今日の産経ニュースほか(2019年10月22日分)(即位式関係でいろいろコメント、他)(追記あり)

「饗宴の儀」平成踏襲、日本料理で 菜食主義 「ハラル」メニューも - 産経ニュース

 各国の宗教や食文化に配慮したメニューも準備された。
 魚介や肉の代わりに野菜や高野豆腐、湯葉などを使った「菜食主義」メニューや、イスラム教の流儀に則して処理した「ハラルミート」と呼ばれる肉を使用したメニューも選べるようにした。

 前回(明仁天皇即位)はおそらくそこまで配慮できてないのだろうと思いますが、そうすると「当時、外国の側はどういう対応をしたのだろうか」つう素朴な疑問はありますね。


11・3「明治の日」改称へ賛同署名100万人 議連活動本格化へ - 産経ニュース
 「韓国植民地支配」などの問題点を無視して「明治万歳」を叫ぶこうした右翼的運動には今後警戒と批判を強めていく必要があるでしょう。
 まあ本来は11/3(元々は明治節)以外を文化の日にすべきかとは思います。


麻生副総理、中国副主席と会談 「北大教授拘束」やり取りせず - 産経ニュース
 財務相である麻生*1はやりとりしなくても良い*2と思いますが、「茂木*3外相も安倍首相も誰も触れない」のであれば「どうやって解決する気なのか」「そもそも解決する気があるのか」と言う話ですね。その辺りがどうなのかわからないとちょっと評価は出来ません。まあ、正直、「無責任政治家」安倍らが「中国ともめたくない」「今日は慶事なのでもめ事をつくりたくない」として現場(外務省の担当者など)に丸投げで、「政治家として黙り」でも何ら不思議ではないと思いますが。俺はその程度にしか安倍らを評価していません(こうした低評価が「いい意味で」裏切られれば、つまり「王副主席相手に安倍らが直接交渉した上で成果が出れば」いいことですが)。

追記あり
北大教授拘束 安倍首相が対応求める 中国副主席と会談 - 産経ニュース
 さすがに全く触れずにほったらかしではなかったようです。


自民・石破氏「憲法改正、積極論議を」 - 産経ニュース

 立憲民主党山尾志桜里*4衆院議員は、検索履歴や位置情報などの個人情報が気付かないうちに政府や企業に収集されている可能性を指摘した。その上で「国会議員に問題意識がなく、危機感が薄い。ビッグデータ問題も衆参両院の憲法審査会で議論すべきだ」と話した。

 いつもながらとんちんかんな「石破*5のお友達(?)議員=山尾」ですね。「そんなに石破が好きなら自民に移籍すればいいのに」と思わざるを得ません。
 改憲しなければビッグデータについての法的規制が出来ないのか。そんなことはないでしょう。こんなとんちんかんな議員がいるのではとても立民を支持する気にはなりませんね。


「即位礼、大嘗祭 違憲批判は当たらない」麗澤大教授・八木秀次氏寄稿 - 産経ニュース
 右翼活動家で安倍ブレーンの八木がそんなこと言ったところで何の説得力もありません。


ペンス氏、即位礼の訪日見送り 米運輸長官が参列へ (写真=AP) :日本経済新聞
 勿論運輸長官つうのは、大統領や副大統領と比べ格下ですし、こういう場合に送る閣僚は普通国務長官(外相)でしょうよ。
 「米国ってよほど日本を軽く考えてるのか?」て話です。一方、安倍が敵視する韓国は「こういう場合に一般的に来るレベル」の「李洛淵*6首相」ですから、まあ皮肉ですね。多分韓国や中国が運輸相レベルをよこしたら、「馬鹿にするな」と悪口するであろう産経らウヨもアメリカ相手にはまあ静かなもんです。
 なお、韓国以外の他の国も、即位礼正殿の儀参列予定の国・機関と出席者 外務省発表、21日時点(1/5ページ) - 産経ニュースによれば

■中国:王岐山*7国家副主席
ミャンマーアウンサンスーチー外相兼国家顧問(事実上の大統領)  
■フィリピン:ドゥテルテ*8大統領
■英国:チャールズ皇太子
■ドイツ:シュタインマイヤー*9大統領*10
■EU:モゲリーニ*11EU外務・安全保障政策上級代表(外相)兼欧州委員会副委員長(副大統領)

