今日の産経ニュース(11/20分)(追記・修正あり)

希望の党 小池百合子*1前代表を特別顧問に
http://www.sankei.com/politics/news/171120/plt1711200032-n1.html
 代表を辞めたので完全に手を引くかと思いきや、「特別顧問」だそうです。中途半端な話です。


ロヒンギャ問題で人道支援 試される日本外交 ミャンマーに巨額援助の中国牽制なるか つなぎ止めに苦慮
http://www.sankei.com/politics/news/171120/plt1711200006-n1.html
 「日本がミャンマー経済支援をやめても中国が支援するだけだから無意味」てそれ「中国が北朝鮮を支援してる」北朝鮮問題でも同じことじゃねえのか、その理屈なら北朝鮮制裁を日本はやめるべきだし、北朝鮮制裁つづけるなら「中国にミャンマー制裁を強く要求した上で」ミャンマーも制裁すべきじゃねえのか、ですねえ。
 まあ、実際には中国がどうこうというより「ミャンマーに進出した日本企業の利益を守る」つう話でしょうけど。


■【主張】国連対日「報告」、人権を蹂躙する国に言われる筋合いはない 「慰安婦」めぐる捏造の撤回求めよ
http://www.sankei.com/column/news/171120/clm1711200002-n1.html
 「慰安婦への経済補償が不十分」「学校の歴史教育慰安婦問題をきちんと教えるべき」などといった「日本の慰安婦問題の対応への評価*2はともかく」、事実認識慰安婦戦争犯罪)は全て「河野談話と同一の見解にたってる」ので「河野談話を堅持する日本」にとって捏造などどこにもありません。
 「河野談話を出した後、日本の努力が足りない*3」つうような内容の訳です。
 まあ産経は河野談話自体が捏造の産物と無茶苦茶言い出すわけですが。
 「中国や北朝鮮」が人権を蹂躙してようが彼らは慰安婦の被害国なんだから「日本の慰安婦問題での態度」で批判を行うのは当然です。
 産経のいってることは「暴力団員や極左暴力集団革マルなど)の構成員なら、人権侵害されても文句言うな」レベルの暴論です。相手が誰であろうと人権侵害に抗議する権利があるのは当然のことです。
 また、慰安婦問題で日本批判してるのは中国、北朝鮮だけでもない(例:韓国)。
 そして「中国や北朝鮮の人権問題」については別途国連も批判しています。何も国連は中国など特定の国のいいなりに動いてるわけではない。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」事業では、中国が申請した「南京虐殺文書」が登録され、撤回されていない。なぜ政府は毅然(きぜん)と事実を突き付けないのか。

 「南京事件は実際に存在したし、中国が登録申請した資料もその資料的価値に何ら問題がないから」つうだけの話です。


■【紅い統一工作(下)】クリミア併合を研究せよ 台湾支配へハイブリッド戦争
http://www.sankei.com/world/news/171120/wor1711200005-n1.html

中国の習近平*4指導部が昨年春、中国社会科学院など複数の政府系シンクタンクや対外交流団体などに、内部指令を出した。
 「ロシアによるクリミア併合を研究せよ」
(中略)
 研究成果は外部に発表せず、内部資料として党中央に提出するよう厳命された。

 「研究成果は外部には発表されない」のになぜそんな研究があったことがわかるのかって話です。
 まあ、信憑性は全然ないですね。

 習近平指導部は、ロシアがクリミア併合で用いた「ハイブリッド戦争」にも高い関心を示しているという。「ハイブリッド戦争」とは、特殊部隊や民兵を駆使し、情報操作や政治工作、経済的圧力など、さまざまな非軍事的手段で相手を攪乱する新しい作戦形態を指す。

 おいおいですね。
 戦争でないことを「戦争呼ばわり」するのはいかがなものなのか。
 この理屈なら米国による北朝鮮やロシアへの制裁も「ハイブリッド戦争」になるでしょう。
 そもそもロシアの場合「ハイブリッド戦争」という言葉が出てくるのは「クリミア侵攻という戦争」が政治工作とセットになってるからでしょう。
 それにしても「ハイブリッド戦争」なんて「産経の説明を聞く限り」何ら新しくないですね。戦争をするときに軍事攻撃とは別途「政治工作や経済工作」をするなんてのは昔から珍しくない。たとえば、「日露戦争でのいわゆる明石工作(ロシアの反体制派に金銭支援したものの、あまり成果はなかったようですが)」「日中戦争での汪兆銘工作」「太平洋戦争での大東亜会議」なんかもハイブリッド戦争になるのか。産経の説明だとそうなるでしょう。

