今日の産経ニュース(2019年4月14日分)

中西進氏、“新元号・令和の考案者”を否定 「つくるのは神や天」 - 産経ニュース
 元号を作るのは「人間」ですし、「元号の定着(今後は衰退の一途ではないかと思いますが)」も人間がやることなので、こういう物言いには全く共感できませんね。


津、高松など27市長選が無投票 86市で161人立候補 統一選後半戦スタート - 産経ニュース
北海道・三笠市長選 現職が無投票で再選 - 産経ニュース
北海道・砂川市長選 現職が無投票で3選 - 産経ニュース
北海道・伊達市長選 現職が無投票当選6選 - 産経ニュース
北海道・千歳市長選 現職が無投票当選で5選 - 産経ニュース
大阪・高槻市長選 現職が無投票3選 - 産経ニュース
群馬・高崎市長選 現職の富岡氏が無投票3選 - 産経ニュース
茨城・日立市長選は無投票で現職の小川氏再選 - 産経ニュース
岩手・北上市長選 無投票で現職の高橋氏3選 - 産経ニュース
長野・諏訪市長選 無投票で金子氏が再選 - 産経ニュース
静岡・富士宮市長選は現職が無投票当選 - 産経ニュース

 「現職が無投票再選」は昨今の選挙では珍しくないですが本当に勘弁してほしいですね。「非の打ち所がないので候補者が出ないだけ」「無投票当選でも謙虚な姿勢で善政を敷いている」なんてケースばかりではもちろんないでしょう。


米兵の事件「極めて遺憾」 宮腰沖北相、綱紀粛正求める - 産経ニュース
米兵の事件「激しい怒り」 玉城デニー沖縄知事、海兵隊司令官に伝える - 産経ニュース
 「これで米兵犯罪は何度目だ」つう話です。それなのに「綱紀粛正を求める」なんて寝ぼけたことしか安倍政権は言わない。どれほど沖縄県民に冷淡で、米国におびえているのかという話です。まあ、この事件が起きなくても沖縄の補欠選挙は「オール沖縄有利」でしょうが、こんな事件が起こったあげく、安倍政権はろくに対応しないのではなおさら勝てるわけもありません。


【書評】『なぜ論語は「善」なのに、儒教は「悪」なのか』石平著 - 産経ニュース

孔子論語儒教とは何の関係もない」と断じる。

 もちろんそんなことはないわけです。もちろん「朱子学朱子)」「陽明学王陽明)」つうのは後世の解釈が入ってますがそれいったら「ルターやカルバンの宗教改革」「鎌倉新仏教(浄土宗、浄土真宗日蓮宗など)」「ホメイニ思想」なんかも「キリスト」「ブッダ」「ムハンマド」と関係ないつう事になりますが、それはまともな見解とは言えないでしょう。
 まあ「国家神道は伝統的神社とは何の関係もない*1」つうなら「神社本庁国家神道ときちんと縁切りする」という条件*2において、俺個人は認めてもいいですが。
 つうか「儒教は悪」というなら儒教の影響を受けた日本はどうなるのか。例えば「教育勅語儒教の影響を受けてること」は明白なわけです。教育勅語は石平らや産経にとって悪なのか(もちろん「儒教は悪」云々に関係なく教育勅語国家主義で「悪」ですが)。
 ただし、もちろん産経のようなウヨや、石平のような「日本ウヨの走狗」は絶対に教育勅語を批判しません。「儒教は悪で中国はろくでもないが、日本の教育勅語は素晴らしい」なんてデタラメにもほどがある話ですが、それを平気でやるクズが産経や石平です。


G20での日韓首脳会談、見送り検討 安倍首相 - 産経ニュース
 関係が悪化してるからこそG20(6月に日本開催)での「文大統領訪日」で会談すべきなのに、産経記事を信じれば「俺は悪くない」「悪いのは全て文在寅*3だ」「文が自らの非を認め、日本政府への態度を改めない限り会談しても意味がない。とにかく俺に改めるべき所はない」「だから会談しない」だそうです。「頼むから総理大臣辞めてくれ」ですね。
 しかし一方で中国やロシアには接近するのだから困った男です。「強者(中国やロシア)にはへいこらするが弱者(韓国)には居直る」つうゲスさが酷すぎる(韓国は弱者ではないと思いますが)。


【昭和天皇の87年】狙われた重臣たち 天皇は「お声を上げてお泣き遊ばした」 - 産経ニュース
 226事件はたとえて言うならば
 「社内で二大重役グループ(皇道派と反皇道派(統制派))の内紛が勃発」
 「内紛に負けて干されそうになった重役(皇道派荒木貞夫*4や真崎甚三郎*5)が『社長(昭和天皇)は俺たちの支持者だ。悪いのは君側の奸物(226事件で暗殺された斎藤*6内大臣、高橋*7蔵相、渡辺*8陸軍教育総監など)だ。あいつらさえいなければいいのだ』といって部下(226事件青年将校)をあおる」
 「あおられた部下が社長のためだといって奸物(?)に対し怪文書ばらまきなどの攻撃を開始」
 「『何が会社のためだ!、ふざけるな』と激怒した社長が、部下を懲戒免職。重役もこの際、左遷」つうような話です。皮肉なのは「嘘八百で重役にあおられた部下」です。重役は保身のために「あいつらが勝手にやったことです」といって部下を守りもしませんでした。

