今日の産経ニュース(2022年11/11分)

【阿比留瑠比の極言御免】安倍元首相の皇位継承論 - 産経ニュース

 10日朝、月刊文芸春秋の新聞広告を見て「安倍晋三秘録③『愛子天皇』を認めていた」という見出しの記事に驚き、慌てて近所のコンビニエンスストアで買い求めた。安倍氏に近かった*1ジャーナリストの岩田明子氏が書いただけに、どんな内容かと注目したが、結論から言うと見出しは羊頭狗肉というほかない。
 平成17年の小泉純一郎内閣における皇室典範有識者会議が女性・女系天皇容認へと突き進むのを、小泉氏の意志が固かったため、官房長官だった安倍氏はその流れを変えられなかったという話である。岩田氏によると同年11月、安倍氏はこう語っていたという。
「おそらく性別に関係なく長子優先で落ち着くのだろう。果たしてそれでいいのだろうか。天皇家は125代も男系を守ってきたのに、正直、私が官房長官の時代に変更することには抵抗がある」

 安倍らしい非常識ぶりですね。そこまでして男系に固執するまともな理由が何かあるのか。
 小泉首相は勿論、有識者会議メンバーも

皇室典範に関する有識者会議 - Wikipedia
【役職は全て当時】
吉川弘之(座長)
 産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長
園部逸夫(座長代理)
 元最高裁判事。著書『皇室制度を考える』(2007年、中央公論新社)、『皇室法入門』(2020年、ちくま新書)
緒方貞子
 JICA(国際協力機構)理事長
奥田碩
 日本経済団体連合会会長。元トヨタ自動車会長
古川貞二郎
 元厚生事務次官。元内閣官房副長官

ということで左翼でも何でもない。
 それにしてもこの記事が「安倍が小泉氏に評価されてなかったこと」を事実上認めてることが滑稽です。


〈独自〉岸田首相、葉梨法相更迭の意向固める 山際氏に続き岸田内閣に打撃 「死刑のはんこ押す地味な役職」発言 - 産経ニュース
 山際更迭にやたら時間がかかった上、「統一汚染・萩生田政調会長」「事務所費疑惑・寺田総務相」は未だに更迭しないので「それに比べたら早い更迭」で正直意外です。似たり寄ったりの暴言をした「鳩山法相」が福田首相にかばわれたこともあって「しばらくはかばい続ける」かと思っていました。
 「葉梨本人が居座る気がない」「葉梨には何故か岸田が冷たい」ということなのでしょうが、ならば萩生田や寺田もとっとと更迭して欲しい。


◆産経の「葉梨法相暴言」批判

【産経抄】11月11日 - 産経ニュース
 元警察官僚の葉梨氏はすでに法務副大臣を2度務め、法務行政に精通している、との触れ込みだった。一部を切り取った、と言われないよう発言全部に目を通した。やはりこの人は法相の仕事をなめている。

【主張】法相の発言 あまりにお粗末がすぎる - 産経ニュース
 憲法改正や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題での被害者救済など、法相が関わる重大課題は山積している。果たして葉梨氏は、その重責を担うにふさわしい政治家か。判断すべきは法相自身と、任命権者の首相である。

 言動が

中村正三郎 (政治家) - Wikipedia
◆中村法相(小渕内閣
 中村がオーナーを務める企業と民事訴訟で争っている企業への刑事捜査を法務・検察に促していた。しかし法務省検察庁の幹部から「指揮権発動に該当する」と諌められたため、結局、捜査命令は撤回された。
 アーノルド・シュワルツェネッガーが旅券紛失をして特別な入国許可を得た際に提出した顛末書を入国管理局に命じてわざわざ取り寄せて大臣室に保管していた。国会でこの問題を追及される過程で中村は自身を含めた家族がシュワルツェネッガーのファンだと答弁した。これら野党の批判を逃げ切れず、1999年3月に法務大臣を辞任

