新刊紹介:「経済」8月号(その2:一帯一路特集号・その2)

「経済」8月号について、http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180716/5421309876で書き切れなかったのでこちらにも書いておきます。俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/

特集「中国経済と「一帯一路」構想」
■中国の「一帯一路」構想と現段階の課題:南西アジア中央アジアに関連して(西海敏夫)
(内容紹介)
 インドが「カシミール問題での対立など」から一帯一路に距離を置いているが、南西アジア中央アジアの他国においては概ね支持されていることが指摘される。
 なお、そのインドにおいても「AIIBには参加しており」、インド・中国関係を産経などのように対立のみで理解することも適切でないとされる。 

参考
【西南アジア】

https://www.sankei.com/world/news/180626/wor1806260041-n1.html
■産経『一帯一路は「拒否」、AIIBは「歓迎」 インド「バランス外交」でしたたかに利益狙う』
 インドは、中国が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」への参加を一貫して拒絶しつつ、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の融資は歓迎している。
「AIIBによるインフラ投資は、何十億という人々の生活に好影響を与えるだろう」
 モディ首相は26日の演説でAIIBをこう称賛。「世界が成長するエンジン」とも持ち上げ、AIIBの金立群総裁は満足げな表情を浮かべた。
 この熱烈な賛辞は一帯一路には、ついぞなかったものだ。領土問題で冷え込んだ中印関係は、4月に行われた非公式の中印首脳会談を経て“雪解け”ムードも漂ったが、今月上旬に開かれた上海協力機構*1(SCO)首脳会議では参加国で唯一、一帯一路に支持を表明しなかった。
 中国は、一帯一路関連プロジェクトを通じて、インドの宿敵パキスタンを支援。インド洋諸国への影響力強化も顕著だ。「基本的に一帯一路はインドと相いれないだろう」と、ラジブガンジー大学のサウラブ・サルマ准教授(政治学)は解説する。
 一方で、未熟なインフラはインドの頭痛の種であり続けている。インド財務省は整備のために今後10年間で計4兆5千億ドル(約492兆円)の資金が必要と見積もる。87の参加国があり、欧州の人材も幹部に入るAIIBは一帯一路に加わるより、ハードルが低い。ゴヤ財務相は「インフラ整備は不可欠であり、あらゆる機関の協力を仰いで進めていかなくてはならない」と強調する。
 実際、インドは日米が主導するアジア開発銀行(ADB)からも、向こう5年間で計200億ドル(約2兆2千億円)を受け取る見通しだ。AIIBとADB双方から最大限融資を引き出したい意向が見える。
 AIIB側も思惑がある。インドとの連携が深まり、インドが第2位の出資を続けることで、「中国の金融機関」という印象が薄まるとの計算が働く。「中国支配」を懸念して日米が加盟を見送る中、今回の総会をインドで開催した狙いもそこにある。
 ただ、一帯一路とAIIBで分かれるインドの対中姿勢については、総会の記者会見でもたびたび質問に上がり、インド政府幹部はそのたびに釈明に追われた。サルマ氏は「インドはバランスを取って支援を引き出したい意向があるが、過度の中国接近には国内に拒否反応もある」と指摘。モディ氏には絶妙な外交手腕が要求されることになりそうだ。

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2018/01/0125.html
NHK(2018年1月25日(木)放送)『インドが中国「一帯一路」に対抗 「アクト・イースト」政策』から一部紹介
花澤雄一郎アナウンサー
「インドのモディ*2政権が、経済と安全保障の両面で中国に対抗する姿勢をあらわにしています。」
増井
「本格的に動き出した東南アジアとの関係を強化する『アクト・イースト』が、その戦略です。」
松岡忠幸アナウンサー
「インドは中国に次いで、人口が13億を超える大国です。
 ところが、急速に経済成長するインドは、中国への警戒感を強めています。
 中国は巨大な経済圏構想『一帯一路』の実現に向けて、中東へのシーレーンの要衝となる国々で、インドを取り囲むように、港などインフラを次々と整備。
 こうした港には、タンカーや貨物船だけでなく、中国海軍の艦船も寄港させています。
 反発するインドのモディ首相は去年(2017年)、北京で開かれた『一帯一路』のフォーラムをボイコットしました。
 そのモディ首相が進めるのが、『アクト・イースト』。
 東南アジア各国との政治的・経済的なつながりを強化しようという戦略です。
 また、インドを中心に、東南アジアからヨーロッパやアフリカを結ぶ巨大な経済圏構想も計画されていて、中国の『一帯一路』構想と似ています。」
■リポート:太勇次郎支局長(ニューデリー支局)
 一方、インドは軍事面で中国への警戒を強めています。
 「一帯一路」の要衝、隣国・スリランカコロンボです。
 中国企業が日本円で1,600億円を投資し、巨大な港湾都市の建設を進めています。
 港では数年前から、中国の潜水艦が目撃されるようになりました。
 中国は、スリランカパキスタンに巨額の経済支援をする一方、潜水艦を相次いで寄港させています。
 インド政府は、中国が港の軍事利用を既成事実化しようとしているとみています。
 こうした動きに対して、インド軍は不信感をあらわにしています。
 これに対してモディ首相は、海軍力を大幅に強化する方針です。
 先月にはモディ首相も立ち会って、国内で初めて建造された潜水艦がお披露目されました。
 さらにインド政府は、内陸の山岳地帯でも中国軍の動きを警戒しています。
 去年6月、中国とブータンの係争地で中国が道路建設を進め、インド軍は隣接するシッキム州に部隊を展開。
 中国とインドの両軍は2か月にわたってにらみ合いました。
インド軍 ラワト参謀長
「中国からの脅威に対応しなければならない。
 これまでは西(パキスタン)を警戒していたが、北(中国)の国境にシフトする時がきた。
 準備を急がなければならない。」
増井
「取材した、ニューデリー支局の太支局長に聞きます。
 インドは中国に対して、経済でも軍事でも対抗していこうということなのでしょうか?」
太勇次郎支局長(ニューデリー支局)
「今のところ、インドは中国に対する警戒を強め対立はするものの、衝突は避けようと努めています。
 中国はインドの主要な貿易相手国で、これまでインド政府の関係者が表立って中国を批判することはほとんどありませんでした。
 しかし、最近のインド洋での中国海軍の動きや、去年の国境地帯での軍事的緊張、さらには『一帯一路』を口実にインド包囲網を構築するような動きに反発して、中国を警戒し、非難する発言が頻繁に聞かれるようになりました。
 特に、国境地帯で両軍がにらみ合った時には、衝突の一歩手前だったとインド政府の関係者は話していました。
 このため、インドの安全保障担当のドバル首相補佐官は、先月、ニューデリーで、中国の外交を統括する楊潔チ国務委員と戦略対話を行い、緊張の緩和と偶発的な衝突の回避について話し合いました。
 その一方で、インドは今後の不測の事態に備えて、中国を意識した軍事力の強化を急いでいます。」
花澤
「それにしてもインドの姿勢は大きく転換しましたよね。
 ここまでの転換、その背景には何があるのでしょうか?」
太支局長
「インドが、アメリカの影響力の低下を心配するようになったからです。
 リポートで紹介したフォーラムでも、このままでは中国がアメリカに取って代わる可能性があると指摘する声が出ていました。
 インドは今、外交で金科玉条としていた『非同盟・自主自立』の政策を事実上転換し、対中国を念頭に『国際協調路線』、価値観を共有する国と同盟関係に近い関係強化を進めています。
 『アクト・イースト』戦略で東南アジアや周辺国とのつながりを強化しているのも、その一環です。
 もちろん、東南アジアや周辺国の中には中国寄りの国もあります。
 ただ、つながりを作っておくことで、こうした国々が中国から圧力をかけられたり、主権を侵害されたりした場合に、中国とは異なるもう1つの選択肢として、インドに乗り換えてくれるよう準備をしているのです。
 さらに、日本やアメリカ、それにオーストラリアとの間でも、航行の自由や法の支配を基礎とする『自由で開かれたインド太平洋戦略』の実現に向けて、連携を強化しようとしています。
 アメリカのトランプ政権の下で、アメリカの影響力が低下したらインドはどのような役割を果たすべきか、今、インド自身が真剣に考えています。」
増井
「『アクト・イースト』、ますますインドは中国に対抗していく姿勢を強めているんですね。」
花澤
「中国とインドというのは戦略的には長い間、対立関係にあったんですが、インドはその間も、中国と良好な関係は維持するという方針でやってきたんです。
 その姿勢がここに来て急激に、大きく変わったなと感じます。
 日本、オーストラリア、そしてインド。
 中国が自信を深める中、各国が警戒を強めていく流れは、今後はさらに加速していきそうです。」