重臣ブロックの指導精神は連盟脱退、軍縮問題の実例に見ても判るやうに今や清算すべき時に直面して居る、それは欧米追従主義で御都合主義、穏健主義だ」
 いわゆる天皇機関説問題で東京帝大名誉教授の美濃部達吉不敬罪に問われ、帝国議会が揺れに揺れた昭和10年6月、立憲政友会の有力議員で、派閥の領袖(りょうしゅう)だった久原房之助が新聞に寄せた談話だ。
 「この際政友会は殊更に更正などをする必要はない、更正しなければならぬのは重臣ブロックだ、政友会は伝統の積極政策で一路邁進(まいしん)するのみだ」
 久原らは、昭和天皇が平和主義*9であるのは側近たちがブロックして「真実」を伝えないからだと喧伝(けんでん)した。まずやり玉に挙げたのは、美濃部と同じく天皇機関説を唱えた枢密院議長(前宮内大臣)、一木喜徳郎*10である。陸海軍の一部も一木を批判したため、もともと体調を崩していた一木は元老の西園寺公望*11らに、辞職したいと訴えるようになった。
 そのころ警視庁では、機関説排撃の真の狙いは一木のほか、内大臣牧野伸顕*12を排除することだとみて警戒を強めていた。牧野は、自身への批判が昭和天皇に累を及ぼさないかと、苦悩したことだろう。6月18日に元老、西園寺公望の別邸を訪れ、宮内省在職15年に及ぶこと、健康にも不安があることを理由に加えて辞意を示唆している。西園寺は取り合おうとしなかったが、牧野の決意は固かったようだ。
 12月26日、病気を理由に辞職した。後任の内大臣は、海軍重鎮の前首相、斎藤実と決まった。しかし、その斎藤も、就任わずか3カ月足らずで(ボーガス注:226事件で)非業の死を遂げるのである。

 産経には珍しく「それなりにまともな記事」です。軍部の暴走は、軍部だけでなく「久原のような親軍部の政治家」の責任も重いわけです。
 しかも久原は陣笠代議士ではない。久原財閥日立グループ)創業者であり、その資金力をバックに政界に進出。
 立憲政友会久原派のボスで、田中義一*13内閣逓信大臣、立憲政友会幹事長(犬養毅*14総裁時代)を歴任した大物です。当然その影響力はでかい。彼の発言は、今で言えば「二階*15幹事長や岸田*16政調会長の発言」レベルの重みを持つわけです。
 「久原のような人間が政界にいなければ、軍部の暴走はなかったのではないか」と思わずには居られません。
 なお、こうした久原の行為は「岡田*17内閣を倒閣し、政友会の手に政権を取り戻す(それが無理でも親政友会の内閣を樹立する)」ことがもくろみだったとも言われます(岡田内閣は226事件で崩壊します)。
 ちなみに、天皇機関説事件での牧野攻撃、226事件での斎藤暗殺で分かるように内大臣は、陸軍皇道派や民間右翼によって「君側の奸物の筆頭」扱いされていました。

*1:正確に言うと「全く関係ない」とはもちろんいいがたいのですが、かなり性格が変わってることは確かでしょう。

*2:ただし向こうはそんな条件は守る気は全くないでしょうが。何せ「戦前神道の何が悪い」「何が政教分離だ、天皇や首相が靖国参拝して何が悪い」「靖国に戦犯合祀して何が悪い」「あの戦争はアジア解放の聖戦だ」と公言しちゃうようなウヨ連中ですから。

*3:盧武鉉政権大統領秘書室長、「共に民主党」代表を経て大統領

*4:犬養、斎藤内閣陸軍大臣、第1次近衛、平沼内閣文相など歴任。戦後、戦犯として終身刑判決を受けるが1955年に仮釈放。

*5:台湾軍司令官、参謀次長、陸軍教育総監など歴任

*6:第一次西園寺、第二次桂、第二次西園寺、第三次桂、第一次山本内閣海軍大臣朝鮮総督、首相、内大臣を歴任

*7:日銀総裁、第1次山本、原、田中、犬養、斎藤、岡田内閣蔵相、首相を歴任

*8:台湾軍司令官、陸軍教育総監など歴任

*9:「中国進出に積極的な陸軍や久原に比べれば昭和天皇は戦争泥沼化を恐れて消極的」つう話に過ぎません。決して昭和天皇は平和主義ではない。まあ結局産経的には「陸軍ガー」「久原たち親軍部政治家ガー」「昭和天皇は何一つ悪くない」つういつもの話の訳ですが。一帯一路についての「二階幹事長ガー」「河野外相ガー」「安倍総理は何一つ中国に屈服してない」つう虚言と話は同じです。

*10:第二次大隈内閣文相、内務相、宮内大臣、枢密院議長を歴任

*11:第二次伊藤、第二次松方内閣外相(文相兼務)、第三次伊藤内閣文相など歴任

*12:第1次西園寺内閣文相、第2次西園寺内閣農商務相、第1次山本内閣外相、宮内大臣内大臣など歴任

*13:原、第二次山本内閣陸軍大臣を経て首相

*14:第一次大隈内閣文相、第二次山本内閣逓信相(文相兼務)、加藤高明内閣逓信相などを経て首相

*15:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*16:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*17:田中義一、斎藤内閣海軍大臣、首相など歴任