今日の産経ニュースほか(2019年11月8日分)

東京新聞:元稲沢市議無期 理欠く中国の「法治」:社説・コラム(TOKYO Web)

 中国での覚醒剤事件で死刑を含む厳刑を求刑された元愛知県稲沢市議に無期懲役が言い渡された。不当な判決であり、重大な人権侵害や公判の不透明性など、理を欠く中国法治の問題が露呈した。
 広州市中級人民法院(地裁)は八日、麻薬密輸罪で元稲沢市議の桜木琢磨被告(76)に無期懲役を言い渡した。
 公判での検察の有罪立証は不十分であり、不当な判決である。弁護人によると、中国の裁判でも「疑わしきは被告人の利益に」との原則があるという。そうであるなら、裁判所は無罪判決を出すべきだった。

 「そこまで言い切るか?」ですね。まあ小生は裁判内容の詳細を知りませんのでコメントは控えますが「日本マスコミに蔓延する反中国しぐさ」を考えると「東京新聞には中国に対する偏見がありはしないか?」と言う疑念は感じます。
 なお、ここまで中国司法に悪口しながら安倍政権や外務省に「無罪と思われる被告人の釈放に向けて全力で動け」と言わないのは何なんでしょうか?。「中国に悪口は言えても」そんなに安倍や外務省が怖いのか?。もしそうなら東京新聞も哀れで無様な新聞です。


現行憲法は「占領基本法」だと再確認を 髙池勝彦(弁護士) « 国基研ろんだん 国基研ろんだん « 公益財団法人 国家基本問題研究所

 私は本欄でも何度か主張してきたやうに、安倍さんの加憲案*1に反対であるが、某自民党有力議員のやうに、憲法改正の動きに水を差すために反対してゐるのではない。

 いろいろな意味で吹き出しました。
 第一に「俺の加憲案反対は安倍さんのためにする善意のものだが、某議員の反対は妨害行為だ」と決めつける根拠は何なのか。安倍からすれば「俺に反対してることには変わりねえだろ」でしょう。
 第二に「某議員」が石破*2をさす事は「一定の予備知識(石破が加憲論を批判してる、安倍シンパ右翼が異常なまでに石破を嫌ってるなど)があれば」明白ですが名前ぐらい出したらどうなのか。予備知識のない人間には「某議員って誰?」ですし、予備知識のある人間は「石破なんか名前も出したくないとは安倍信者は実にキチガイだな」と呆れるだけです。

 最近安倍さんは、自分の案に固執するつもりはなく、対案があつたらどんどん出してほしいと言つてをられることに敬意を表するものである。
 そこで、野党が憲法の全面改正を主張したらどうかと思ふ。

 何で改正の必要性はないとしている野党がそんなことをしなければいけないのか。

 やゝ古いが、10月10日付産経新聞の「正論」欄に掲載された、村田晃嗣*3同志社大学教授の「21世紀の『闘技場』生き抜くには」の一節に私は大きな違和感を抱いた。
 日韓関係について述べるにあたつて、村田教授は、韓国は日韓基本条約締結時、軍事政権下にあつたから「不本意な条約を強いられたと信ずる韓国人は少なくない。占領下で米国に不本意憲法を押し付けられたという、日本の一部の議論と似ていよう」と述べてゐる。

 別に村田は「そうした韓国の主張に賛同する」とはしていないわけですが、それはともかく。この村田の「GHQ統治下での憲法制定なんか無効とかいっても仕方がないし、その理屈なら朴チョンヒ独裁下の日韓条約不平等条約と言われても文句言えないと思うけどウヨ的にそれでいいの?」と言う批判に「それとこれとは違う!」「『GHQ統治下での憲法制定なんか無効』と『朴チョンヒ独裁下での日韓条約は有効』は矛盾しない」と憤激する高池です。
 ちなみにご存じの方もいるでしょうが「GHQ統治下での憲法制定なんか無効、つうなら武力で脅して結ばせた韓国併合条約も無効なんじゃねえの?」つう批判もありますね。まあこれについてもウヨ連中は「『GHQ統治下での憲法制定なんか無効』と『韓国併合条約は有効』は矛盾しない」と反論(?)しますが。

 明治憲法は、当時としては極めて進歩的な憲法であり、美濃部達吉教授や、宮沢俊義教授も(ボーガス注:敗戦直後は)改正の必要がないといつてゐた*4くらゐである。私も明治憲法と現行憲法とを比較しても大局的にはそれほど大きな違ひはないと考へてゐるが、現行憲法の9条や前文については別だ。
 9条が軍隊の保持を認めてゐるかだうかといふことであれば、私は認めてゐるとの解釈を取る。しかし改正するとなれば第2項を削除するのが筋であり、安倍首相の加憲案には異論がある。
 首相の加憲案は、第2項をそのままに、自衛隊憲法上、単に「自衛隊」と明記するといふことのやうだが、それは逆に、自衛隊が現行憲法上、軍隊ではないと認めることにもなりかねない。
 これでは、憲法上認められた自衛隊の行動について、憲法違反かどうかといふ議論を延々と繰り返すことになる。
 また、私は、現行憲法の前文は削除すべきであると考へてゐる。

