高世仁に突っ込む(2020年7/9日分)(追記あり)

弾圧の法制化が急ピッチで進む香港 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 高世仁に突っ込む(2020年7/7日分) - bogus-simotukareのブログで紹介した「焚書坑儒」の時代になった香港 - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。
 高世は今後「反中国」をネタにして食っていくつもりなんですかね? 

 「香港国家安全維持法」(国安法)施行を受けて、香港政府は、法律の運用方針を決める「国家安全維持委員会」を設立し、6日、初めての会合を開いて捜査の手続きなどの具体的な規則を決定した。
 会合には、林鄭月娥行政長官らに加え、中国政府から派遣された同委員会顧問の駱恵寧(ボーガス注:中央政府駐香港連絡弁公室)主任も参加した。

 「国家安全維持委員会顧問」駱恵寧氏の経歴については駱恵寧 - Wikipediaを参照下さい。以前から「中央政府駐香港連絡弁公室主任(政府ポスト)」「中国共産党香港工作委員会書記(党ポスト)」として香港行政に関与していた御仁です。

・中国の警察が6日早朝、改革派として知られる清華大学教授の許章潤氏(57)を拘束した。
・中国は2018年3月に憲法を改正し、国家主席の任期を撤廃したが、許氏はこれを文革の極権政治の再来*1を思わせ、恐怖を呼び覚ますとして反対。1989年6月4日天安門事件に対する評価の見直しも訴え、19年、大学当局から停職処分を受けた。
 このときは日本の研究者ら70人が「許章潤教授(中国清華大学法学院・法哲学)の職務停止の撤回を求める声明」を出している。 

 「日本の研究者の声明」とやらについては
NEWS:明治大学 現代中国研究所
中国:「清華大教授の職務停止撤回を」 日本の学識者らが声明 - 毎日新聞(有料記事なので登録しないと途中までしか読めません)
中国教授の処分、日本の70人が撤回求める 習氏批判で:朝日新聞デジタル
“天安門”再評価求め…大学教授の処分に撤回求める
を紹介しておきます。

中国教授の処分、日本の70人が撤回求める 習氏批判で:朝日新聞デジタル
 呼びかけ人の鈴木賢*2・明大教授と阿古智子*3・東大准教授

ということで当然ではありますが主として「中国研究者」ということのようです。鈴木氏、阿古氏以外の面子についてはNEWS:明治大学 現代中国研究所で知ることが出来ます。

 習近平国賓で招くというふざけた方針の日本政府に、自民党がようやく中止要請の決議を出した。当然だ。
 ところが自民党の総意と取られぬよう、「党外交部会・外交調査会として」とするなど、表現を弱めたというから情けない。
 《自民党政調審議会は7日、中国が香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法」に対する非難決議を了承した。焦点だった習近平*4国家主席国賓訪日については「中止を要請する」から「党外交部会・外交調査会として中止を要請せざるを得ない」などに修正。中国と関係が深い二階俊博*5幹事長らが巻き返し、表現が弱まった》(朝日新聞

 高世も指摘していますが、「せざるを得ない」と表現が若干弱まっただけではなく「党外交部会・外交調査会として」ということで「党として」どころか「党政務調査会として」ですらない点も重要ですね。「言論の自由があるから外交部会・外交調査会がそういう決議をすることには反対しないが、政調会の一部会である外交部会・外交調査会が勝手に言ってるだけで党の総意どころか政調会の意見でも無い」ということにされたわけです。
 「二階氏が巻き返した」と言ったところで「党総裁である安倍*6首相」「岸田*7政調会長」が「二階氏を積極的に支持したのか、消極的に容認したのか」はともかく彼を容認、支持してる以上、二階氏一人を悪者に出来る話では無い。
 というか内心では「こんな決議は潰したい」と思ってるが党内外のウヨ勢力にびびってそうは言えない「安倍、岸田コンビ」に「俺が悪者になって決議を潰してやるから安心しろ」「安倍、岸田、あんたらは『二階が全て悪い』『でも幹事長をそう簡単に更迭なんかできない』と俺を悪者にすればいい」と二階氏が恩を着せたというのが事の真相でしょう。一帯一路参加もそうですが、先ずは二階氏が矢面に立ってから、安倍が親中国路線にシフトするわけです。
 安倍にとってもはや二階氏は「派閥ボス」と言う理由だけで無く別の理由でそう簡単に更迭なんかできない存在になってる。「中国関係で過去に恩義がある」というのもあるし、「二階氏がいなくなったら親中国派として矢面に立ってくれそうな人間が誰もいない(安倍が直接矢面に立つことになる)」つうのもある。「二階氏が公然と安倍に反旗でも翻さない限り」、二階氏が幹事長を辞任するにしてももはや「副総裁」「安倍内閣副総理」「党最高顧問」などのポストでそれなりに処遇せざるを得なくなっている。石破*8元幹事長のように政治的に干すなど到底出来る話では無い。 
 それにしても、高世には「おいおい」「お前はアホか(横山ホットブラザーズ風に)」ですね。隣国にして「日本にとって重要な貿易相手国・中国」のトップを国賓で呼ぶのは「日本の国益上」、当然の話です。それに反対する高世のような「反中国」の方が「日本の国益」毀損であり、非現実的でふざけています。高世が「国賓でなきゃ呼んでもいい」でも「どんな形でも呼ぶな」でもどっちであれ。
 大体「反民主的」「反人権的」なんてことを理由にしたら、日本に呼べるのは「先進経済諸国(G7など)の首脳だけ」でアジア、アフリカの発展途上国の首脳など全然呼べないことになるでしょう。それとも「中国の首脳だけは呼べない」という「変な結論」が高世や自民党ウヨ議員なのか。
 そもそも「人権」「民主主義」「法治主義」を口実にしていても、自民党の「中止要請決議の面子」は「日本会議系の反中国ウヨ議員(つまり彼らこそが反人権、反民主主義)」なのだからそんなもんは全く評価に値しません。高世もどこまでバカなのか。
 そもそも「そんなことが安倍や二階氏に出来るか」「そうすることが政治的に適切かどうか」はともかく「国賓として呼んだ上で香港問題については批判する」つう対応もあり得るわけです。「国賓として呼ばないこと」は高世や自民党ウヨ議員が言うほど「当然の行為」ではない。
 大体「モリカケ」「桜を見る会」「布マスク疑惑(ユースビオ疑惑)」「給付金疑惑(電通疑惑)」「河井夫婦の公選法違反(どう見ても安倍の指示による選挙資金1億5千万の投入が買収を助長したし、買収前提での資金投入の疑いも濃厚)」などという安倍の政治私物化を容認してる自民党ウヨ議員連中が人権だの民主主義だの法治だのふざけんな、安倍を引きずり下ろしてからそんなことは言え、て話です。
 ちなみに、

