黒井文太郎に突っ込む(2021年2月26日分)

黒井文太郎
 いろいろ物議を醸している*1ようですが、これは当然、親分*2に忠実にということ以外の意味はないんじゃないかな
日本の男女共同参画担当大臣、選択的夫婦別姓に反対(BBC News) - Yahoo!ニュース
 日本の女性の権利拡大やジェンダー平等などを担当する男女共同参画担当相が、選択的夫婦別姓に反対するよう地方議員などに呼びかける書状に名前を連ねていたことが明らかになった。
 今月24日に記者会見した丸川氏は、選択的夫婦別姓への反対を促したことについて、「私個人の信念」だと述べ、閣僚としての職責には影響しないと話した。丸川氏は、ジェンダー平等をうたう東京五輪パラリンピックを担当する五輪相も兼務している。
 朝日新聞によると、丸川氏は同日の衆院内閣委員会で野党議員に、個人の信念と閣僚としての職責の矛盾を追及され、「(選択的夫婦別姓の)議論をどうやって進めていくのか」と質問されたところ、「国民が深い議論をするような環境を後押ししていくことが、私の役目だ」と答弁した。
 丸川氏が仕事上で使う「丸川」は旧姓で、戸籍上の公式の名前は夫*3の姓を使う「大塚珠代」*4

 仮に黒井の指摘「親分に忠誠」が正しいとしても『夫婦別姓に公然と反対を表明した丸川が男女共同参画相になって良いのか?』という丸川批判派(黒井が紹介するBBCもその一つです)の批判に対する反論には全くなっておらず「黒井は何が言いたいんだ?」ですね。まさか、これで丸川を擁護しているつもりなのか?(もちろん、繰り返しますが何一つ擁護にはなっていません)。まだ「夫婦別姓に反対しても男女共同参画推進と矛盾しない」のほうがマシでしょう(そう言う主張を俺が支持すると言うことでは無く、この主張なら一応、丸川批判派に対する反論にはなっていると言うことです)。
 かつ、この黒井の指摘が事実なら「自分の信念で反対した」のよりも「ある意味」もっと問題でしょう。丸川には政治家としての信念は何もないと言うことですから。「男女共同参画相でいいのか」どころか「そんな奴が政治家で良いのか」という話です。

黒井文太郎
 脅威は中露を核とする反民主主義勢力(各国のポピュリズム勢力含む)の台頭。

 「やれやれ」ですね。例は何でも良いのですが、「米国のトランプ」にせよ「英国のEU離脱論者」にせよ「フランスのルペン」にせよ「ドイツのネオナチ」にせよ「我が国の安倍や大阪維新」にせよ「ミャンマーやエジプトの軍事政権」にせよ、「カンボジアのフンセン首相」にせよ、「トルコのエルドアン首相」にせよ、その他にせよ、世界の「独裁的国家、独裁的政治家(ポピュリズム政治家)」は何も「中露を中核としている」わけではありません。
 もちろん個々には「独裁的国家、政治家と中露のつながり」はありますが、それは「ワルシャワ条約機構ソ連が盟主、現在は消滅)」「NATO(米国が盟主)」のような「中露を盟主とする同盟」ではなく「個別のつながり」にすぎないし、「欧米のポピュリズム勢力、独裁的勢力」がわかりやすい例ですが、それらの多くは「反共右翼」であり、共産国の中国をむしろ敵視しています(そもそも過去の歴史においても、ヒトラーのドイツ、ムソリーニのイタリア、フランコのスペインなど多くの独裁的国家、独裁的政治家は反共右翼でした)。また一方では「反体制派ジャーナリスト暗殺疑惑のサウジ」を「石油利権を理由」に欧米各国が支えてるという構図もあるわけです。一方で「AIIB」に英仏独伊が参加したことなどで分かるように欧米も「米ソ冷戦」とは違い、中露と常に敵対しているわけでもない。
 つまり、「繰り返しになります」が「民主主義の欧米VS中露を中核とする独裁国家、独裁的政治家」という黒井の描写は1)欧米も経済的利益から独裁的国家(例:サウジ)を支えてる場合がある、2)世界の独裁的勢力は必ずしも親中露ではない、3)中露とつながりがある独裁的国家も「NATOワルシャワ条約機構のような中露を盟主とする同盟」を結んでるわけではない(もっとドライであり、簡単なことで中露から離脱する事がありうる)、4)そもそも欧米諸国も米ソ冷戦のような形で中露と敵対しているわけではない、と言う意味で「事実に反するデマ」でしかありません。
 まあ、「アンチ中露」「米国ポチ」黒井もそんなことは分かった上で故意にデマの垂れ流しでしょうが。
 「中露を悪者とする勧善懲悪」で常に話を片付ければ楽ではありますが現実はそんなに単純ではない。まともな人間なら「中露批判」をするにしてもここまで単純な物言いはしませんが、黒井はまともで無いわけです。

黒井文太郎
 有事に持ち込まれるのは日中どちらも嫌。中国も当然、日本に米国が付いてること*5は警戒する。
 なのでまずは平時の戦いなのですが、そこで相手がいちばん嫌がるのは何か?

 領土問題について言えば「実効支配してる」というのが非常に強いわけです。
 尖閣について言えば「外国が実効支配している北方領土(ロシア)や竹島(韓国)」と違い「日本が実効支配している」以上、何もしなくても問題ないし、むしろ「何か対抗措置をすること」は(日中関係の悪化の恐れはひとまず置くとしても)それこそ「尖閣問題は何かしないといけない重大な問題(今、尖閣が危機的状態)」というイメージを世間に流布しかねません。
 それは果たして「領土問題限定」でもいいことなのか。むしろ「尖閣なんて今、そこまで重要な問題じゃない」というイメージの方が重要では無いか。むしろそれこそが「中国が嫌がる事」でもないのか(つうか問題は中国が嫌がるかどうかでは無く「日本の国益になるかどうか」ですが)。
 まあ、黒井の場合「反中国で飯を食ってるウヨ」なので「対抗措置(尖閣への建設物設置?)を執れ」と叫ぶわけですが。まあ、菅もそんなことはしないでしょうね。欧米が批判を強めてるウイグル問題ならまだしも。

*1:「批判されてる」と書かない辺りがウヨの黒井らしい。

*2:丸川を第三次安倍内閣環境相、五輪相にした安倍や、菅内閣五輪相にした菅のことか?(なお丸川は安倍前首相や下村政調会長らが所属するウヨ派閥「細田派」に所属)

*3:第3次安倍内閣財務副大臣などを歴任した大塚拓衆院議員(自民)のこと。

*4:法制度上は「夫婦別姓」と「旧姓使用(丸川の場合)」は別物とは言え、外見上は見分けが付かないので「何故旧姓使用をする人間が夫婦別姓に反対するのか?」という批判は全く正論だと思います。

*5:米国云々に関係なく「自衛隊との軍事衝突の恐れ」オンリー、「中国進出日本企業の撤退の恐れ」オンリーでもそんなことはしません。