今日の中国関係ニュースほか(7/28分)(追記・訂正あり)

 中国ネタを中心にいろいろ書いていくことにします。
■産経【田村秀男のお金は知っている】米国への貿易報復は中国大衆の胃袋に跳ね返る
https://www.sankei.com/premium/news/180721/prm1807210006-n1.html
 「関税を掛けても米国からの輸入品物価が上がり国内消費者が困るだけ、中国は関税を上げるべきでない」つうならそれは何も「中国の対抗報復関税」だけでなく「EUやカナダの対抗報復関税」「そもそも最初に米国が仕掛けた関税アップ」も同じことです。米国の関税アップで、米国の物価は相当上がり貧困者の生活も苦しくなるだろうと予想されています。関税アップ対象国「EU諸国、中国、日本、カナダなど」からの輸入品価格は当然上昇するし、それら輸入品をすぐさま国内生産にすべて切り替えることなど不可能だからです。
 そもそも「対抗関税」なのだからトランプが始めた関税アップをやめればいいだけの話でもある。
 そうすれば中国は「報復関税」など今すぐやめる。
 しかし「トランプの関税アップ」「EUやカナダの対抗報復関税」には何も言わず、中国に対してのみ「関税を上げるな」云々と言ってる時点で、田村が単に中国たたきしてるだけでまともな経済議論がしたいわけではないことはモロバレです。


■人民日報『「一帯一路」は世界の安定を促進』
http://j.people.com.cn/n3/2018/0808/c94474-9488799.html

 セルビアのアレクサンダル・ブチッチ*1大統領は6日、ベオグラードで中国メディアの共同インタビューに応じ、(中略)「『一帯一路』という偉大なイニシアティブの一部となったことをセルビア国民は喜んでいる。『一帯一路』の枠組で、セルビア中国両国は大型インフラ整備を行ってきた。こうした協力事業はセルビアの経済発展を先導し、セルビア国民により良い生活環境を創造した」と指摘した。
 また、中国河鋼集団が買収したスメデレボ製鉄所に特に言及。「セルビアが大型インフラ事業で本当に成果を得始めたのは、中国と協力を行った結果だ」と指摘した。現在、中国人が運営・管理する同製鉄所はセルビア第2の輸出企業となり、少なくとも5000人の雇用を維持している。
 ブチッチ大統領はインタビューで、さらに多くの中国人観光客を誘致したい考えを2度述べた。ブチッチ大統領は「セルビアは中国とビザを相互免除している。セルビアを訪れる中国人観光客が増えることを希望する。中国を訪れるセルビア人が増えることも希望する。ベオグラード*2観光以外にノヴィ・サドやニシュも訪れてほしい」と述べた。

 産経などの強弁に反し一帯一路は世界の多くの国で支持されてるわけです。


■日経『セントビンセント、台湾と断交せず:ゴンザルベス首相会見、「関係に満足」』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3384628006082018FF1000/
 過去に「台湾との断交など考えていない」といいながらその数年後には「台湾と断交し中国と国交正常化した国」があるので、これで安心するほど台湾もお人好しではないでしょう。
 そもそも「断交しない」というだけの話がニュースになってしまうこと自体、台湾が中国に圧倒されてることの証明でしょう。


■産経【正論】出現した中国の「新植民地主義」 文化人類学者 静岡大学教授・楊海英
https://www.sankei.com/column/news/180807/clm1808070006-n1.html

 習氏の外遊は今年3月に国家主席に再選され終身的独裁体制を築いて以降、初めてとなる。

 言うのも馬鹿馬鹿しいですが「任期制限がない」のと「終身制」は違います。もちろん「任期制限がなければ」形式的には終身が可能ですが、まあ「多くの人間が指摘するように」任期制限廃止の是非はともかく、習主席も「終身制」など狙ってはいないでしょう。

 モンゴル*3チベット、「東トルキスタン」(新疆)を漢民族の「国内植民地」として開拓して運営してきた中国共産党は現在、その統治術をアフリカ諸国に適用し始めた。こうした兆候は既に49年以降に表れていたものの、世界は共産主義体制に甘かったので不問にされてきた。

 「世界は共産主義体制に甘かったので」というのは何の冗談でしょうか?
 単に「蒋介石中華民国時代から」内モンゴルチベットウイグルは「中国の領土扱いされていた」のでこれらの地域の独立論など支持されてこなかっただけの話でしょう。後は「中国の巨大市場が魅力的(一方、ダライラマだのラビア・カーディルだのと付き合っても金にならない)」という話か。いずれにせよ「共産主義に甘い」なんて馬鹿話は嗤うほかありません。

 「中国流新植民地主義」が世界を席巻しつつある今日

 まあ一帯一路とか「一帯一路がらみでの先日の習主席のアフリカ歴訪」だののことですが「新植民地主義」といって一方的に切って捨てていいもんではないでしょうし、「植民地主義」的というなら欧米諸国のアフリカへのコミットの仕方もよくそう言われます。中国だけ罵倒してすむ話ではない。


■産経【野口裕之の軍事情勢】中国の正体にやっと気付いたドイツ 「中独合作」は崩壊するのか?
https://www.sankei.com/premium/news/180806/prm1808060004-n1.html

 独メディアによると、独政府は8月にも、中国企業のライフェルト・メタル・スピニングの買収申請を却下する方針

 いかに中国ビジネスが重要でも、あるいはいかに「自由な市場主義経済」を標榜していても「安全保障に反するとみられる企業買収」は阻止するつうだけの話です。
 別にドイツが反中国に方向転換したというわけではない。まあ、それ以前だって野口が敵視するほど中独関係が他の「中英」「中仏」「中イタリア」などと比べて特別に親密と言うこともないでしょうが。
 まあ基本的には「中国と経済交流すればすべて敵視」が産経・野口ですから「AIIBに参加した」ということだけでもドイツだけでなく英仏イタリアも十分敵視の対象でしょう。

 第1次世界大戦(1914〜18年)開始直後、大日本帝國はドイツに宣戦布告した。独降伏で「東洋の真珠」と呼ばれた文化都市・青島は日本統治となり、ドイツの一大権益は吹っ飛んだ。以来、後述するが、日本に恨みを抱くドイツの中国への肩入れは、日独伊三国同盟締結後もひそかに続けられた。

 もちろん「恨み」とか言う話ではなく、今も昔も「巨大な中国市場はとても魅力的」つうだけの話です。特にドイツの場合「第一次世界大戦後、植民地をすべて失った」という点で中国市場は「植民地を保有する他国」と比べて非常に重要だったと思います。そもそも戦前日本とて「ドイツのような貿易ではなく侵略」ですが中国市場が魅力的だからこそ中国侵略(日中戦争)を実行したわけです
 大体そんな恨みにとらわれていたら「日独伊三国同盟」など結ぶわけもない。市場という意味では中国は魅力的ですが「ナチスドイツが英仏を敵に回して戦争する」には日本の軍事力が重要だったわけです。
 こうしたドイツにとって「日中戦争が終了すれば御の字」ということでいわゆるトラウトマン和平工作をドイツは発動しますが、日中両国がそれに乗らなかったため、結局「日本と中国どちらを選ぶか」の選択を迫られ結果的には日本を選ぶわけです。

