「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年11/24日分:荒木和博の巻)(追記あり)

横田めぐみさん拉致の真実を政府は明らかに【調査会NEWS3530】(R3.11.24): 荒木和博BLOG

 11月23日付新潟日報のコラム「座標軸」で拉致問題に長年取り組んできた原崇論説編集委員は次のように書いています。
 「ある種の先入観を広めている側面もある。工作員が寄居浜から上陸し、めぐみさんをここから船に乗せたと思い込んでいる人は少なくない。だが、1977年当時の新潟中央署長で警備畑が長かった故松本瀧雄さんは晩年の取材に『(ボーガス注:寄居浜のある)新潟西港近辺は警備が厳重。ここ(寄居浜)は絶対にない』と断言した」

 馬鹿馬鹿しいですね。そもそも本当に松本氏がそんなこと言ったのか*1、言ったとして正しいのか(荒木や原にこびて虚言を吐いたのではないかと言うこと)という問題もありますが、それはさておき。
 第一に、荒木と「荒木の同類」原*2は「松本発言」を正しいと決めつけるだけでなく「警察の事実誤認」ではなく「先入観を広めている(原)」、「真実を政府は明らかに(荒木)」などと書いて警察を「故意の嘘つき呼ばわり」していることに呆れます。
 警察が何のためにそんなことをやるのか?
 荒木は

 現地協力者の陰を消すために「海から上がってきた工作員が拉致して連れてその工作員だけで寄居浜から連れて行った」ということにしたかっただけではないかと思うのです。

と強弁しますが「はあ?」ですね。
 まず1)「めぐみ氏拉致に現地協力者がいた」のならめぐみ氏拉致は「よど号グループの有本恵子氏拉致」のような「計画的犯行」だったということになる。
 しかしそれは「偶発的犯行だった」という「安明進証言*3」に反しますし、「中学生少女を何故わざわざ計画的に拉致するのか?」つう話です。
 2)何で警察がそんなことを「消さなくてはいけない」のか(そもそも「現地協力者がいた」という荒木の主張には何らまともな根拠はありませんが)。
 そして、こんな放言をして警察の反感を買ってどうするのか?(呆)。
 第二にそんなことが「めぐみ氏救出」と何の関係があるのか。「めぐみ氏救出」において大事なことは1)彼女が生きてるかどうか、2)彼女が生きてるとしてどこにいるのか*4であって「拉致現場がどこか」なんか、その意味ではどうでもいい話です。 
 「拉致現場がどこか」というのが「仮に重要な場合」があるとしたら、実行犯を逮捕、起訴し裁判を開始した場合*5でしょうが、そもそも「実行犯を逮捕起訴する可能性がない(実行犯が誰か自体特定されてなかったかと思います)」。
 荒木や「荒木の類友」原、あるいは原を「編集委員にする新潟日報」が「めぐみ氏救出」をまともに考えてるとはとても思えません。

 拉致問題の象徴とも言えるめぐみさん拉致

 「アホか」ですね。象徴ではなく「中学生が暴力的に連行される」つうめぐみ氏拉致事件が「成人男性、女性がだまされて連れていかれる事件」(例:有本恵子氏拉致など「よど号グループ」が関与したとされる事件)や「成人男性、女性が暴力的に連行される事件」(例:蓮池夫妻、地村夫妻など)より「衝撃的だ(北朝鮮の悪辣ぶりを宣伝できる)」ということで荒木ら巣くう会が大々的に宣伝し「象徴にしてしまった」だけです。
 めぐみ氏拉致事件に限らず「三・一運動での柳寛順獄死」であれ、「60年安保闘争での樺美智子死亡」であれ、「マララさん銃撃」であれ、何であれ「若い女性がひどい目に遭えば」世間は大抵深く同情します。
 「巣くう会によるめぐみ氏拉致の大々的宣伝」は短期的には「国民の関心」を引いたとは思います。しかし長期的には「めぐみ氏以外の拉致被害者(5人の帰国者を除く)」が全く世間に知られず、その結果「拉致の風化」を助長することになります。
 恐らくめぐみ氏以外の「拉致被害者の名前(5人の帰国者を除く)」を聞いても世間の人間は

田口八重子
 大韓機爆破事件の犯人・金賢姫日本語教育係『李恩恵』ではないかとされる
有本恵子
 よど号グループの八尾恵が『有本氏拉致への関与』を認める著書『謝罪します』(2002年、文藝春秋社)を出版したり、有本氏の両親が『私の取材では、外務省は「有本恵子氏は既に死亡した』とみている』と発言した田原総一朗氏を提訴*6したりしたことで話題になる