 ある台湾の外交関係者は「中国が本格的に台湾にハイブリッド戦争を仕掛け始めている」と指摘し、3種類の実例を挙げた。
 中国は今年5月、世界保健機関(WHO)総会への台湾代表の出席を阻止した。11月18日に閉幕した国連気候変動枠組み条約第23回の締結国会議(COP23)でも、会議事務局に圧力をかけ、台湾の閣僚の参加を阻んだ。
 これらは、政治力を行使して台湾を国際会議から締め出し、孤立させようという外交面での工作だ。
 軍事面での挑発も増えている。中国は1月に空母「遼寧」を台湾周辺で航行させた。中国の軍用機による台湾の防空識別圏への侵入も急増した。台湾の民衆に心理的圧力を加える目的がうかがえる。
 そして最近、執拗に行われているのが、ロシアがウクライナに頻繁に仕掛けたサイバー攻撃だ。

 是非はともかく*5全て戦争と呼べる代物ではない。むしろ「台湾が独立宣言を強行→独立宣言を封じるため、常日頃、独立宣言すれば軍事侵攻もあり得ると公言してるので、欧米の反発を恐れ、軍事侵攻したくないが、国内のタカ派を抑え込むためにも侵攻せざるを得ないジレンマに陥る」ことを恐れての牽制でしょう。

 台湾の若者への懐柔も中国の統一工作の重要な一環である。
「私は台湾独立派だけど、中国大陸はチャンスが多い。機会があれば中国で就職したい」
 台北大学4年の葉依●(21)は、あっけらかんと話した。7月に中国広東省政府と中台の起業家らが共同で開いた、台湾の学生向け就職説明会に参加した。副総統などを務めた野党、中国国民党の蕭万長*6が団長を務め、大学や高等専門学校20校から学生約190人が広東省東莞を訪れた。
 2泊3日で高級ホテルに宿泊。東莞の国際展示場では、家電大手ハイアールや大手銀行、航空会社など中国企業約280社が訪問団のためだけにブースを準備した。滞在中の費用は主催者が全額負担した。
 葉は民主化後の台湾で育ち「天然独(生まれながらの台湾独立派)」を自任していた。台湾人は中国当局や中台統一派が主張するような「中華民族の一員」ではなく、「文化、価値観から生活習慣まで全て異なる、中国人とは別の民族」とまで言い切る。それでも説明会には「心を動かされた」という。
 北京で企業研修を体験した台湾大学4年の李政軒(21)は「中国にいくことにリスクはあるが、能力さえあれば給料が上がるのが魅力的だ」と語り、真剣に就職を検討しているという。

 中国政府も「中台経済関係は大事」だから

「独立宣言なんか支持しません。現状だって独立しているようなもんだから現状維持でいい」

あるいは

「すぐは無理でも将来的には統一を目指すべきだと思います」

つう台湾の若者は増やしたいとは思ってるでしょう。たださすがに「軍事侵攻による統一を支持します」なんて若者が増えるとは思ってないでしょう。
 そもそも

「独立宣言なんか支持しません。現状だって独立しているようなもんだから現状維持でいい」

あるいは

「すぐは無理でも将来的には統一を目指すべきだと思います」

つう台湾の若者が増えれば軍事侵攻する必要も少ないわけです。
 いずれにせよこうした「経済交流による独立宣言封じ込め」はそれこそ「軍事侵攻などほとんど考えてないこと」の証拠でしょう。
 大体、蕭万長元副総統が関与してる事業がそんなに物騒なわけもない。
 なお、経済交流が進めば進むほど、経済交流の利益を失うことを恐れて、「台湾は独立宣言ができなくなりますが」、一方で中国も台湾と同様の理由から「台湾への軍事侵攻なんかできなくなる」わけです。台湾に不利益ばかりがあるとはいえません。

*1:小泉内閣環境相、第1次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事

*2:評価というのは価値観の問題なので捏造という話ではないでしょう。

*3:クマラスワミ報告が出たのが橋本内閣時代であることでわかるように、安倍が首相になる以前から慰安婦問題での日本に対する国際的評価ははっきり言って良くありませんが、安倍の総理就任によって最悪の評価になったといっていいでしょう。

*4:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*5:まあほかの二つはともかく、サイバー攻撃についていえば産経はこの記事において「中国の犯行」とする根拠を提示していませんが。

*6:首相(李登輝政権)、国民党副主席(連戦主席時代)、副総統(馬英九総統時代)など歴任