などですから米国の「軽さ」が目立ちますね。まあ、一部には米国同様の国(首相、副首相、大統領、副大統領よりも格下の閣僚)もありますし、なかには「駐日大使が出席」という国もありますが。


国民民主党・玉木雄一郎代表談話「平和と繁栄の時代へ最大限努力」 即位礼正殿の儀 - 産経ニュース

 本日の即位礼正殿の儀が、国民にわが国へのゆるぎない誇りと未来への希望、そして勇気をもたらすことを願ってやみません。
 国民民主党は、天皇国民国家の象徴と仰ぎつつ、日本の良き歴史と伝統を尊重する政党として、国民と皇室を結ぶ敬愛と信頼の絆が一層深まり、令和の時代が日本のみならず世界にとって平和と繁栄の時代となるよう、最大限の努力を傾注してまいります。

 安倍自民(二階幹事長)や「自民の二軍・維新(松井代表)」ですらここまで右翼的な談話ではありません。そもそも式典ごときで「国民と皇室を結ぶ敬愛と信頼の絆(この程度の事なら自民や維新も言っている)」ならまだしも、何で「ゆるぎない誇りと未来への希望、そして勇気」なんてご大層なもんがもたらされるのか。
 呆れて二の句が継げませんね。さすが「自民より右寄りの旧民社が集まった政党」というべきでしょうか。こういう「右翼政治家」が野党にいるから「安倍の右翼性が目立たなくなる(その結果長期政権になる)」という恐ろしい現状にはなんともげんなりします。


社民党・又市征治党首コメント「即位礼あり方に憲法上の疑義」 即位礼正殿の儀 - 産経ニュース
 以前から小生も書いてるところですが全く同感ですね。仮に即位式典を認める立場に立ったとしても、それは「政教分離原則違反の疑い濃厚な式典のあり方」を肯定することとは違います。


立憲民主党・枝野幸男代表談話「平和で穏やかな時代を祈念」 即位礼正殿の儀 - 産経ニュース
 「立憲主義」を旗印に掲げる政党の代表が「憲法学者から違憲政教分離原則違反)の疑いを指摘される式典」について「祝賀ムードに加担すること」しかせず何一つ批判も苦言もしないのだからいつもながら心底呆れます。最初から立民には何一つ期待していませんが。


■式典に関係ない各党の自画自賛がうざい

自民党・二階俊博幹事長談話「国政のかじ取りしっかり進める」 即位礼正殿の儀 - 産経ニュース
 自由民主党は、新しい時代がさらに輝き、希望に満ちたものとなるよう、国政運営のかじ取りをしっかりと進め、世界の平和と繁栄、国民生活の向上に、全力で取り組んでまいります。

社民党・又市征治党首コメント「即位礼あり方に憲法上の疑義」 即位礼正殿の儀 - 産経ニュース
 社民党は、新時代の日本が、誰もがともに、平和で安心して暮らすことができる社会となるよう、平和憲法を生かす政治の実現に邁進(まいしん)する決意です。

日本維新の会・松井一郎代表談話「新時代にふさわしい日本築く」 即位礼正殿の儀 - 産経ニュース
 日本維新の会は、歴史と伝統を重んじながら、新しい時代を切り拓(ひら)くためにビジョンを描き、実現する。国政と地方の両輪で、令和の新時代にふさわしい日本を築くための大きな役割を果たしていくことを改めて決意しています。

立憲民主党・枝野幸男代表談話「平和で穏やかな時代を祈念」 即位礼正殿の儀 - 産経ニュース
 立憲民主党は、国民から負託を受けた政党としてその課せられた責任を果たし、それぞれに幸せを実感できる社会を実現するために「まっとうな政治」を行って参ります。

 「お前ら、式典に何一つ関係ねえ自画自賛してるんじゃねえよ、バカ。くたばれ」としか言い様がないですね。もちろん社民党の「政教分離原則」についての指摘は高く評価しますが。唐突に「わが党は頑張ります」なんて言ったって違和感しかないて話です。


政令恩赦「復権令」を公布 罰金刑55万人対象、資格制限解く - 産経ニュース
 即位したからと言って恩赦しなければいけない理由はどこにもない。しかも恩赦の多くは「選挙違反」、つまり自民党お手盛り行為と考えられています。むしろ天皇制支持者こそが「お手盛り恩赦などして、政府、与党は天皇の権威を汚すな」と怒るべきじゃないか。そもそも、個々の犯罪者の個別性に配慮した「個別恩赦」すれば充分であって、天皇即位でアレ、なんであれ慶事を口実にした「一律恩赦」など邪道だと俺は思います。