が出てくるぐらいで、他の名前はまず出てこないでしょう。いや下手したら田口氏や有本氏の名前も出てくるかどうか。
 「拉致の風化」の最大の理由は勿論「めぐみ氏ばかりを宣伝したこと」よりも、1)拉致問題に進展がないこと、2)蓮池透除名事件が世間の不信を生んだことでしょうが。

 なお、この件については明日のYouTube「ショートメッセージ」でお話しします。

 よほど動画で話すネタがないのかと心底呆れます。
 別の動画全斗煥元大統領の再評価(R3.11.24): 荒木和博BLOGも、全斗煥元大統領の逝去【調査会NEWS3529】(R3.11.23) : 荒木和博BLOGを「ただそのまま話しただけ」のような「中身の乏しい代物」でした。おそらく明日のショートメッセージも同じような代物でしょう。もはや「何かやってるふり」をするのも「ネタ不足で限界に来ている」のでしょう。

 なお、荒木の紹介する新潟日報記事に「12/10から北朝鮮人権侵害問題啓発週間が始まる」と書いてあって、「ああ、そういえばそういう週間あったよね、忘れてたけど」「まあ俺は一応知ってるけど、知らない人間がほとんどだよね」と改めて思いました。

【追記】
横田めぐみさん拉致の真実(R3.11.25): 荒木和博BLOG
 6分2秒の動画です。上に、赤字で「よほど動画で話すネタがないのか」云々と書きましたが、予想通りですね。横田めぐみさん拉致の真実を政府は明らかに【調査会NEWS3530】(R3.11.24): 荒木和博BLOGと大同小異なので横田めぐみさん拉致の真実を政府は明らかに【調査会NEWS3530】(R3.11.24): 荒木和博BLOGを読めばこの動画を見る必要は全くありません。
 横田めぐみさん拉致の真実を政府は明らかに【調査会NEWS3530】(R3.11.24): 荒木和博BLOGについては上で批判したので、横田めぐみさん拉致の真実を政府は明らかに【調査会NEWS3530】(R3.11.24): 荒木和博BLOGとほとんど同内容のこの動画については改めては批判しません。『動画の内容』は勿論ひどいですが、それ以前に「動画の内容が横田めぐみさん拉致の真実を政府は明らかに【調査会NEWS3530】(R3.11.24): 荒木和博BLOGとほとんど同内容で、横田めぐみさん拉致の真実を政府は明らかに【調査会NEWS3530】(R3.11.24): 荒木和博BLOGを読めば動画を見る必要が全くない」という「やっつけ仕事ぶり」がひどい。
 それにしても、荒木が松野氏の「現場視察」について「やったふり」というのには呆れます。
 まあ、確かにあんなことをしても拉致解決に何一つつながらないので、「やったふり」ではあるでしょうが、「視察をやれ」と言ってるのは巣くう会や家族会でしょう。巣くう会や家族会が「やれ」といわなければ松野氏もあんなことはしないでしょう。
 そして、巣くう会、家族会の要望に対して「その要望に応じることに意味があると思わない」として視察をしなければ松野氏に悪口雑言でしょうに、荒木もよくもふざけたことが言えたもんです。
 そして「やったふり」は「現地調査」などという拉致解決に全くつながらない行為をしている荒木の方でしょう。特定失踪者の場合は勿論、本物の北朝鮮拉致でも事件発生から何10年もたってから現場調査しても拉致実行犯の特定などにつながる新事実の発見なんかあり得ない。
 例えば「三億円事件(1968年)」「国松警察庁長官狙撃事件(1995年)」の犯行現場を今、調査しても新事実など出るわけがない。拉致だって話は同じです。
 そんな「希有な僥倖」があり得るのは「ミステリ小説、ドラマ」の中だけの話です。
【追記終わり】


全斗煥元大統領の逝去【調査会NEWS3529】(R3.11.23) : 荒木和博BLOG
【最初に追記】
 全斗煥元大統領の逝去【調査会NEWS3529】(R3.11.23) : 荒木和博BLOGを批判したこの拙記事を荒木和博も、朴正煕や全斗煥をそんなに高く評価するのなら、拓殖大学の紀要や極右雑誌でないまともな学術誌に彼らの時代制約もふくめて論じる論文でも投稿したらどうか - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でご紹介いただきました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】

 全羅南道光州市で起きた暴動*7の鎮圧に軍が入る過程で多数の死傷者が双方に出ました。全斗煥はこの鎮圧の責任を最後まで問われていたのですが、一方で北朝鮮がこの暴動事件に関与していたことはほぼ事実で、友人である元工作員李氏は「当時出撃のために待機していたが、早々に鎮圧されたため取りやめになった」と言っていました。北朝鮮からは派遣しなかったとしても、当時光州に潜伏していた工作員が暴動に関わっていた可能性は否定できません。