https://www.sankei.com/world/news/180113/wor1801130006-n1.html
■産経【紅い浸入 一帯一路の陰で(中)】中国マネー「風の門」一変 パキスタンの商業港に巨額投資
・何世紀にもわたって小さな村にすぎなかったその景観は、中国の巨額マネーで一変しようとしていた。習近平*3政権が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の戦略的要衝のひとつだからだ。
・中国は、西部の新疆ウイグル自治区カシュガルからグワダルに至る約3000キロに沿う地域を一帯一路のもとで「中国・パキスタン経済回廊」(CPEC)として開発支援し、中国からパキスタン全体に落ちるカネは、約600億ドル(6兆7000億円)といわれる。
 「この1年半で港の風景が急速に変わったのは、中国からの投資のおかげだ。CPECによって、われわれは電力危機からも解放された」とジャマルディニ氏は断言した。今後は診療所や職業訓練センターも設けられ、「地元は大いに発展していく」という。
・グワダルの東に位置するパキスタン最大の商業都市カラチの環状鉄道も、中国の存在感を示している。かつては地元住民の足だったが、経営が悪化したため1999年に運行が停止。今や線路に近隣住民が不法に住み着いている。
 日本の国際協力機構(JICA)が10年の工期で再建させる計画があり、調査まで行っていた。だが、最終的には昨年10月に中国が事業費2075億パキスタン・ルピー(2225億円)の大半を「中国・パキスタン経済回廊」(CPEC)の一部として支払うことで合意した。
 「それについては、われわれは選択の余地はなかった。投資してくれるところが中国だったということだ」と地元シンド州のフサイン・シャー鉄道相は説明する。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26073850U8A120C1FFE000/
■日経『動き出した中国〜パキスタン経済回廊:港湾、炭鉱などプロジェクト相次ぎ始動』
 中国が支援する総合インフラ開発計画「中国・パキスタン経済回廊(CPEC)」のプロジェクトが相次ぎ動き出した。発電所や港湾、高速道路などを整備し、パキスタンの経済成長を後押しするのが狙い。中国の成長に陰りが見え、パキスタン自身にも対外債務増加の懸念がある中、総額630億ドルの巨大プロジェクトは成功するのか。中国の経済外交戦略・一帯一路(OBOR)の最前線となるプロジェクトに世界が注目している。
 パキスタン南西部。岩山と砂漠に囲まれた漁村グワダルが巨大商工業地帯に生まれ変わりつつある。約4.1億ドルを投資した第1期工事では総延長660メートルのコンテナターミナルが完成。オフィス棟や税関などを備えた貿易ゾーンの工事も急ピッチで進む。港湾サービス大手・中国港控(COPHC)が建設・運営に当たり、約500人の中国人労働者を含む千人以上が働く。
 今後は水産加工施設や倉庫などを備えた物流センターをはじめ、湾岸高速道路や新空港、職業訓練校なども整備していく計画。「グワダル港はアフガニスタン中央アジアを結ぶハブとなるが、単なる貿易や物流の拠点ではない。輸出加工区を備えた工業団地に二輪車や電子部品工場を誘致して一大産業拠点を目指す」と、グワダル港湾局のドスタン・カーン・ジャマルディニ会長は強調、「港は中国だけでなく欧米やアジア企業にも活用してほしい」と話す。
 グワダルと並ぶCPECの目玉プロジェクト、タール炭鉱開発の現場はインド国境までわずか50キロの砂漠地帯。第2鉱区の巨大な露天掘り炭鉱を開発するのは大手財閥ダウード・ハーキュリーズ傘下のエングロ電力と中国機械設備工程(CMEC)などの合弁企業だ。
 炭鉱では大型ダンプトラックとパワーショベル数十台が24時間体制で掘削作業に当たる。パキスタンでは珍しい28人の女性ダンプ運転手も活躍中。
 石炭は3.5キロ先で建設中のパキスタン・中国合弁の火力発電所で利用し、2019年6月の発電開始を目指す。第1期の総投資額は約30億ドル。「CPECでは最大の民間投資案件」(エングロ電力のシャムスッディン・シェイク最高経営責任者)で、当初の640メガワットから将来は11基・計3630メガワットまで拡張する計画だ。
 しかしCPECには中国からの投融資が不可欠。20年から5年間で国際通貨基金IMF)への返済やユーロボンドの償還で70億ドル以上のキャッシュが必要となるパキスタンにとっては大きな負担となりかねない。
 経済・財政政策を取り仕切るミフタフ・イスマイル首相特別顧問は「国内総生産GDP)に占める対外債務の比率は20%程度と低水準。輸出や外国投資は好調。今後6〜7%の成長が持続すれば返済に問題はない」と説明する。CPECをてこに飛躍を目指すパキスタンだが、それにはまず堅実な経済政策で安定成長を確保する必要がある。
 相次いだテロやガバナンス悪化で低迷していたパキスタンの経済は回復基調が鮮明だ。16年度(17年6月期)の経済成長率は5.3%と10年ぶりの高水準。同国中銀は今年度、6%近い成長を予想している。
 この好調の背景にあるのが治安の回復だ。軍や治安部隊レンジャーによる掃討作戦の結果、商都カラチや中部ラホールなどの大都市では、毎月のように起きていたテロがほぼ沈静化。外国投資の流入も好調で、今年度は過去最高の50億ドル到達が期待されている。
 日本企業がほぼ独占していた乗用車市場には韓国・起亜や現代自動車ルノーなどが相次ぎ参入を表明している。
 さらに高成長を狙い新興国の仲間入りを目指すパキスタンは産業インフラ整備で長年の友好国・中国の力を借りることを決断した。これまでに積み上がったCPECの総投資額630億ドルの8割近くが火力、水力、太陽光などの発電所建設に割り当てられ、残りは高速道路や鉄道の建設・改良に投資する計画。一部はすでに具体化している。

