今日の朝鮮・韓国ニュース(2020年6月25日分)

リベラル21 私が出会った忘れ得ぬ人々(22)
 荻村伊智朗をネタにしながら「米中ピンポン外交のことしか書かない」「南北朝鮮合同チームについて何一つ触れない」という意味不明すぎるあほ記事です。なお、荻村については以前、「珍右翼が巣くう会」に突っ込む・番外編(3/13分:ミスター卓球・荻村伊智朗の巻)(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログで触れたことがあります。


「もう一度ウンギョンさんに会いたい…」横田滋さん“本当の願い”を封じたのは誰か | 文春オンライン
 記事の書き手は東京新聞編集委員

北朝鮮と中国:打算でつながる同盟国は衝突するか』(2012年、ちくま新書)
『女が動かす北朝鮮金王朝三代「大奥」秘録』(2016年、文春新書)
『父・金正日と私:金正男独占告白』(2016年、文春文庫)
朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか*1』(2017年、創元社
北朝鮮征伐!:中国がトランプと結んだ密約の正体』(2018年、宝島社)

などの著書がある五味洋治です。なお、以前から俺も指摘していますが「孫と会いたい」という横田滋の願いを封じたのは第一に「孫と会うな」といった家族会、救う会であり、第二にそんな救う会、家族会に同調した「横田滋の妻と息子」であり、第三にそんな反対派に結局、屈服した横田滋本人です。

 滋さんは講演会などで、しばしば日本政府や、支援団体である「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)の方針と違う発言をした。
 こういう発言は、なぜか報道されることはなかったが、いま考えると大切な内容を含んでいたと思える。いくつか紹介したい。
 私が記憶しているのは、冒頭に書いた2014年の神奈川での集会でのことだ。
 この年の5月、日本と北朝鮮が合意に達した。交渉の開催場所だったスウェーデンストックホルムにちなんで「ストックホルム合意」と呼ばれている。
 これによって、北朝鮮に残留している日本人妻や、失踪者が帰国する可能性が高まった。日本政府は、(ボーガス注:拉致被害者の全員帰国が最優先だとする救う会や家族会の影響で)拉致被害者の全員の帰国が先だと主張していたが、滋さんは「差別してはいけない。認定拉致被害者の優先帰国にこだわらず、帰国できる人から帰国させるべきだ」と語った。
 『めぐみへの遺言』(2012年、幻冬舎)に、滋さんの話した言葉が残っている。
「裁制制裁といっても全然解決していないし、制裁の強化をと救う会は主張するけれど、金正日が亡くなって(※死去したのは2011年12月、筆者注)(ボーガス注:ストックホルム合意で)今交渉のチャンスが巡ってきたんだから、強化するより緩めるべきです。今強化することは、交渉はしたくないという意思表示になるからすべきでない」(194P)。
制裁制裁ばかり言っていて、そのうち(ボーガス注:北朝鮮で行われる日本と北朝鮮のサッカーの試合観戦もするなと救う会や家族会が言い出すなど*2北朝鮮に関するいろいろなことも敵視するようになってきた。(中略)お互いに嫌がらせをやりだしたら、きりがない」(196p)
 滋さんは、めぐみさんの娘にあたるキム・ウンギョンさんと2014年にモンゴルで再会している。その後滋さんは「ウンギョンさんともう一度会いたい」と希望していたという。