 光州事件を暴動呼ばわりしたあげく、根拠もあげずに「北朝鮮の工作ガー」だそうです。
 勿論「友人である元工作員李氏」などという「正体不明な怪人(実在せず、荒木の捏造の疑いすらある)」の「根拠レスの証言」など何の根拠にもなりません。まあ実在でも「荒木の類友」では信用性は皆無ですが。
 そもそも「北朝鮮の工作で暴動(そもそも、そんな事実はないでしょうが)」なら違法殺害していいのか(後の光州事件裁判で違法殺害が認定されている)。そんなことはないわけです。
 例えば

◆1970年の瀬戸内シージャック事件
◆1977年の長崎バスジャック事件
◆1979年の三菱銀行人質事件(梅川昭美)
 梅川が警官2名、支店長と行員、計4名を射殺(国内での人質事件では初の人質に死者が出たケース)

などの一般刑事犯罪者だって必要もないのに(つまり生け捕りが可能なのに)殺害すれば殺人です。梅川らは「生け捕りは無理」という判断で射殺されたのであって、「極悪犯人など生け捕り可能でも殺した方が世のため」なんて判断で射殺されたわけではない。
 荒木には呆れて二の句が継げませんね。
 ちなみに、三菱銀行人質事件 - Wikipediaによれば人質立てこもり事件で「犯人射殺」で事件を解決したのはこの3件しかないそうです。
 また、
1)1972年のあさま山荘事件では「犯人はできる限り生け捕りに」という命令が後藤田警察庁長官から出され、
2)1979年の三菱銀行人質事件では一斉射撃で梅川が殺害され「誰の銃弾が致命傷かわからない」対応がされましたが、これは、1970年の瀬戸内シージャック事件の狙撃手が(おそらく殺害の精神的苦痛からでしょうが)後に警察を辞めたことから「狙撃、殺害による精神的苦痛をできるだけ生まない」配慮がされたといわれます(瀬戸内シージャック事件 - Wikipedia参照)。

 いわゆる「民主化*8」勢力が求めた大統領直接選挙実施と金大中赦免復権全斗煥の決断でできたことです。

 おいおいですね。事情はともかく「そのように全斗煥が動き、悪あがきしなかったこと」をある程度評価してもいいでしょうが、あくまでも「ある程度」です。全斗煥は自分から進んでそう動いたわけではない。民主化の動きに抵抗しきれずそうしたわけです。

 1986(昭和61)年のアジア大会と1988年のソウルオリンピックの開催は韓国の国際的地位は一気に上昇しました。もはや北朝鮮は追いつくどころか背中も見えない程引き離されてしまったのです。

 なお、この後も

1990年 - Wikipedia1991年 - Wikipedia1992年 - Wikipedia参照
【1990年】
◆9月30日
 ソ連と韓国が国交樹立。
◆10月3日
 西ドイツに東ドイツ編入される形でドイツ統一
【1991年】
◆8月19日
 ソ連8月クーデター発生、保守派がゴルバチョフ大統領を軟禁(8月21日、クーデター失敗)。
◆8月24日
 ソ連共産党が解散。
◆12月25日
 ゴルバチョフソ連大統領辞任。
◆12月26日
 ソ連最高会議が解散を表明。名実ともにソ連崩壊(なお、8/24のソ連共産党解散以降、ソ連の求心力は急速に失われ、ソ連加盟国が独立を宣言し、事実上崩壊していた)
【1992年】
◆8月24日
 韓国と中国が国交樹立(韓国は台湾と断交)。

ということで「ソ連ソ連崩壊後はロシア)や中国が北朝鮮を見捨てて、西ドイツ優位の形でされたドイツ統一のような形で、韓国優位で朝鮮統一がされないか」「その場合はホーネッカーのように刑事訴追の恐れが出てこないか」という不安をおそらくは北朝鮮政府指導部が感じるようになる。
 そうした中で、北朝鮮国家の生き残りを目指してでしょうが、

1990年 - Wikipedia1991年 - Wikipedia1994年 - Wikipedia北朝鮮核問題 - Wikipedia参照
【1990年】
◆9月
 金丸訪朝(金丸信 - Wikipedia参照)
◆10月11日
 第18富士山丸船長、機関長が帰国(第十八富士山丸事件 - Wikipedia参照)
【1991年】
◆9月17日
 韓国、北朝鮮が国連に同時加盟
◆12月6日
 北朝鮮を電撃訪問した統一教会教祖の文鮮明金日成主席と会談。
◆12月24日
 平壌放送が、朝鮮労働党中央委員会総会で金正日書記の朝鮮人民軍最高司令官への就任が決定したと発表(金日成国家主席朝鮮労働党総書記は健在なので権限の一部委譲ということですね。と同時にこれにより、ポスト金日成金正日であることが内外に示されたわけです)。
【1993年】
◆3月13日
 北朝鮮核拡散防止条約(NPT)からの離脱を宣言
【1994年】
◆6月16日
 カーター元米国大統領が訪朝。金日成主席と会談。
◆10月21日
 北朝鮮国内での核開発の凍結、NPTへの復帰を条件に国交の正常化への道筋を含む「米朝核枠組み合意」を締結。アメリカは北朝鮮軽水炉の提供や50万トンの重油供与などを約束。