 清国同様に対日戦略上、軍近代化を迫られた中国・国民党は満州事変(1931〜33年)後、独ワイマール共和国や次のナチス政権に接近。ドイツは1927〜38年まで軍事顧問団を送り続けた。

 まあドイツがそういう肩入れをしたのは基本的には「中国相手の金儲け」のためでしょう。「中国国民党政権の要望に応えることで中国利権を手に入れようとした」わけです。

 独総統アドルフ・ヒトラー(1889〜1945年)の政策転換で「中独合作」は変質する。とはいえ「青島の恨み」はゾッとするほど根深い。1936年に(対ソ)日独防共協定を結びながら、対中武器密輸を継続。37年の中ソ不可侵条約で態度を硬化させたヒトラーが新たな兵器輸出を禁じるまで続く。

 もちろん日本を恨んでるわけではなく「中国相手に金儲けがしたかった」わけです。


■テレ朝『自らに火を放ち、クリミア先住民族が命懸けの抗議』
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000133325.html
 ロシア政府の先住民族差別に対する抗議だそうです。その場にいた人間が服を脱がせ命の危険はなかったそうで「不幸中の幸い」です。
 何も「抗議意思の表明」として焼身自殺しようとするのはチベット人だけじゃないわけです。例えば過去にもベトナム反戦でのアリス・ハーズや由比忠之進がいた。
 これらをI濱女子、id:Mukke、阿部治平などは「非暴力の抗議活動」として絶賛するんでしょうか? 


■産経『スリランカ、日本で初代大統領を称える活動 サンフランシスコ講和会議で日本を擁護 中国と距離置きたい思惑』
https://www.sankei.com/world/news/180803/wor1808030024-n1.html
 反中国・産経らしいですが当然ながら日本にたいしスリランカがお世辞を言うことと「スリランカ・中国友好」は両立するわけです。
 しかもこの記事によれば、日本への世辞を言ってるのはスリランカ政府ではなく、一スリランカ民間人にすぎません。
 

■産経『「世界一寂しい国際空港」の運命は 「一帯一路」の負の遺産スリランカがインドに支援要請』
https://www.sankei.com/world/news/180802/wor1808020025-n1.html

スリランカ南部ハンバントタで中国の支援で建設された国際空港が経営難に陥り、政府が苦慮している。そもそも需要がほとんどない地域に建設されており、1日の平均乗客は10人以下で定期便もゼロだ。
・国際空港を名乗ってはいるものの、付近には漁村と小規模のビーチリゾートがあるだけで、当初から建設は(ボーガス注:前大統領)ラジャパクサ氏の地元への利益誘導とささやかれた。今年5月には唯一の定期便だったアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイとの直行便が閉鎖。一時は空港施設が穀物の貯蔵庫ともなり、「世界一寂しい国際空港」という不名誉なあだ名が付いている。

 櫻井よしこ福島香織、楊海英、石平ら反中国ウヨ連中が「一帯一路など無意味」だの「インドが中国に勝利してスリランカを取り込んだ」「やはり日本がタッグを組むべきは中国ではなくインド」などというために今後うんざりするほど宣伝しそうな話です。
 まあさすがに産経もこういうことで嘘は書かないだろうとは思います。「産経のような反中国ではない」、たとえば「他のネット記事」や以前、拙ブログで紹介した『月刊・経済2018年8月号:一帯一路特集号』でも「空港がかなり寂れてる」つう記事を読んだ記憶がありますし。
 そういう意味ではこれは一帯一路プロジェクトの失敗例ではあるのでしょう。
 こうした失敗を無視して一帯一路を「常に100パー、バラ色」であるかのように描き出すのはもちろんデマです。とはいえ一方でこうした事例をネタに、産経ら反中国ウヨのように「一帯一路には何の意義もない、失敗事例しかない」かのようにいうのもこれまたデマです。そんなに一帯一路に魅力がないのなら日本財界も中国にすり寄ったりしない。安倍も訪日した李克強首相に同行して北海道に行くなど、歓迎したりはしません。
 なお、日本でも「茨城空港秋田空港」など地方空港では「赤字続きだ」「政治路線だ」などといわれるところがあるので何もこういうことはスリランカや中国を我々日本人が「採算がとれない空港つくるなんてバカなの?」などと上から目線でものが言える立場では残念ながら全くありません。
 なおそうした日本版赤字空港もスリランカ同様「政治家の利益誘導」であることは全く珍しくありません。飛行機ではなくて鉄道ですが、昔の日本には「我田引水」ならぬ「我田引鉄(政治家が選挙区に鉄道を誘致する)」なんて言葉があり、それが国鉄の赤字の一因であったことは有名な話です。
 そういえば年金財政を悪化させた「政治家のグリーンピア誘致」なんてのも日本ではありました。
 スリランカでも日本でも「政治家の愚かさ」「そんな政治家を支持する選挙民の愚かさ」には変わりはないようです。独裁がいい訳ではありませんが、民主主義とは結局選挙民が賢くないといい結果がでません。

・開業以来、赤字経営が続くことから、スリランカのデシルバ交通・民間航空相は7月上旬、インドに合弁事業として空港を運営するよう提案したことを明らかにした。
・インドにとっては、高金利の債務返済に窮したスリランカが、約20キロ離れた場所にあるハンバントタ港と同様、中国に運営権を譲り渡す事態は避けたいところだ。シーレーン海上交通路)の要衝であるスリランカ南部で、中国が港と空港の運営権を握れば、インド洋での中印の力のバランスが変化しかねない。
・インド政府は7月26日の国会答弁で「スリランカからは何の提案もない」と否定したが、水面下で交渉を重ねているもようだ。戦略上の意味はあっても、空港が生む経済的利益はほぼないため、インド側も慎重になっているとみられる

 何でインドに話が行くのか、なんで中国でないのかよくわかりません。
 しかし経済的にはどう見ても相当危ない話で、下手に突っ込むとモディ政権が野党の攻撃をあびかねませんが、産経のいう「政治的思惑」とやらでインドが合弁に行くんでしょうか。
 それを中国は「厄介払いできて良かった、インドさん頑張って」と容認するのか、はたまた「わしのメンツにかけてもインドの手など借りさせない。わしがスリランカの面倒を見る」と中国が出張っていくのか。
 さすがにこんなにやばい話だと産経も「そこで日本の出番がやってきたのです。スリランカ親日にするために日本・スリランカ・インドの三者合弁で空港事業を(以下略)」「スリランカを取り込むためなら赤字空港の支援など少しも惜しくない」つう度胸はないようです。


■産経『マハティール首相、王毅外相に一帯一路で「積極的支持」を表明 マレーシアの対中“懐柔策”か』
https://www.sankei.com/world/news/180801/wor1808010021-n1.html
 吹き出しました。そんなに産経って一帯一路をマハティール政権が「基本的には支持してること(もちろんマレーシアの利益になるから)」を認めたくないんでしょうか?

