黒坂真に突っ込む(2020年9月19日分)

黒坂真
 日本共産党本部の皆さん。今日の日本共産党としては、(ボーガス注:中越戦争時の)人民解放軍による赤旗記者射殺は国際法上合法だった、という見解なのでしょうか。

志位和夫
 今また中国習近平主席の来日招請が問題になっていますので、7月9日の会見での表明を再録させていただきます。
 日本政府に求められているのは、「国際法にのっとって言うべきことをきちんと言う」外交です。
https://twitter.com/shiikazuo/status/1281154126131298304
・日本政府は、中国主席の来日招請をやめるべきだ。中国が、香港、東・南シナ海で行っている暴挙について、国際的批判に耳を傾けるという姿勢が全くないもとで、訪日が実現しても前向きの結果が出るとは到底考えられない。逆に、中国の数々の無法な行為を容認してしまう結果になりかねない。
中国主席の訪日招請「やめるべきだ」/志位委員長が表明
 日本共産党志位和夫委員長は9日、国会内での記者会見で、香港の民衆を弾圧する「国家安全維持法」の制定や東シナ海南シナ海での力による現状変更の動きなど中国による暴挙を示し、安倍晋三首相が習近平中国国家主席に対して行っている訪日の招請について「やめるべきだ」と表明しました。
 志位氏は、香港に対する中国の弾圧は「『一国二制度』という国際公約を乱暴に壊す、本当に無法な暴挙というほかない」と批判。東・南両シナ海での力による現状変更の動きもエスカレートしているとして、「それらを中国政府が反省し見直そうという動きは全くない。他国の批判に耳を傾けるということも全くない。そういう現状で、習主席の訪日を招請し、仮に訪日が実現したとしても、それで前向きの結果が出るとは到底考えられない」と強調しました。
 さらに志位氏は「訪日によって、いまの中国指導部の数々の国際的な無法な行為を事実上容認してしまう結果になるという大きな危惧がある」と指摘しました。

 「いつそんな見解を共産党が発表したんだ?」て話ですよねえ。かつ「しつこく非難しないから日本共産党は合法と認定した」という黒坂の暴論なら「シベリア抑留を日本政府はそれほど非難しないから合法と認定した」「ミャンマー軍によるフリージャーナリスト長井健司氏の射殺を日本政府はそれほど非難せず、犯人処罰や引き渡しも求めてないから合法と(以下略)」ということにもなりかねないでしょう(一応「日本政府の名誉のため」に断っておけばどちらも合法などとは日本政府はさすがに認定していません)。
 当たり前ですが「様々な事情からあえて批判を控えること」は当然あり得ます。
 日本共産党について言えば「文革では色々と申し訳ないことをした」という中国のわびに「高野記者の件も含まれてる」と解釈したということでしょう。
 正直、殺害については「犯人処罰と明確な謝罪」を求めたいところですが、「その実現可能性が高くない」ところ、それにこだわって日中両党関係を「完全に断絶のままでいい」と思う人もあまり居ないでしょう。
 あるいはシベリア抑留について言えば、日本政府が下手にロシア非難なんかすれば遺骨の回収が遅れる恐れがあるわけです(ただし長井氏の射殺については日本政府は「日本企業のミャンマーでのビジネスを重視」「企業所属では無いフリーカメラマンの人権を軽視」して抗議を控えただけであって正当な理由があるとは思えませんが)。
 志位氏のツイートにしても「日本政府は、国賓として訪日を受け入れた場合、きちんと訪日した習氏を批判しなければ香港などの現状を日本が正当な物と評価した、中国側を全面支持したと中国側に宣伝されかねない。批判する覚悟が無いなら国賓訪日は辞めるべきだ」というものであって、「国賓訪日として受け入れることそれ自体=中国の香港などでの行為を合法なものと日本政府が認定したこと」とは見てないので「その志位理論ならば、高野記者殺害を日本共産党は合法と見なしたことになる」などという黒坂の詭弁は成立しません。志位氏が問題にしているのは「日本政府の行為が中国や国際社会にどう理解されるか」という「日本政府の主観からは離れた」客観的な政治的効果の問題だからです。
 しかし島田洋一櫻井よしこですらここまで無茶苦茶では無いですね。黒坂のキチガイ振りは完全に常軌を逸しています。
 それにしても黒坂は志位氏に因縁を付ける前に、志位氏の言う「国賓訪問は辞めるべきだ」について「私も同感だ」なのか、「いや国賓訪問で問題ない」と思うのか自分の意見を言ったらどうなのか。
 「私も志位氏の言うとおり、国賓訪問に反対だ」といって志位氏に賛意を示すのも反共ウヨ、自民信者として嫌だが、一方で「国賓訪問で問題ない」といって反中国ウヨ連中に非難されるも嫌だと言うことなのでしょうがそんなことなら、志位氏にくだらない言いがかりを付けずに黙っていればいい。
 まあ、それはともかく、俺の意見を言えば

