今日の産経ニュース(11/26分)(追記・修正あり)

■午後4時過ぎから「終わりにしよう天皇制」デモが 立川では車両損壊事件も 警視庁が厳戒警備 東京・千駄ケ谷
http://www.sankei.com/life/news/171126/lif1711260028-n1.html
 この記事タイトルではまるで天皇制反対デモ参加者が車両を損壊したかのようですが、話は全く逆で

 東京都立川市の「防災航空祭」に合わせて行われた反天連系の団体デモでは、右翼団体「大日本国士団」の会長らが、反天連系団体の街宣車のフロントガラスを割ったとして、警視庁公安部が暴力行為処罰法違反容疑で、26日までに3人を逮捕している。

というのだからいつもながら産経には呆れます。


■反天連が渋谷区でデモ 「民主国家に天皇制いらない」シュプレヒコールに右派駆けつけ罵声
http://www.sankei.com/life/news/171126/lif1711260041-n1.html

 友達と原宿に来たという中学3年生(15)は「言いたいことがあれば、辻立ちして演説すればいいのに、車の通行を止めてまでデモやって、天皇制やめろなんてばかみたい」と憤慨していた。

 おいおいですね。
 この発言は「車の通行を止めて」云々という内容上「右翼デモも含むデモ全否定」になるわけですがそれが産経の立場なのか。
 つうかこんなんまともな記者なら記事にしませんよ。


■立民・長妻昭*1代表代行「森友、徹底的に解明する」 自民・田村憲久*2政調会長代理「昭恵夫人の国会招致は必要ない」
http://www.sankei.com/politics/news/171126/plt1711260010-n1.html

 田村氏は「昭恵夫人から最も話を聞いている首相がしっかり説明する。政治家以外の招致は慎重であるべきだ」と述べた。

 政治家でもない籠池を国会に呼んだ自民党が良くもこんなことがいえたもんです。


■【平成30年史 デフレの呪縛(1)】食卓からモヤシが消える 過度な安売り 生産者・物流業者圧迫
http://www.sankei.com/premium/news/171126/prm1711260026-n1.html

 8月25日、千葉市美浜区のイオンスタイル幕張新都心。この日からイオングループプライベートブランド(PB)の食品や日用品など計114品目を値下げしたため、開店から多くの客が訪れた。20%値下げされたモヤシを手に取った60代の主婦は、「値下げはうれしい。生産者の経営が苦しいとは知らなかった」と話した。
 消費者の節約志向は根強い。それに応えるため、イオンだけでなく、流通各社は競うように値下げに踏み切っている。西友も食品や日用品などを11月17日に値下げした。値下げは8月から毎月実施し、割安感を打ち出すのに必死だ。
(中略)
 居酒屋や牛丼店などが低価格を競う“外食デフレ”の結果、アルバイトやパートの時給は長らく抑えられてきた。人材サービスのリクルートジョブズ(東京都中央区)によれば、平成23年1月まで三大都市圏(首都圏・東海・関西)のアルバイト・パートの平均時給は17カ月連続でマイナスを記録した。

 もちろんこうなるのは「景気が悪いから」です。
1)景気が悪いから給料が上がらず、その結果、消費者は生活防衛のため、低価格商品を求め
2)低価格商品だからこそ景気が上向かず
3)景気が上向かないから消費者は低価格(以下略)
という悪循環になってるわけです。
 アベノミクスの「株価高」の恩恵を受けてる「株大量保有者」や「株式投資者」はともかく一般サラリーマンは給与があがらず、にもかかわらず消費税増税など国民負担増では生活防衛するしかない。
 「アベノミクスは成功してる」と叫び声につられて大量消費するほど消費者も脳天気ではない。
 生活防衛するしかないということが「アベノミクスの失敗」を証明しているわけです。