 前政権が進めていた鉄道建設計画の中止

はあくまでも「一帯一路の修正」であって否定ではないわけです。


■リベラル21『右派ジャーナリストの中国論を読む』阿部治平*4
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-4448.html
 まあウヨの中国論など今回阿部が取り上げる「産経の矢板明夫&石平」以外にも「櫻井よしこ」「福島香織」等、山ほどある上に「ウヨ連中が中国について何言ってるか知る」という意味ならともかく「中国について知る」つう意味ではほとんど読む価値はないと思いますが。
 今時「ウヨ以外は中国批判しない」つう時代でもないですし、ウヨ連中はデマや放言が多いですからね。

・石平・矢板明夫『私たちは中国が世界で一番幸せな国だと思っていた――わが青春の中国現代史』(ビジネス社)を読んだ。
・石平氏は、1962年中国四川省成都の生れ。北京大学哲学科卒業後1988年に来日し、神戸大学博士課程を修了した。2002年から文筆活動に入り、07年には祖国を捨て日本国籍を取得した。みずから靖国神社に参拝したという「筋金入り」である。彼の論評を中国側からみたら、何につけても「反中国」とレッテルを貼りたくなるだろう。

 別に中国政府でなくても石なんて「反中国」以外の何物でもないんですが。
 レッテル張りでも何でもない。つうか靖国参拝なんて日本ではウヨしかやりませんし。

・本書は両者の対談で構成されている。前半は文化大革命民主化運動・天安門事件・中国ナショナリズムについて、後半は昨今の習近平政治について語っている。したがって本書表題は、前半部分しか示していない。
 文化大革命とか天安門事件とかいわれてもピンとこない若い方々は、本書前半でその大略をつかむことができる。著者二人の体験が披露されていて、これはこれで興味深い。だが毛沢東による文革発動の動機や、中国大衆がこれに熱狂した理由については深い言及はない。
 両氏は直接間接に文革を体験しており、感受性の強い思春期・青年期まで中国社会で生活してきた。今後この分野についての考察・分析を期待したい。

 いやいやそんな「高尚な分析」なんぞ矢板や石に本気で期待してるのなら阿部やリベラル21は端的に言ってバカです。
 連中にとって文革は「単に中国に悪口して金稼ぐためのネタ」にしかすぎません。まあ、連中とは違うまともな研究者、ジャーナリストの文革論でも読むべきでしょうね。
 「文革」でググれば、

矢吹晋文化大革命』(1989年、講談社現代新書)
中嶋嶺雄『北京烈烈:文化大革命とは何であったか』(2002年、講談社学術文庫)
・厳家祺『文化大革命十年史 (上)(下)』 (2002年、岩波現代文庫)

などいろいろあります。
 そして矢板らの本を読むくらいなら「中国共産党の編纂」なので一定の限界はあるでしょうが
・席宣ほか『「文化大革命」簡史』(1998年、中央公論社)の方がましじゃないか。

 文革はまさに現在の習近平政治に通じているからである。

 イヤー通じてないでしょうねえ。仮に習氏が「権力集中と個人崇拝」を進めてるにせよ「権力集中と個人崇拝」イコール文革ではない。
 「権力集中と個人崇拝」が文革なら「そんなことは中国に限らず独裁的国家では何ら珍しくない」ので世界中文革だらけでしょう。
 一帯一路、AIIBひとつとっても「国際社会との協調抜きでは実行できないこと」であり全然文革と違うでしょう。
 正気でこんなことを阿部やリベラル21が考えてるのならバカだし、「中国に悪口するため故意にデマってる」なら別の意味でバカです。
 浅井基文氏が「日本では安倍政権批判者、リベラルを自称するものでも、『尖閣危機』だの『習主席は終身主席狙ってる、文革を思い起こさせる』だの非常識な反中国で頭が痛い。一帯一路参加を日本に呼びかける中国が尖閣攻撃など考えがたいし、任期制廃止は是非はともかく終身制ではない。そういう事態が自称安倍批判者の意図に反し、安倍政権支持を下支えしてる」「中国批判するなとは言わないが少しはまともな批判をしてほしい」と嘆いていましたが、このリベラル21掲載の阿部駄文なんかその「浅井氏が嘆く自称反安倍政権、自称リベラルの非常識反中国論」の典型でしょう。

 矢板氏は、中国では最大の課題が経済成長だという。1992年以来、経済成長が民衆の不満を吸収してきたからである。ところが経済成長が鈍った今日、これを打破する次の「柱」が見えない。そのために「一帯一路」などを提唱したが、効果を上げているわけではないという。

 いやー効果は上げてるでしょうね。だからこそ、最近訪日した李首相を安倍は歓迎し、「一帯一路への参加」を事実上表明したわけです。
 もちろん「世界中どこでも一帯一路関係プロジェクトが全部成功して、何の問題もないです」つうこともないですが「成果を上げてない」なんてデマもいいところです。
 なお、一帯一路については
■新刊紹介:「経済」8月号(その1:一帯一路特集号・その1)
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180716/5421309876
■新刊紹介:「経済」8月号(その2:一帯一路特集号・その2)
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180715/5421309876
■新刊紹介:「経済」8月号(その3:日本ウヨ連中の一帯一路disを参考にリンク張っておく)
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180715/5021309806
■「今、アフリカビジネスが熱い」らしい(追記・訂正あり)
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180726/1064208022
などの拙記事を参考いただければ幸いです。

 いまや中国の基礎研究開発費は日本の数倍、アメリカに迫る勢いだ。今後中国発のIT技術やAI研究開発は日本はもちろんアメリカにとっても脅威となるだろう。
 こき下ろすだけでは正しい分析とはいえない。

・おやおやですね。
 阿部は事実上、id:Bill_McCrearyさん記事『基本的に、理数系の学問振興と政治体制・民主主義の程度は関係ないと思う』
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/22346c83316572e990e53822bba215d4
と同じ考えに考えを変更したようです。ただし過去の

 社会科学だけではない。科学・技術の分野でもこれでは定説を越えた新学説が生れにくい。実に中国にとって不幸な時代がやってきたといわなければならない。

を明確に変更したと言わないあたりは阿部らしいですが。多分誰かが「皮肉ではなく単に疑問表明としてでも」『あれ、阿部さんって意見変わったんですか?』と聞いたらたぶん不快そうな顔するんでしょうねえ。
・いやそもそも矢板や石に「正しい分析」を期待する方が間違っています。そんなんは「小保方にまともなSTAP細胞研究を期待」「荒木和博にまともな北朝鮮研究を期待」「東中野修道にまともな南京事件研究を期待」するくらい非現実的です。

