今日の産経ニュース(11/22分)(追記・修正あり)

衆院予算委の質問時間は「5対9」で合意、参院予算委は29、30両日開催で合意
http://www.sankei.com/politics/news/171122/plt1711220035-n1.html
 「自民党・野党時代に決まった与党2対野党8」を自民党が自分勝手な都合で「野党の時間を減らす」という無茶苦茶は実に不愉快ですが「半々」などというふざけた代物にならなかったことはひとまずましだったと理解しておきます。


■【森友学園事件】会計検査院が適正価格を示せず 背任罪の検察捜査「ハードル高くなった」の声
http://www.sankei.com/west/news/171122/wst1711220084-n1.html
 検査院も完全に逃げを打ってますねえ。予想の範囲内ですがげんなりします。
 もちろん検査院は「物理的に困難だから」示せないわけではないので、検察にとって「物理的ハードル」は全く高くはないでしょう。あくまでも高いのは「首相の安倍とガチンコで対決できるか」、つまり「吉田内閣の造船疑獄での指揮権発動(後に首相となった当時の自由党幹事長・佐藤栄作*1政調会長池田勇人*2を免罪)」のような政治的話でしかないわけです。
 あるいは、立花隆が『田中角栄研究全記録(上)(下)』(1982年、講談社文庫)、『田中角栄新金脈研究』(1985年、朝日文庫)などで批判していますが、明らかに脱税目的のペーパーカンパニーである室町産業のでたらめな税務処理について検察や国税田中角栄*3の責任を追及しなかったような話でしかない。立花がいうように大物政治家・田中以外の人間があれをやったらほぼ確実に悪質な脱税として厳罰に処されてるでしょう。
 そういえばうろ覚えですが、映画化もされた石川達三の小説『金環蝕』で知られる「九頭竜川ダム汚職事件」でも検査院は「入札に絡む疑惑の存在はさすがに指摘したもの」の、現役首相・池田勇人と大企業・鹿島建設が絡む疑惑に徹底的なメスを入れることはできませんでした。
 まあ鹿島や石川島播磨重工(造船疑惑などの贈賄側)と森友、池田や佐藤、田中と安倍では比較の対象になりませんが。

参考

https://mainichi.jp/articles/20170406/dde/018/070/040000c
毎日新聞『金環蝕』
 「森友学園」を巡る報道が始まって、1975年のこの映画を思い出した人もいたに違いない。64年に発覚した九頭竜川ダム汚職事件を基に石川達三サンデー毎日に連載した小説が原作で、監督は社会派・山本薩夫

 もちろん森友に当たるのが鹿島で、工事落札に当たるのが国有地売却の訳です。

九頭竜川ダム汚職事件(ウィキペ参照)
 戦後の1965年に表面化した汚職事件である。
 電源開発が計画した九頭竜川ダムの建設をめぐり、第一工区は指名競争入札で行われた。41億円の最高額で入札した鹿島建設が落札、間組熊谷組西松建設前田建設の4社が最低落札価格を超えていないとして失格となった。池田勇人首相への政治献金を約束した鹿島建設電源開発が結託して官製談合を行った可能性があるとして、国会で田中彰治代議士が追及。だが、首相秘書官だった中林恭夫が不自然な死を遂げ、問題はうやむやになった。
 石川達三は『金環蝕』として小説化し、映画化もされた。


■【外交・安保取材の現場から】「韓国を甘やかし過ぎ、中国に物を言わなさ過ぎ」と日本政府関係者 日中韓サミット必要か 
http://www.sankei.com/premium/news/171122/prm1711220007-n1.html

「今後、日中韓サミットを早期に開催して、李克強*4首相の訪日を実現し、その後、私が訪中し、その後には習近平*5国家主席に訪日いただきたいと考えている」
 安倍晋三首相は20日の衆院本会議で日中韓サミットについてこう語った。
(中略)
 そもそも日中韓サミットは何のための会議なのか。
 日中韓サミットは麻生太郎*6政権下の平成20年12月、福岡県太宰府市で、中国の温家宝*7首相と韓国の李明博*8大統領を迎えて初めて開催された。それまで国際会議にあわせた3カ国首脳会議はあったが、3カ国首脳だけに特化した会議を開いたことはなかった。
 会合後の共同記者会見で、当時の麻生首相日中韓サミットの意義について問われ、「歴史の必然と言えるのかと思っています」と答えていた。
(中略)
 麻生氏はこう続けた。
 「3カ国は政治的にも経済的にも非常に大きな存在となっています。この3カ国を合わせた経済力の大きさからいきましても。これまで隣同士の3カ国首脳が会うことがなかったことがむしろ不思議なことでありまして。3カ国が手をつないでやっていくということは非常に大きな意義があると思っていますし、未来志向の枠組みで対話をスタートさせることは画期的な意義があると思っています」

