高世仁に突っ込む(2019年7/21分)

首相官邸が国民民主を支援の怪 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 この拙記事につけた「これはひどい」タグは「高世の記事」ではなく「高世記事が紹介する自民党と国民民主党の振る舞い」が酷いと言う意味です。
 むしろ今回の高世記事は「自民党と国民民主党の振る舞い」を批判したよい記事だと思います。

 投票日直前、まさかと思う情報が・・
 静岡選挙区で、首相官邸が国民民主党の候補者を支援するという。さらに、ある番組でそれを報道しようとしたら局内で潰されたというのだ。
【特別寄稿】スクープ! 官邸への忖度か!? 参院選静岡選挙区に関する報道をめぐって、『報ステ』から消えた『6分』のVTR! 官邸は国民民主候補への支援と引き換えに改憲賛成を要求か!? | IWJ Independent Web Journal
 17日の新聞のテレビ欄には、報道ステーションの番組予告では「“大物が続々応援”激しい駆け引き・・・静岡選挙区」とあったのが、用意された6分のVTRが突如降ろされ、「番組の内容を一部変更しました」とのテロップが流れて番組が終わったという。
 そのVTRの内容は、菅義偉官房長官が静岡選挙区で立候補している国民民主党の榛葉(しんば)賀津也候補を支援するよう地元有力者*1に要請しているというもの。
 (ボーガス注:定数2の)静岡選挙区では過去3回、国民参院幹事長の榛葉賀津也*2が自民と議席を分けあってきた*3が、そこに立憲民主党から徳川宗家*419代目*5徳川家広*6が立ち、一転して激戦区になっている。ここに首相官邸が「介入」してきたことは複数のメディアですでに報じられていた。
立憲が国民に「刺客」=官邸参戦で対立激化-静岡【注目区を行く】:時事ドットコム
 《苦境に陥った榛葉に思わぬ強力な援軍が現れた。自民県連関係者は「官邸が榛葉にてこ入れしている」と声をひそめる。複数の関係者によると、榛葉と親しかった官房長官菅義偉が企業や公明の支持母体・創価学会に榛葉支持を働き掛けたという。徳川陣営も察知しており、関係者は「山が動いた。公明が怪しい動きをしている」と警戒を強めている。》(11日時事通信
 また、静岡新聞が13日の朝刊1面トップで《「官邸依頼」で榛葉氏支援》の記事を載せていた。
参院選静岡選挙区 野党激突に「不思議」な動き、官邸介入か|静岡新聞アットエス
 《5日夜、榛葉氏が浜松市中区の中心部で行った街頭演説に、スズキの鈴木修会長が突然姿を現した。
 過去の選挙でも取引先や関係企業を動かして政治的影響力を発揮してきた鈴木会長。2013年の参院選静岡選挙区では牧野氏を支援し、榛葉氏とは疎遠だった。今回選でも、全国軽自動車協会連合会の要職に就いている牧野氏を支援するとみられていた。ところが、鈴木会長は榛葉氏の演説を聴き終えると、記者団に榛葉氏支援を明言。「自民党の牧野氏は1位だから(榛葉氏の)2番目の当選を祈っている」と答えた。関係企業を含め榛葉氏を支援する方針だ。
 7日には袋井市での榛葉氏の集会で、国民民主党企業団体委員長の桜井充*7参院議員が「榛葉氏が厳しいから、自民党静岡県選出の元大臣に『票を回して』とお願いした*8」と明らかにした。
 複数の関係者によると、スズキ以外にも県内の大手企業や団体の一部が榛葉氏の支援に回った。脱原発を主張する徳川氏の当選を阻止したい思惑も透けるが、ある自民関係者は「首相官邸からの依頼だ。(参院選後の)改憲を意識しているのだろう」と話す。榛葉氏に恩を売って(ボーガス注:榛葉氏ないし彼が所属する国民民主党に)改憲へ協力を得る狙いとの分析だ。背景に静岡選挙区で自民が2人目の公認候補擁立を見送り、牧野氏が他候補に先行する選挙情勢もある。》
 問題なのは、こうした報道が忖度によってメディア*9で報じられなくなっていることだ。メディアの責任は重い。