 石平氏は、独裁体制形成の背景には中国経済の衰退があるとする。

 いやいやむしろトウ小平*5の改革開放以降、基本的には中国経済は発展していますし、それが一党独裁体制を支えていたわけです。

 毛沢東の恐怖政治をモデルとし、王岐山*6をつかった腐敗摘発運動をおこして彼にまつろわぬ連中の心胆を寒からしめ、最高権力を手にしたという。

 習氏の「腐敗摘発」をどう評価するにせよ、それは「汚職などの違法行為」を追及している、つまり「少なくとも建前では政治イデオロギー闘争ではない」という意味では全然毛沢東とは違うでしょう。
 文革の場合、建前上も政治イデオロギー闘争のわけです。

 李克強*7首相はほぼ実権を削がれ

 アンチ習主席のウヨ連中はよくそういうこと言いますがどうなんですかね。首相ってのは「ナンバー2」なのでそうそう実権も奪えないと思いますが。

・本書に従うと、習近平主席第2期目の人事は、独裁者の例にたがわず側近で固められた。

 まあ独裁者でなくても普通自分の側近を登用するんですけどね。「吉田茂政権での池田蔵相」とか。

・人民銀行新総裁はあまり存在感がない易綱

 2007年から副総裁を務め「次期総裁の最有力候補」とされてた人間が順当に「総裁になった」のに「存在感がない」ねえ。そんなことはないと思いますが。
 まあ、ウィキペ『易綱』によれば

・1980年に北京大学経済学部を卒業後、渡米し、1986年にイリノイ大学で経済学博士号を取得。1986年から1994年にかけてインディアナ大学で准教授を務めた後、中国に帰国。1994年に北京大学に「中国経済研究センター」を設立し、同大学の教授となる。
 その後、中国人民銀行の貨幣政策委員会事務局長、通貨政策委員会事務局長、金融政策局長などを歴任。2007年からは副行長(副総裁)を務め、2018年に行長(総裁)に就任。

ですから、少なくとも『易綱氏』についていえば明らかに「習氏側近」云々という話ではないですね。
 習氏の主席就任以前からその能力を評価されていたエコノミストが、順当にあるべき地位に就いただけでしょう。

 政治局常務委員会序列3位の栗戦書*8と国務院秘書長の楊振武の二人は習近平が河北省正定県書記時代の飲み友達だった。序列6位の趙楽際*9習近平の父親習仲勲*10の墓として巨大な陵墓をつくった人物で、(中略)北京市トップの蔡奇は習近平が淅江・福建党書記だった当時の部下である。これだと頼りになるのは、このほど中共中央政治局常務委員をはずれ国家副主席になった王岐山ひとり程度ということになりかねない。

 いやいやさすがにそんなことはないでしょう。もちろん習氏は王氏を頼りにしてるのでしょう。
 党中央政治局常務委員は通常退任する場合は、その後は名誉職に就くことが多く、今回の「国家副主席就任」はかなり異例だとされています。
 また、阿部が名前を挙げてるメンツも「習氏との過去の関係」が登用に影響はしてるでしょう。
 とはいえ、さすがに「才能無視の完全な情実」「頼りになるのは王氏だけ」ではないでしょう。

矢板
「日本はこれまで日米安保を何よりも優先してきたのに、結局、アメリカは(ボーガス注:米朝首脳会談について)事前に相談さえしなかった。しかし逆にいえば、日本にとっては、本当に独立するひとつのチャンスではないかというのが私の意見です。これからはアメリカに期待せず、日本は自分で憲法改正を本当に考えなければならない。もし米朝協議で北朝鮮が実質核保有国になった場合も想定して、日本も国内で核武装の是非まで含めた議論を本格的にやらなければなりません。習近平もトランプも金正恩も信用できない相手ばかりなのですから」
・対米従属のしがらみから脱却できない日本の官僚機構とそれに依拠する自民党政権は民族の独立も誇りも捨てて、事後説明をいただくのみという屈辱に甘んじてきた。
・いま産経新聞の外信部次長という地位にある人物がようやく日米関係に疑問を呈し、日米安保体制からの離脱を検討するよう主張したのである。
矢板氏の言説は、支配階級に対して覚醒をもとめたものだ

・「事前に相談しないでメンツ潰した」つうなら今回が初めてではなく、佐藤栄作首相時代のニクソン訪中があります。

参考

ニクソンの中国訪問(ウィキペディア参照)
■日本への連絡
 当時西側でもっとも衝撃を受けたのは日本であったといわれる。なぜならこの時点でイギリス・フランス・イタリア・カナダはすでに中華人民共和国を承認していたのに対し日本は中華民国と国交があったからである。
 しかもニクソンは「日米繊維問題での反発」もあって日本への事前連絡をしなかったという。当時ニクソンは日米繊維問題で日本国内の繊維業界に配慮し、ニクソンの要望に全く応えようとしない佐藤首相に怒っていたと言われている。
 国務省は訪中発表の前日に前駐日大使だったウラル・アレクシス・ジョンソン国務次官を日本に派遣しようとしたがニクソンは反対して、ジョンソン次官は急遽ワシントンに駐在している駐米大使・牛場信彦に訪中発表のわずか3分前で電話連絡で伝えた。その時、牛場大使は「≪朝海の悪夢≫が現実になった」と唸ったという。朝海元駐米大使がかつて「日本にとっての悪夢は、知らぬ間に日本の頭越しに米中が手を握る状態が訪れることだ。」と語っていて、いつか米中接近があるのではという観測はこの当時あったが、まさか本当にある日の朝に起きたら米中が手を握っていたことに愕然とした。ウラル・アレクシス・ジョンソン国務次官は後に日米両国の信頼関係と国益を損なったとキッシンジャーニクソンを批判している。結局佐藤首相は日中関係の打開には動けず、後継の田中角栄首相がニクソン訪中から7ヶ月後の1972年9月に北京を訪問して日中国交正常化を果たすこととなる。