◆鳩山*2法相(第一次安倍、福田内閣
「志布志事件 冤罪でない」法相暴言/資格問われる/志位委員長が批判2008.2.15
 「志布志事件は冤罪(えんざい)と呼べない」。
 鳩山邦夫法相が、鹿児島県議選をめぐる「志布志事件」の無罪判決を冤罪でないと言い放った暴言(十三日)に批判が強まっています。
 日本共産党志位和夫委員長は十四日の記者会見で、(中略)「無罪というのは、冤罪だったということだ」「司法判断を法務大臣が覆すというのは、到底許されない」と批判しました。
 志位氏は、鳩山法相がこれまで、(中略)死刑を法相の署名抜きで自動的に執行するよう主張するなど暴言を繰り返してきたと指摘。「法務大臣としての資質があるのか、はっきりいって疑わせる」と述べました。
 その上で、「法務大臣というのは、法の厳正な執行に責任を負っているわけで、その大臣が法秩序のイロハをわきまえない発言を繰り返しているというのは、資格、資質にかかわる」と批判
◆問題になった鳩山法相の発言
 「(死刑は)自動的に客観的に進むような方法を考えたらどうかと思う。それは乱数表で決めるとか。(中略)自動的になにか、ベルト・コンベヤーと言ってはいけないが。」(2007年9月25日、閣議後の会見)
 「(志布志事件は)冤罪と呼ぶべきではないと考えている。(中略)無罪事件は全部冤罪になってしまう。(中略)検察官の士気を上げるために、十分反省したうえで積極的に前を向いてくれと言いたかった。」(2008年2月13日、検察長官会同での訓示と、その後の記者団への釈明)
主張/鳩山法相暴言/法と人権つかさどる資格ない2008.2.16
 法務、検察の権力乱用を抑える立場にある法務大臣が、被害者の側に立って検察の責任を追及するのでなく、逆に検察擁護の発言をするとは、とんでもありません。
 法相が「冤罪でない」という発言をすることは、すでに無罪が確定した裁判での判決をくつがえし、元被告らを「本当は無罪ではない」と決めつけるにも等しいことです。国と県を相手取り国家賠償請求訴訟をおこしている元被告らが、鳩山氏の発言にたいして、「人権侵害を受けて、さらに追い討ちをかける発言。許しがたい」と厳しく抗議する声明を出したのも当然です。
 このまま、居座りを許すようでは、福田康夫首相の任命責任そのものが問われます(ボーガス注:残念ながら福田首相は鳩山を更迭しませんでした)。

柳田稔 - Wikipedia
柳田法相菅直人内閣)
 2010年11月14日、柳田は広島市での国政報告会で「皆さんも、何で柳田さんが法相と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、一番理解できなかったのは私です。私は、この20年近い間、実は法務関係は1回も触れたことはない」「法務大臣とは良いですね。二つ覚えときゃ良いんですから。 個別の事案についてはお答えを差し控えますと。 わからなかったらこれを言う。で、後は法と証拠に基づいて適切にやっております。この二つなんです。まあ、何回使ったことか」などと発言した
 この発言について自民党河井克行は、11月16日の衆議院法務委員会で「法相という職を汚している発言*3」として謝罪と撤回を要求。審議が止まったため柳田が「委員会の審議では真摯な答弁を心掛けたい」と陳謝した。
 11月17日、柳田は国会軽視ととられる発言をしたとして仙谷官房長官から厳重注意を受けた。柳田はその後も法相続投に強い意欲を示していたが、11月22日午前に首相官邸菅直人首相に辞表を提出した。

なみにあまりにもお粗末で、「大臣を自分から辞めろ」「首相が更迭しろ」とまで言う人間は野党はともかく与党にはいないとはいえ、「発言に問題はない」とかばう人間がおらず、「大臣や議員の辞任は否定した」ものの当人も発言を謝罪。
 「飲酒酩酊記者会見で麻生内閣財務相辞任の中川昭一」「モリカケ桜疑惑の安倍」「統一協会問題の萩生田政調会長」等「産経が大好きなウヨ政治家」と違い、葉梨氏は「リベラルではないものの極右ではない」ので産経にとって「無理にかばう理由もない」為、「自ら辞職すべき」「辞職しないなら首相が更迭すべきではないか」と冷たく切って捨てています。
 それにしても

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要令和4年11月8日(火)
 来週14日(月)、法テラスに、「合同電話相談窓口」の機能等を継承した対応窓口として、「霊感商法等対応ダイヤル」を開設することとしました。

