◆黒坂ツイートにコメント
黒坂真がリツイート
石川康宏先生。私はアイヌという民族が存在していたという主張には無理があると考えます。統一した言葉*1がない。文化や風俗の共通性、共通の社会的組織はあまりなかった。古代から中世までさかのぼれば、アイヌらしき風俗を持った人々はいましたが。混住*2していたので、先住民族とは言えない。
◆石川康宏
ゼミの後は「アイヌ文化」の学科講演会。テーマは「今を生きるアイヌ民族の学びと伝え合い」。ご自身の体験を軸にアイヌの文化と歴史を語られる。最後は、民族衣装も身につけてムックリの演奏。来年度の科目「アイヌ民族」の担当者チームで懇親会
卒論2稿の返却開始、ゼミの後は「アイヌ文化」の学科講演会 - はげしく学び はげしく遊ぶ-石川康宏研究室
色々な意味で呆れて二の句が継げませんね。
先ず第一に「アイヌという先住民族が存在した」は何も石川氏の個人的見解ではなく、「アイヌ研究者の学術的研究成果」に基づく「日本の常識」です。
その常識に従い
・中曽根*3首相の単一民族発言がアイヌ運動団体に批判され、中曽根も「アイヌ差別の意図はなかった」と釈明
・アイヌ新法が今年、政府によって法案提出され、「維新の会など一部極右政治家を除き」ほぼ全会一致(自民、公明、立民、国民民主、共産、社民が賛成)で成立
・来年4月から国立アイヌ民族博物館が北海道に開館
・手塚治虫「シュマリ」(ビッグコミック(小学館)1974年6月号から1976年4月号まで連載)、野田サトル「ゴールデンカムイ」(週刊ヤングジャンプ(集英社)2014年38号から連載中。2018年にテレビアニメ化され東京MXテレビ、BS11などで放送)など、アイヌ社会を描いたマンガは当然、アイヌを先住民族として描いている
などの「事実がある」わけです。
アイヌ新法で分かるように安倍政権ですら「アイヌは先住民族」という立場です。今時それを否定するのは「黒坂や日本会議」のような一部の非常識極右でしかない。
第二になぜ石川氏に絡むのか。
石川氏の専門は経済学であり、アイヌ研究ではない。石川氏も関わって行われた大学主催の講演会も「藤戸裕子氏なるアイヌ女性の講演」というだけの内容です。
この程度で因縁を付けたあげく、その因縁が「アイヌは先住民族ではない」。繰り返しますが呆れて二の句が継げません。
アイヌ民族に対する明らかなデマ中傷であり「大阪経済大(黒坂の所属大学)は黒坂のこの差別暴言に対して何の処分や注意もしないでいいのか」というレベルの暴言です。
しかしわけがわからないのですが「アイヌの先住民族性」を否定して何かいいことがあるのか。
「アイヌは先住民族でないから特別な対応など不要*4」「明治政府はアイヌを同化などしていない」「アイヌ差別など日本には過去一度も無い」「アイヌ新法は不合理なアイヌ特権」とでもいいたいのか。そんなことをいっても「じゃあ何でアイヌ新法が出来たんだよ?」「お前そもそもアイヌ研究の専門家じゃねえだろ?」などと言われ自分の信頼性が落ち、軽蔑されるだけだとは思わないのか。
そんな人間が「中国のウイグル、チベット統治ガー」といっても「日本のアイヌ統治は問題なくて、中国のチベット統治は問題なのか?。よくそんな恥知らずな主張が出来るな。お前、ただの反共、反中国の右翼だろ。」と馬鹿にされ説得力が無いことも分からないのか。
なお「自治区」をつくってることで分かるように、さすがに中国は「ウイグルやチベットの先住民族性は認めています」。
「自治区主席」などウイグルやチベットの自治区政府高官もいる。
残念ながら自治区トップの党書記*5は『ウイグル自治区初代党書記セイプディン・エズィズィ*6』などを除き、漢民族ばかりが就任しており、その点が「実権は漢民族が握ってる」などと批判されるところではありますが。
有名なプンワン(プンツォク・ワンギャル:1922~2014年)に至っては「中央民族委員会副主任」という中央の役職にまで就いています。