https://www.sankei.com/world/news/180114/wor1801140021-n1.html
■産経【紅い浸入 一帯一路の陰で(下)】カンボジア経済特区に積極援助 良港の街、拠点化に躍起
カンボジア支援では日本が伝統的に存在感を示してきた。だが、援助額では中国が10年に日本を抜いて1位となり、影響力を増している。カンボジアへの国別投資認可額の累計(1994〜2016年、日本貿易振興機構資料)でも、中国が122億ドル(約1兆3600億円)と首位で日本はその8分の1にすぎない。
・先月、中国の習近平国家主席が北京でカンボジアのフン・セン首相と会談したときのことだ。中国は70億ドルの支援を発表し、カンボジアの取り込みを図った。
 今月10日には、中国の李克強首相がメコン川流域5カ国*4との首脳会議のためプノンペンを訪れ、「カンボジアと開発戦略を深める用意がある」と秋波を送った。南西部シアヌークビル港経済特区に言及し、さらなる技術移転や観光開発を約束した。

https://www.sankei.com/world/news/180621/wor1806210044-n1.html
■産経『経済協力推進で一致 中国とネパール首相が会談』
・中国の李克強*5首相とネパールのオリ首相は21日、北京で会談し、貿易や投資など経済面で協力を進める方針で一致した。
・李氏はオリ氏との会談に先立ち、パプアニューギニアのオニール首相とも会談。中国が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」や、11月にパプアニューギニアで開かれるアジア太平洋経済協力会議APEC)を巡り協力する方針で合意した。