という「統一協会問題(他の記者会見でも統一協会問題のウェイトは大きい)」はともかく「憲法改正」ねえ(呆)
 葉梨法相の記者会見を見ても

法務省:葉梨法務大臣初登庁後記者会見の概要令和4年8月10日(水)
 法務大臣を拝命しました葉梨康弘です。
 岸田総理からは、法務行政の課題について、次の6点について御指示*4がありました。
 1点目は、「国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けて、司法制度改革を推進する。」。
 2点目は、「差別*5や虐待のない社会の実現を目指し、個別法によるきめ細やかな人権救済を推進する。」。
 3点目は、「(ボーガス注:警察を所管する国家公安委員長など)関係大臣と協力し、『世界一安全な国、日本』をつくるため、犯罪被害者の支援、刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰支援、組織犯罪対策など、社会を明るくするための施策を総合的に推進する。」。
 4点目は、「我が国の領土・領海・領空の警戒監視について、(ボーガス注:自衛隊を所管する防衛相や、海上保安庁を所管する国交相など)関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って、情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する。」。
 5点目は、「(ボーガス注:労働問題を所管する厚労相など)関係大臣と協力して、一定の専門性、技能を有する外国人材*6を円滑に受け入れるとともに、在留管理を徹底し、技能実習生の失踪などの不適切事案を防止する。特定技能制度について、技能実習制度の在り方を含めて総合的な検討を行う。共生社会の実現に必要な環境整備を着実に進める。」。
 6点目は、「ポストコロナの時代を見据え、観光立国に相応しい入国管理を実現する。」です。
 法務行政においては、例えば外国人の労働者の問題、あるいは、所有者不明土地の問題のような政策的な問題、それから、先ほど申し上げたように、民事の基本法制、刑事の基本法制、国民生活の基盤を担う法律を持っています。
 また、(ボーガス注:第3次、第4次安倍内閣の法務)副大臣時代もそのことに意を用いさせていただきましたが、5万人を超えるマンパワーを持つ組織です。非常に多岐にわたっています。刑事、民事、矯正、保護、入管、更には公安調査、人権擁護と、多岐にわたったこの組織をどのような形でチームとして運営していくかということは、非常に大きな課題です。その意味で、しっかりとした風通しのよい組織を作っていくことができるよう、法務行政のトップとして尽力していきたいと思っています。
 いずれにしても、今の時代、社会にふさわしい法制度が整備され、それが国民の信頼を勝ち得ることができるように、しっかりと進めていきたいと思います。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要令和4年9月16日(金)
 9月13日(火)、名古屋入管の施設を訪問して、職員とも意見交換等をしてまいりました。まず、(ボーガス注:ウィシュマさん死亡事件について)報告書及び改善策が出たわけですけれども、名古屋入管において、どのような改善策が行われているかということも、私も点検させていただき、真剣に取り組んでいるという状況を見て取ることができました。そして私からは、使命感と緊張感をしっかりと持続させていただきたいということと、法の執行と人権の尊重を両立させるように、しっかりバランス感覚を持って仕事に当たっていただきたいということを、指示をしてまいりました。
 今後、現場の取組を踏まえて、先般の会見でも申し上げましたけれども、入管法改正に必要な事務的な検討を更に加えて、速やかに検討を終えた段階で、国会に提出させていただきたいと思っています。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要令和4年9月30日(金)
 先般の記者会見でも御質問がありましたが、いわゆる内密出産に関する戸籍事務の取扱いの周知についてです。
 何らかの事情により、妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにしての出産を望み、医療機関等の説得にも応じないため、そのような出産を医療機関が受け入れる場合、いわゆる内密出産*7の取扱いに関し、各関係機関に求められる対応等について、厚生労働省とも協議してきたところですけれども、本日、法務省厚生労働省と連名で、これを周知する文書を関係機関に発出しました。
 法務省の関係では、戸籍の取扱いについて、市区町村長は母の身元が明らかにされない場合であっても、子に日本国籍があると認められる限りにおいて、生まれた子について職権で戸籍を作成することを明らかにしたものです。
(中略)
 この通知で示された取扱いに基づき、各市区町村において、戸籍事務が適正に実施されるよう周知を図ってまいりたいと考えています。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要令和4年10月14日(金)
 私から2件報告があります。
 1件目は、「民法等の一部を改正する法律案」についてです。本日、閣議決定されたものです。
 無戸籍者の解消*8児童虐待防止の観点から、民法の嫡出推定規定を見直すことや、懲戒権の規定を削除することなどを内容としています。子の利益の保護につながるものと私どもも期待しており、この国会において十分御審議いただき、成立していただけるようお願いしていきたいと思います。

法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要令和4年10月28日(金)
 今般、刑事施設及び保護観察所において実施している薬物事犯者に対するプログラムの効果検証を実施した結果、再犯防止への効果が認められましたので、御紹介します。
 詳細につきましては、本日、法務省ホームページで報告書を公表しますので、是非そちらも御覧いただきたいと思います。

ということで改憲なんて話は全く出てこないのに。閣議決定により、法案が提出される見込みという意味ではよほど民法の嫡出推定規定を見直すことや、懲戒権の規定を削除することなどを内容としている「民法改正」の方が現実的問題でしょう。あるいは法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要(令和4年9月16日(金))で言及されている「ウィシュマさん」問題の方が(以下略)。
 それにしても、法務行政においては、例えば外国人の労働者の問題、あるいは、所有者不明土地の問題のような政策的な問題、それから、先ほど申し上げたように、民事の基本法制、刑事の基本法制、国民生活の基盤を担う法律を持っています。刑事、民事、矯正、保護、入管、更には公安調査、人権擁護と、多岐にわたったこの組織をどのような形でチームとして運営していくかということは、非常に大きな課題といった「大臣就任挨拶でのきれい事」と失言の落差が酷すぎますね。

*1:NHK解説委員(岩田)が安倍とずぶずぶだったと言うのだから呆れます。但し、安倍死去によって「NHKにいてもうまみがない」と思ったのか、今、岩田は「当面、NHK解説委員を続けるが、退社した」そうです。

*2:宮沢内閣文相、羽田内閣労働相、第一次安倍、福田内閣法相、麻生内閣総務相など歴任

*3:その河井が後に公選法違反で法相の職を汚したのが何とも皮肉です。

*4:岸田の指示にも改憲なんて話は出てきません。

*5:朝鮮学校差別(高校や幼稚園の無償化除外)をしながら良く言う」と実に腹立たしい。

*6:要するに移民です。

*7:いわゆる「赤ちゃんポスト」のこと

*8:これについては毎日新聞社会部『離婚後300日問題:無戸籍児を救え!』(2008年、明石書店)、 秋山千佳『戸籍のない日本人』(2015年、双葉新書)、井戸まさえ『日本の無戸籍者』(2017年、岩波新書)、『無戸籍の日本人』(2018年、集英社文庫)といった著書があります。