■日米繊維交渉(ウィキペディア参照)
ニクソン政権誕生
 1968年の米国大統領選挙戦中の8月11日、リチャード・ニクソン候補が「繊維にも国際的取り決めを導入する」とする繊維規制を公約し選挙に勝利、大統領に就任する。翌1969年5月、モーリス・ヒューバート・スタンズ商務長官が訪日し、日本による繊維製品輸出の自主規制を要請。これを愛知揆一外務大臣が拒否すると、ウィルバー・ミルズ下院歳入委員長が「日本が自主規制に応じなければ、議会は繊維の輸入割当を法制化する」との声明を発表する。
■決着
 1971年7月に成立した第3次佐藤改造内閣通産大臣となった田中角栄は、米側の要求をのむ代わりに繊維業界の損失を補填するという方針に転換。 10月15日には米側原案に近い形での「日米繊維問題の政府間協定の了解覚書」の仮調印が行われ(直後に施行)、日米繊維問題は一応の決着を見た。繊維業界へは751億円の救済融資が実施された。同年の第67臨時国会でも1278億円の追加救済融資が補正予算として計上された。
■沖縄問題
 日米繊維交渉が難航した背景には、経済的利害関係のほかにも、沖縄返還問題があったといわれている。米国は沖縄を日本に返還する代わりに、日本に米国の主張する繊維規制に同意することを求めていたのである。このニクソン政権の戦略は、日本側の事情で極秘扱いにされた。表立った交渉の場ではあくまでも「経済的交渉」という体裁が整えられたため、米国側の意向は実際の交渉を行う事務方には伝えられなかった。このため日米双方で思惑が食い違い、交渉は混迷を極めた。時期を同じくしたこの双方の動きは、当時「絡んだ糸が縄(沖縄)になる」とか「糸を売って縄(沖縄)を買う」などと皮肉られたが、それが必ずしも単なる皮肉とは言い切れない事情がそこにはあった。
尖閣諸島問題
 尖閣諸島問題にも繊維交渉が絡んでいたことが近年になって明らかになった。尖閣諸島は1972年の沖縄返還の際に沖縄県の一部として日本に施政権が返還されたが、これに台湾政府が強く反発、米国政府に働きかけた結果、米国政府内にも沖縄との一括返還に否定的な意見が一部にでてきた。その中には、「繊維交渉で日本に譲歩を促す際の交渉材料にするためにも、直ちに日本に返還すべきでない」というものもあったことが、公開された米国政府の外交文書から明らかになった。

 なんか「日米繊維交渉」では、「訪中は直前まで佐藤に知らせなくていい」だの「尖閣や沖縄とバーターの取引材料にしようか?」とかトランプ的な態度のニクソンですね。
・それはともかく、まあどこまで矢板が本気かは疑問ですがね。本気で「現状の日米関係に疑問、日本の自主外交を主張」なら今の沖縄基地問題で米国べったりの日本政府を批判して当然ですがそんなことを産経記者の立場で矢板がやったら、矢板は左遷されるでしょう。当然そんなことを矢板はやらない。
 単に矢板は「日米同盟がトランプではどこまで信用できるか」「信用できるのはやはり日本の自衛隊」つう口実で「軍拡とそのための憲法九条改定」を主張してるだけです。
 もちろん現状で「軍拡とそのための憲法九条改定」をしても「対米従属関係」は変化しないどころか「海外での米軍と自衛隊の共同軍事行動」という形で、より深刻化するでしょう(ただし対米自立しても俺は軍拡と九条改憲には反対ですが)。しかし、そうなっても矢板も「対米従属が進んで残念」ともなんとも言わない。
 本気で日米同盟をなんとかしたいわけでは全くない。その程度のことが阿部やリベラル21にわからないのなら本当にバカです。

 反自民の政党間においては、これまで日米安保体制や現行憲法のもとでの自衛隊のあり方、自衛反撃戦とそれが生む問題、中朝両国との共存の方法などについて深刻な討論をしてこなかった。

 まあ、「反自民の人々においては議論自体はもちろん存在しますが」、「政党間において」は確かにそうなんでしょうねえ。「日米安保自衛隊の現状」に批判的な共産、社民といった左派と、安倍ほど極右ではないとは言え、「理想とするのは自民党大平派(宏池会)」と公言する保守政治家・枝野氏が率いる立憲民主党や「小沢元自民党幹事長」が率いる自由党とではそのあたりなかなか議論が成立しにくいのも確かです(もちろん、前原や細野が幹部だった頃の民進党なんぞ、今の立民以上に議論がしにくい)。
 そこでまあ、次善の策として「安倍自民の極右的改憲論反対」で共同戦線を組んでるわけです。まあ、共産支持者として正直隔靴掻痒ですが、当面は仕方ないんじゃないか。で、とりあえず感想を終わります。
 結局「いつもの感想ですが」『阿部治平とリベラル21って本当にバカだな、黙ってろよ』つうのが俺の感想です。特に酷いのが矢板の「自主外交論」を本気扱いしてるバカさですね。


トランプ大統領支持率の上昇と左翼メディアの失敗(2)
http://www.epochtimes.jp/2018/08/35214.html

 欧米諸国で左翼勢力がほぼ社会全体を支配している。

 馬鹿馬鹿しくて吹き出しました。「トランプを批判する奴、皆左翼」という暴論でも支持しない限りあり得ない珍論です。「社会党出身マクロン大統領」のフランスはまだしも、「英国」「イタリア」「ドイツ」のどこが左派政権なんでしょうか?


大紀元トランプ大統領支持率の上昇と左翼メディアの失敗(1)』
http://www.epochtimes.jp/2018/07/35086.html
 なぜか異常なまでにトランプ万歳でかつアンチ左翼の大紀元法輪功)らしいですがトランプ批判派には「共和党のマケイン」のような保守派もいますので「アンチトランプ=左翼」というのは端的に言って嘘です。
 もちろん反トランプの左派もいます*11し、トランプ支持の右派もいますが。
 確かに「大幅減税→景気回復」により、トランプ支持は回復傾向にあるようですが、それはトランプの反人権政策を正当化できるものではないし、無茶苦茶な報復関税は、短期はともかく長期的には「米国経済に打撃」と見られています。ロシアゲート問題も終わったわけではないし、大紀元が言うほどにはトランプ支持は盤石ではありません。


■朝日:チャイナ・スタンダード(世界を席巻する中国式)『「命の恩人」に急接近 中国の代弁者になるギリシャ
https://www.asahi.com/articles/ASL5J5QC6L5JUHBI027.html

 ギリシャの首都アテネの南西約10キロにあるピレウス港は同国最大の港だ。昨年、完成した新たなコンテナターミナルでは、クレーンやトラックが行き交う。大型クルーズ船から毎日多数の観光客が降り立ち、にぎわいを見せる。
 2010年、ギリシャが深刻な経済危機に陥り、EUで「お荷物」扱いされた時にも、中国はこの港の開発への投資を続け、地中海屈指の貿易港に成長させた。中国にとって、ピレウス港は習近平(シーチンピン)国家主席が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」の要衝であり、欧州進出の足がかりでもある

