今日の産経抄(2022年2/5日分)(副題:おごれるフジも久しからず)

【産経抄】2月5日 - 産経ニュース

 作家の古川日出男さんの訳本を原作とするテレビアニメ『平家物語』を視聴している。武士として初の太政大臣となった平清盛をはじめ、栄華を極めた平家一門に少しずつ忍び寄る滅びの影が、美しい映像と音楽で描写されている。まさに「おごれる人も久しからず」だと得心する。
▼現在の政界を見ていても、しばしば世のうつろいにはっとする。21年9月に政権交代を実現した民主党政権も、当初は藤原道長のように「この世をばわが世とぞ思ふ」状態で高ぶっていた。

 やはりこのアニメ、予想通り「フジテレビの放送」でしたが、それはさておき。
 「政治的評価はともかく」、別に鳩山政権が「おごっていた」とは思いません。鳩山氏を批判するのは産経の自由ですが「政治認識に問題がある」などならともかく、「おごり」と言う時点でそれは既にまともな批判にはなり得ない。鳩山氏ほど「おごり」から離れた人間もいないでしょう。
 彼はおそらく「性格的におごり高ぶれるタイプではない」し、「鳩山政権が短命に終わったこと」「現在、政界を引退して無役」と言う意味で「おごることが出来る立場」でもない。彼が現在行っている「脱原発主張」も是非はともかく「おごり」と言う話ではない。
 なお、引用は省略しますが、この産経記事がやり玉に挙げてる鳩山氏の主張は脱原発。例の「EUへの意見書」の件で鳩山氏だけでなく「他の4人の元首相」にも悪口していますが、一番悪口してるのが何故か、鳩山氏です。「自民の小泉氏」はともかく「鳩山氏(民主党)と同じ同じ非自民」でも「細川(日本新党)、村山(社会党)、菅直人民主党鳩山内閣では副総理・財務相)」よりも何故か、産経は鳩山氏が憎いようです。
 それはともかく「鳩山の脱原発は間違ってる」ですむところを「おごり」と言わずにはいられない産経もおかしな新聞です。
 要するに、政策批判ではなく「『鳩山氏への人格攻撃(おごるような欠陥がある性格呼ばわり)』や『(自民党副総裁の麻生元首相などと違い)首相から無役に落ちぶれたと小馬鹿』にしたい」のでしょうが実にくだらない。
 むしろ「おごり」に該当するのは例えば「モリカケ、桜の安倍」と思いますが、ということで産経のいつもの「民主党への悪口雑言」です。
 おそらく先日亡くなった石原について「都知事時代はおごっていたが、都知事を辞めてからは完全に過去の人。後任知事のうち、石原都政で副知事だった猪瀬はともかく、桝添や小池は子飼いでも何でも無い。長男・伸晃*1も落選。石原派は崩壊し、伸晃復権の見込みは乏しい。三男も政治家だが元幹事長の長男と違いろくな役職についておらず今後に期待できない(石原伸晃の衆議院選挙落選で、半世紀以上続いた石原慎太郎とその子どもたちの日本政治(東京都政ふくむ)への影響も事実上終わったのだろう(石原宏高はそれほどの能力はないだろう) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)」「おごれる石原も久しからず」と言えば「石原氏を馬鹿にするな!」と激怒するのでしょうが(苦笑)。
 あるいは、「バイキング打ち切り」等をネタに「おごれるフジも(以下略)。昔(1980年代)は高視聴率だったのに今は老舗である日テレ、TBSどころか昔は格下だったテレ朝やテレ東相手にも視聴率で負けることがあるらしいですね。フジの支援を受けてる産経の前途も暗いなあ(嘲笑)」と言えばこれまた激怒なのでしょうが。
 「フジ、低迷」などでググるといろいろと記事もヒットします。
【参考】