社説[政令恩赦決定]合理性も説得力もない | 社説 | 沖縄タイムス+プラス
 恩赦は皇室の慶弔時のほか、サンフランシスコ講和条約発効や沖縄の日本復帰など国家的行事でも実施されてきた。
 「沖縄恩赦」の際は、政権による総選挙を見越した選挙違反者救済の側面が指摘された。昭和から平成への代替わりでも、公選法違反者が多く含まれ「政治恩赦」と批判を浴びた。
 恩赦の実施に対し政府は「更生意欲を高める」意義を強調している。
 確かに特定の個人を中立的な機関が審査する「個別恩赦」に、その効果があることは否定しない。しかし今問題にしているのは一律に実施される「政令恩赦」である。
 政府は閣議決定の直前まで、恩赦についての具体的言及を避けてきた。
 どのような議論を経て、対象基準や規模を決めたのか。政治的判断は働いていないか。

社説 政令恩赦 続ける意義があるのか | 信濃毎日新聞[信毎web]
 一人一人の更生具合や行状、被害者の感情も考慮する個別恩赦が支えになっている、との受刑者の声もある。政府が「刑事政策的な見地」に立つなら、常時恩赦の拡充にこそ努めるべきだ。
 安倍政権は直前まで恩赦の実施方針を示さなかった。検討過程も明らかにしていない。

「恩赦は天皇の政治利用」 共産・志位和夫委員長 - 産経ニュース
と言う批判には全く同感です。


【一筆多論】共産党は憲法を守れ 榊原智(1/2ページ) - 産経ニュース
 産経らしい無茶苦茶言いがかりですね。
 共産党が「即位式への欠席」を発表したのは「式典が政教分離に反し、出席することが違憲行為への加担になる」「護憲を旗印とする政党として許されない行為と考えたから」です。
 決して「天皇制を否定しているから欠席した」わけではない。「共産党の考える護憲(政教分離)の立場」から欠席したわけです。
 共産党の方こそ「産経と安倍政権は憲法政教分離)を守れ」といいたいでしょう。
 いや別に「天皇制否定の立場から欠席」したとしてもそれは「是非はともかく」違憲行為でも何でもないのですが。
 そして安倍政権が実施を決めた即位式の諸行事は「憲法に定められたわけではない」。安倍政権が勝手に「前例踏襲でやる」と決めただけで「前例踏襲でしなければいけない法的義務」はどこにもない。
 おそらく安倍政権が「政教分離に反しない形での即位式典」を実施すれば共産党も式典に出席したでしょう。
 なお、共産党が「天皇制廃止」を党是とすることは勿論違憲行為でもなんでもありません。
 ちなみに黒坂も志位氏らの欠席について

黒坂真
‏ 日本共産党本部の皆さん。皆さんは天皇陛下が、日本国家の君主でいらっしゃる事を認めない

と産経同様に平然とデマを飛ばしていました。くだらないデマを飛ばす前に「共産党の要請を受け入れて政教分離原則に合致した式典をすればいいだけ」なのですが、それを「政教分離に必要以上に固執するのは伝統否定だ」「伝統否定は天皇制否定と同じだ」と強弁するのが産経や黒坂ら極右なのでまさに「バカに付ける薬はない」と言う話です。

 憲法第1条で天皇の地位が「国民の総意に基く」とあるのは、それゆえだ。たまたま今、生きている国民の多数決に基づくものではなく、過去、現在、未来の国民の総意の規定だととらえるべきだ。そもそも、現憲法の制定時に国民投票は行われていない。

 すさまじい詭弁ですね。「天皇制を廃止しようという国民運動が大規模に起こってるわけではないし、政権与党(自民や公明)も天皇制廃止論が党是でない。マスコミ世論調査でも天皇制廃止論は多数派ではないから別に天皇制の是非について国民投票しなくても国民の総意が天皇制を支持してるといっていい」ならまだしも「生きている国民の多数決に基づくものではなく、過去、現在、未来の国民の総意の規定」て(呆)。
 「一体どうやって未来の国民の総意なんかわかるの?」ですよねえ。
 新刊紹介:「歴史評論」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログでも紹介しましたが、この点は
「ドイツ、フランス、イタリアなどでは国民の支持を失って王室が消滅した」
「今、王室(皇室)が存在する、英国、オランダ、デンマークスウェーデンノルウェー、日本とて国民の支持を失えばいつ王室が消滅しても不思議ではない」として「時代の変化への対応をしていくことが大事」とする君塚直隆氏などは「産経文化人」とはいえ、「産経論説副委員長」榊原智なんぞとはレベルが違います。
 「廃止を目指す(志位氏)」「存続を目指す(君塚氏)」という結論が違うとは言え「国民の支持を失えばいつ王室が消滅しても不思議ではない」とする事実認識は当然でしょう。「伝統を守ればいい」としかいわない産経では話になりません。