 コメント抜きで紹介をしておきます。


■中国関係の河野外相記者会見録

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000728.html#topic5
■中国ウイグル族に関するペンス*12米国副大統領の発言
朝日新聞 田嶋記者】
 中国に関連してですね,アメリカのペンス副大統領が講演で,中国政府がウイグル族を不当に収容しているという懸念を表明したようですけれども,これについて日本政府としても同じようなお立場でしょうか。
【河野外務大臣
 中国国内のウイグル民族については,これは中国の国内問題,内政問題という認識であります。他方,どこの国においても,人権とか自由といった基本的な人権・価値観というのは尊重されるべきであろうというのが日本政府の立場でございます。

 「アンチ中国」常岡浩介が「手前、ウイグルに冷たすぎるだろ、中国に対して腰が引けすぎだろ」つう河野外相非難の文脈でこの外務省サイトにリツイートしてたので気づきました。
 朝日・田嶋記者が、「ウイグルの人権に配慮し、日本もペンスに従うべきだ」か、単に「中国は日本の隣国で重要な貿易相手国だし、一方米国は同盟国かつ、これまた重要な貿易相手国だし、この件について日本政府の考えを聞くことが新聞記者の責務だと思って聞きました(ペンスの考えについて、田嶋個人として特に支持、不支持はない)」か、何なのか、どういう文脈で質問したかわかりませんが、「ペンスに同意するのかしないのか」完全に質問から逃げてる河野です。まあ同意しないというと「日本ウヨやトランプ政権ともめる危険性がある」反面、同意すると言うと「中国ともめる危険性がある」ので「まあ一般論としては信教の自由は大事よね。でもペンスの意見に賛同してるなんて一言も言ってないから。それと一般論として他国の内政にああだこうだいうのって内政干渉の疑いあるよね。でも中国の宗教政策に問題がないなんて一言も言ってないから」と、こうして逃げるわけです。
 でも、産経とか国基研とか『ダライ・ラマと転生』(2016年、扶桑社新書) 』の著者・I濱女史とかは「なぜペンスに賛同しない」などとは、安倍も河野も批判しないで、もちろん「朝日の田嶋記者はいい質問した!」とほめることもしないで、「見て見ぬふりする」んだろうなあ。『中国を追われたウイグル人:亡命者が語る政治弾圧』(2007年、文春新書) の著者・M谷女史は安倍や河野を批判し、田嶋記者を褒めるかもしれませんが。
 もちろんこういう河野答弁について日本ウイグル国会議員連盟古屋圭司会長(第二次安倍内閣国家公安委員長)なども「河野氏に対しペンスに賛同するよう求める要請」も何もしないでしょう。

参考

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180727/k10011551041000.html
NHK『トランプ政権 中国がウイグル族を不当に収容と非難』
 アメリカのトランプ政権は、中国政府が、テロ対策を名目に新疆ウイグル自治区で、イスラム教徒のウイグル族を不当に収容し、その数は少なくとも数十万人に上ると明らかにして強い懸念を表明しました。
 アメリカのペンス副大統領は26日、首都ワシントンで講演し「中国政府は、数十万人、もしくは数百万人の規模でイスラム教徒のウイグル族を再教育施設という場所に収容している。宗教の信仰と文化的な帰属意識を失わせようとしている」と述べて非難しました。
 さらに、アメリカ政府で人権問題などを担当しているカリー大使も26日、議会で開かれた公聴会に出席し「習近平政権が去年の4月からテロとの戦いを名目にイスラム教徒に対する抑圧を強めている」と述べたうえで、ウイグル族を去年から少なくとも数十万人不当に拘束していると強い懸念を表明しました。
 また、新疆ウイグル自治区では、イスラム教を若者に教えることやイスラム教徒的な名前を子どもにつけることが禁止になるなど、かつてない抑圧的な政策を進めていると指摘し、中国政府にやめるよう申し入れたことを明らかにしました。
 公聴会には、新疆ウイグル自治区出身で、現在はアメリカを拠点にウイグルの現状を伝えている女性記者も出席し、新疆ウイグル自治区にいる自分の家族や親戚20人以上が去年から当局に連行され、今も行方がわからないと訴え、協力を求めました。

 「イスラム教を教えることそれ自体を禁止」つうのはちょっと信じられないですけどね。そんなん、発覚して、イスラム諸国に批判されたら確実に外交問題化しますし。
 俺の邪推ですが「仮に規制があるとしても」そこまでは酷くなくて「中国共産党のお墨付きのあるイスラム宗教家以外からの学習は禁止(イスラム教学習のある種の許可制)」じゃないか。 

https://mainichi.jp/articles/20180729/ddm/007/030/072000c
毎日新聞『トランプ米政権:「ウイグル数十万人拘束」 中国当局を批判』
【ワシントン工藤哲】
 中国新疆ウイグル自治区イスラム教を信仰する少数民族ウイグル族をめぐり、トランプ米政権が「中国当局がテロ対策を名目に数十万人を拘束している」と批判を強めている。中国側は「内政干渉だ」と強く反発している。
 ペンス副大統領は26日、ワシントンで講演し、ウイグル族の住民について「数十万、あるいは数百万とみられる人たちが、再教育施設に移され、政治教育を強いられている。宗教的な信条が脅かされている」と懸念を示した。
 米政権で人権問題を担当するカリー国連経済社会理事会大使も同日、議会の公聴会で、習近平指導部が昨年4月以降、テロや過激主義者に対処するとの目的で、イスラム教徒への抑圧を強めていると指摘。自治区内ではイスラム教徒の食生活や名前、宗教教育にも当局の介入が続いているとし、「中国にこうした政策をやめるよう求めた」と述べた。
 中国外務省の耿爽(こうそう)副報道局長は27日の定例会見で、「中国政府は信仰の自由を十分に保障している」と表明。「米国は中国の民族政策を中傷している。宗教を利用した内政干渉をやめるべきだ」と反論した。


■読売新聞『国連分担金、中国が日本抜き2位へ…存在感増す』
https://www.yomiuri.co.jp/world/20180728-OYT1T50048.html
 中国の経済発展の証明ですね。


■人民日報『岡崎嘉平太*13特別展、駐日中国大使らが出席』
http://j.people.com.cn/n3/2018/0725/c94473-9484749.html

 程永華*14駐日中国大使が24日、「岡崎嘉平太とその時代〜日中友好の井戸を掘った人々〜」特別展の開幕式に出席した。中国清華大学の顧秉林元学長、日本の河野洋平*15衆議院議員小渕優子*16衆議院議員小泉龍司衆議院議員ANA全日空)の大橋洋治相談役、ANAの伊東信一郎会長、日中友好協会の丹羽宇一郎*17会長、岡崎嘉平太の子孫などの各界関係者も同特別展に出席した。
 程氏は挨拶の中で、「岡崎嘉平太氏は中日民間交流を展開し、両国の経済・貿易交流を促進するため、一生涯に渡り心血を注いだ。彼と高碕達之助*18松村謙三*19が中国と切り開いた両国の覚書貿易は、中日交流史の伝説のページとなった。両国が国交正常化を実現した後も、岡崎氏は高度な遠見卓識によって両国の青年交流を力強く促進した。周恩来総理は岡崎氏を、中日友好の井戸を掘った人と称賛した。習近平国家主席は2015年5月に北京の人民大会堂で開かれた中日友好交流大会で発表した談話の中で、岡崎氏が中日関係の再構築と発展に関する多くの取り組みを改めて評価した」と述べた。
 同特別展は清華大学と(ボーガス注:岡崎氏が一時社長を務めた)ANAが共催したもので、今年11月には清華大学でも開催される予定だ。

