今日の北朝鮮・韓国ニュース(2019年5月16日分)

金正男氏、殺害前に亡命政府首班の打診断る「静かに暮らしたい」 関係者が証言(1/2ページ) - 産経ニュース

・米当局は4月に襲撃メンバーの逮捕に踏み切る。米政府にはしごを外された格好で、組織発足早々危機に直面している。
・スペイン当局の国際手配に対し、米当局は元海兵隊員のクリストファー・アン容疑者を逮捕。ホン・チャン容疑者の自宅も家宅捜索されたと報じられた。

 米国の冷淡な態度を見るに「そもそも、はしごもパイプも何もなかったんじゃないか」感がありますね。
 「我々はアンチ北朝鮮だから米国は無条件で支持してくれるはずだ」という勘違いだったんじゃないか。


「自由朝鮮」、発足早々危機に直面 北朝鮮大使館襲撃でメンバー逮捕 - 産経ニュース

北朝鮮金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の異母兄で2017年にマレーシアで殺害された金正男キム・ジョンナム)氏が生前、正恩体制に替わる亡命政府の首班を打診され、「静かに暮らしたい」と断っていたことが15日分かった。打診したのは、正恩体制打倒を目指す組織「自由朝鮮」のリーダー格
・この人物は、大使館襲撃でスペイン当局が国際手配しているメキシコ国籍で韓国系のアドリアン・ホン・チャン容疑者(35)。北朝鮮民主化脱北者支援活動をともにした経験のある韓国の脱北者団体「北朝鮮人権団体総連合」の朴相学(パク・サンハク)常任代表が、ホン・チャン容疑者から直接経緯を聞いたとして産経新聞の取材に明らかにした。
・ホン・チャン容疑者は米国で北朝鮮の人権問題に取り組む市民団体代表として活動していた08年ごろ、北朝鮮から韓国に亡命した黄長●(=火へんに華)(ファン・ジャンヨプ元朝労働党書記に朴氏と3人で会った際、亡命政府の「主席に就くよう」要請したが、強く拒まれた。それから約6年後には、正男氏にも直接会って亡命政府の「首班になるよう」打診したが、「そんなことはやらない」と断られたと朴氏に説明した。

 「あの犯行が北朝鮮の行為」と仮定した上での話ですが、あの犯行の動機の一つではないかと思われる話(もちろん真偽は現段階では不明だが)ですね。


熱血!与良政談:「無条件で会談」の本気度=与良正男 - 毎日新聞

 説明なき方針転換*1がまた始まった。言うまでもなく安倍晋三首相が北朝鮮金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と条件を付けずに会談に臨みたいとの考えを示したことだ。
 首相は従来、「圧力を最大限にし、北朝鮮から対話を求めてくる状況をつくる」「(会談を)行う以上は拉致問題の解決に資する会談にしなければならない」等々と国会で答弁してきた。かつては「圧力をかけ続ければ、早晩、北朝鮮の体制は崩壊する」と繰り返していた時期もある。

 安倍*2という男のデタラメさにはいつもながら呆れます。良く支持者もこんなんを支持できるもんです。まあ俺が思うに「是非はともかく*3」、「自民党を支持するから安倍を支持する」「二階*4幹事長や岸田*5政調会長、麻生副総理・財務相*6など自民党幹部連が安倍を支えてるから支持する(つまり正直な話、総裁が石破*7元幹事長、石原*8元幹事長、岸田政調会長でもかまわない)」つう支持者がかなり多いかと思いますが。
 それはともかくこの毎日記事が安倍の本気度を疑うように北朝鮮だって疑ってるでしょう。そうした疑いを解消するには「制裁解除などのお土産を出すこと」と「事務方による入念な日朝水面下交渉」が必要でしょうが、それを安倍はやる意思があるのか。
 「条件なしであってもいい(でもそういっただけで水面下交渉などのアプローチは何もせず、ただ北朝鮮の返事待ち)」では全く意味がありません。


大嘗祭で使う米の生産地を「亀卜」で決定、宗教色に批判も-Chosun online 朝鮮日報

 今回の大嘗祭で使う米の産地に決まった栃木県と京都府はお祭り騒ぎだ。栃木県知事と京都府知事はテレビに出演して「光栄だ」と繰り返し語り、「儀式に使われる米の生産に万全を期す」と言った。1990年の明仁天皇即位時に行われた大嘗祭では秋田県大分県が米の産地に選ばれた。この時、警察は儀式に使われる米が生産される際に不純物*9などが入ることを懸念し、米を生産する水田にヘリコプターやボートを動員して警備に当たったが、今回も前例に従う可能性が高い。