http://www.sankei.com/premium/news/180707/prm1807070007-n1.html
■産経【国際情勢分析】中国がスリランカに“掟破り”の選挙資金供与疑惑 要衝港の利権獲得で見返り?
・中国の融資で建設されたスリランカ南部ハンバントタ港をめぐり、騒動が勃発している。港湾建設計画を推進したラジャパクサ前大統領陣営に中国側が選挙資金を提供した疑惑が浮上したのだ。ラジャパクサ氏は即座に否定したが、警察は捜査に着手する見通しだ
・港湾建設は08年から始まり、10年11月に第1期工事が終了した。建設資金の多くは中国の融資で、計約13億ドル(約1400億円)が注ぎ込まれたとされる。
 しかし、多額の債務と最高6・3%にも上る高金利スリランカ財政をいきなり圧迫。処理は15年に誕生した現シリセナ政権に引き継がれた。
 最終的にスリランカ政府は昨年12月、中国側と賃借契約を結び、ハンバントタ港の運営権とその周辺の土地6千万平方メートルを引き渡すことに合意した。契約期間は99年で、事実上土地を売却した格好だ。
・米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は6月25日、「いかに中国はスリランカの港を手に入れたか」との記事を掲載した。
・関係者への取材や政府関係文書を精査したという記事で、特に注目されたのがラジャパクサ氏が落選した15年の大統領選で、同氏陣営に中国側から少なくとも760万ドル(約8億4千万円)が渡ったと報じた部分だ。事実ならハンバントタ港建設への見返りとも受け取られかねない。
・この報道に“当事者”たちは敏感に反応した。
 中国側は在スリランカ中国大使館が声明を出し、記事は「政治的偏見があり、事実と一致していない」と疑惑を否定した。
 当のラジャパクサ氏も1日、「大統領選に中国は関与していない」との声明を発表。記事では「誰が資金を贈り、誰がそれを受け取ったのか漠然としか書いていない」と反論した。現政権はラジャパクサ氏と反目していることから、NYTの記事を「政治利用」しているとも批判している。
 ラジャパクサ氏は15年の大統領選では敗北を喫したが、自ら結成した「スリランカ人民党」が今年2月の地方選挙で圧勝を収めた。内戦終結の英雄ラジャパクサ氏の根強い人気を裏付けた。20年に予定されている大統領選での返り咲きに向けて、現政権をさらに追い詰めたい局面だ。
 現地ジャーナリストは「ラジャパクサ氏にとってみれば、現政権が自分の足をひっぱるためにNYTを利用しているとしかみえないだろう」と分析する。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2728513023022018FF2000/
■日経『スリランカ、再び中国傾斜:親中派が地方選圧勝 印と緊張 高まる懸念』
 中国とインドが影響力を競う南アジアの島国スリランカが再び「親中」に傾き始めている。今月実施された地方選挙で、親中派のラジャパクサ前大統領の政党が圧勝し、インドや欧米も含めたバランス外交を標榜する現政権の基盤が揺らいでいる。前大統領側は地方行政レベルで中国マネーを呼び込む構えを示しており、2年後の国政選挙を待たずに中国への経済依存が強まりそうだ。
 「(連立与党の)合意は今も有効で、解消の必要はない」。
 ウィクラマシンハ首相は21日、国会でこう強調した。だが、首相率いる統一国民党(UNP)に対し、連立を組むスリランカ自由党(SLFP)党首のシリセナ大統領が首相交代を求めるなど現政権は足並みが乱れ、内閣改造も取り沙汰されている。
 きっかけは今月10〜11日に投開票された地方選での惨敗だ。全340の地方行政区の委員会(議会)選挙のうち、与党連合が勝利した行政区は全体の15%前後しかなかった。一方、2015年まで10年間、政権を握ったマヒンドラ・ラジャパクサ前大統領が創設したばかりの「スリランカ人民党」は約7割の行政区議会で多数派を占め、圧勝した。
 次回の大統領選と総選挙はともに2020年の予定だが、前大統領は中央政府奪還に向け「すぐにでも総選挙を前倒し実施すべきだ」と連立政権を攻撃。「民意が離れたのは明らかだ」と主張し、与党連合に揺さぶりをかけている。
 前大統領の復権は、単にスリランカ一国の内政にとどまらない意味を持つ。同国が再び中国に接近して隣国インドを脅かし始める転機になり得るからだ。
 「スリランカには非同盟外交の伝統はあるが、父は長い間、中国と緊密で、これからも中国に頼り続けるだろう」。
 前大統領の長男で国会議員のナマル・ラジャパクサ氏は地方選後の取材に対し、こう明言した。
 どのような形で中国との関係を強化するかについては言及しなかったが、ラジャパクサ前大統領は自らの地盤である南部ハンバントタの港湾や近くの国際空港を中国から投融資を受けて建設した張本人。今度は地方選で獲得した行政区に中国マネーを呼び込みインフラ事業を始めるとの見方が広がる。
「直接投資の面で中国依存を続けるはずだ」。
 スリランカエコノミスト、サルバナンタン氏もこう指摘する。
 15年の大統領選で勝利したシリセナ氏と、同年の総選挙後に首相に就いたウィクラマシンハ氏の現政権は、中国との新規事業の着手には相対的に及び腰だ。17年12月にはハンバントタ港の99年間の使用権を中国に委譲したが「債務圧縮と政権運営の資金が不足し、仕方なく委譲した」(スリランカ政府の上級職員)側面が強い。
 ラジャパクサ氏が復権し、新たな共同事業を各地で中国と始めれば、現時点で80億ドルに上る対中債務が一層膨らむ可能性が高まる。
(中略)
 中国は広域経済圏構想「一帯一路」の下、インドを取り囲むように、モルディブパキスタンとの経済関係を深め、軍事力も背景として影響力を高めており、ラジャパクサ氏の復権と共にスリランカの対中傾斜に拍車がかかれば、目と鼻の先に位置するインドとの間で緊張が高まるのは避けられない。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26861110T10C18A2FF2000/
■日経『中国「モルディブ元大統領の発言は捏造」』
【北京=高橋哲史】
 中国外務省の耿爽副報道局長は13日の記者会見で、政治混乱が深まるインド洋の島国モルディブのモハメド・ナシード元大統領が「中国はモルディブを乗っ取る」などと発言していることについて「まったくの捏造(ねつぞう)であり、でたらめであり、ばかげている」と厳しく批判した。
 ナシード氏は2016年に英国に亡命し、中国寄りのヤミーン現大統領と対立している。12日の日本経済新聞のインタビューでは「中国はすでに(ヤミーン政権下のモルディブから)16以上の島々を買い取った」などと指摘し、モルディブが巨額の負債を抱える中国への領土割譲に追い込まれるとの見通しを示した。
 耿副報道局長は「大事なのは中国とモルディブの協力が双方の利益に合致するか、両国の国民に幸福をもたらすかであり、それを判断するのは両国の国民である」と述べ、亡命したナシード氏には発言する権利がないと非難した。

https://www.sankei.com/world/news/180606/wor1806060035-n1.html
■産経『モルディブ、インド軍ヘリの撤去要請 親中国政権が配慮か』
ニューデリー=森浩】
 インド洋の島嶼(とうしょ)国モルディブは6日までに、インド軍が中南部ラーム環礁に配備していたヘリコプターを撤去するよう要請した。環礁では中国が港の建設を計画しており、親中的なヤミーン政権が配慮した可能性がある。印英字紙タイムズ・オブ・インディアが報じた。
 ヘリはインド軍が2011年からパイロットや整備士とともに環礁に配備しており、主に人命救助などの目的で使用されていた。同紙によると、5月末で配備に関する契約が切れたが、モルディブは更新を拒否し、6月末までにヘリを国外に出すようインド側に要請した。また、別の環礁のもう1機のヘリについても同様に撤去を求めたという。
 派遣されていた人員も帰国する可能性が高く、インドの影響力が一帯から排除されることになる。インド側はヘリ撤去について、声明を出していない。
 モルディブは13年にヤミーン政権が誕生して以降、従来のインド重視から親中国的な姿勢に転換。中国主導での橋梁(きょうりょう)建設や空港拡張が進んでおり、ラーム環礁のガードゥー島では港の建設が計画されている。
 政権を批判する野党指導者のナシード元大統領は、20年には中国への債務の返済や金利で7億5000万ドル(約824億円)の支払いが発生すると主張。「巨額の負担に対して、将来のモルディブは耐えられない」と、中国が進めるインフラ整備を批判している。