 まあ当然の話でしょう。

 安倍首相は11日に訪問先のダナンで習主席、13日にはフィリピン・マニラで李首相と相次いで会談し、関係改善に向けた協力を確認した。ところが、安倍首相は文氏*9とは会談しなかった。
(中略)
 安倍首相をはじめ日本政府は、トランプ氏がソウルを訪問した際の出来事に怒り心頭となった。
 韓国大統領府は7日に主催した晩餐会で、韓国が不法占拠する竹島の韓国側呼称「独島」の名前を冠したエビのあえ物を出し、元慰安婦を招待した。
(中略)
 ただ、韓国が日本の神経を逆なでるのは、晩餐会問題だけでない。一昨年の慰安婦問題をめぐる日韓合意の精神に反して、韓国内ではソウルの日本大使館前にとどまらず、各地で慰安婦像設置が後を絶たない。しかも、慰安婦像を保護する地元自治体まで現れた。
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶(旧称・記憶遺産)」についても、日韓合意は国連などでの非難・批判を控えるとしているが、韓国の女性家族省は、登録が見送られた韓国などをふくむ8カ国・地域の民間団体が申請した慰安婦関連資料の登録を支援する動きを見せている。

 「うわ、けつの穴小さい。なにこの馬鹿首相」と心底呆れます。まあ、中国と韓国に対する対応の違いはそれだけではなく「大国中国へのおびえ」&「韓国を目下扱い」てことでしょうが。

 最近、日韓外交を担当した日本政府関係者*10がこう漏らしたのを聞いた。
 「日本は韓国を甘やかし過ぎ、中国には物を言わなさ過ぎた」
 この関係者に、日中韓サミットは開催する必要があるのか聞いてみた。明確に肯定することもできず、口ごもっていたのが印象的だった。 

 産経が馬鹿なのは今更どうこう言う気もない。日本政府が馬鹿なのは勘弁してほしいですね。まあ少なくとも「産経の期待に反し」さすがに安倍や麻生が公然と「日中韓サミットなんかしない」と公言することだけはないでしょう。

【追記】
NHK『公明 山口*11代表が韓国大統領と会談“日中韓首脳会議に協力を”』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171123/k10011233231000.html

 韓国を訪れている公明党の山口代表は、ソウルの韓国大統領府でムン・ジェイン文在寅)大統領と会談し、日中韓3か国の首脳会議の日本での早期開催に協力を求めたのに対し、ムン大統領は「一日も早く日本を訪れたい」と応じました。
 この中で、山口代表は、安倍総理大臣からの親書を手渡したうえで、「日中韓サミットをできるだけ早く開催したいので、ぜひ日本を訪れてもらいたい。未来志向の関係に向けた新たなスタートにしたい」と述べ、日中韓3か国の首脳会議の日本での早期開催に協力を求めました。
 これに対し、ムン・ジェイン大統領は「一日も早く日本を訪れたい。中国の習近平国家主席にも日中韓サミットの早期開催を働きかけた」と応じました。


■【矢板明夫*12の中国点描】ズバリ習近平主席の笑顔にだまされるな
http://www.sankei.com/premium/news/171122/prm1711220008-n1.html

 安倍政権の対中政策は発足した当時からほとんど変わっていない。にもかかわらず、習氏はなぜ日本に対する態度を急に軟化させたのか。理由は複数ある。10月下旬に日本で行われた総選挙で自民党が圧勝し、中国が期待していた政権交代*13は当分望めないことのほか、習政権が推進している経済圏構想、一帯一路に、資金とノウハウを持つ日本を誘い込みたい思惑があるとも指摘される。それよりもっと重要なのは、中国を取り巻く外交環境が最近、著しく悪化していることだ。

 産経的には「安倍総理は変化してない、中国が一方的に屈服した」ということにしないといけないんでしょうが、まあ、明らかに事実に反しますよねえ。

 3年前のAPEC当時と比べて最も大きく変化したのは、中韓関係だ。高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備問題をめぐり、蜜月だった中韓関係が一気に冷え込み、対立が長期化した。

 事情はともかく、最近サード問題では一定の和解が中韓間に成立しています。産経がいうほど対立しているわけではない。

 もう一つの大きな変化は、南シナ海だ。16年7月、国際仲裁裁判所の裁定で中国が完敗し、国際社会から中国による人工島建設を批判する声が高くなった。

という産経ですが、南シナ海での紛争当事者であるフィリピン、ベトナムはAIIBに参加し、一帯一路も支持しています。産経がいうほど反中国ではない。フィリピンも裁定結果を闇雲に振り回すようなことはしていません。「中国のフィリピン経済支援」とのバーターで、事実上棚上げにしている。

そして、中国とインドとの関係も悪くなっている。中国とブータンの国境付近で、人民解放軍とインド軍がにらみ合い、一触即発の状況が2カ月も続いた。

とはいえ結局軍事衝突はしないわけです。産経がいうほど中印間の関係が深刻なわけでもない。

*1:吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相などを経て首相

*2:吉田内閣蔵相、通産相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*3:岸内閣郵政相、自民党政調会長(池田総裁時代)、池田内閣蔵相、自民党幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣通産相などを経て首相

*4:中国共産主義青年団共青団)中央書記処第一書記、河南省長、党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*5:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*6:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二次〜第四次安倍内閣副総理・財務相

*7:党中央弁公庁主任、副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*8:ソウル市長を経て大統領

*9:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*10:て誰よ?。外相の河野太郎

*11:公明党参議院国会対策委員長参議院政策審議会長、政務調査会長などを経て代表

*12:著書『習近平:なぜ暴走するのか』(2014年、文春文庫)、『習近平の悲劇』(2017年、産経新聞出版

*13:いや安倍退陣(自民党内からのポスト安倍)は期待しても政権交代までは期待してないでしょう。