今日の産経ニュース(2019年6月3日分)

埼玉・蕨市長選、全国で唯一の共産党員市長が4選 自民系新人破る - 産経ニュース
 そろそろ「後継者を探す時期」にきているとは思いますが、ひとまず勝利を素直に喜んでおきます。


安倍首相、7日に通算在職日数で伊藤博文を抜き歴代単独3位に - 産経ニュース
 どう考えてもこの男は「首相」「貴族院議長」「枢密院議長」「韓国統監」の要職を歴任した伊藤ほど有能ではないので改めてうんざりします。


【産経抄】6月3日 - 産経ニュース

・「8050問題」という言葉がある。80代の親が、50代の子供の生活を支えている状態*1を指す。背景にあるのは、子供の引きこもりの長期化*2だ。さらに親世代の介護が始まると、兄弟姉妹の生活も脅かされるようになる。
・小紙WEB編集チームの飯塚友子記者のケースがそれに当てはまる。この2年間認知症の母(83)の介護に加えて、定職に就かずに実家に居続ける次兄(50代)と向き合ってきた。雑誌『正論』7月号の新連載「わが家を襲った『8050問題』」で、その悪戦苦闘の日々をつづっている。
・人ごとではない。
 「40~64歳の推計約61万人が半年以上、自宅に引きこもっている」。
 内閣府が今年3月、衝撃的な調査結果を公表したばかりである。元農林水産事務次官(76)も、同じ問題を抱えていたようだ。今月1日、44歳の長男を包丁で刺し、殺人未遂の疑いで現行犯で逮捕された(ボーガス注:長男が死亡したことで後に殺人容疑での逮捕に切り替え)。調べに対し、引きこもりの長男による家庭内暴力に悩んできたと供述している。
川崎市の路上で児童らが殺傷された事件は、引きこもりの当事者や家族をさらなる苦境に追い込む可能性がある。犯行直後に自殺した51歳の容疑者が長く引きこもり状態にあったと報じられたことで、偏見が広がりかねないからだ。もちろん専門家は、「引きこもりは犯罪予備軍」といった見方を否定している。
・深刻化する「8050問題」に対して、行政もようやく重い腰を上げ始めた。東京都は、これまでの「15歳から34歳」に限っていた引きこもりの人の支援を、今日から「35歳以上」にも広げることになった。
・(ボーガス注:飯塚記者の連載や東京都の発表が)社会全体が引きこもり問題に取り組むきっかけになるよう、願わずにはいられない。

 手前味噌になりますがこの「8050問題」については以前、拙記事新刊紹介:「前衛」1月号 - bogus-simotukareのブログ
『ひきこもりの長期化と「8050問題」:子ども・若者支援の現場の模索と葛藤から考える』(佐藤洋作)を紹介した際に触れましたが
そのときに紹介した記事
82歳母親と52歳引きこもり娘が孤立死、顕在化する「8050問題」とは | 「引きこもり」するオトナたち | ダイヤモンド・オンライン
「8050問題」とは? 求められる多様な支援 - 記事 | NHK ハートネット
を改めて紹介しておきます。


立民・有田氏、サザンコンサートの写真投稿で批判 - 産経ニュース
 産経が立民が嫌いな事は改めてよく分かりました。
 しかし「コンサートはいずれDVD化されるだろうから、ツイッターにコンサートの写真を投稿するのは著作権法上まずいのでは」程度の話*3(別に有田氏*4が暴言を吐いたりしたわけではない)に何のニュースバリューがあるのかて話です。