中央アジア

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2018/05/0531.html
NHK中央アジアで進む中国依存 「一帯一路」に期待するトルクメニスタン
・2007年に就任したベルドイムハメドフ大統領は、中国との経済的な結びつきを強めます。
 経済の鍵は、世界4位の埋蔵量を誇る天然ガスです。
 2009年には、中国とトルクメニスタンを結ぶパイプラインが開通。
 中国への輸出は急激に伸び、今では輸出の85%を中国が占めています。
・ベルドイムハメドフ大統領は、中国への接近を図っています。
 今月、カスピ海に面する港に貨物ターミナルが完成。
 盛大な式典が開かれました。
 ターミナルは、カスピ海の対岸、アゼルバイジャンなどに向けて荷物を輸送する新たなルートの拠点を目指しています。
 中国政府が進める一帯一路の中継点の役割を担うことで、さらなる発展につながると考えています。
 政府は、この港や鉄道を活用したルートの場合、中国からヨーロッパには15日で貨物を輸送でき、海路に比べて30日も短縮できると強調します。
酒井美帆アナウンサー
「ここからは、モスクワ支局の松尾支局長に聞きます。
 トルクメニスタンは、今後さらに中国への傾斜を強めていくのでしょうか?」
松尾支局長
トルクメニスタンとしては、頼りの天然ガスの価格が低迷している今、天然ガスだけに経済を依存するのではなく、中国の一帯一路構想にも乗って発展を確実にしたいというのが本音だと思います。
 このため、一帯一路構想の勢いも相まって、中国との距離はさらに縮まっていくとみられます。
 その一方で、トルクメニスタンが中国一辺倒では危険だと感じているのも事実で、今、関係強化に力を入れている相手が、実は日本です。
 2015年には安倍総理大臣との首脳会談を行い、日本企業の参入も始まっています。」
酒井
「輸出の85%を中国が占めているということで、中央アジアでも中国の影響力が大きくなっているんですね。」
花澤
「中国がエネルギーを確保する動きを強めて、世界にぐっと手を伸ばしていった時期がありましたから、ここで結びつきが強まったということですね。
 しかし中国だけに依存する危険性も感じているという報告でしたね。
 中央アジアをめぐるロシアと中国の動き、今後も注目していく必要がありそうです。」


■一帯一路構想とアフリカ:フロンティアを求める中国(佐々木優)
(内容紹介)
 一帯一路を含む「中国のアフリカへの経済進出」を基本的には好意的に評価しているのだが、セルジュ・ミッシェル『アフリカを食い荒らす中国*6』(2009年、河出書房新社)などを紹介し、「環境面や人権面での問題」に配慮しなければ、中国のアフリカ進出が現地のためになっているとは必ずしもいえず、また中国・アフリカ関係の改善どころか対立になる恐れもあるのではないかと指摘*7している。

参考

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4113/
NHK『“中国化”するアフリカ 習近平の“一帯一路”はいま』
ゲスト 川島真さん*8東京大学教授)
鎌倉千秋アナウンサー:
・一帯一路を通して、関係を深めていく中国とアフリカ。経済面では2000年には1兆円ほどだった中国のアフリカとの貿易額。2014年には、およそ23兆円にまで増加しました。
・こうした経済面だけでなく、文化面でも中国の影響力は強まっていまして、例えば、中国政府が中国語を広めるために国外に設立している学校「孔子学院」は、アフリカで39か国54か所に上ります。さらに、中国の放送事業者がアフリカの30か国以上に拠点を置いて、中国のニュースやドラマも見られる事業を展開しています。住民に衛星放送のためのアンテナや受信機を無償で提供していて、視聴者はアフリカ全土で1,000万人以上とも言われているんです。
■アフリカの中に、経済援助のみならず、社会システムや、あるいは文化まで中国式を受け入れている国があるというのは、どういうこと?
川島さん:
 中国のアフリカへの援助、支援というのは、やはり先進国のようにいろんな手続きを経ずに、かなり速いスピードでやってくれるわけですね。利子は高いんですけど、条件を付けない。西側の国は民主化とか、人権でいろいろ言うわけですが、それが出てこないわけですね。そうした意味で、アフリカの方からすると中国を選ぶ。この問題は、やはりアフリカの方に目線を置いて、なぜアフリカが先進国じゃなくて中国を選んでいくのかという観点で見ると、この辺が大事かなと思いますね。
■“中国化”するアフリカ 強まる外交攻勢
 中国は外相の新年最初の訪問先として、28年連続でアフリカを選んできました。
 今年(2018年)訪れたのは、人口20万の島国サントメ・プリンシペ。台湾との外交関係を断ち、一昨年(2016年)中国と国交を結んだ国です。会談で、サントメ・プリンシペ側は「インフラ建設をはじめ、さまざまな分野で中国企業を歓迎する」と述べました。
 アフリカの国々は中国か台湾のいずれかと外交関係を結んでいます。2000年の時点で、台湾と関係を結んでいたのは8か国。
 それが今、次々と中国にくら替えし、残ったのは2か国だけ(ボーガス注:放送当時。現在は「放送当時は台湾と国交があった」ブルキナファソが台湾と断交し中国と国交樹立したため、スワジランド1国だけ)となっています。その1つが、スワジランドです。

https://imidas.jp/jijikaitai/d-40-077-11-03-g040
■中国のすさまじいアフリカ進出(勝俣誠*9明治学院大学国際平和研究所客員所員)
・中国とアフリカとの経済関係は1990年代末から著しい拡大を見せている。貿易総額は、2000年の約100億ドルから、10年には1000億ドル前後にも達するとされ、わずか10年で10倍になるという勢いである。
・アフリカ諸国の指導者からは中国批判はほとんど聞かれない。その最大の理由は、彼らが、欧米諸国による条件つき援助にうんざりしていたことにある。欧米諸国は、借金繰り延べと引き換えに、アフリカ諸国に対して、いわばはしの上げ下ろしまで注文をつける「構造調整」という名による援助を、20年以上にわたって続けてきた。しかも、その成果たるや、確かに借金はある程度返済できたが、経済は期待を下回り、大量の失業を抱えるというものだ。
・しかし、中国の大陸進出がすべてバラ色の成功を収めているわけではない。ザンビアでは05年から06年にかけて反中国デモが起こり、(中略)さらには、07年にエチオピア東部で、反政府組織オガデン民族解放戦線が中国資本の油田探査基地を襲い、多くのエチオピア人とともに中国人9人が殺害されている。かつて、日本の東南アジアへの経済進出が高揚していた1974年、田中角栄*10首相のインドネシア訪問時に、日本政府も予期しなかった反日暴動が生じたように、今後、アフリカ社会からの中国の振る舞いへの批判は、十分に予想される。

