今日の中国ニュース(2020年7月4日分)

対中制裁に慎重な政府…効果と反作用にらむ 香港国家安全法 - 産経ニュース

 政府は天安門事件当時、中国への円借款を凍結する経済制裁を科したが、今回は同じように制裁を講じるのは容易ではない。中国の名目国内総生産(GDP)の規模は日本の約2・8倍(2018年)に膨らみ、日本にとって中国は最大の貿易相手国となったからだ。

 まあ、そういうことですね。なお、その円借款停止(宇野*1内閣)も海部*2内閣で解除され、宮沢*3内閣では天皇が訪中しました。


【田村秀男の経済正解】香港抑圧、チャイナリスク極まる - 産経ニュース

 1949年10月、深センまで攻め込んだ人民解放軍東江縦隊1万2千人に対し、毛の了承を得た周が香港への渡河をやめさせた。英国との合意で、中国は香港での貿易や金融で特別扱いされると保証されたからだ。(拙著「人民元・ドル・円」〈岩波新書〉参照)。以来、北京の香港に対する基本路線は「長期打算・充分利用」であり続けた。1970年代末、最高実力者のトウ小平は改革開放路線に踏み切り、外資を積極導入したが、外資の対中進出起点は香港だ。

 ということで昔の香港は経済的に重要でした。しかしけっきょく香港の中国における相対的地位の低下、利用価値の低下に話は尽きると思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)も指摘するように今はそこまでの重要性が無いからこそ、「香港国家安全維持法」制定に至ったわけです。


◆I濱Y子ブログ『真実和解委員会と断捨離』
 リンクを張ると怒り出す人なのでリンクはあえて張りません。

・54年前にたった家がさすがにガタがきたので建て替える。そのため、ここ数ヶ月間、抜本的な断捨離を行っている。
・面白いことに気づいた。(ボーガス注:断捨離は)真実和解委員会と似ていると(唐突だなw)。
・説明しよう。
 アパルトヘイト下では南アの白人治安維持機関は多くの黒人を令状なしで拉致し殺害したりしていた。そのような犯罪をアパルトヘイトが廃止された後どうするかという時、初の黒人南ア大統領マンデラは真実和解委員会をつくった。この委員会においては「個々の国家的犯罪を記録し、加害者は被害者や被害者の遺族に謝罪をし、加害者の罪を問わない」というものである。被害者は加害者をゆるす場合もゆるさない場合もあるが、後者の場合でも加害者の罪は許される*4(道義的な罪は残りつづけるけど)。被害者に許された場合、加害者はふっきれたように明るい顔になり被害者も憎しみから解放され、それは大きな感動をよぶ。もちろんその逆もある。
 真実和解委員会は「新しい国をつくるためには暗い過去をひきずることは得策ではない。しかし、忘れてはならないものもある。だから記録に残す」という精神である。

 で、そんなI濱先生に「チベット問題も真実和解委員会方式ではどうでしょう?」つうたらどんな反応が来るもんですかね。
 「一つの案としてあり得る」とでもいうのか「自分らは100パー正しいと主張してる中国はそのレベルでも認めない」とでもいうのか、はたまた「我々がそんなことでは納得できない、中国には深い恨みがある」とでもいうのか。
 まあ、マンデラの件で分かるように「真実追究」、「今後の平和的関係」とかを重視してあえて「刑事責任を追及しない」つうことはありうるでしょう。北朝鮮拉致なんかもそう言う判断(拉致被害者帰国が最優先)から小泉政権は「拉致被害者の拉致後の生活についての詳しい説明」「拉致責任者の処罰」だのは北朝鮮にあえて求めなかったわけです。
 そのことが「北朝鮮に甘い」と巣くう会や家族会が因縁を付けることとなり、それに政治的に抵抗できなかった小泉政権は拉致の解決も日朝国交正常化交渉も事実上諦めて放置してしまい「今の拉致敗戦」になりますが。

【参考:真実和解委員会】
時事解説: 弁護士マンデラのプラグマティズムと真実和解委員会 - ジェトロ・アジア経済研究所阿部利洋*5大谷大学教授)
赦すことはできるのか ~南ア 真実和解委員会の記録~ | BS世界のドキュメンタリー | NHK BS1

*1:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*2:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相を経て首相

*3:池田内閣経済企画庁長官

*4:というか和解を重視してあえて刑事責任を追及しない。

*5:著書『紛争後社会と向き合う:南アフリカ真実和解委員会』(2007年、京都大学学術出版会)、『真実委員会という選択:紛争後社会の再生のために』(2008年、岩波書店