黒坂真に突っ込む(2019年11月6日分)(追記あり)

■黒坂ツイートにコメント

黒坂真リツイート
 吉岡正史さん。米軍による無差別攻撃は日本の責任である、と日本共産党は常に宣伝しますね

 前も別記事で指摘しましたが日本共産党は「米軍に責任がない」とはいっていません。
 「米軍による無差別爆撃」に対して事実上何ら打つ手がない、つまり制空権を完全に奪われた状況で、日本が米国に勝てる可能性はないのだから、人命を最優先に考えるならば「無差別爆撃が始まった時点」で早急に降伏すべきだった。例えば1945年3月10日の東京大空襲(下町大空襲)は被害の甚大さ(推定死者約8~10万人)を考えれば、「本当に昭和天皇ら政府首脳部が国民の命を最優先に考えてる」のならこの時点で降伏してしかるべきでした。
 にもかかわらず、国体(天皇制)護持を最優先して降伏をせず、その後も「3/13の大阪大空襲(死者3115名)」「5/25の山手大空襲(死者3651名)」「5/29の横浜大空襲(死者3787名)」「6/5の神戸大空襲(死者3184名)」「6/9の熱田大空襲(推定死者約2000人)」などと空襲による犠牲者は増えていきます(ウィキペディア「日本本土空襲」参照)。これを「すぐに降伏しなかった日本政府にも問題があった」と評価して何が問題なのか。

黒坂真志位和夫リツイート
 日本共産党本部の皆さん。中国の覇権主義大国主義がどれだけ重大でも皆さんは、中国共産党人民解放軍尖閣に侵攻するなどありえないと盲信。
志位和夫
‏ (会見で)今回の綱領改定で中国批判を行ったのは、(ボーガス注:同じ共産党なので日本共産党は中国共産と甘いという?)この問題での私たちへの誤解を解くためだけではありません。中国の(ボーガス注:南シナ海領土紛争での?)大国主義・覇権主義、(ボーガス注:ウイグルや香港などでの?)人権侵害が、世界の平和と進歩にとって見過ごすことができない問題となっており、それを事実と道理に基づいて批判することは、大義ある取り組みと考えています。

 「尖閣侵攻なんかない」と認識するのはそりゃ当たり前でしょう。
 例えば
「ロシアがクリミアに侵攻したから、北海道侵攻もありうるのか」
アメリカがイラクやアフガンで戦争を起こしてるからロシアや中国相手に戦争することもあり得るのか」
「インドがパキスタンと軍事衝突したら、インドのネパールやブータンへの侵攻もありうるのか」
「過去の一時期*1蒋介石政権が大陸反攻(中国共産党政権転覆、国民党の政権復帰)を目指したから、蔡英文政権の大陸反攻もあり得るのか」
 そういう話じゃないわけです。政治状況が違いますから。
 大体、「尖閣への中国侵攻の脅威がある」ようなら安倍も「来年春の習主席訪日」なんか中国政府に要請しないでしょう。
 なお、志位氏は

志位和夫
 率直に言って(ボーガス注:中国ビジネスに配慮して、日本では与野党共に?)中国の誤りへの批判をためらう傾向が強い。安倍首相も、中国李首相と会談をしたが、尖閣諸島への領海侵犯も、香港の人権問題も、正面から問題にしようとしない。習近平主席の来日を最優先し、批判をやらない。対米も、対ロも、対中も、大国の覇権主義にモノが言えない外交でいいのか。

ともツイートしていますがこちらには黒坂がリツイートしないのが大変わかりやすい。安倍批判したくないが「反中国ウヨ」として「安倍首相の対中国外交に問題などない」と「安倍擁護も出来ない」と思ってるのでしょう。
 ちなみにこの志位ツイートについたリツイートが以下の通りです(他にもありますが俺的に興味深いものだけピックアップしました)。

■Kurokawa Sakyo
‏ 正論かもしれませんが、それでは政権運営はできないと思う。
クロウタドリ
 主旨はよくわかりますし正論だと思いますが、(ボーガス注:連立政権の一員として)政権を取ったときの中国外交はどうするんでしょうか?。政権を取るまでは正論ですけど政権を取った後は外交にいきずまりませんか?。政権を担ってほしいので老婆心ながら。

 「日本として中国ビジネスを犠牲にすることは出来ない(そういう意味で志位氏の中国批判、安倍批判に全面的には賛同できない)」つう話ですね。まあ、反中国ウヨ連中も内心それが分かってるからこそ「安倍が一帯一路参加を表明しようが、訪日した李首相を歓迎しようが、習主席訪日を要請しようが」安倍批判を躊躇するのでしょうが。しかしこういうツイートには「手前らふざけんな!、中国ビジネスのためにチベットウイグルを見殺しにするのか!」とid:Mukkeさんや、I濱Y子女史(W大学教授、チベット研究)、M谷N子女史(M大学准教授、ウイグル研究)、阿部治平などはマジギレするのでしょうが「一面の真理」ですからね。しかし過去に散々、「日本共産党は中国に甘い」とか宣ってくれた反共分子・阿部治平が今後何というか楽しみです。