■【井上章一*3の大阪まみれ】秀吉との戦い、「局地戦の勝者*4」だった家康
http://www.sankei.com/west/news/171126/wst1711260006-n1.html
 ちなみにウィキペ「小牧・長久手の戦い」によれば、ここで井上氏が指摘している理由(小牧・長久手だけで戦闘が行われたわけではない、『小牧・長久手』の強調は『小牧・長久手の局地戦』では勝利した徳川家康賛美の政治性の疑いがある)から、まだ少数説ですが『天正十二年の東海戦役』など別の呼び方を主張する説もあるようです。


■「速く弁当食べられる人ほど仕事できる」日本電産・永守氏が講演
http://www.sankei.com/west/news/171126/wst1711260021-n1.html
 日本電産てのはまともな会社なのかと呆れますね。
 本気で言ってるならばかだし冗談でも面白くない。もちろん「休日ならまだしも、仕事のある平日に必要以上に食事に時間をかける*5」のも馬鹿げていますが、弁当の早食いと仕事の善し悪しと関係ないでしょう。本気でそう思うならテレ東の早食い選手権の選手でもスカウトすればいい(皮肉のつもり)。
 「忙しいから早食いせざるを得ない」なんてのはもちろん「早食いがいいこと」には全くならない。
 理想論ではありますがその場合「早食いせざるを得ない状況」を変えるべきであって「皆で早食いしよう、早食いできない奴は努力が、仕事への熱意が足りない」つう話ではない。
 大体、早食いなんか健康に良くないですからね。ゆっくり食べた方が健康にはいい。
 弁当云々なら、まだ「自分で弁当を作って来る人は仕事ができる」の方がいくらかましというか説得力があるでしょう。朝の忙しいときに弁当を作ってくるつうのはそれなりの手際の良さが求められますからね。
 まあ料理の手際の良さと、会社勤めでの仕事の手際の良さは必ずしもイコールじゃないでしょうけど。 

 日本電産に入社してくる新人社員が英語が話せなかったり、経済学部出身でも経済を理解していなかったりしたことなどを指摘し、「入社後に育てるのではなく、大学で教育して即戦力で入社してもらう必要がある」と説明した。

 これまた「おいおい」ですね。「経済学部卒なのに基本的な経済知識がない」だの「英語学部卒なのに英語が苦手」だのも困りものですが、一方で大学は必ずしも企業の即戦力を育てるためにあるわけではない。企業が新入社員を自前で育てていくのは当たり前の話でしょう。
 そんなに「大学卒の即戦力」がほしいならそれこそ「日本電産大学(仮称)」でも作ればいい。
 つうか

 来年度から京都学園大理事長に就任する精密小型モーター大手、日本電産京都市南区)の永守重信会長兼社長が25日、同大京太秦キャンパス(右京区)で講演会を行った。

ということは京都学園大が「日本電産大」になるんですかね。


■【田村秀男*6の日曜経済講座】インフレ目標2%は非現実的 カネを増やしても物価は上がらない
http://www.sankei.com/premium/news/171126/prm1711260018-n1.html 
 今頃になってアベノミクスを持ち上げてきたことに対する「反省の弁もなく」こんなことを書く田村もいい度胸をしていますが、さすがに「インフレ目標2%」という安倍政権の主張が実現不可能であることを認めざるを得ないと考えたのでしょう。


■【主張】米国の慰安婦像 歴史戦の構図に目向けよ
http://www.sankei.com/column/news/171126/clm1711260002-n1.html