 太字強調は俺がしました。仮に横田滋が「日本人妻の帰国が娘めぐみなど拉致被害者の帰国より先行しても構わない」「制裁を緩和した方が交渉が進んで拉致解決につながるのでは無いか」「北朝鮮でのサッカー観戦まで非難するのはおかしい」「面会に反対する人間がいるが、もう一度だけでもウンギョンに会いたい」と生前に主張していたとしても、そうした主張を蓮池透氏ほどには強烈にアピールできなかったのが、「優柔不断で腰抜け」横田滋と言う男の限界でした。結局、横田のこうした意見は家族会を除名された蓮池氏とは違い、「野党の安倍批判」ではなく、「石破や公明党の安倍批判」程度にしか世間には見られてない。最終的にはへたれるだろうと言うことです。石破は自民党を離党したりしないし、公明党も政権離脱など絶対にしない(それでも横田滋の方が、増元照明や有本明弘よりは何倍もまともであることは指摘しておきますが)。
 だからこそ彼は蓮池透と違い、家族会を除名されることも無かったし、彼の死後、妻子がためらいなく「北朝鮮への制裁強化」「めぐみと会えるまではウンギョンとは会わない」と語り、それが「父の遺志だ」とまでいうわけです。高世仁も、救う会もこうした横田滋発言を平然と故意に無視する。
 そしてその結果、彼は生前、孫に一度しか会えなかった(一回も会えないのよりはマシでしたが)。
 彼は優柔不断な上に、皮肉なことに「妻も子どもも、父であり、夫である彼の思いを平然と無視し、家族会、救う会べったり」でした。
 まるで「マンガ・ダメおやじ」の「父親をどこまでも馬鹿にする妻子」のような不幸な夫婦関係、親子関係でした。ダメおやじはフィクションだから、ギャグだからいい。あれが「リアルな世界」で再現されたら父親、夫は不幸でしかありません。
 まだ映画「ダメおやじ」の倍賞美津子三波伸介の関係なら良かったのですが(映画についてはたとえば三波伸介も、やはりシリアスな方向へもシフトしようという意思があったのだと思う(ご存命なら今月90歳) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)。
 まあ、「繰り返しますが」、「マンガ・ダメおやじ」の「父親をどこまでも馬鹿にする妻子」のような不幸な夫婦関係、親子関係だとは思いますが、蓮池氏のように「家族会、救う会との決別(それは弟・薫氏など肉親との決別は無かった蓮池氏の場合とは違い、横田滋にとって、妻や子どもとの決別も意味したでしょうが)」を決断すれば孫と会えたわけですから自業自得でしょう。俺は横田滋に同情はしません。
 横田滋は元日銀マンだそうですが、「半沢直樹のような民間銀行」ではなく日銀マンだからこそ「あんな優柔不断でも銀行員が務まったんだろうな」と失礼ながら思います。結局、日銀マンというのは「斬った張ったの世界じゃ無い」「いわゆる、親方日の丸」なんでしょう。
 それにしても「横田滋が死んでからこんな記事書いても遅いだろ!」とは思うものの、もちろん「絶対にこんな記事は書かない産経よりはずっとマシ」です。
 こうした記事が「右寄りのはず」の文春オンラインにのるとは、拉致を巡る状況も「救う会や家族会に批判的な良い方向に変わりつつある」と思いたい物です。
 書き手の五味も決して北朝鮮シンパなどではありません。むしろアンチ北朝鮮でしょう。五味が仕掛けた「金正男本」『父・金正日と私:金正男独占告白』(2016年、文春文庫)は誰が考えても北朝鮮の反感を買う代物であることは出版前からわかりきってるし「決定的な物的証拠は無い」「裁判では結局真相は明らかにならなかった」とはいえ、様々な状況証拠から見て、あの正男暗殺はどう見ても「正男の言動に激怒した北朝鮮諜報機関による暗殺」と見るべきでしょう。
 もちろんそうした激怒の理由の一つは「五味が仕掛けた正男本」であり、「五味の正男本」が無くても、暗殺は行われたかもしれませんが、五味の本が暗殺を助長したことは間違いないでしょう。
 五味と「五味のお仲間連中」はああだこうだ言い訳するのでしょうが、「暗殺を助長するような愚行」を金儲けのためにし、正男の命を守ることもしなかった五味、「五味本を出版した文春」、「五味を編集委員として厚遇する東京新聞」には「人間のくず連中」という不快感を禁じ得ません。
 まあ、この点はあんな本を出版しながら、ろくにボディーガードもつけずに、易々と殺された正男にも油断と甘さがあったのでしょうが。
 「俺は金正日の長男だ、何があろうと殺されることは無い」と言う油断です。
 そんな正男の油断に影響されて五味も「北朝鮮には何も出来やしない」と北朝鮮を舐めたところがあったのでは無いか。

*1:終戦協定が正式に結ばれてないので建前では朝鮮戦争終戦では無く「停戦」でしかありません。38度線も国境では無く、建前では停戦ラインにすぎない。

*2:この件については例えばなんでそんなことまであんたたちから指図されなければいけないんだよ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照