https://www.sankei.com/world/news/180116/wor1801160035-n1.html
■産経『中国外相が28年連続の“年始アフリカ詣で” 「一帯一路に不可欠」と米尻目に勢力拡大』
・王外相は12日以降、ルワンダアンゴラガボンサントメ・プリンシペを訪問。ルワンダは今年のアフリカ連合AU)議長国で、アンゴラは中国が原油を輸入するアフリカ最大の国。サントメ・プリンシペは2016年末に台湾との外交関係を断絶し、中国と国交を樹立した島国だ。
・中国とアフリカ諸国の貿易額は2000年以降の15年間で22倍に激増。中国は09年に米国を抜いてアフリカの最大の貿易相手国となり、今にいたっている。
・王外相は訪問先のルワンダで、「中国とアフリカによる一帯一路の共同建設を通じて、双方の全面的な戦略的協力パートナーシップを新たなレベルに引き上げたい」と意欲をみせた。
 アフリカ側も、「中国にアンゴラの鉄道連結など大型プロジェクトの建設をこれからも支援してもらいたい」(アンゴラのロウレンソ大統領)と応じた。

https://www.sankei.com/politics/news/180416/plt1804160027-n1.html
■産経『アフリカが信頼する国 中国33%、日本7% 対日世論調査
・外務省がケニアコートジボワール南アフリカの3カ国で実施した対日世論調査で、最も信頼できる国として日本を挙げた割合が7%だったのに対し、中国が33%と大幅に上回っていたことが分かった。
・信頼できる国を選ぶ基準として、「経済的結びつき(投資、良好な貿易関係)」を挙げた割合が70%と最多で、中国が巨額の資本を武器にアフリカで展開している経済進出が信頼度の向上に寄与したとみられる。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018071200891&g=int
時事通信『中国主席、中東アフリカ歴訪へ』
 中国外務省は12日、習近平国家主席が19〜27日の日程で中東のアラブ首長国連邦、アフリカのセネガルルワンダ南アフリカモーリシャスの計5カ国を訪問すると発表した。各国首脳と会談する見込み。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28485420T20C18A3I00000/
■日経『アフリカでも「一帯一路」旋風(中国化進む世界) 』
 アフリカ東部エチオピアの首都アディスアベバの空港から南東に車で約1時間。主食穀物であるテフ畑の先に中国の民間企業が開発した「東方工業団地」が姿を現した。重慶の自動車メーカー、力帆集団の組み立て工場や鋼材、縫製関連などを手掛ける中国企業が入居する。中国の改革・開放政策による発展を主導した「経済特区」をモデルとしており、エチオピア政府は関税や所得税減免などの投資優遇策を適用し、投資を促している。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32067780R20C18A6FF1000/
■日経『習主席、7月にアフリカ歴訪へ 影響力拡大へ外交攻勢』
 中国の武器は経済だ。国営の新華社通信によると、ケニアを訪問した汪洋*11(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席は17日、内陸部の首都ナイロビと港湾都市のモンバサを結ぶ鉄道を視察した。
 全長約470キロメートルの同鉄道は中国政府の支援のもとで中国企業が建設し、運行と保守も担う。汪洋氏は「習主席が打ち出した巨大経済圏構想『一帯一路』は中国の鉄道技術を東アフリカにもたらした」と語った。

http://www.afpbb.com/articles/-/3181478
■AFP『ジブチに「アフリカ最大」の自由貿易区が一部完成、翻る中国国旗』
 落成式には東アフリカ諸国の首脳も出席。ソマリアのモハメド・アブドラヒ・モハメド(Mohamed Abdullahi Mohamed)大統領は、FTZについて「東アフリカの勝利だ」と歓迎した。

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/catch/archive/2018/01/0115.html
NHK『アフリカの要衝・ジブチはいま』
味田村支局長
「中国のジブチへの進出は加速しています。
 巨大経済圏構想『一帯一路』を推し進める中国は、ジブチを東アフリカへの玄関口とも位置づけていて、港の開発や、鉄道の建設などを進めています。去年11月には、ジブチのゲレ大統領が中国を訪問し、習近平国家主席との間で、両首脳は、『一帯一路』の構想を共同で推進して関係をいっそう強化することで一致しました。」

https://www.sankei.com/world/news/180111/wor1801110014-n1.html
■産経【紅い浸入 一帯一路の陰で(上)】人民解放軍ジブチに拠点 隠された思惑に気付かず中国の“浸入”を許す四国の1・3倍程度の小国
ジブチ国内総生産GDP)は2015年で約17億ドル(約1900億円)と推定されている。欧米メディアによると、中国はジブチの経済改革のため、実に10億ドル以上を貸与する方針を示している。
 1人当たりの国民所得は推定約1800ドル(約20万円)にとどまる。市街を離れれば、荒れ地の上にトタンやシートで造られた粗末な家が並んでいる通りもある。
 中国はこの国でエネルギー開発などを手がけるほか、基地に隣接するドラレ港の開発にも関わっている。街中では「中国鉄建」「中国土木」などの中国企業のロゴがいくつも目に留まる。
 「中国人はここにたくさん住んでいる」。
 中国雑貨の店や中華料理店が入った低層ビルの前に通りかかると、タクシー運転手が指さした。
・「中国が造った道路も建物も完璧だ」
 「中国が来たおかげで経済がよくなる」
 ジブチ市街で話した大学生たちは一様に、中国を歓迎し、警戒感はみじんも感じられない。

