同姓は「合憲」判決によせて - 高世仁の「諸悪莫作」日記
高世記事のタイトルは正確には「同姓強制」ですね。「選択的別姓制度」のもとで「結婚当事者の合意」での同姓であるならそれは何の問題も無い。
きょうの「リンゴ日報」は100万部と香港の人口の6分の1の部数を刷り、新聞スタンドにはそれを買うために朝から長い列ができたという。一つの時代が確実に終わったが、そのスピリットは市民の心に残っていくだろう。
「ボーガスは中国シンパ」の誤解を恐れずあえて書けば、高世の言ってることは「ただの負け惜しみ」でしかありません。
まあ、「敗北(リンゴ日報の事実上の廃刊)直後」は精神的動揺から「負け惜しみ」も仕方ないでしょうが、いつまでもそれでは全く無意味です。
私が素直に肯けたのは、宮崎裕子・宇賀克也*1裁判官の共同反対意見だ。
宮崎氏が弁護士出身、宇賀氏が学者出身(行政法学者、東大名誉教授)です。
昔から
◆学者出身だが右寄りの田中耕太郎 - Wikipedia(1890~1974年、東大教授*2(商法学者))
など「勿論例外はありますが」弁護士、学者出身がリベラルで、検察、外務官僚出身が保守の傾向がありますね。
学者出身のリベラル派としては有名どころでは
【あいうえお順】
◆伊藤正己 - Wikipedia
1919~2010年。東大名誉教授(憲法学者)。著書『裁判官と学者の間』(1993年、有斐閣)など
◆大隅健一郎 - Wikipedia
1904~1998年。京大名誉教授(商法学者)
◆田中二郎 - Wikipedia
1906~1982年。東大名誉教授(行政法学者)。著書『日本の司法と行政:戦後改革の諸相』(1982年、有斐閣)など
◆團藤重光 - Wikipedia
1913~2012年。東大名誉教授(刑法、刑訴法学者)。著書『実践の法理と法理の実践』(1986年、創文社)、『死刑廃止論(第6版)』(2000年、有斐閣)など
などがいます。
なお、合憲判決は残念ですが「合憲=違法でない」と言うだけの話なので「法改正で別姓を認めれば」良い話ではあります。つまりは「別姓賛成派の政治家を増やせない選挙民」の側にも重大な問題がある。
野党はこれを総選挙での重要な争点にすべし。
共産党や社民党は「別姓実現」を公約に出来るでしょうが、はたして「党内にウヨ議員を抱える」国民民主や立民にそれができるかどうか(自民、公明、維新には無論そんなことは期待していません)。
かつ公約にしたところで選挙民が信用するかどうか。「鳩山、菅、野田」の民主党政権においては「党内の右派議員」に忖度したのか、夫婦別姓法案など提出されてませんのでね。また、少なくともそうした公約は集票には貢献しないでしょう。「夫婦別姓を実施したい当事者」「夫婦別姓に絶対反対のウヨ」以外は「どちらかと言えば賛成(反対)」程度に過ぎないので、それを選挙の判断材料にはまずしないでしょう。
今後もこの問題*3は注視していきたい。
過去においても、こんなことを言いながらいつの間にかうやむやになるのが高世なので期待はしません。まあ、「注視(注目)」てのも曖昧な表現ですしね。「記事には書かないが注視してる」と一応言い訳が可能ですし(苦笑)。
*1:著書『行政手続法の理論』(1995年、東京大学出版会)、『政策評価の法制度』(2002年、有斐閣)、『情報公開の理論と実務』(2005年、有斐閣)、『行政手続と行政情報化』(2006年、有斐閣)、『個人情報保護の理論と実務』(2009年、有斐閣)、『情報公開と公文書管理』(2010年、有斐閣)、『個人情報の保護と利用』、『個人情報保護法制』、『情報公開・オープンデータ・公文書管理』(以上、2019年、有斐閣)、『マイナンバー法と情報セキュリティ』(2020年、有斐閣)、『行政組織法の理論と実務』(2021年、有斐閣)など
*2:田中耕太郎 - Wikipediaによれば東大教授から文部省学校教育局長に転じているので「名誉教授」ではないようです。