 高世も呆れていますが「報道ステーションの話」が事実ならとんでもない話です。
 それはともかく、このあたりが国民民主が立民、共産党よりも支持率が低い理由の一つであるわけです。つまり日頃の言動から「自民党に寝返るんじゃないのか」と多くの野党支持者に疑われてる。
 そして国民民主(昔は民主党民進党の一部)のような存在が野党にいることが「野党にも安倍自民に近い政党があるなら安倍自民で問題ないじゃん」つうイメージを安倍自民支持層に与えて安倍を利してるのも間違いないでしょう。立民にもこうしたウヨ議員としては「福山*10幹事長」がいますしね(もちろん野党が軒並み、「共産並みの信用できる一貫した安倍批判*11」でも安倍自民を支持する支持者は一定数いるでしょうが)。
 そういう意味で「1980年代以前の野党」と違い「俺にとって信用でき、評価できるのは共産党だけ」つう嘆かわしい状況です。
 正直「何度も繰り返します」が俺は共産支持とは言え、それは他の野党が「政策面や政治姿勢で評価できない(維新。立民、国民民主と言った旧民進党系の諸政党)or評価してもいいが党勢が弱いから(社民やれいわ)」という消極的選択*12です。
 id:Bill_McCrearyさんが嘆くように「社会党が健在だった1980年以前(土井たか子委員長以前)」のほうが「ずっとマシだった」と嘆きたくもなります。
 もちろん社会党も100点満点ではない。社会党も当時「いわゆる国対政治」が批判されていました。
1)金丸(自民党副総裁)、田辺氏(社会党委員長)が一緒に訪朝をするほど、親密なのは「彼らが自民、社会の国対委員長」時代にそうした関係が出来た
2)村山自社さ連立内閣で官房長官を務め「村山内閣誕生の仕掛け人の一人」とされる野坂浩賢氏は社会党国対委員長経験者であり、そのため自民とパイプがあった
のは割と有名な話です。
 したがってこの種の問題が社会党に全くなかったとは言えない。とはいえ最近はあまりにも酷すぎるでしょう。
 「国対政治」と比べても今の「自民党に近い、なんちゃって野党(今回は国民民主)」の態度は酷すぎる。
 なお、徳川某氏について「なぜ静岡?」と思う方もいるでしょう。
 徳川家康は、「北条氏の滅亡後、豊臣秀吉の命令で、関東に移動させられるまで」はもともと静岡を領土としていました。そして将軍引退後は、静岡に駿府城を作ってそこで死ぬまで生活していました。
 家康死後は徳川忠長(三代将軍・家光の弟)が駿府藩主となり、忠長改易による駿府藩消滅後は幕府直轄地として駿府城代が置かれます。
 そうした経緯から、明治維新後、最後の将軍「徳川慶喜」及び幕臣たちは明治新政府によって「駿府(静岡)への移住」を強制されるわけです。

*1:高世の紹介する静岡新聞記事に寄れば軽自動車大手スズキの会長だそうです。

*2:鳩山、菅内閣防衛副大臣、野田内閣外務副大臣を歴任

*3:まあ共産に立ててほしいところですが、「地盤の強い京都」などと違い定数2ではなかなか難しいのでしょう。なお、今回は残念ながら「複数区で自民を落とす」というのが一部(沖縄なんかはそれが可能でしょう)を除いて困難なので勝負の焦点は1人区になります。

*4:もちろん「徳川将軍家(明治以降は華族)の末裔」つう意味です。著名な人間としては貴族院議長、ワシントン軍縮会議全権大使などを務めた徳川家達(16代目当主)がいます。

*5:徳川家康から数えて19代目だそうです。

*6:作家。著書『自分を守る経済学』(2010年、ちくま新書)、『なぜ日本経済が21世紀をリードするのか:ポスト「資本主義」世界の構図』(2012年、NHK出版新書)、『マルクスを読みなおす』(2014年、筑摩選書)

*7:菅内閣財務副大臣、野田内閣厚労副大臣民主党政調会長(海江田代表時代)など歴任

*8:こういうことを選挙集会で公言する当たり理解に苦しみますね。

*9:正確には「テレビ(今回はテレ朝・報ステ)」ですね。高世の紹介する時事通信静岡新聞はそれなりに報じてるわけですから。

*10:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)を経て立憲民主党幹事長

*11:ここではあくまでも「批判が一貫していて信用できる」と言う意味で「共産並み」と書いており、それ以外のことは問題にしていません。

*12:なお、言い訳しておけば「消極的選択」であっても「選ばれること」は「誇りに思っていい」というか「別に恥ずべき事ではない」と俺個人は思っています。俺は消極的選択ですらたとえば維新を選ぶ気はありませんし。