 考えるべき点は、戦後70年もたって、史実に基づかない*7慰安婦問題」を持ち出すねらいはどこにあるかである。

1)冷戦崩壊前(韓国民主化前)は「韓国は軍事独裁政権(朴チョンヒ政権、全斗煥政権)の圧力」で慰安婦問題での日本批判なんかとてもできなかった
2)そうした圧力がない国も「文革の混乱(中国)」など諸事情で日本批判なんかしてる余裕なかった
3)しかし1990年代になると「冷戦崩壊による民主化」「経済成長により生活の余裕がでた」などで日本批判する余裕が出てきた。その結果、宮沢*8政権時に日本批判が起こり、日本も河野*9談話(宮沢政権時)やアジア女性基金(村山政権時)で「100点満点ではない*10にせよ」それなりに対応した
4)しかしそれを安倍がぶち壊しにして改めて慰安婦問題での日本批判が巻き起こった
つう話です。
 大体「事件発生から何年もたってから問題追及」なんて探せば慰安婦問題以外にもいくらでもあります。「ハンセン病差別やアスベスト被害での日本政府に対する国家責任追及」なんかその一例です。ハンセン病差別もアスベスト被害もその発生は今からずっと昔です。しかし「それが本格的に追及されるようになった」のは割と最近です。

【参考】

■日本のハンセン病問題(ウィキペ参照)
・1958年(昭和33年)には東京で開かれた第7回国際ハンセン病学会で強制隔離政策をとる政策を全面的に破棄するよう、日本は批判されたが、国は全く聞き入れようとしなかった。
・1996年(平成8年)4月1日に施行された「らい予防法の廃止に関する法律」により、「らい予防法」は1907年(明治40年)に制定されてから89年後に廃止された。
・1998年(平成10年)に、国立ハンセン病療養所(星塚敬愛園・菊池恵楓園)の入所者13名(平均年齢は当時71歳)が国を相手取り「『らい予防法』違憲国家賠償請求訴訟」を熊本地裁に提訴した。2001年(平成13年)5月11日に、熊本地裁は国の隔離政策の継続は違憲であると判断した。同年5月23日には、当時の小泉純一郎*11首相が政府は控訴しないと表明した。これを受けて、政府はこれまでのハンセン病政策に対して責任を認めて謝罪した。同年6月22日にハンセン病補償法(「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」)が成立し、裁判に参加した元患者らには800万〜1400万円の賠償金(補償金)が支払われた。なお、裁判に参加しなかった元患者らには同額の補償金が支払われた。

アスベスト問題(ウィキペ参照)
・空気中のアスベストが人体に有害であることを指摘した論文はすでに1964年の時点で公開されている(水道水には通常、アスベストが含まれているが無害であると言われている)。日本でも1975年9月に吹き付けアスベストの使用が禁止された。
・2005年にはアスベスト原料やアスベストを使用した資材を製造していたニチアス、クボタで製造に携わっていた従業員やその家族など多くの人間が死亡していたことが報道された。クボタについては工場周辺の住民も被害を受けているとの報道もあった。その後も、造船や建設、運輸業(船会社、鉄道会社)などにおける石綿作業者の健康被害が報じられ、2005年7月29日付けで厚生労働省から平成11年度から16年度までの間に、全国の労働基準監督署において石綿による肺癌や、中皮腫の労災認定を受けた労働者が所属していた事業場に関する一覧表が公表された。
参議院本会議は2006年2月3日、「石綿による健康被害の救済に関する法律」と「被害防止のため石綿の除去を進める関連3法(改正法)」を自民、公明などの賛成多数で可決・成立した。
 これにより、アスベストによる健康被害を受けた患者や死亡者に対して医療費や弔慰金などが支給される。給付額は政令により定められ、死亡した被害者の遺族には特別弔慰金280万円と葬祭料約20万円の計約300万円、治療中の被害者には医療費の自己負担分と月額約10万円の療養費の給付などが可能となった。しかし生前に認定の申請が行われていなければ、救済支給はされないことなど、全ての被害者を救済するものになっていない。そのため、訴訟や「法改正を求める運動」が今も続いている。

 「諸事情で問題発生直後に追究できなかったが、暫くたってから追究できるようになった」なんてもんは何度も言いますが慰安婦以外にも「日本でのアスベスト問題やハンセン病差別」など、「探せばいくらでもある」し、その場合、狙いとは「泣き寝入りしたくないから」にすぎません。
 慰安婦問題において産経のいうような「いかがわしい狙い」なんかどこにもない。