 「天皇」「内閣総理大臣」「国務大臣」とある憲法の規定自体が日本が立憲君主国であることを如実に示している。

 意味が分かりませんね。産経は「臣・茂」の時代に生きているのか。「臣・茂」を批判した人々の方が間違ってると思っているのか。「大臣だから天皇の家臣だ」なんて思ってるのなら時代錯誤も甚だしい。
 「天皇国家元首だった戦前(だからこそ田中義一昭和天皇に叱責されて首相辞任)」はともかくもはや戦後は家臣ではない。そもそも「大臣」を「長官」などと改名すれば済む話でもある。
 というか「将来は君主国を辞めたい、米仏独イタリアなどのような共和制にしたい(志位氏)」と言う話に「今の日本は君主国だ」といって何の反論になってるのか。

【参考】

吉田茂*12ウィキペディア参照)
 1952年(昭和27年)11月の明仁親王立太子礼に臨んだ際に、昭和天皇に自ら「臣・茂」と称した。これは「時代錯誤」とマスコミに批判された。

麻生首相所信表明をきいて/真の楽観主義とはなにか/「御名御璽」と「臣茂」
 首相の祖父・吉田茂首相は一九五二年、現天皇立太子礼(皇太子就任の式)の際、「臣茂」と書いて激しい批判をあびました。主権在民をわきまえないで、いつまで天皇の臣下でいるのかと。

【書評】『象徴天皇制の成立』茶谷誠一著(NHKブックス、2017年) | 研究活動 | 東京財団政策研究所
・「尊皇」家、「臣茂」といったイメージが強い吉田茂であるが、著者は宮中と政府の関係に関する考え方は芦田*13と大差がないとしている。「国政に関与する機能」を認めないのは芦田と同様で、天皇が「報告を受ける権利*14」を認める点が芦田との差異であるが、英国的立憲君主制理解の昭和天皇と(ボーガス注:吉田と)の懸隔の方が(ボーガス注:吉田と芦田の違いよりも)よほど大きいというのである。昭和24年の寺崎の(ボーガス注:宮内省御用掛)更迭が、天皇による独自の外交ルートを認めない吉田の意向によるものであると指摘するとともに、いわゆる「天皇外交」を検討し、外交の意思決定権は吉田に集約されており、この時期に「天皇外交」が決定的な影響を及ぼした事例はないと判定している。
天皇の政治への関与を忌避する吉田など、従来のイメージとは異なる政治家たちの相貌が描かれている点も興味深い。特に、「臣茂」としての顔が強調されてきた吉田に関する指摘は、その像を修正するものであり重要である。同じ親英米派、オールドリベラリストとみなされる吉田と岳父牧野*15との間で、戦後になって天皇の位置付けに関する見解が分かれたのも面白いが、(ボーガス注:宮内大臣内大臣という)天皇側近として長年奉仕した牧野と、(ボーガス注:外交官であって)宮内官の経験がない吉田の差であろうか。

対立軸の昭和史:「吉田茂と鳩山一郎」編/3 「拝謁記」から立ちのぼる天皇観の相克=保阪正康 - 毎日新聞
 吉田茂鳩山一郎*16の葛藤を検証する時、その天皇観も大いに異なっているように思う。一言でいえば、吉田は「臣茂」をはばかりなく口にするのに、鳩山はそれは口にする以前に(ボーガス注:保守の)政治家として当たり前に思っている。口にする以前のことなのである。

【参考終わり】


【有本香の以読制毒】中国資本に“買われる”北海道…その絶望的な実態 小樽の由緒ある建物も続々と中国人の手に 買収時と話が違う?地元からは不安の声 (2/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

