■五十嵐仁*1の転成仁語『問題点だらけの欠陥法案である入管法改定案は廃案にするべきだ』
https://igajin.blog.so-net.ne.jp/2018-11-28
この入管法改定案の柱は二つあります。一つは一定の知識や経験を要する「特定技能1号」(通算5年まで)と、もう一つは熟練した技能が条件で家族帯同を認める「特定技能2号」(在留期間更新可)という新たな資格を設けることです。
ただし、受け入れ分野や5年間の受け入れ上限数は改正案に明記されていません。法務省が年内にも策定する「分野別運用方針」などに委ねているからです。
このために、野党は「内容がすかすかで問題だらけの白紙委任法案だ」(国民民主党の山井和則氏*2)と批判してきました。問題点だらけの欠陥法案なのです。
自民党の平沢勝栄衆院法務委員会理事は、強行採決について「この問題は議論したらきりがないんです。いくらでも問題点が出てくるんです」と弁解していました。「きりがない」というほど、議論したのでしょうか。
(ボーガス注:重要法案の上に反対意見が出ているにも関わらず)審議時間は17時間15分にすぎないではありませんか。
野党は基本的に外国から労働者が入ってくることに反対しているわけではありません。受け入れるなら、すでに入ってきている外国人の技能実習生の賃金や労働条件の実態をきちんと把握し、改善したうえで新たな労働者の受け入れと共生・定住の制度設計を綿密に行うべきだと主張しているのです。
しかし、政府はきちんとした資料を出さず、改善したり捏造したり、虚偽答弁を行ったりしてきました。議論の前提を掘り崩してきたのは野党ではなく、政府・与党の側でした。
「外国人材」というとらえ方に示されているように、外国人労働者を「人間」として見ていないのではないでしょうか。これらの人々は労働者として働くだけでなく、地域で生活し社会を構成する一員となるわけですから、そのための住居、教育、医療、社会保障などの制度的なバックアップを政府の責任できちんと整備するべきでしょう。
安倍首相は「移民ではない」と強調していますが、外国人材確保のために入管法をちょっと変えて少し受け入れを増やすだけだから本格的な制度設計は必要ないと言いたいようです。このような矮小化にこそ、最大の問題があります。
このような態度をとっているのは、一方で「人手不足」を解消して農業や介護、建設業などの産業界の要請にこたえて参院選でアピールしたいという思惑があり、他方で本格的な「移民」政策への転換ということになれば、強固な支持基盤である極右層の支持を失うのではないかと恐れているからだと思われます。
だから、拙速であることは十分に分かっていても、あまり時間をかけずに臨時国会で成立させ、参院選前の来年4月から施行したいのでしょう。ただし、注意しなければならないのは、「人手不足」というのも一種のまやかしで、「不足」しているのは雇用の調整弁となるような低賃金で使い勝手がよい「人材」にすぎないということです。
全く同感なので紹介しておきます。
【ここから産経です】
■【主張】「入管法」衆院通過 論点置き去りは許されぬ
https://www.sankei.com/column/news/181128/clm1811280002-n1.html
珍しく産経が安倍批判です。
1)批判動機が悪しき排外主義で「外国人の人権に対する人権擁護意識ではない」
2)結局、野党を明確な形では評価しない*3し、安倍批判も腰が引けてる
とはいえ、「いつもの無茶苦茶な安倍擁護や野党非難などと違い」、「今の法案のままでは欧米のような移民問題の発生や、ブラック企業による外国人相手の違法労働強要(最低賃金法違反など)が懸念される(要約)」ということで、まあ、それなりには「まともな文」かと思います。
■入管法改正案、衆院を通過
https://www.sankei.com/politics/news/181127/plt1811270039-n1.html
野党の反対を無視して強行採決したあげく、「新聞はともかく」テレビ局各局が安倍の恫喝を恐れてか、ろくに批判しないという惨状にはげんなりですが、参院で少しでも状況がましになることを望みたい。まあ、「与党批判派の俺の願望込み」ですが、仮に不幸にして可決されても「問題の表面化」で早晩、再改正は不可避と思いますが。
■元貴乃花親方、景子さんと離婚 平成の大横綱
https://www.sankei.com/life/news/181127/lif1811270004-n1.html
「貴乃花部屋をやめる」などの「異例な行為」についてさすがについていけなかったのでしょう。貴乃花がこうした異例な行為に行うに当たって妻の意見をどれほど聞いたのかも疑問ですし。
*1:法政大学名誉教授、全国革新懇代表世話人。個人サイト(https://igajin.blog.so-net.ne.jp/)。最近の著書として『対決 安倍政権:暴走阻止のために』(2015年、学習の友社)、『活路は共闘にあり:社会運動の力と「勝利の方程式」』(2017年、学習の友社)、『打倒安倍政権:9条改憲阻止のために』(2018年、学習の友社)など
*2:鳩山、菅内閣厚労副大臣、民進党国対委員長(蓮舫代表時代)などを経て国民民主党国対委員長代行
*3:とはいえその産経も『国会審議などで指摘されたさまざまな疑問は、解決していない』と書かざるを得ません。もちろん「国家審議で疑問を指摘したのは野党」です。