 ということで日中交流には長い歴史があるわけです。


ニューズウィーク日本版『神仏をも恐れぬ中国の監視と弾圧、ビッグデータをフル活用』(楊海英*20
https://www.newsweekjapan.jp/youkaiei/2018/07/post-21.php

 私が夏の帰省中に経験した出来事から記そう。16年8月、日本から実家のある中国内モンゴル自治区オルドス高原に帰省した。老父がチベット仏教の活仏に会いたいというので、案内を買って出て、ある寺を訪れた。活仏とは代々生まれ変わる高僧のことだ。
 境内に入ると、十数台もの監視カメラが方々に設置されていた。「清朝時代に建てられた名刹だから、文化財を保護するためのものだろう」と無邪気に思いながら、活仏の部屋へ。挨拶も終わらないうちに、警官数人が傍若無人に乱入してきた。そして私たち親子が連行された別室は壁一面がモニターになっており、机にはいくつものパソコンが置いてある。
 身分証明書を求められ、仕方なくパスポートを見せた。「日本人がどうしてこんな田舎の寺に来て、小坊主に会おうとするのか」と、警官たちは日本国籍の筆者をにらみながら、「大野旭」という日本人名で取得したパスポート情報をパソコンで照合する。すぐに「『著名な』楊海英教授か! 『墓標なき草原』の先生」と皮肉を発した。
 『墓標なき草原』(岩波書店)を09年に出版して以来、筆者は中国、特に内モンゴル自治区で「注視」される身となった。文化大革命中に発動されたモンゴル人ジェノサイド(集団虐殺)を研究した歴史書だ。この事件は中国でタブーとされており、語ることすら禁止されている。
 刊行後間もなく、中国語とモンゴル語に翻訳されて内モンゴルに伝わり*21、当局を刺激してしまった。拙著の流布は取り締まられ、所持だけで逮捕される事態も複数起きた。筆者に関する情報は全て治安当局のデータベースに蓄積され、オルドス高原の一寺院で瞬時に個人情報の詳細がばれてしまったのだ。

 楊の文章が事実なら、ずいぶんと楊も有名人のようです。たださすがに中国政府も静岡大学教授・楊を身柄拘束して痛めつけたりはしないようです。

 (ボーガス注:新疆ウイグル自治区イスラム教徒は)携帯にイスラム教の聖典コーランのアプリがあったり、隣国のカザフスタンの同胞と交流したりしただけで逮捕監禁されている。
 イスラム教徒を迫害する中国に対して、サウジアラビアやイランといったイスラム教大国は沈黙を守ったままだ。中国マネーがもたらした利潤にむしばまれ、同胞が圧政に苦しんでいるのを見て見ぬふりをする。

 どうなんですかねえ。楊がいうほどイスラム教「それ自体」が中国当局によって敵視されてるのかどうか。
 イスラム過激派や「イスラムの立場に立った反体制派」ならともかくイスラム教それ自体を敵視するような態度はイスラム諸国との関係を考えればとらない気がしますが。

参考

https://www.sankei.com/world/news/170316/wor1703160043-n1.html
■産経『中国・サウジ首脳会談 7兆円規模の協定に署名 「一帯一路」で協力確認』
・中国の習近平国家主席は16日、北京の人民大会堂サウジアラビアのサルマン国王*22と会談し、両首脳は「全面的戦略パートナーシップ」を推進することで一致した。会談後、両国はエネルギーや宇宙開発分野など総額650億ドル(約7兆3400億円)のプロジェクトを含む協定・覚書に署名した。
 中国にとって中東は現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の要衝であり、サウジは原油の重要な輸入先だ。
・中国外務省によると、習氏は会談で「中国はサウジの信頼できる安定した原油の輸出市場だ。双方はエネルギー分野で協力の枠組みをつくりあげ、通信や宇宙などの分野で協力を深めるべきだ」と強調。サルマン氏は「経済貿易や投資、金融、エネルギー分野での協力をさらに深化させたい」と述べた。
 習氏は昨年1月に中東を歴訪し、サルマン氏との会談では「一帯一路」をめぐる協力やエネルギーなどの分野での関係強化を確認していた。

https://www.sankei.com/world/news/180131/wor1801310006-n1.html
■産経【イラン反政府デモから1カ月】擁護する中国 資源、「一帯一路」に不可欠
 中国は、習近平国家主席が提唱した現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の重要沿線国としてイランを位置づけている。核合意の擁護をアピールしてイランとの関係を強化し、中東で政治・経済的な影響力を拡大していく戦略だ。
 トランプ米大統領がイラン核合意の見直しを要求する声明を出したのを受けて、中国の王毅*23外相は1月13日、イランのザリフ*24外相と電話会談し、「中国は(核合意を)擁護し履行するために建設的役割を果たす」と強調。ザリフ氏は謝意を表明した。
 中国はイランにとって最大の貿易相手国であり、イランは中国の6番目の原油供給元(2016年)だ。
 16年1月には習氏がイランを公式訪問し、全面的な戦略的パートナーシップの確立を宣言。16年11月には軍事訓練などを含む防衛協力協定に調印、軍事面の連携も進む。
 イラン側も「一帯一路を通じてエネルギーや交通分野で協力を進めたい」(ザリフ氏)と前向きだ。すでに両国間で長さ260キロ以上の鉄道建設や地下鉄整備事業が動き出している。
 昨年7月に、イランの南パルス天然ガス田の一部を開発する契約をイラン側と結んだのは、中国石油天然ガス集団(CNPC)とフランス・トタル*25だった。


■産経【田村秀男のお金は知っている】貿易戦争、韓国は中国の道連れに…「トランプ弾」中国金融市場を直撃
https://www.sankei.com/premium/news/180728/prm1807280004-n1.html
 田村らしいデマ記事ですね。中国経済がダメージを受ければ世界経済や日本経済もダメージを受けるのであって韓国経済だけがダメージを受けるわけではない。


■日経『国産コンテンツを中国に輸出、フジテレビ・アリババ連合』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3345350026072018TJ3000/
 産経はともかくフジテレビにとって中国は魅力的市場の訳です。しかも提携相手のアリババは中国企業です。


■産経『多国間貿易に「未曾有の難題」 BRICS宣言で米牽制 中国、「反保護主義」結束を演出』
https://www.sankei.com/world/news/180727/wor1807270032-n1.html