 「小樽和光荘」は大正時代に、当時の「北の誉酒造*17」経営者の私邸として建てられた洋館だ。終戦から9年後の1954年には、昭和天皇香淳皇后が北海道行幸啓の折に宿としたことでも知られる由緒ある建物だ。
 この和光荘は、いまや中国人の手に渡っている。
 買い主は、同じく由緒ある建物として知られる「夕張鹿鳴館」を買った在日中国人が経営する法人。昨年夏、新オーナーがメディアに「夕張と小樽の歴史的建物に投資し、多くの集客を目指す」と語っていたが、1年後の週末、和光荘は静まり返っていた。
 資金難で補修もままならなかった古い建造物を買い取って有効活用してくれるなら、買い手が中国人であってもありがたい話-。こう言うのは行政と一部の利権者、地元メディアだけだ。地元では不安の声も多い。
 なぜなら過去、買収の際に「再開発」をぶち上げて地元を期待させながら、一向にその開発が始まらない事例が道内にたくさんあるからだ。その大半が中国系資本による買収である。

 【風を読む】YOUは何しに北海道へ? 論説副委員長・佐々木類 - 産経ニュース同様の中国への悪口ですが、有本の記事は何ら「安保上の脅威」の説明になってません。
 有本の指摘が事実としても、普通に考えて「軽い気持ちで買収したが思ったほど運用がうまく行かず、とはいえ今更転売することも出来ず、塩漬けにしてる」だけの話でしょう。少なくとも有本のように「中国の脅威云々」と騒ぎ立てる話ではない。
 なお、ググったところ、買収した企業は夕張リゾートだそうです。マウントレースイスキー場、ホテルマウントレースイ、ゆうばりホテルシューパロ、合宿の宿ひまわりと言った施設を運営しているようです。


【風を読む】YOUは何しに北海道へ? 論説副委員長・佐々木類 - 産経ニュース

 王氏*18は22日、天皇陛下即位の礼に出席し、北海道を訪問する。
 そんな王氏の北海道入りを知り、李克強*19首相の顔が浮かんだ。李氏は昨年5月、日中韓首脳会談に出席するため来日したその足で、札幌市、苫小牧市を訪れた。安倍晋三首相が同行した。
 その姿に目まいを覚えたのは私だけ*20だろうか。中国首脳の相次ぐ北海道入りは、中国政府による北海道への影響力拡大を意味するからだ。その核心は、巨大経済圏構想「一帯一路」にある。釧路、苫小牧両港を北極海に抜ける重要ルートとして、拠点化する狙いが中国側に存在する。そうなればわれわれ日本人は、中国船舶が津軽海峡を日に何度も大手を振って航行することを見ることになるのである。
 昨年は李氏の北海道入り後、在日中国大使館公使ら一行が、釧路市役所を訪問した。公使は釧路市内で「北の釧路、南のシンガポール」と題して講演し、「釧路港を北極航路として有効的に活用したい」などと述べ、一帯一路への理解を求めている。

 産経の言うような「中国船舶が津軽海峡を日に何度も大手を振って航行する」「釧路、苫小牧両港を北極海に抜ける重要ルートとして、拠点化する狙い」なんてもんがあるかどうかはともかく李首相、王副主席の北海道訪問が「経済的思惑が大きいこと」は事実でしょう。で、「それの何が問題なのか?」と言う話です。反中国の産経にとっては「中国の北海道への経済進出が日本の安保上の脅威なのは説明しなくても分かる」のでしょうがこっちは産経が何を問題にしてるのかさっぱりわかりません。

【参考】

【北海道が危ない 第4部(上)】中国、釧路を“北のシンガポール”に 「孔子学院」開設計画、不動産の買収…拠点化へ攻勢(2/5ページ) - 産経ニュース
 張1等書記官は、釧路日中友好協会(中村圭佐会長)の28年12月例会で、習近平*21国家主席が提唱した経済圏構想「一帯一路」に触れ、「中国は北極海航路の試験運用を本格化している。釧路はアジアの玄関口として国際港湾物流拠点としての成長が期待できる」と強調。同月13日付の釧路新聞でも「釧路は北米にも近い。将来は(中略)南のシンガポール、北の釧路といわれるような魅力がある」と語っている。