■ひで坊
‏ 安倍外交には理がない。自らに、相手を非難する大義など何処にもない以上、(ボーガス注:強い相手には)揉み手するしかないという事でしょう。
■贅沢保湿 🇯🇵自己責任論者駆除業者
‏ 安倍政権が逆らえるのは韓国だけです。自分より腕力の強いものには絶対に逆らえません。
■hiro.ezk
‏ 米国への態度のように、安倍首相が中国へ「おべっか」を使いまくる日も遠くない?
■ねこ山(旧ニャン吾郎 マンセー直結)
 現与党の人たちは野田首相の時に中国に対して偉そうな発言してましたね。中国とは貿易しないとまで言い出す人間までいまた。でもアベ政権になると全部なし崩し、以前にも増して大規模に中国貿易をする浅ましい人たちなのです。
■散歩
 韓国叩きしても、中国には文句言えません。
■キジトラ
‏ 自民党よりよっぽどまともな保守
■モンタナマジック
‏ おっしゃる通りです。
 そのくせ韓国に対してだけ居丈高とか、みっともない国ですわ。

 痛烈な安倍批判ですね。

【追記】
 志位氏の中国評価に対する「浅井基文氏の批判的分析」をコメント抜きで紹介しておきます。

日本共産党の綱領改定問題-中国批判-|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 11月6日付のしんぶん『赤旗』に掲載された日本共産党第8回中央委員会総会における志位和夫委員長による「綱領一部改定案についての提案報告」における「中国の国際政治における問題点」の部分を読んで、私は事実関係に関する共産党の判断に非常に大きな違和感を覚えました。志位氏が指摘した問題点は、①「核兵器問題での変質がいっそう深刻になっていること」、②「東シナ海南シナ海での覇権主義的行動も深刻化していること」、③「国際会議の民主的運営を踏みにじる横暴なふるまい」、④「人権問題が深刻化していること」の4点です。
 第一点について志位氏が「変質の深刻化」の根拠として挙げているのは、中国が昨年7月に「P5プロセス」の調整役を引き受け、反対・発効阻止の立場をとり、「核兵器のない世界」をめざす動きへの妨害者としての姿をあらわにしている」ということです。中国の核政策について立ち入る余裕はありませんが、中国が核兵器禁止条約締結に消極的であることは事実ですが、それはアメリカの攻撃的な核戦略に対抗する最小限核デタランスを保持する立場からであり、「核兵器のない世界」が望ましいことは一貫して認めています。「この三年間で変質が深刻化した」という指摘は事実とかけ離れています。志位氏にとってはP5の調整役を引き受けたことが「変質の深刻化」の根拠となっているように見受けられますが、中国の核政策を全面的に分析することなく、この一事だけをもってして「核兵器問題での変質がいっそう深刻化している」と結論するのはあまりに強引です。
 第二点については、東シナ海をとっても、南シナ海をとっても、志位氏の指摘は失当であることはあまりにも明らかです。東シナ海で中国公船が「領海侵入、接続水域入域が激増・常態化」しているのは事実です。しかし、このような事態を招いた原因は民主党政権及びその後を襲った安倍政権にあるのに、志位氏がその点をまったく無視しているのは到底理解不能です。ここで事実関係を詳細に説明している余裕はありません。しかし、中国が尖閣問題で態度を硬化させた最大の原因は、1972年の日中国交正常化交渉の際に田中角栄*2周恩来会談において尖閣問題の「棚上げ」合意が行われたのに、民主党政権及び安倍政権が「棚上げ」合意はなかったと強弁するに至ったことにあります。両国最高首脳レベルにおける合意すらなかったと言い張ることは国際関係においてあり得ないことです。中国は、日本がそういうむちゃくちゃな立場をとるのであれば、中国としても元来の主張・立場を実効化する以外にないということで、志位氏指摘の行動に出るようになったというのが実情です。この中国の行動を「覇権主義」と断じる志位氏の主張には、私は正直「開いた口が塞がらない」思いです。
 南シナ海における中国の行動に関してまず踏まえるべき事実関係は、いわゆる九段線に関する法律問題はさておいて、九段線内の島嶼に対する中国の主権に関しては広く国際的に承認されてきたという事実です(私たち日本人が銘記すべき事実は、1952年の日華平和条約において、日本軍が占領したこれら島嶼に対する権利を放棄したことを「確認」したことです)。ヴェトナム以下の沿岸諸国がこれらの島嶼に対する領有権を主張しはじめたのは、南シナ海に豊富な石油・天然ガス資源が埋蔵されているというECAFEの報告が出た1970年代以後のことです。当時の中国は文化大革命の混乱のさなかにあり、ヴェトナム等の行動をチェックする余裕も能力もなかったのです。
 改革開放に乗り出して大いに国力・軍事力を増した中国がこれら島嶼に対する領有権を確かなものにするための行動をとることについて、国際法上難癖をつけることはできません。それは、安倍政権が先島諸島自衛隊を配備することと法律的にはなんの違いもありません。もう一つ付け加えるならば、中国の台頭を何かにつけて牽制するアメリカの動きに中国はますます警戒を強めていることです。仮に中国が今のような実力を備えていなかったならば、アメリカはもっと傍若無人な行動に出ているに違いありません。
