高世仁に突っ込む(2021年1/28日分)

世界に蔓延する「ブルシット・ジョブ」 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 昨夜は「焚き火のある風人塾」の第一回、「気づきの宇宙史138億年」の「①宇宙のはじまり」をお話しした。年末の入門編=序論につづき、宇宙史ZOOM講演は2回目だ。
 これから「宇宙史の語り部」を名乗って活動しようと思っていて、今回はそのためのいわばデビュー戦。
 日本の若者の自己肯定感が、国際比較でみても著しく低いことが気になっていて、このコロナ禍で自殺が増えているというニュースにも心がいたむ。
 では大人はというと、エゴイズムやニヒリズムにどっぷりつかって、自分が生きているあいだにせいぜい楽しむことだけを考える傾向がつよい*1。宇宙史講義では、これを乗り越えるコスモロジーを作ろうと提案している。

 高世って「バカでクズなんだなあ」と改めて思いますね。宇宙学者でも科学ジャーナリストでもない高世が「本からの受け売り」で宇宙史を語るという時点で「高世に講演を依頼する方も、引き受ける高世も大馬鹿者」であり、噴飯物ですが「コスモロジー」云々てどれほど高世はバカなのか。
 例えば「何故自己肯定感が低いのか」といったらこれは「それが全ての理由ではない」でしょうが大きな理由の一つは「日本の若者にワーキングプアが多いから」でしょう。金が稼げないからまともな生活が出来ず、だから肯定感が持てない。
 あるいは「何故コロナ禍で自殺が多い」のかといったらこれは「それが全ての理由ではない」でしょうが大きな理由の一つは「コロナ禍で会社が倒産したり、整理解雇で首を切られたりして失業して経済苦になる人が増えたから」でしょう。金が稼げないからまともな生活が出来ず、だから自殺したくなる(そもそもコロナ禍で自殺が多いのは『程度の差はあれ』世界中がそうであり日本限定ではありません)。
 それが高世の言う「コスモロジー」とやらで解決するのか。するわけがないでしょう。解決方法は「貧困からの脱出」しかない。どう「貧困から脱出するのか」はともかく(ただし脱出を「全て個人の責任」にするのは適切では無く「公助」が必要なのは言うまでも無いでしょう)。そもそも「宇宙科学」とは「事実認識の問題」でしかない。「事実認識の問題」でしかない「宇宙科学」から高世の言うような「エゴイズムやニヒリズムを越える人生哲学」なんて「価値観」は生まれない。まあ、そもそも、高世ごときに「エゴイズムやニヒリズムを越える人生哲学」なんて高尚な代物が作れるとも思いませんが。
 高世のやってることは「悪名高い『インチキ自己啓発セミナー』の劣化版」でしかない。それこそ「高世の行為」こそが、高世の言う「ブルシット・ジョブ」ではないか。
 そもそも高世のように「社会問題(自殺の増加など)」を「個々人の心のあり方」に原因を求めてしまってはそれこそ「悪名高い、いわゆる自己責任論」でしかない。そんな行為はむしろ「自殺するのは自殺者の心のあり方に問題があるからだ」でかえって自殺を助長しかねません。
 高世の馬鹿さには呆れて物も言えません。本気で高世がこう思ってるのか、「インチキ自己啓発セミナー講師の高世」として「金儲けのため」に「嘘八百並べ立ててる」のかはともかく(とはいえ俺だったらこんな高世のインチキ自己啓発セミナーでは全く救われませんが)。
 ジンネット倒産後、高世もどこまで落ちぶれれば気が済むのか。こんなことを抜かす高世はもはや「ジャーナリスト」としてやっていく気は全くないのでしょう。

 最近見ておもしろかったテレビ番組に、Eテレの『100分de名著 カール・マルクス資本論」』がある。講師は『人新生の「資本論*2』の斎藤幸平さん*3
 18日(月)は第3回「イノベーションが『クソどうでもいい仕事』を生む!?」。
 イノベーションとは労働者を効率的に支配し管理するための「働かせ方改革」であり、さらなる「疎外」をもたらす。
 社会的に重要な仕事に従事するエッセンシャル・ワーカーには長時間労働と低賃金が強いられる一方で、社会的には重要でなく、やっている本人も意味がないと感じている「クソどうでもいい仕事」(bullshit job:ブルシット・ジョブ)に高給が支払われる。
 ブルシット・ジョブの具体例として広告業(中略)を挙げ、こう解説した。
 「例えば広告が分かりやすいと思うんですけど、歯磨きの宣伝で、モデルの歯を白くする作業を延々とやっている人たちがいるんですよね。やっている人たちは気がついているわけですよ、いくらモデルの歯を白くしたって歯磨きの性能まったく変わらないよねって。口紅にしたって、パッケージングにお金とかエネルギーを割いてるけど、口紅の品質は1ミリも変わらないわけですよね。」
 広告業(中略)なんて、エリート・サラリーマンで高給でかっこいい仕事というイメージだったと思うが、番組では、無益なつまらない仕事とこきおろされている。言われてみれば、そのとおりだ。

