むことすら不可能です。


慰安婦の陰で韓国が「日本海」を「東海」併記へと着々と布石 米国にも直訴 世界地図からJapan Seaが消える?
http://www.sankei.com/premium/news/170521/prm1705210016-n1.html
 まあ消えないでしょうね。せいぜい併記でしょう。そう言う意味ではそんなに騒ぐ話ではない。

*1:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)などを歴任

*2:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*3:まあ記事の書きぶりからして「スパイ容疑で死刑判決」ではなく非合法な暗殺でしょう。

*4:そんな事が産経に証明できるとは思えませんが

*5:勿論俺はこんな右翼講演は是としませんが。

*6:神武が最古だからと言うのなら話になりません。少なくとも「歴史上実在が証明されてる天皇」を持ってきて欲しい。まあ、その場合多分最古じゃないでしょうが。

*7:ソ連最高指導者

*8:初代中華民国臨時大総統。中華民国(台湾)、中華人民共和国双方から「毛沢東蒋介石を超える存在」として扱われている。

*9:中国共産党主席

*10:北朝鮮国家主席朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官。金正日国防委員長、党総書記、軍最高司令官の父。金正恩国務委員長、党委員長、軍最高司令官の祖父。

*11:北ベトナム国家主席ベトナム労働党主席

*12:インド初代首相。インディラ・ガンジー首相の父。ラジブ・ガンジー首相の祖父。

*13:ファシスト人民自由連盟(AFPFL)総裁。アウン・サン・スーチー(ミャンマー外相・国家顧問)の父

*14:トルコ共和国初代大統領

*15:イラン最高指導者

*16:著書『スターリンと新疆:1931〜1949年』(2015年、社会評論社)、『スターリンとモンゴル: 1931〜1946』(2017年、みすず書房

*17:著書『中国とモンゴルのはざまで:ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(2013年、岩波現代全書)、『狂暴国家中国の正体』(2014年、扶桑社新書)、『日本陸軍とモンゴル』(2015年、中公新書)、『モンゴル人の民族自決と「対日協力」』(2016年、集広舎)など

*18:内モンゴルのこと

*19:まあ明らかに傀儡国家ですが。

*20:いわゆるノモンハン戦争(ハルハ河戦争)

*21:対日参戦密約はともかく、モンゴルの部分は密約ではないと思いますが。