【主張】即位の礼 国民と歩まれる「象徴」に 新時代を素直にお祝いしたい - 産経ニュース

 天皇にとって、祈り、宮中の祭祀(さいし)は本質的、伝統的役割*22である。歴代天皇は「国安かれ、民安かれ」と祈ってこられた。儀式から神道の色彩を消せば、天皇天皇でなくなってしまう*23
 政教分離の原則は、宗教戦争に明け暮れた欧州の悲惨な歴史を踏まえ、政治権力と宗教の分離を求めるものだ。権威を帯びても権力を振るわず、宗教団体を持たれない*24天皇の祭祀*25、儀式に杓子(しゃくし)定規に当てはめては、天皇を戴(いただ)く憲法の精神に反する。

 日本とて国家神道天皇の宗教)が「それ以外の宗教に対する迫害、弾圧」をもたらしたので産経の物言いは大嘘です。
 そもそも「権威を帯びても権力を振るわず」どころか「明治、大正、昭和」の天皇は「国家元首、軍最高司令官(大元帥)」として権力を振るっていたわけです。だからこそ昭和天皇に叱責された田中義一*26は首相を辞任したし、226事件青年将校天皇の激怒によって厳罰にされた。226事件*27を利用して首相になろうとした真崎甚三郎*28昭和天皇の激怒に恐れをなし、最終的には青年将校を見捨てました。
 前近代の天皇にしても「実権を武家に奪われた」とはいえ、建前では天皇が国のトップです。
 武家の将軍位は建前では「天皇から与えられたもの」であり、だからこそ「尊皇倒幕」「大政奉還」が成立したわけです。そもそも「奪われた」のであって進んで武家に権力を譲り渡したわけではありませんし。だから武士への天皇側の不満が時に「承久の乱後鳥羽上皇による北条氏打倒の決起、失敗し上皇隠岐島流罪)」「建武の新政後醍醐天皇)」として爆発した。

 「万歳」によって君主の即位をお祝いし、長寿を祈るのは北東アジアにおける常識的な儀礼であり、国民主権と矛盾すると考えるのは憲法を曲解している。

 やれやれですね。天皇制に限らず王制というのは基本的に国民主権と矛盾する代物です。「王制(天皇制)が政治的に無力化されること」によってかろうじて「国民主権と両立する」にすぎません。しかも産経は「国民主権を否定する方向で天皇制を政治利用しようとしている」のだから話になりません。

 初代の神武天皇から第126代の今上陛下まで一度の例外もなく貫かれてきた男系継承の大原則に沿う必要がある。
 この大原則に基づく現在の皇位継承順位を政治が変更することはあってはならない。「女系天皇*29」への道を選ぶことは今の皇統の断絶、王朝の変更に等しく、大混乱を招いてしまう。

 神武天皇などフィクションなので話になりません。また、奥平康弘『「萬世一系」の研究(上)(下)』(岩波現代文庫)も指摘していますが「男系云々」が一応成立したのは
1)多くの宮家の存在
2)側室の存在
が大きいわけです。「天皇の正妻から生まれた子ども」だけでずっと続けてきたわけではまったくない。
 1)、つまり天皇の親戚の子どもや、2)、つまり天皇の側室の子どもの存在が大きかったわけです。
 2)については今更議論すること自体がばかばかしいでしょう。昭和天皇自体が側室制度を戦前にやめています。戦前において既に「側室など置くことは国民の尊敬を得られない」つう判断があったわけです。今更側室制度なんか復活できるわけがない。
 1)について言えば終戦直後の大量の臣籍降下で宮家は大幅に減っています。とはいえ今更産経当たりが言う「元宮家の皇族復帰」は現実的ではない。
 臣籍降下してから何10年もたった「現天皇家の遠い親戚」なんか国民の敬愛の念は乏しいでしょうし、「臣籍降下時代」に不祥事を起こしてないという保証もない。皇族復帰後に不祥事が炸裂したらかえって、皇族のイメージが破壊されます。
 となると「女帝容認」「場合によってはそれプラス女性宮家の容認」が「皇位継承者を増やす現実的方策」でしょうが「伝統に反する」などといって産経らウヨが反対するから頭痛がします。まあ俺個人は天皇制支持者ではないので「天皇制=制度としての天皇家*30」が「女性天皇の結婚による皇籍離脱」「残された男性皇族の高齢化による病死」で滅んだとしてもどうでもいいのですが、産経らの主張は「天皇家存続」と言う意味では全く非合理です。