 「はあ?」ですね。
 「天皇主権の明治憲法と、国民主権の現行憲法天皇は政治権限のない象徴)」「国家神道明治憲法と、政教分離の現行憲法」「知事任命制の明治憲法と知事公選制の現行憲法」「違憲立法審査権のない明治憲法と、ある現行憲法」のどこが「9条や前文を除けば、大局的にはそれほど大きな違ひはない」のか。


【正論】共産主義を批判する欧州の動き 評論家、拓殖大学大学院客員教授・江崎道朗 - 産経ニュース
 仮にそんな動きが欧州にあるとしても、それは江崎のようなトンデモウヨの「コミンテルン陰謀論」などの反共与太を正当化する物ではないので、ここでの江崎の駄文はくだらない限りです。そもそも「ソ連の犯罪」を批判するような人間は江崎のような反共ウヨを除けば「戦前日本の戦争犯罪」だって批判するわけです。


日韓首脳対話 無断で撮影 韓国が周到に準備、不意打ち(1/2ページ) - 産経ニュース
 まあ、くだらない言いがかりですね。「無断で撮影」と言うなら隠し撮りでもしたというのか。
 しかしそんなことは産経は書いていませんし、

 複数の日韓外交筋は、撮影した人物を「韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長」と証言する

と言うのではどう考えても隠し撮りではないでしょう。隠し撮りなら証言のしようがないでしょうから。かつ「国家安全保障室長」とは閣僚級の人物であり「事務方ならともかく」そんな人間が隠し撮りをするというのも変な話です。
 つまりは
1)韓国側が会談風景を撮影して、公開したいと依頼したことを、安倍側が深い考えもなくOK
2)しかし公開された写真を見て「韓国にへつらうのか!」と憤激した産経などウヨ支持層に慌てて無茶苦茶な言い訳をしている
と言うだけの話でしょう。まさかこんなことで「確かに日本政府が撮影を了解したという証拠を残したいのでこの同意書にサインして下さい」などと「日本は嘘つきだから証拠を残したい」なんて無礼なことを韓国側もしないでしょうから水掛け論の訳です。まあ、韓国側も安倍が「産経などウヨ支持層相手限定」とはいえ、「撮影に同意したこと」を後日否定するほど、馬鹿でくずだと思ってなかったでしょうし。
 それにしても「特に合意には至らなかった」「社交辞令的な会談」と言い訳しながらも安倍側が会談それ自体を「会談するべきでなかった、申し訳ない」などとはウヨ支持層に言わない辺りが興味深い。


香港抗議現場付近で学生転落死 若者ら反発強める (1/2ページ) - 産経ニュース

 学生は4日未明、新界地区の住宅街にある立体駐車場の3階から2階に転落。頭を強く打ち、8日、搬送先の病院で死亡した。
 学生がどのような状況で転落したかは不明。ただ、警官隊は当時、市民らを排除するため立体駐車場に向けて催涙弾を撃っており、「学生は催涙弾から逃れようとして転落したのでは」との見方が浮上した。
 警察は「催涙弾を撃った場所は現場から120メートル離れている」と釈明したが、警察が救急活動を妨げたとの証言もあり、「学生は警察の暴力によって死亡した」と信じる若者が多い。
 背景には、警察の過剰な制圧行為への反発があるほか、最近、若者たちの不審死が社会問題化している事情がある。
 9月下旬、新界地区の海で水死体で発見された女子専門学校生(15)のケースもその1つ。
 香港メディアによると、女性は全裸だったが、警察当局は「遺体に外傷はなく事件性はない」と判断、自殺と見てすぐに火葬された。しかし友人らは「彼女は泳ぐのが得意だった」として自殺を疑問視した。
 7日、抗議活動に参加した女性(20)は「全裸で見つかったのに事件性がないとは…。警察は信用できない」と話していた。
 香港のネットメディアによると、デモが本格化した6月以降、入水自殺や飛び降り自殺として処理される若者の遺体が増えているという。真偽は不明だが、それを信じる市民は多い。

 まあ産経記事が事実なら運動がよくない方向に向かってるようにしか見えませんね。
 決定的根拠もないのに「警察の虐待死」呼ばわりするのは明らかに適切ではない。
 「言葉を選ばずに言えば」展望のない運動を「無能で無責任な人間」が「勢いでやって、引き返せなくなった典型的パターン」のようにすら見えます。

*1:改憲の言葉を嫌う公明党への配慮」ですが、改憲であることに変わりはありません。

*2:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*3:著書『大統領の挫折:カーター政権の在韓米軍撤退政策』(1998年、有斐閣)、『米国初代国防長官フォレスタル』(1999年、中公新書)、『アメリカ外交』(2005年、講談社現代新書)、『プレイバック1980年代』(2006年、文春新書)、『レーガン』(2011年、中公新書)、『銀幕の大統領ロナルド・レーガン』(2018年、有斐閣)、『大統領とハリウッド』(2019年、中公新書)など

*4:さすがにその後、宮沢の考えは変わるわけですが。