 明らかに「時代錯誤」「戦前か!」というニュアンスが感じ取れます。全く同感ですが。

 日本は(ボーガス注:明治新政府の誕生以降)第二次世界大戦で敗戦するまで国教だった神道の影響で、天皇が(ボーガス注:神道色のある)儀式を行うことは日常化している。今の平和憲法が作られた後、神道は(ボーガス注:政教分離により)国教としての地位は失ったが、それでも「天皇制」のあちこちに神道の影響が強く残っている。21世紀になっても亀の甲羅を用いて占いをすることについても、宗教的色彩が濃いとの批判の声もある。
 一部の学者は「天皇憲法に基づく象徴的存在に過ぎないのに、なぜ亀の甲羅を使った儀式をはじめ、大嘗祭などの一連の(ボーガス注:神道色のある)儀式に国費を使わなければならないのか。(ボーガス注:政教分離原則違反ではないのか)」と問題提起している。皇位継承序列第1位になった新天皇の弟である皇嗣秋篠宮文仁親王も、昨年11月の記者会見で「国費ではなく、天皇家の私的生活費の『内廷費』を充てるべきだ」と発言して議論を呼んだ。

 「政教分離原則違反の疑い」は全くもって正論ですがこうした指摘が日本メディアでは、特にテレビ局ではまず見られず「亀使うなんて面白い」的な報道しかされないことにはいつもながら呆れます。まあこういうことを考えれば「天皇のリベラル性」なんてもんには大して期待なんか出来ません。
 なお、話が脱線しますが新刊紹介:「前衛」5月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した
■「平成流」天皇制とは何だったのか:象徴天皇制のゆくえ(吉田裕*10
で吉田裕氏は「天皇、皇后の代替わりで、天皇、皇后の活動やそれをめぐる国民の評価にも大きな違いが生まれるのではないか」と見ています。
 なぜかというと、吉田氏もそう見なしていますし、俺もそう思いますが、前天皇、皇后は「戦地巡りをする」など昭和天皇夫婦とは異なる活動でその評価を形成しており、かなり「彼らの個人性」に世間的評価が影響されているからです。また「新皇后」については例の「うつ病」が今後の活動に影響することも考えられます(改善されたとはいえ完全に治癒したわけではないでしょう)。
 新刊紹介:「前衛」5月号 - bogus-simotukareのブログでは書き忘れましたが、前天皇明仁になって昭和天皇との大きな違いは「皇后への注目度が高まったこと」でしょう。昭和天皇の妻である香淳皇后は正直「美智子前皇后」ほどには「注目を集めてはいなかった」といっていいでしょう(ウィキペディアでも美智子前皇后についての記載の方が香淳皇后より多い)。まあ、「女性を自立した個人と見なす」時代の変化ですね。女帝制度導入論も「天皇家の危機」はもちろんですが、そうした「女性への視線の変化」も当然影響しているでしょう。


拉致解決求める署名1340万筆を初公開へ 家族や支援組織が収集し政府に提出 - 産経ニュース
 まず第一に「門外不出の美術品を初公開」ならともかく、こんなもん「初公開!」と自慢して何の意味があるんでしょうか?
 第二に勝手に公開していいのか。名前など個人情報の黒塗りぐらいはさすがに「している」と思いますが、いずれにせよこの種の署名は「政府など陳情先への提出」以外の利用法は署名者は想定してないでしょう。署名時に巣くう会や家族会が「こうした公開の可能性があります」と説明したとも思えない。
 そして1340万筆もあるもんに、署名後、「公開していいですか?」と確認した上での了解が取れたとも思えない。
 つまり道義的、政治的問題はもちろん「個人情報保護関係の法律に抵触する危険性」すらあると思います。そういう意味でこの種の署名を勝手に「公開する団体」なんて、今回の巣くう会、家族会ぐらいしかないと思いますが、まあそういう敏感さは巣くう会や家族会にはないのでしょうね。
 そして小生のような指摘には「これこれこういう意味でボーガスさんの危惧する問題はないと思います」や「確かにご指摘の問題があるかと思います。公開は中止します」ではなく「公開して何が悪い!」と逆ギレするのが家族会、巣くう会なんでしょう。もはや呆れるほかない連中です。

*1:日露外交(あれほど宣伝していた二島先行返還について今はだんまり)、日中外交(中国封じ込めがいつの間にか一帯一路参加)などのことでしょう。

*2:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*3:もちろん俺は「安倍支持」などどんな理由でアレ、非ですが

*4:自民党二階派総帥。小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)を経て幹事長

*5:自民党岸田派総帥。第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*6:自民党麻生派総帥。橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*7:自民党石破派総帥。小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*8:自民党石原派総帥。小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*9:不純物て(苦笑)。これが「アンチ天皇の一部過激派が、故意に毒物を水田に混入」とかならまだ分かりますが多分そうじゃないんだろうな。つうか「毒物混入」を恐れるにしてもヘリまで飛ばす必要があるのか?

*10:著書『昭和天皇終戦史』(1992年、岩波新書)、『日本人の戦争観:戦後史のなかの変容』(1995年、岩波現代文庫)、『日本の軍隊:兵士たちの近代史』(2002年、岩波新書)、『兵士たちの戦後史』(2011年、岩波書店)、『日本軍兵士:アジア・太平洋戦争の現実』(2017年、中公新書)など