リベラル21 対中国外交はまるごとアメリカ追従で良いか阿部治平
 ところで、自民党習近平主席が年内に国賓として訪日するのに反対して、その旨を政府に申し入れた。
 だが、もし政府が自民党国会議員の意向にそって、日本側から習近平訪日を断ったとき、それがどのくらい相手側を侮辱し体面を傷つけたことになるか、そしてそれがどのくらい深刻な影響を日中関係に与えるかわかっているだろうか。
 早い話が経済だ。中国との安定した関係なしに日本経済を考えることはできない。日本にとって中国は最大の貿易相手国で、対中貿易は総額の20%を占める
 しかも中国に拠点を置く日系企業は他のどの国よりも多い。だから相手がどんなに専制国家であろうが、また覇権国家*1であろうが、おいそれとはこの密接な関係を解消することはできない。

という阿部治平と同意見で、新型コロナの問題が終息する限りにおいてですが「国賓訪問を行うべきだ」と思っています(以前も書きましたがアンチ中国の阿部がこの意見とは意外でした)。
 俺の立場においては新型コロナはともかく「領土問題」や「人権問題(香港、ウイグルチベット、その他、何でアレ)」は国賓訪日中止の理由にはなり得ません。
 もちろん「領土問題」や「人権問題」を理由とした訪問(国賓訪問に限らない訪問一般のこと)それ自体の撤回など論外です。この件では残念ながら、日本共産党支持者の俺は、志位氏には賛同できません(ただしそれでも相対的には一番まともだと思うので今後も日本共産党支持ですが)。
 また香港デモの件はともかく、東シナ海南シナ海については志位氏の言う「中国の暴挙」という物言いそれ自体に賛同できません。
 浅井基文氏なども指摘するように領土問題において、「中国の暴挙」呼ばわりすることは中国と対立する国の主張を全面支持していると受け取られかねません。しかし多くの場合領土問題とはもっと複雑な話でしょう。解決方法も「足して2で割る」ような解決法も珍しくありません。

黒坂真リツイート
 カクサン部長さん。日本共産党は、何らかの犯罪行為をしている疑いがある企業に、政府が気軽に業務停止命令を出せるように法改正すべきと考えていますか。

https://twitter.com/kakusanbuchoo/status/1307104585698418690
カクサン部長
 ジャパンライフの巨額詐欺事件で、一国の首相が広告塔になって被害を拡大させた事件。
〝たまたま写真が使われた〟なんてもんじゃない。政権が意図的に詐欺商法に加担した疑いがある。
行政処分を先延ばしにしたことが〝最後の荒稼ぎ〟を可能にした、と共産党・大門議員。

 あの産経ですら、ジャパンライフ会長の「桜を見る会」出席については

【主張】巨大詐欺事件 「桜を見る会」の再調査を - 産経ニュース
 山口容疑者は平成27年に安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」に招待され、この際の招待状を勧誘セミナーの宣伝に利用していたことが分かっている。いわば詐欺の小道具に使われたことになり、招待の経緯について詳細な説明が求められるのは当然である。
 加藤勝信官房長官は18日の会見で「桜を見る会」への招待問題について、「過去の会合では名簿が保存されておらず、招待者推薦は個人情報であることから回答を控えている」などとして再調査に否定的な考えを示した。
 だが、これは多数の被害者が巨額を失った詐欺事件である。「首相から招待」の宣伝文句が被害者を信用させる役目を果たしたことは想像に難くない。名簿の消失や個人情報は言い訳になるまい。
 例えば同様の事件で、広告塔役を務めたタレントは強く指弾されるだろう。詐欺の意図を知る、知らぬにかかわらずだ。

であることを考えれば黒坂の態度は「異常の極み」ですね。
 そもそも「ジャパンライフの違法行為への行政処分」は「何らかの犯罪行為をしている疑いがある企業に、政府が気軽に業務停止命令を出せるように法改正すべき」なんてもんじゃないでしょうよ。どんだけジャパンライフに甘いのか。
 そして「疑惑だけでは処分はできない*2」という黒坂の強弁を認めるにしても、それは「処分が遅れたこと」の言い訳にはなり得ても、「桜を見る会に招待して詐欺を助長したこと」の言い訳にはなりません。

*1:専制国家呼ばわり=一党独裁だから』はまあいいとしても覇権国家と呼べるんですかね?。阿部の覇権国家の定義は何なのか?。「アフガンやイラクで軍事展開する米国」「シリアで軍事展開するロシア」と違い、海外で軍事力行使をしているわけでも無い中国は覇権国家とは呼べないかと個人的には思います。

*2:と言う黒坂が「特定失踪者」などという怪しい代物を理由に北朝鮮を非難することは全くもってデタラメの極みです。