といった「北朝鮮側の様々な動き」も出てくるわけです。それ以前から「秘密裏に開発していた疑い」は当然ありますが、北朝鮮が公然と核開発意思を表明したのも「1993年3月13日のNPT脱退表明」が一番最初の訳です。つまりは「ロシアや中国はどこまで信用出来るかわからない→自前の核武装」という流れです。

 しかしこれは韓国の親北左派からすれば絶対に許せないことでした。だから今や光州事件は聖域化され、利権も含めて左派の牙城になっています。そしてそうするために全斗煥は極悪人とされてしまいました。しかし光州事件を「虐殺」と言うのであれば金日成金正日金正恩のやってきた虐殺行為は何と言えば良いのでしょう。もちろん韓国の左派は北朝鮮における人権侵害を問題にすることはありません。

 全斗煥盧泰愚を「光州事件」で非難したら「北朝鮮の人権侵害から目をそらせるため」呼ばわりとは、「ゲスの勘ぐり」「不当なレッテル貼り」も大概にしろ、ですね。
 むしろ「慰安婦南京事件などの旧日本軍の人権侵害から目をそらせるため」に荒木らウヨがやってるのが「ウイグルガー、チベットガー」「チョ・グク法相疑惑ガー」という中国政府や文政権への非難ではないのか。
 そして「聖域化」「利権(光州事件の何が利権かわかりませんが)」というなら荒木ら救う会が「拉致問題」でやってることではないのか。
 そして荒木の物言いをパクれば、巣くう会によって

拉致問題を利権にするために田中均氏や蓮池透氏、和田春樹氏は極悪人とされてしまいました。

といっていいでしょう。


全斗煥元大統領の再評価(R3.11.24): 荒木和博BLOG

 23日に亡くなった全斗煥・元大統領は退任後一度は死刑判決まで受けるなど不遇でしたが、北朝鮮の度重なるテロに対抗しながら韓国の経済成長を成し遂げた業績はもっと評価されるべきだと思います。

 8分46秒の動画です。タイトルと説明文だけで見る気が失せます。
 第一に拉致と全く関係ない。荒木の動画は「拉致の解決」が目的ではなかったのか。いい加減、拉致に関係ないことばかり話すのはやめろという話です。まあ拉致に関係あることでも「特定失踪者は北朝鮮拉致」「自衛隊拉致被害者救出」とバカなことしか言わないのが荒木ですが。
 第二にこの動画内容は全斗煥元大統領の逝去【調査会NEWS3529】(R3.11.23) : 荒木和博BLOGとほとんど変わりません。全斗煥元大統領の逝去【調査会NEWS3529】(R3.11.23) : 荒木和博BLOGを読めばこの動画を見る必要はありません。
 第三に「もっと評価」も何も全斗煥はそれなりに評価されてるでしょう。全斗煥の流れをくむ右派野党「国民の力」は勿論、金大中の流れをくむ中道左派の与党「共に民主党」ですら「軍事クーデターを批判」しても全否定はしてないのではないか。
 全斗煥盧泰愚光州事件を理由に「大統領退任後」処罰されても「恩赦された」というのはそういうことでしょう。
 第四にこんなことを言う荒木ですが、「改革開放で経済成長を達成した中国の鄧小平」などは評価せず、「天安門事件」などで非難するのだから全くでたらめです。

*1:この話が、松本氏の生前ではなく「死後に原が言い出した話」なら原による捏造の疑いがあります。

*2:「荒木と同類のがち右翼」であれ、「荒木にこびて拉致商売」であれ、荒木と「同類になれる」というのが絶句しますが。

*3:「偶発的犯行」という部分だけ「安証言」を否定するというのはご都合主義でしかないでしょう。

*4:勿論、彼女が死亡している場合は「何故いつ死んだのか」という「死亡について5W1Hの追及」が必要になりますが、これだって「拉致現場がどこか」などとは関係ない話です。

*5:単に指名手配したり、逮捕したりするだけならそこまでは不要かと思います。

*6:これについては、詳しくは田原総一朗 - Wikipedia参照

*7:光州事件のこと

*8:わざわざ「いわゆる」だの書いたあげくカギ括弧までつける辺りが荒木らしい。「民主化を口実に全斗煥を攻撃しただけの北朝鮮シンパ」とでもネガキャンしたいのでしょう。