 以上の事実関係を踏まえるものであれば、南シナ海における中国の行動を「覇権主義」と断じることはまったく誤りであることは明々白々です。
 第三点の「国際会議の民主的運営を踏みにじる横暴なふるまい」に関して志位氏が挙げているのは、2016年のアジア政党国際会議における「宣言起草委員会が全員一致で確認した内容を最後になって一方的に覆すという覇権主義的行動を取ったこと」です。私はこの点については何も知らないので、志位氏の指摘する事実関係はあったのだろうと思います。しかし、この一点だけをもって「国際会議の民主的運営を踏みにじる横暴なふるまい」という全体的判断の根拠とすることには、私は到底ついていけません。なぜならば、中国は多くの国際会議でアメリカの覇権主義と真っ向から立ち向かい、国の大小、強弱、貧富の差異に関係のない民主的な国際関係のあり方を唱道し、実践していることは紛れもない事実だからです。いわゆる習近平外交の基本原則の一つが民主的な国際関係の実現を目指すことにあることも確認しておくべきです。
 第四点の「人権問題が深刻化している」点に関して志位氏が挙げているのは本年6月以来の香港事態と最近のウイグル事態です。まず指摘しておく必要があるのは、志位氏自身が「私たちは、中国(中略)を評価する場合に、(中略)これらの国々が現実にとっている対外路線を分析して判断するしかありません」と指摘している事実です。香港にしてもウイグル自治区にしても中国の内政問題であって、対外路線の問題ではありません。志位氏が「人権問題の深刻化」云々に言及すること自体がおかしいと思います。
 志位氏は「21世紀の世界においては、人権を擁護し発展させることは、単なる国内問題ではなく「国際的な課題となっている」という立場から、香港及びウイグルを取り上げているのでしょう。私もそういう「立場」に対して異議があるわけではありません。しかし、「国際的な課題になっている」ことと、「他国の人権問題に対して口を挟む」こととは同義ではありません。21世紀の今日においてもその点は変わっていません。アメリカ及び欧州諸国が発展途上諸国における人権問題に対して「上から目線」で干渉することに対して、私たちはこれを「大国主義」「覇権主義」と批判します。志位氏の発言と米欧諸国の横柄さとを隔てる一線は果たしてあるのでしょうか。
 もう一つ重要なことは、中国における人権状況に関しても総合的、全面的に見るべきであるし、中国の人権に関する基本的立場も踏まえた上で議論する必要があるということです。ここでも詳細に立ち入る余裕はありませんが、私たちとしては最低限、中国外交部が本年出した「中国人権白書」の内容は踏まえておく必要があることを指摘しておきたいと思います。
 また、志位氏は香港及びウイグル自治区に関する日本を含む西側メディアの報道を「鵜呑み」にしている印象を受けますが、それは正しくも(ボーガス注:なければ)客観的でもありません。日本共産党中国共産党と仲違いしたわけではない(と私は理解しています)ですから独自に調査を行うことは可能なはずですし、西側報道だけに頼るのは「手抜き」というほかありません。香港についてはデモ参加者が過激な行動に走っていることは事実です(そのために香港経済は失速している)し、ウイグル族の中に「イスラム国」戦闘員となっている者が少なくなく、中国は他の中央アジア諸国(やはり「イスラム国」戦闘員になっている者が多い)と同じく、ウイグル自治区の治安確保を重視しているという重要な事実もあります。志位氏がそういう広く認められている事実について何ら言及しないまま、「人権問題の深刻化」を云々するのは明らかに恣意的すぎます。
 最後に私は、21世紀における日中関係の今後のあり方如何は国際関係全体を左右する重要な要素であることを強調しておきます。その重要性を踏まえる者であるならば、今日の日中関係の現実が主に日本側(政府及び国民全体)の偏見に満ちた対中認識によって本来あるべき姿からかけ離れた状態にあることに深刻な問題意識を持つべきです。日本における対中認識を正すべく努力することは責任ある政党の最重要課題の一つであるべきです。そういう問題意識を持つ者としては、今回の綱領改定に関わる日本共産党の対中国認識には暗然とさせられます。安倍・自民党政権を退陣に追い込み、広範な連合政府を樹立する上では、日中関係の根本的改善を重要な政策課題の一つとするべきです。広範な連合政府樹立を唱道する日本共産党が中国に対する「むき出しの敵意」(としか私には受け止められない)をあらわにし、あまつさえ綱領改定の柱とすることには重大な問題があります。「蚊帳の外にいる」自らの無力さを自覚した上であえて問題提起するゆえんです。

*1:あくまで一時期であって最終的には蒋介石政権も反攻は諦めましたが

*2:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣通産相などを経て首相