http://j.people.com.cn/n3/2018/0628/c94474-9475572.html
■人民日報『中国アフリカ防衛安全フォーラムが開幕』
 中国国防部(国防省)主催の第1回中国アフリカ防衛安全フォーラムが26日に北京で開幕し、中国軍代表とシエラレオネ南スーダンなどの軍の参謀総長、副参謀総長12人を含むアフリカ50カ国及びアフリカ連合の防衛当局、軍の代表が参加した。
 軍事委員会国際軍事協力弁公室主任の胡昌明氏は中国側を代表して挨拶した際「今回のフォーラムは中国アフリカ運命共同体の構築についての習主席とアフリカ諸国首脳との共通認識を実行に移し、中国とアフリカの防衛安全協力を一層深化し、軍事関係の質的向上と高度化を後押しすることを旨としている」と表明した。
 シエラレオネ軍のSesay参謀総長はアフリカ側を代表して挨拶した際「アフリカは中国との軍事関係の発展を重視している。中国側が今回のフォーラムを主催したことを高く評価する。この重要な多国間対話・協力プラットフォームを通じて中国軍との交流や協力を強化し、アフリカ中国関係の長期的発展に活力を注ぎたい」と表明した。

https://www.asahi.com/articles/ASL7P3K7YL7PUHBI00R.html
朝日新聞習近平氏がアフリカ訪問 経済力で欧米主導の転換狙う』
 アフリカ諸国が中国から受けた融資額は00〜15年に計約940億ドル(約10兆3400億円)。多くの国は中国資本で空港や鉄道、道路といったインフラ整備を進め、国民に実績をアピールしてきた。発電所事業で融資を受けるマラウイ財務相は「中国以外に融資してくれるところはなかった」と感謝する。

http://j.people.com.cn/n3/2018/0718/c94474-9482349.html
■人民日報『「中国共産党と世界政党の上層部対話」アフリカ会議が開幕』
 「中国共産党と世界政党の上層部対話」アフリカ会議が17日、タンザニアダルエスサラームで開かれ、宋涛中共中央対外連絡部長とタンザニアのマグフリ*12大統領(タンザニア革命党党首)が開幕式で基調演説を行った。
 宋氏は「2017年に第1回『中国共産党と世界政党の上層部対話』が北京で成功裏に開催され、習近平中共中央総書記(国家主席)が開幕式で重要演説を行った。今年はちょうど中国の改革開放40周年及び中国外交の『アフリカ年』にあたる。上層部対話が初めて中国ではなくアフリカで開催され、双方の政党が『国情に合った発展の道を歩む』という重要な理論と実践の問題について議論することが、中国とアフリカの国々の発展の促進、相互交流・協力の強化に重要かつ前向きな影響を与えることは間違いない」と表明。
 また「習総書記は『中国発展の鍵は、中国人民が中国共産党の指導の下、中国の国情に合った発展の道を歩み出したことにある』と指摘した。われわれは終始党による指導と党建設の強化を堅持し、人々中心の発展理念を堅持し、改革開放の全面的深化を堅持する。われわれはアフリカの政党と共に、国情に合った発展の道を探るために交流し、参考にし合い、新時代の中国アフリカ運命共同体を築くために共通認識を形成したい」と強調した。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31838030V10C18A6FF8000/
日経新聞『中国、アフリカ「制覇」へ攻勢:台湾と外交関係、残り1カ国 経済力武器に米けん制 』
 中国がアフリカで影響力の拡大に動いている。9月に北京で開く「中国アフリカ協力フォーラム」の首脳会合をにらみ、この地域と台湾の関係を完全に断ち切ろうと外交攻勢をかける。経済を武器にアフリカを自陣に組み込み、貿易や安全保障で対中圧力を強める米国との競争を有利に進める思惑がにじむ。
 6月4日、南アフリカを訪問した中国の王毅*13国務委員兼外相は「北京サミットの準備を全力で進めている。アフリカ各国の指導者が北京に集まり、全面的な戦略協力パートナーシップを新たな水準に高めることを期待している」と語った。
 「北京サミット」とは、中国の主導で2000年に閣僚級で始まった中国アフリカ協力フォーラムの首脳会合を指す。3年に1度のこのフォーラムを足がかりに、中国はアフリカとの関係をじわじわと深めてきた。
 北京で開く今年の首脳会合は中国にとって特別な意味を持つ。
 5月に西アフリカのブルキナファソが台湾と断交し、中国と国交を結んだ。アフリカで台湾と外交関係を保つのはスワジランドだけで、世界全体でも18カ国*14となった。同国と国交を樹立すれば、中国はアフリカを「制覇」したかたちで9月の首脳会合を迎えられる。
 中国共産党の最高指導部メンバーは入れ代わり立ち代わりアフリカに足を運ぶ。習近平(シー・ジンピン)国家主席の腹心で、党序列3位の栗戦書*15(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会委員長は、5月にエチオピアなど3カ国を訪れた。同4位の汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席は11日から20日までの日程で、コンゴ共和国など3カ国を歴訪中だ。
 中国は圧倒的な経済力を武器に、台湾とアフリカを引き離す。
 西アフリカの島国サントメ・プリンシペは16年末、2億1千万ドル(約230億円)の支援要請を台湾が断るやいなや中国と19年ぶりに国交を回復した。
 ブルキナファソに対しても同様だ。台湾主要紙の自由時報によると、中国は昨年からブルキナファソに対し、少なくとも15億ドルの経済支援を提示。また隣国ガーナとの首都間を結ぶ鉄道建設の支援も提案し、台湾と断交するよう迫っていたとしている。
 「中国がアフリカ各国の重要な貿易パートナーになっている現状を考慮するなら、人民元を準備通貨に組み入れることはわれわれにとって有利だ」。
 中国国営の新華社によると、5月末にジンバブエの首都ハラレで開かれたアフリカ各国の中央銀行幹部らの会議では、外貨準備の構成通貨に元を加えるべきだとの声が相次いだ。
 17年の中国とアフリカの貿易額は1700億ドルに達し、10年前に比べて2.3倍に膨らんだ。貿易の拡大に伴い、ドルに代わって元を使う取引は増えている。中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に絡むインフラ投資も拡大しており、この地域で中国の存在感は高まる一方だ。
 アフリカを中国に引き寄せるのは経済だけではない。民主主義を押しつける米欧と一線を画し、強権的な手法で経済発展を実現した中国のモデルはアフリカ諸国の目に魅力的に映る。
 中国政府系の英字紙チャイナ・デーリーは、4月初めに訪中したジンバブエのムナンガグワ*16大統領が中国共産党の指導指針である「習近平思想」を高く評価したうえで、次のように表明したと伝えた。
「わが国でもジンバブエの特色ある社会主義を発展させたい」
 ジンバブエでは17年11月、37年間にわたって大統領を務め、独裁政治で国民の支持を失ったムガベ氏が政権の座を下りたばかりだ。民主化への期待を寄せられたムナンガグワ氏だったが、早くも親中国の姿勢を鮮明にし、強権的な体制を敷こうとしている。
 中国にとってアフリカでの影響力拡大は、米国へのけん制に通じる。
 トランプ米政権は中国に貿易戦争を仕掛けるだけでなく、台湾や南シナ海など安全保障にかかわる分野でも中国に圧力をかける。とりわけ台湾問題への介入は、中国が絶対に譲れない一線だ。
 にもかかわらず、マティス米国防長官は今月初めにシンガポールで開かれた安全保障会議で「(台湾への)必要な武器の供与を断固として続ける」と中国の神経を逆なでする発言を繰り返した。
 中国がアフリカで台湾を孤立に追い込もうとあの手この手を尽くすのは、背後にいる米国に対抗する味方づくりという側面も大きい。