習主席国賓来日「大局的観点で推進すべきだ」 公明・山口代表 - 産経ニュース
 公明党山口那津男*9代表は7日、中国による香港への統制強化が進む中で、習近平国家主席国賓来日の中止を求める意見が自民党内で出ていることに対し、予定通り来日準備を進めるべきとの考えを示した。「歴史的、大局的な観点で(来日を)推進していくべきだ」と述べた。首相官邸で記者団に語った。
 山口氏は、国賓来日は「(日中の)首脳の往来を重ねて関係を強化していこうという流れの一環だ」と指摘。両国とも新型コロナウイルス対策にあたっている現状を踏まえ「具体的日程を調整できる状況にはない」としながらも、「来日が実現できるような環境を両国ともに努力し、前進を図るべきだ」と述べた。

ということで二階氏だけで無く公明党もこの決議には否定的です。
 また、

習氏国賓来日「いったん様子見を」 立民・福山幹事長 :日本経済新聞
 立憲民主党福山哲郎*10幹事長は7日の記者会見で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席国賓来日について「いったん様子をみてもいい」と述べた。「(香港国家安全維持法などの)懸念事項を整理し、中国側の対応を見て考えてもいい」と指摘した。

ということで立民のウヨ議員・福山ですら「様子を見た方がいい」レベルです。

【追記】

志位和夫
 日本政府は、中国主席の来日招請をやめるべきだ。中国が、香港で行っている暴挙について、国際的批判に耳を傾けるという姿勢が全くないもとで、訪日が実現しても前向きの結果が出るとは到底考えられない。逆に、中国の数々の無法な行為を容認してしまう結果になりかねない。

 共産支持者の俺ですが、志位氏がこのようなことを言うことには非常に失望し、がっかりせざるを得ません。まあ、とはいえ「相対評価では野党の中で一番まとも」と思うので今後も共産を支持しますが。
 なお、黒坂真はこの志位ツイートに対して

◆不破『日本共産党中国共産党の新しい関係』(1998年、新日本出版社)、『北京の五日間』(2002年、新日本出版社)、 『21世紀の世界と社会主義:日中理論会談で何を語ったか』(2006年、新日本出版社)、『激動の世界はどこに向かうか:日中理論会談の報告』(2009年、新日本出版社
緒方国際局長ら党代表団訪中終える/日中両党の交流強化を確認
日中両党の新しい関係強化を確認/志位委員長が胡錦濤主席と会談
志位委員長、李長春中国共産党中央政治局常務委員と会談
世界経済危機の背景と根源/不破社研所長 中国共産党との理論会談を報告
世界経済危機とマルクスの理論/日中理論会談の報告会終わる 不破社研所長が縦横に語る
志位委員長、劉洪才中連部副部長と会談
志位委員長、劉洪才中国共産党中連部副部長と会談
志位委員長が王家瑞中連部長と会談
志位委員長に崔中国大使離任あいさつ
などの過去の日中両党の交流は、共産党執行部によってどう今整理されてるのか。
 1998年の両党関係回復後、日中両党はそれなりの交流をしており、少なくとも今ほど手厳しく批判していなかったと思うが?。いつ今のような態度になったのか。習近平氏の主席就任後か?。(そのような認識の是非はともかく)習氏によって中国共産党はいわゆる「覇権主義」が酷くなったと整理してるのか?。それとも不破氏の政治的影響力の衰退によるのか?(不破氏が親中国的であるのに対し、志位氏は反中国的?)

と言う趣旨の突っ込みを入れています。
 黒坂の日本共産党非難はほとんど「すり替えとこじつけ、言いがかりと誹謗中傷」ですが今回に限れば小生も黒坂同様の疑念を感じます。

*1:まあ認識としておかしいですね。任期制の撤廃の是非はともかく今時「文革」があるわけもない。文革の定義にもよるでしょうが、今の中国レベルで文革なら「朴チョンヒであれ、ピノチェトであれ、誰でアレ、独裁政治家は軒並み文革」でしょう。

*2:著書『中国にとって法とは何か』(編著、2010年、岩波書店)、『現代中国法入門(第8版)』(共著、2019年、有斐閣)など

*3:著書『貧者を喰らう国:中国格差社会からの警告【増補新版】』(2014年、新潮選書)など

*4:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*5:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)などを経て幹事長

*6:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官などを経て首相

*7:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*8:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*9:公明党参院国対委員長政調会長などを経て代表

*10:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)などを経て立憲民主党幹事長