BRICSを構成する中露と南ア、インド、ブラジルの国内総生産(GDP)合計は世界の23・6%(2017年推計)を占め、米国とほぼ同水準で、その人口は世界の4割超に上る。中国はロシア、ブラジル、南アの3カ国にとって最大の貿易相手国であり、経済的影響力も大きい。
・中国の習近平*26国家主席は会議で「保護主義と一国主義が新興国発展途上国の発展環境に深刻な影響を与えている」と訴え、保護主義への反対を「旗幟(きし)鮮明」にするよう呼びかけた。
 各国指導者もこれに呼応する形で「一国主義や保護主義が台頭し、BRICS加盟国は協力を強めなければならない」(南アのラマポーザ大統領)、「多国間主義や国際ルールの堅持を」(プーチン*27露大統領)などと発言し、米国の通商圧力を受ける中国への“助け舟”を出した。

 要するに「産経による中国脅威論」ですが結局「中国敵視がいかに馬鹿げてるかの宣伝」にしかなってないと思います。隣国であり経済大国でもある中国を敵視することは全く馬鹿げています。


■産経【パキスタン総選挙】「親中国」路線維持へ 勝利のPTI党首「中国から学びたい」
https://www.sankei.com/world/news/180727/wor1807270029-n1.html

・「国是」ともいえる親中姿勢に変化はなさそうだ。
 「中国からは貧困から脱出する方法と、腐敗を排除する方法を学びたい」
 パキスタン正義運動(PTI)のイムラン・カーン党首は26日の勝利演説で、中国を“成功者”と位置づけて手放しで絶賛した。
・カーン氏は中国による投資は「わが国のチャンスだ」とし、関係強化を宣言した。
 中国とパキスタンの関係は歴史的に密接で、「海よりも深く、山よりも高く、蜜よりも甘い」とも形容される。ともにインドという対抗相手を抱え、戦略的に利害が一致するためだ。中国は2013年に立ち上げた中国・パキスタン経済回廊構想(CPEC)を一帯一路の中核と位置づけ、パキスタンイスラム教徒連盟シャリフ*28派(PML-N)政権も投資受け入れを推進した。

 問題とされていたのはもっぱら今回、パキスタン正義運動(PTI)に敗北した「前与党パキスタンイスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)の政治腐敗」であって「中国との関係」ではなかったようですからねえ。

 現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」関連事業を通じて、インフラ整備などのために620億ドル(約6兆9000億円)の巨額投資も受ける。

なんて巨額投資をそうそうチャラにもできないでしょう。

*1:副首相、首相などを経て大統領

*2:セルビアの首都

*3:正確には内モンゴルですが

*4:著書『もうひとつのチベット現代史:プンツォク=ワンギェルの夢と革命の生涯』(2006年、明石書店)、『チベット高原の片隅で』(2012年、連合出版)など

*5:党副主席、副首相、人民解放軍総参謀長などを経て党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*6:海南省党委員会書記、北京市長、副首相、党中央規律検査委員会書記(党中央政治局常務委員兼務)などを経て国家副主席

*7:共青団共産主義青年団)中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*8:黒竜江省長、貴州省党委員会書記、党中央弁公庁主任等を経て全国人民代表大会常務委員長(党中央政治局常務委員兼務)

*9:青海省長・党委員会書記、陝西省党委員会書記、党中央組織部長などを経て党中央規律検査委員会書記(党中央政治局常務委員兼務)

*10:新中国建国後、党中央宣伝部長、国務院秘書長、副首相など歴任。文革で一時失脚するが文革終了後復権広東省長・党第一書記、全国人民代表大会常務副委員長など歴任

*11:というか右派はともかく左派にはトランプ支持は「対北朝鮮外交など一部問題を条件付きで支持」ならともかく全面支持はほとんどいないでしょうが。

*12:インディアナ州知事を経て副大統領

*13:池貝鉄工社長、丸善石油社長、ANA全日空)社長、日中覚書貿易事務所代表、日本国際貿易促進協会常任委員、日中経済協会顧問など歴任

*14:駐マレーシア大使、駐韓大使などを経て駐日大使

*15:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任。現在、日本国際貿易促進協会会長

*16:麻生内閣少子化等担当相、第2次安倍内閣経産相を歴任

*17:伊藤忠商事会長、経済財政諮問会議議員、駐中国大使など歴任。著書『中国の大問題』(2014年、PHP新書)、『習近平はいったい何を考えているのか』(2016年、PHP新書)、『北京烈日・決定版:中国で考えた2050年の日本と中国』(2016年、文春文庫)など

*18:東洋製罐社長、満州重工業開発総裁、電源開発総裁など歴任。戦後、政界入りし、鳩山内閣経済企画庁長官、岸内閣通産相科学技術庁長官兼務)など歴任。いわゆるLT貿易の立役者の一人。

*19:東久邇宮内閣厚生相(文相兼務)、幣原内閣農林相、鳩山内閣文相など歴任

*20:著書『草原と馬とモンゴル人』(2001年、NHKブックス)、『モンゴル草原の文人たち:手写本が語る民族誌』(2005年、平凡社)、『チンギス・ハーン祭祀』(2005年、風響社)『墓標なき草原(上)(下):内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2009年、岩波書店)、『続・墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2011年、岩波書店)、『中国とモンゴルのはざまで:ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(2013年、岩波現代全書)、『植民地としてのモンゴル:中国の官制ナショナリズムと革命思想』(2013年、勉誠出版)、『ジェノサイドと文化大革命内モンゴルの民族問題』(2014年、勉誠出版)、『モンゴルとイスラーム的中国』(2014年、文春学藝ライブラリー)、『チベットに舞う日本刀:モンゴル騎兵の現代史』(2014年、文藝春秋)、『狂暴国家中国の正体』(2014年、扶桑社新書)、『日本陸軍とモンゴル:興安軍官学校の知られざる戦い』(2015年、中公新書)、『モンゴル人の民族自決と「対日協力」:いまなお続く中国文化大革命』(2016年、集広舎)、『「中国」という神話:習近平「偉大なる中華民族」のウソ』(2018年、文春新書)、『「知識青年」の1968年:中国の辺境と文化大革命』(2018年、岩波書店)など

*21:楊の口ぶりからして無許可翻訳の海賊版でしょう。

*22:リヤード州知事、皇太子(副首相、国防相兼務)等を経て国王

*23:駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)などを経て国務委員(外交担当)兼外相

*24:外務副大臣国連大使などを経て外相

*25:フランスの石油企業。 エクソンモービル(米国)、ロイヤル・ダッチ・シェル(英国&オランダ)、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP、英国)、シェブロン(米国)、コノコフィリップス(米国)とともに6大メジャー(6大石油会社)と呼ばれる(ウィキペディアトタル」参照)。

*26:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*27:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*28:防相、首相など歴任