 さて高世の言う「ブルシット・ジョブ(くだらない仕事?)」云々ですが「小生は未読」ですが、

◆デヴィッド・グレーバー*4『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』(2020年、岩波書店

という本があるようです。
 グレーバーについては
人類学者デヴィッド・グレーバーさんを悼む 人間の本性、対立超えると信じた 批評家・片岡大右さん寄稿|好書好日
追悼 デヴィッド・グレーバー(1961-2020)/マーシャル・サーリンズ – 以文社
追悼 デヴィッド・グレーバー(酒井隆史) - 岩波書店岩波書店『世界』2020年11月号に掲載)を紹介しておきます。
 さて「ブルシット」と呼ぶかどうかはともかく「収入が高いこと」と「社会における必要性、重要性」、「労働の大変さ」は残念ながら「皮肉にも、必ずしも一致しません」。
 たとえばわかりやすい例で言えばこのコロナ禍において「医療従事者(医師、看護師など)」の必要性は極めて高いし「労働のきつさ」も相当のものでしょうが、彼らの収入は必ずしも高くはない。
 一方で、必ずしも「社会に必要は無い(なくてもある意味誰も困らない)」、プロ野球選手だのハリウッド俳優だのが高給をもらっている。
 あるいは

青木雄二 - Wikipedia
 1964年、岡山県立津山工業高等学校土木科を卒業。卒業後は兵庫県神戸市の山陽電気鉄道に入社。
 1969年、山陽電気鉄道が学歴重視で、高卒の待遇が悪いことに不満を感じ、入社から5年で同社を退社。地元岡山県に戻り久米南町役場の職員になるが、結局田舎での生活に嫌気がさし、3ヶ月で退職。大阪に出てビア・ホールでアルバイトを始める。その後はパチンコ店の店員やキャバレーのボーイ等の水商売を中心に約30種類以上の職を転々とした。この経験が漫画を描く上で大いに参考になったという。本人によると一番楽だった仕事は公務員で、肉体的に一番キツかったのがパチンコ屋、精神的に一番キツかったのが漫画家だったとのことである。当時のパチンコ店内は大音量のBGMが流れ、タバコを吸う客が多く店内の空気が非常に悪かったため、パチンコ店の店員は大変だったと語っている。

だそうですが、ならば青木氏にとって「肉体的に一番キツかった、パチンコ屋の店員」が高収入で、「一番楽だった町役場職員」が低収入かと言えばそんなことは無いわけです。
 この辺り、「何とも釈然としないもの」は誰しも感じるところでしょう。その点をおそらく「学問的に論じてる」のがグレーバーの本ではあるのでしょうが。
 なお、

 イノベーションとは労働者を効率的に支配し管理するための「働かせ方改革」であり、さらなる「疎外」をもたらす。

と言う物言いは適切では無いでしょう。イノベーションそれ自体(例えば技術の発展によってテレワークが可能になること)は「技術の革新」でしかない。
 その「技術の革新」が「労働者を効率的に支配し管理するため」のものになるかどうかは「どういう目的でイノベーションを行うか」という「価値観の問題」です。

モルヒネそれ自体が問題なのでは無く「合法的に医療用にガンの痛みの緩和などに使うか、非合法に嗜好品として使うか」
◆ダイナマイトそれ自体が問題なのでは無く「工事用に使うか、戦争に使うか」

と言うような話でしょう。
 そこを曖昧にするとイノベーションそれ自体を否定する「ラッダイト運動 - Wikipedia」になってしまいますが問題は

ラッダイト運動 - Wikipedia
 カール・マルクスは「資本論」でのラッダイトを批判しており、労働者は「物質的な生産手段」ではなく、「社会的な搾取形態」を攻撃すべきだとした。

という話でしょう。

*1:「そのように高世が決めつける根拠は何なのか」といったら「世論調査データ」などではなく、単に「個人的感想」にすぎないでしょう。実に馬鹿馬鹿しい

*2:2020年、集英社新書

*3:大阪市立大学准教授。著書『大洪水の前に:マルクスと惑星の物質代謝』(2019年、堀之内出版)など(斎藤幸平 - Wikipedia参照)

*4:1961~2020年。1998年~2007年までイェール大学助教、准教授を、 2007年~2013年までロンドン大学教授を務めた。著書『アナーキスト人類学のための断章』(2006年、以文社)、『資本主義後の世界のために:新しいアナーキズムの視座』(2009年、以文社)、『デモクラシー・プロジェクト:オキュパイ運動・直接民主主義・集合的想像力』(2015年、航思社)、『負債論:貨幣と暴力の5000年』(2016年、以文社)、『官僚制のユートピア:テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』(2017年、以文社)、『民主主義の非西洋起源について:「あいだ」の空間の民主主義』(2020年、以文社)(デヴィッド・グレーバー - Wikipedia参照)