 女性3人が手をつないでいる像は中国、韓国、フィリピンの慰安婦をイメージしたとされる。この3カ国*12と日本を対立させる構図が透けてみえる。

 本気か「嘘を嘘と知りながら嘘を公言してる」のか知りませんが、認識が酷すぎて呆れますね。
 何を根拠に「慰安婦問題で日本政府(というか安倍政権)に否定的、批判的な中国、韓国、フィリピン人の言動は政府の意向を受けてる。その政府の意向は日本とこの3カ国の離反」と理解できるのか。
 もちろん産経がこういう馬鹿なことをいえるのは産経にとってチベット問題が人権問題ではなく「中国たたきのネタ」「日中友好の破壊」でしかないからでしょう。自分が「人権問題を口実にした日中友好の破壊」をやってるから、他人も同じことをやってると思ってしまう。
 そもそもこうした事態になったのは「河野談話を否定しようと公然と画策している安倍が首相になったから」です。
 安倍以前はこうしたことはなかった。
 そこからして「この3カ国と日本を対立させる構図」という認識がおかしい。
 また「百歩譲って」、産経らのいうように、仮に銅像設置派にそうした「下心がある」にせよ「河野談話否定論の方がデマ」なんだからデマを放言してたたきネタをわざわざ作る産経や安倍政権の方がおかしい。

*1:鳩山、菅内閣厚労相民進党代表代行(岡田代表時代)、選対委員長(前原代表時代)などを経て立憲民主党代表代行

*2:小泉内閣厚労大臣政務官、文科大臣政務官、第一次安倍内閣総務副大臣、第二次安倍内閣厚労相を歴任。

*3:著書『戦時下日本の建築家』(1995年、朝日選書)、『美人コンテスト百年史』(1997年、朝日文芸文庫)、『つくられた桂離宮神話』(1997年、講談社学術文庫)、『日本に古代はあったのか』(2008年、角川選書)、『日本人とキリスト教』(2013年、角川ソフィア文庫)、『伊勢神宮と日本美』(2013年、講談社学術文庫)、『増補新版・霊柩車の誕生』(2013年、朝日文庫)、『京都ぎらい』(2015年、朝日新書)、『関西人の正体』(2016年、朝日文庫)、『阪神タイガースの正体』、『美人論』(2017年、朝日文庫)など

*4:確かに家康の過大評価は適切ではないでしょうが、一方で明智光秀柴田勝家とは違い秀吉に滅ぼされなかったことや、五大老として豊臣政権の中枢にいたことも重要な事実でしょう。

*5:まあ、そんな人間もあまりいないでしょうけど。

*6:著書『人民元・ドル・円』(2004年、岩波新書)、『経済で読む「日・米・中」関係:国際政治経済学入門』(2008年、扶桑社新書)、『世界はいつまでドルを支え続けるか』(2009年、扶桑社新書)、『消費増税の黒いシナリオ:デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(2014年、幻冬舎ルネッサンス新書)、『人民元の正体:中国主導「アジアインフラ投資銀行」の行末』(2015年、マガジンランド)など

*7:河野談話慰安婦制度の違法性を認めており」かつ「慰安婦銅像設置者の認識は河野談話と同じ」である以上「河野談話否定」の立場に立たない限り「史実に基づかない」とはいえません。そして産経はともかく建前では安倍政権は「河野談話堅持」なのだからもちろん「史実に基づかない」とはいえる話ではありません。

*8:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相

*9:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長など歴任

*10:100点満点ではないからこそ橋本内閣時(1996年1月〜1998年7月)に国連クマラスワミ報告(1996年4月)が、小渕内閣時(1998年8月〜2000年4月)に国連マクドーガル報告(1998年8月)がでます。とはいえ橋本、小渕氏は安倍に比べればずっとましですが。

*11:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*12:この3カ国で特に慰安婦問題を追及する世論が大きいということでしょうか。もちろん「フィリピン以外の東南アジア(インドネシア、マレーシアなど)」「台湾(それともこの『中国』には台湾も入ってるんでしょうか?)」などこの像が前提にしてない3か国以外にも慰安婦はいますが。