中国の方が「建前だけで実質はかなり違う*7」としても「チベット、ウイグルの先住民族性を認めてるだけ」、「アイヌの先住民族性を否定する」黒坂らよりはずっとマシでしょう。
参考
【11・12月号】アイヌ民族を学ぶ機会 12月に講演会開催 | 神戸女学院大学K.C.Press
総合文化学科が主催する講演会「今を生きるアイヌ民族の学びと伝え合い」が12月17日の5限目、文学館Lー28教室で行われる。アイヌにルーツを持ち大阪で暮らす藤戸裕子さんを講師に招き、食べ物や衣服、音楽といったアイヌの文化や歴史を紹介する。
発案した石川康宏教授(総合文化学科)は大学でアイヌ民族について学ぶ機会が少ないことを懸念する。講演会を通して「アイヌ民族が差別など多くの苦労を余儀なくされてきたこと、豊かな文化や歴史をもっていることを知ってほしい」と学生の参加を呼び掛けた。
同学科は来年度の科目「プロジェクト」にアイヌ民族について学ぶコースを設ける予定。フィールドワークによる体験的な学びが特長で、夏には北海道を訪れる。全学科の2年生以上が受講できる。
アイヌ民族は日本が近代国家に移行する中で、同意なく日本国民に組み込まれた。その後の「同化政策」のため、親から子への文化の継承や発展が困難になった。
今年5月に施行されたアイヌ施策推進法(アイヌ新法)で初めて法的に先住民族として認められた今、先住民族としての権利をどのように保障するのかが大きな課題となっている。
*1:いわゆるアイヌ民族全体に「言語などの文化」について全く共通性、統一性がないと言うことはないでしょうね(小生も無知なので知りませんが)。「大阪弁と博多弁は違う」のような、その程度の違いはあるのでしょうが。まあ仮に「共通性、統一性がない」にしてもそれは「アイヌ民族」でくくるべきではなく「ホニャララ族」「チョメチョメ族」などに細かくわけて先住民族として扱うべきだという話にしかなりませんが。
*2:混住が事実だとしてもそれは先住民族性の否定には全くなりません。
*3:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相、自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相
*4:そもそもアイヌは先住民族ですが、たとえば「先住民族でない被差別部落民」でも「差別が認定され、特別な経済支援が過去にされてる」ので先住民族性と「特別な対応の必要性」は何一つ直結してはいません。
*5:自治区主席(政府トップ)ではなく党書記(党トップ)が自治区のトップです。
*6:1915~2003年。1944年に東トルキスタン共和国が樹立されると、教育庁長に就任。1946年に、東トルキスタン共和国政権と中国国民党系の新疆省政府が合同し、新疆省連合政府が発足すると、引き続き、教育庁長を務めた。1947年に、省政府主席張治中の辞任を契機に、新疆連合政府が崩壊すると、旧東トルキスタン共和国派の一員として、新たな政権を継続した。国共内戦の終結後、中国共産党政権への合流を表明し、1949年9月に政治協商会議に出席、政協委員に選出された。また同月に中国共産党に入党した。中国では、ウイグル族を代表する政治指導者として位置づけられ、1949年12月に新疆省政府副主席、新疆軍区副指令員、1951年には中国共産党民族部部長、統一戦線部部長、新疆省幹部学校校長、中ソ友好協会副会長に任命された。1955年に新疆ウイグル自治区が成立すると、初代自治区政府主席、自治区共産党委員会書記となった。その他、中国共産党中央政治局候補委員(第10期、第11期)、全国人民代表大会常務委員会副委員長(第1期 - 第7期)、中国人民政治協商会議全国委員会副主席(第8期)などの要職を歴任した(ウィキペディア『セイプディン・エズィズィ』参照)。