島田洋一に突っ込む(2020年6月7日分)

島田洋一のツイート

島田洋一
「ご両親には気の毒だが横田めぐみさんは亡くなっていると思う」などと何の根拠もなく口にする人が政治家や政府高官、評論家に少なからずいる。残念ながら、外務省出身の評論家中最優秀だった故岡崎久彦*1もその1人だった。信用を失うにはたった一言で足りる、の一例である。

 「生きているのに、その存在を隠す」「しかしめぐみさん拉致の事実は認め、娘ウンギョンさんの存在も認める」なんて不自然な話があるわけがないでしょう。残念ながら「死んでいる」とみるのが合理的です。
 それにしても「田中均氏」「田原総一朗氏」「蓮池透氏」「和田春樹氏」などならそうした話も意外ではありませんが、「ウヨの岡崎久彦」ですらその点では常識があったようです。しかし、岡崎が2014年に死んでから大分時間が経つのに「島田はどんだけ根に持ってるんだよ?」て話です。

島田洋一
 拉致の未解決は「安倍のせい」ではなく日本が生存に不可欠な牙まで抜かれたまま*2であることの象徴だ。日露戦争を戦った頃の日本なら朝鮮に拉致された同胞を放置するなどあり得なかったろう。

 こうして「九条改憲すれば拉致が解決する」とデマを飛ばす「救う会副会長」島田です。
 もちろん「憲法九条などないルーマニア拉致被害者(曽我夫妻の証言による。未だ帰国できず。既に病死したとみられる)」「拉致ではないが身柄拘束された、憲法九条などない米国のワームビア君」の一件で分かるように拉致と憲法九条は何一つ関係がない。
 ワームビア君の解放は外交交渉によるもので軍事力行使による物ではない。
 また改憲などしなくても
1)金丸訪朝で金丸氏*3は第18富士山丸船長、機関長を取り戻したし
2)小泉訪朝で小泉*4首相は5人の拉致被害者(蓮池夫妻、地村夫妻、曽我さん)を取り戻したわけです。
 九条など関係ないのに「改憲しないから拉致が解決しない」とデマを飛ばす人間が救う会副会長で拉致問題が解決するわけがないでしょう。
 なお、当たり前ですが「拉致の未解決は改憲できないから」という島田説*5に立ったところで、もちろん

拉致の未解決は「安倍のせい」

です。
 なぜなら、そのように本当に島田が認識してるのなら「政権が7年を超える長期政権*6になっても、いつまで経っても改憲案を国会に提出しない安倍」を「何故提出しない!。早く提出しろ!。九条改憲しないと拉致は解決しないんだ!。お前は拉致を解決する気がないのか!」と批判しないと筋が通らないからです。
 もちろん「野党が改憲に反対するから」などといったところでそれは安倍擁護にはなりません。
 「国会への改憲案提出」は野党が反対しようと、その結果、内閣支持率が落ちようと、選挙で安倍が敗北しようと、安倍が決断すれば出来ることです(もちろん俺個人は護憲派としてそんなことを希望していませんが)。
 どんな事情があるにせよ安倍が「改憲案を自分の判断で国会に出さなかった」以上、「拉致の未解決は改憲できないから」という島田説の立場でも

 拉致の未解決は安倍が国会に改憲案を出さないせい

であり当然、

 拉致の未解決は「安倍のせい」

です。
 ちなみにこの島田ツイートには「安倍さんが約束を守らなかったのは拉致解決だけじゃないですよね?。たとえば首相靖国参拝もしてませんよね?。それも『安倍首相のせいではない』んですか?」という趣旨のリツイートがついていて苦笑しました。

*1:サウジアラビア大使、タイ大使など歴任。著書『戦略的思考とは何か』(中公新書)、『日本外交の情報戦略』(PHP新書)、『小村寿太郎とその時代』、『重光・東郷とその時代』、『幣原喜重郎とその時代』、『陸奥宗光とその時代』、『吉田茂とその時代』(以上、PHP文庫)、『国家と情報』(文春文庫)など

*2:前後の文脈から憲法九条のことであることは明白です。

*3:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣副総理、自民党副総裁(宮沢総裁時代)を歴任

*4:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*5:もちろん既に指摘したように俺はそんな立場ではありませんが。

*6:安倍批判派として嘆かわしい限りです。