http://www.sankei.com/world/news/180725/wor1807250056-n1.html
■産経『中国マネー、アフリカへ流入 習氏歴訪で次々と支援約束 負債増で“植民地化”の懸念も』
・習氏は最初の訪問国のUAEで、両国間の関係を格上げし「全面的戦略パートナーシップ」を確立することで合意。アフリカなどへの共同投資を加速させることでも一致した。続いて訪れたセネガルでは、同国政府が西アフリカ諸国として初めて「一帯一路」の協力文書に署名した。
・ロイター通信などによると、南アフリカではインフラ建設などに147億ドル(約1兆6300億円)を投資することで合意。国営電力会社エスコムに25億ドルを長期融資することも決まった。ルワンダでは幹線道路建設のため計1億2600万ドル(約140億円)を融資する方針を示した。

https://www.sankei.com/world/news/180725/wor1807250004-n1.html
■産経『南アに1・6兆円超投資 中国、インフラ整備や農業』
・中国の習近平国家主席は24日、南アフリカのラマポーザ大統領と首都プレトリアで会談し、中国が南アに計約147億ドル(約1兆6340億円)を投資すると伝えた。
・南アはアフリカ有数の経済大国だが、2月まで続いたズマ*17政権政権下で景気が低迷。市場関係者の間では、中国の投資が景気回復につながるとの期待感も出ている。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180726/mcb1807260500009-n1.htm
フジサンケイビジネスアイ『王副主席「アフリカと運命共同体構築を」』
 中国中央テレビによると、中国の王岐山*18国家副主席はこのほど、四川省成都*19で「第5回中国・アフリカ民間フォーラム」の開幕式に出席するとともに、あいさつした。王副主席は「一層緊密な中国とアフリカの運命共同体を手を携えて構築すれば、中国とアフリカの民間交流・協力の見通しは明るく、大いになすべきことがある。(後略)」と強調した。


■インフラ整備と越境EC(電子商取引):一帯一路の光と影(夏目啓二*20
 インフラ整備と電子商取引の光としてはもちろん「経済的繁栄」である。
 影としては「環境面の問題(インフラ整備)」「個人情報データ保護(電子商取引)」が指摘される。なお、「もちろん欧米各国と中国とを安易に同一視もできない」が「影の部分」について言えば、何も中国限定ではなく諸外国においても重要な問題であることに注意が必要だろう。

*1:中国、ロシア、カザフスタンキルギスタジキスタンウズベキスタン、インド、パキスタンの8か国が参加。

*2:グジャラート州首相を経てインド首相

*3:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*4:カンボジアラオスミャンマー、タイ、ベトナム

*5:共青団共産主義青年団)中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*6:ネット上の書評によればこのタイトルは原題とは大分かけ離れかなり問題があるとのこと。本の内容自体は「邦題から危惧されるような代物」ではなく、概ねまともな内容のようである。

*7:とはいえ繰り返しますが、佐々木論文は産経のような一帯一路全否定の立場では無論ありません。

*8:著書『中国近代外交の形成』(2004年、名古屋大学出版会)、『近代国家への模索 1894-1925〈シリーズ 中国近現代史 2〉』(2010年、岩波新書)、『21世紀の「中華」:習近平中国と東アジア』(2016年、中央公論新社)、『中国のフロンティア』(2017年、岩波新書)など

*9:著書『アフリカは本当に貧しいのか:西アフリカで考えたこと』(1993年、朝日選書)、『新・現代アフリカ入門』(2013年、岩波新書)など

*10:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣通産相などを経て首相

*11:広東省党委員会書記、重慶市党委員会書記、副首相などを経て全国政治協商会議主席(党中央政治局常務委員兼務)

*12:建設大臣、土地住宅集落大臣、畜産漁業開発大臣などを経て大統領

*13:駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)などを経て国務委員(外交担当)兼外相

*14:具体的にはキリバスソロモン諸島、ツバル、パラオマーシャル諸島ナウルスワジランドエルサルバドルグアテマラ、セントクリストファー・ネービス、セントビンセントおよびグレナディーン諸島ニカラグア、ハイチ、パラグアイベリーズホンジュラスセントルシアバチカン

*15:黒竜江省長、貴州省党委員会書記、党中央弁公庁主任などを経て全国人民代表大会委員長(党中央政治局常務委員兼務)

*16:法相、国防相、副大統領などを経て大統領

*17:副大統領を経て大統領

*18:海南省党委員会書記、北京市長、副首相、党中央規律検査委員会書記(党中央政治局常務委員兼務)などを経て国家副主席

*19:四川省省都

*20:著書『アメリカIT多国籍企業の経営戦略』(1999年、ミネルヴァ書房)、『21世紀のICT多国籍企業』(2014年、同文館出版)、『現代中国のICT多国籍企業』(共著、2017年、文眞堂)など