【主張】体罰禁止法案 「懲戒権」の廃止は慎重に - 産経ニュース

 親権者による体罰禁止を明記した児童虐待防止法児童福祉法の改正案が衆院本会議で可決され参院に送付された。
 全会一致の可決であり参院審議を経て今国会で成立し、来年4月に施行される見通しだ。
 改正案は親権者が「しつけ」と称して体罰を行うことなどを禁じた。民法には親権者に必要な範囲で子供を戒めることを認めた「懲戒権」があることから、矛盾*5を解消するため、この廃止も含めて施行後2年をめどに検討する。
 千葉県野田市立小学校4年の女児が両親の虐待を受けて死亡した事件の反省から、国会が動いた改正案である。ただ、懲戒権の安易な削除には慎重であるべきだ。
 民法第822条は「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」と定めている。
 820条には「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」とある。

 「民法には必要な範囲、て書いてるから問題ないんです。必要な範囲を逸脱した親とそれにダメ出しできなかった行政(教育委員会児童相談所、警察など)が悪いんです」とは実に産経らしいですが民法から懲戒権を削除したところで「懲戒(しつけ)」ができなくなるわけもない。
 「822条『懲戒権』なんかなくても820条『監護権』によって常識的範囲での懲戒は当然許される」つうのが当然、通説的見解です。
 もちろん「まともな懲戒(しつけ)」なら暴行傷害などの違法行為として処罰されることもない。
 「これは親としての懲戒だから口出ししないで下さい」「愛の鞭です」「暴力とは違います」「民法にも懲戒権が書いてある」という「児童虐待の居直り」に悪用されてきたのが懲戒権の訳です。廃止はむしろ当然でしょう。

・懲戒権の廃止は、しつけの禁止と誤解されかねない。
・しつけを放棄すれば、子供はまっとうな成長を望めない。

 「誰もそんな誤解しないから安心しろよ」「つうかお前ら体罰をウヨとして温存したいだけと違うのか」ですよねえ。
 

 わが子が理不尽ないじめに加担していたことが分かったとき、親は体を張ってでも*6これを止めるべきである。懲戒権がないからと手をこまねく事態は最悪であろう。

 懲戒権廃止論者はそんなこと勿論容認しないし、懲戒権廃止によってそんな事態が生じることもない。むしろいじめを止めなかったら親には「民事賠償責任」すら場合によっては生じる。
 つうか「我が子がいじめに加担」なんて「懲戒権云々」じゃないでしょうよ。「軽いいじめ」なら懲戒権で、つまり「いじめしてる子ども」の「親の力」だけでなんとかなるかもしれない。
 深刻ないじめならそれでは解決困難で「いじめ被害に遭ってる子どもとその両親」「学校の教師」などとの相談が不可避でしょう。
 場合によっては「心を鬼にして」、我が子が「少年院送致」など刑事的処分に遭うことも覚悟する必要もあるでしょう。

*1:まあ「7040(子殺しに至った元農水事務次官のケース)」でもいいんですが、「語呂や社会へのインパクトの問題」でしょうね。

*2:もちろん「引きこもりが典型」でしょうが引きこもっていなくても「ワーキングプア」なら「80代の親が、50代の子供の生活を支えている状態」は当然出現します。

*3:そうした指摘が善意の指摘か「アンチ有田の嫌がらせ」かは不明です(そもそも本当に「著作権法上まずい」のかどうかも疑問ですが。この程度の行為はおそらく許容範囲でしょうし、有田氏以外もおそらくやっている)。どっちにしろ産経がこんな記事を書くような話じゃない。

*4:現在、参院議員(立民党)。著書『歌屋 都はるみ』(1997年、文春文庫)、『テレサ・テン十年目の真実:私の家は山の向こう』(2007年、文春文庫)、『何が来たって驚かねえ!:大震災の現場を歩く』(2012年、駿河台出版社)、『ヘイトスピーチとたたかう!:日本版排外主義批判』(2013年、岩波書店)、『50分でわかる!立憲民主』(編著、2019年、弓立社新書)など

*5:懲戒権の「懲戒」は別に「体罰を意味してない」ので矛盾ではないですね。「懲戒権を口実にした体罰をなくすためにこの際削除した方がいい」つう話ではありますが。

*6:「体を張る=体罰(殴る)」なんでしょうね。