両陛下と交流、8歳の小林咲貴ちゃん「おうえんありがとうございます」リハビリの糧に - 産経ニュース
 小生の「天皇制認識」については
新刊紹介:「歴史評論」11月号(追記あり) - bogus-simotukareのブログなどで過去にもいろいろと書いてますが、天皇制支持層ですら多くは今時産経的ウヨ路線など支持しないわけです。
 むしろこういう「障害者の子どもに優しいいい人」イメージこそが「それが天皇制の生きる道」のわけです。
 しかし「天皇制の持つ政治的意味」なんか未だ分からないであろう幼い子どもに

「そくいおめでとうございます」

なんて書かせるのは俺は「最低最悪の子どもの政治利用」だと思って吐き気しかしませんね。

*1:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二~第四次安倍内閣副総理・財務相

*2:もちろん「やりとりしたらいけない」わけではありません。「やりとりしてほしいが、する義務まではないと思う」つう話です。

*3:小泉内閣沖縄・北方等担当相、福田内閣金融等担当相、第二次安倍内閣経産相、第三次安倍内閣経済財政担当相、自民党政調会長(谷垣総裁時代)、選対委員長(第二次安倍総裁時代)などを経て現在、外相

*4:民進党政調会長蓮舫代表時代)

*5:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*6:東亜日報論説委員、国際部長を歴任。金大中大統領の誘いで政界入り。全羅南道知事などを経て首相(ウィキペディア「李洛淵」参照)

*7:海南省党委員会書記、北京市長、副首相、党中央規律検査委員会書記(党中央政治局常務委員兼務)などを経て国家副主席

*8:ダバオ市長を経て大統領

*9:官房長官、外相を経て大統領

*10:ドイツの大統領は名誉職ですが

*11:イタリア外相を経て現職

*12:戦前、天津総領事、奉天総領事、駐スウェーデン公使。外務次官、駐伊大使、駐英大使を歴任。戦後、東久邇、幣原内閣外相を経て首相

*13:幣原内閣厚生相、片山内閣副総理・外相などを経て首相

*14:いわゆる内奏のこと

*15:第一次西園寺内閣文相、第二次西園寺内閣農商務相、第一次山本内閣外相、ベルサイユ会議政府次席全権(首席全権は西園寺元首相)、宮内大臣内大臣など歴任。内務卿を務めた大久保利通の次男

*16:戦前、田中内閣書記官長、犬養、斎藤内閣文相を歴任。戦後、首相。

*17:2016年1月7日をもって合同酒精に吸収合併されたが「北の誉」のブランドは残されている(ウィキペディアオエノンホールディングス」参照)

*18:海南省党委員会書記、北京市長、副首相、党中央規律検査委員会書記(党中央政治局常務委員兼務)などを経て国家副主席

*19:中国共産主義青年団中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相(党中央政治局常務委員兼務)

*20:「私(佐々木)だけ」ではないでしょうがはっきりいって「佐々木の同類(異常な反中国)」しかそういうめまいは覚えないでしょう。

*21:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*22:少なくとも政教分離を定め、神道色が強いために「宮中祭祀」を国事行為とはしなかった現行憲法はそんな立場ではありません。

*23:ここまで公然と「天皇神道儀式やって何が悪い、現行憲法はそれを認めてる。認めてないとする学会通説は間違ってる」「仮に認めてないなら認めない憲法の方が悪い」と放言できる産経の無神経もなかなかのもんです。皇室にとってはむしろ「ありがた迷惑」でしょう。

*24:戦後はともかく戦前(明治以降1945年まで)において「国家神道天皇の宗教」でしたし、「皇室や天皇制支持者一般はともかく」、産経や神社本庁らウヨはそうした「国家神道天皇の宗教」の復活を目指してるのによくもこんなことがいえたもんです。

*25:「祭祀」というのは宗教儀式という意味ですし、戦前国家神道の影響を受けている「祭祀」はもちろん神道色が濃厚なわけです。しかし「儀式(宗教行事に限られない)」と書けばいいところ「祭祀(宗教儀式)」と書かずにはいられないところが興味深い。

*26:原、第二次山本内閣陸軍大臣を経て首相

*27:226事件青年将校の決起目的の一つは真崎の首相就任でした。

*28:台湾軍司令官、参謀次長、陸軍教育総監を歴任

*29:つまりは「愛子さんの皇位継承権」や「秋篠宮の娘に女性宮家をつくること」を認めること。

*30:女性皇族が結婚によって皇籍を離脱したところで「血統としての天皇一族」は勿論残るわけです。