年収2000万円は今や昔 落日のフジテレビに見切りをつけた若手社員たちの本音(木野 活明) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
「社員の人員構成として比較的高齢者が多くて、若手層が少ない。逆ピラミッド型になっている。満50歳以上の社員のセカンドキャリアの手伝いをしたい。通常の退職金に加え優遇する」
 11月25日、フジ・メディアHDと子会社のフジテレビの社長を兼務する金光修社長は早期退職者募集を発表した。対象となる社員は満50歳以上、勤続10年以上だ。金光社長は「少ない若年層は中途入社を募集している」と、若年層の中途採用をあえて付け加えた。
 だが、今回の「リストラ」成功で、フジテレビが窮地から救われるかといえばそうはいかないようだ。同社には切羽詰まった事情がある。若手・中堅社員の退職問題だ。今年、同社を退職した元社員が諦めたような口調で吐露する。
「早期退職制度でやめる50代は、もう逃げ切ったようなものです。むしろ、若手社員が続々辞めていることが大問題です。フジ全体でこの数年で40人ぐらいが退職していますが、その多くは30代、入社10年強の若手中堅社員です。一方50代過ぎの高齢社員は辞めないで残ってきた。フジテレビはいま非常事態の渦中に追い込まれているんです」
 フジテレビの場合、若年層が退社していく事情は他の企業とはかなり異なる。入社間もない社員が退社していくのではなく、キャリアを積んだ中堅幹部が次々に退社しているという違いだ。
 中堅社員の人材流出は枚挙に暇がない。2019年1月にはドラマ『コード・ブルー』で知られる有名プロデューサー・増本淳氏が43歳で退職。同年6月には『恋仲』『好きな人がいること』の藤野良太プロデューサーが入社14年目で退職、藤野氏のもとでディレクターを務めた金井紘氏も退職した。いずれも現在はフリーで活動している。
 フジテレビが非常事態に陥っている元凶は何か。
 最も大きな原因は、日枝久フジ・メディアHD相談役(84歳)と、同社と子会社のフジテレビ会長を兼務する宮内正喜氏(77歳)による「日枝・宮内体制」だという。日枝氏は1988年にフジテレビ社長に就任、その後も会長を務めた。相談役に就いた2017年以降も、フジサンケイグループ全体の「ドン」として、人事権を含め絶大な権力を今も持つ。
 宮内会長は日枝氏が社長時代に秘書を務めた側近だ。2007年に系列の岡山放送の社長として出向したが、2015年にBSフジ社長として東京に戻り、2017年はにフジ・メディアHDとフジテレビの会長に就任。日枝相談役と二人三脚でグループを牛耳っているという。
 後編(昔は年収2000万、いまや700万 どん底に落ちたフジテレビ社員たちの肉声(木野 活明) | 現代ビジネス | 講談社(1/4))では、この7月の番組編成局長人事の余波、そして企画の自由さもカネもすべて失われた制作現場の社員たちの肉声を紹介する。

昔は年収2000万、いまや700万 どん底に落ちたフジテレビ社員たちの肉声(木野 活明) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
「フジは日枝相談役の傀儡政権が続いています。今年7月、テレビ局の心臓部にあたる番組の編成制作局長に矢延隆生氏が就任したのは、『日枝人事』と呼ばれました。歴代の編成制作局長に比べれば、矢延氏にはこれといった番組の実績もない。東京海上出身の中途入社組が制作トップになったことで、若手のモチベーションは大きく下がりました」
 こう語るのはフジの現役ディレクター社員の一人だ。
 この矢延氏、フジテレビのイベント『お台場合衆国』でカラオケを熱唱する姿を日枝氏が見初めたことで、出世の階段を上っていったというのは局内では有名な話だという。
「面白いものを作り斬新な意見を言う社員より、自分たちの指示通りに動き、問題を起こさない社員を登用し出世させていく。ゴマをする社員だけが出世していく。それがハッキリした人事でしたね」(同・社員)
 別のバラエティ番組の40代社員も呆れたようにこう述べる。
「もはや自分の企画は通らなくなりました。冒険しようとする企画はまず通らない。その代わり他局で当たっている番組の二番煎じ、三番煎じの番組ばかりやりたがる。かつてのフジは他局でやっていない面白いものを作ろう、というのがフジテレビの文化でした。私たちはそこに惹かれて入社してきたんです。いまのフジはかつてのフジとまったく逆になっている」
 こうした社内の動きが業績に表れないはずはない。フジHDの2021年3月期連結決算は売上げが5199億円と前期比17.7%減。営業利益162億円で同38.2%減、純利益は101億円と75.5%の大幅減益となった。
 テレビ局の人気と実力を表す視聴率でも大きく下落している。ビデオリサーチの調査による2022年3月期(2021年4月~2022年3月)における上期視聴率では、各局が最も力を入れるゴールデンタイムで、フジテレビは主要6局(NHK含む)の中で5位の7.4%に留まっているのである。まさに「振り向けばテレビ東京」の位置なのだ。
 フジが非常事態に追い込まれているもう一つの原因はカネの問題だ。
 まず給与である。かつてはプロデューサーであれば「40代で年収2000万円」とも言われ、同社には外車を乗り回す社員が山ほどいた。日本で最も高い給与を貰う会社のひとつとして、入社希望者も殺到していた。サラリーマンの憧れの会社だったと言っていいだろう。
 だが、いまの社員給与は普通の大手企業並みだという。制作現場の若手ディレクターのひとりが悔しそうに言う。
「いまの私は50代社員の7割程度の給与しかもらっていません。私の下になるとさらにその7割、30代半ばでも年収が1000万円に届かず、平均700万円台が相場でしょう。ボーナスもかつては250万円、300万円と貰っていましたが今は30代後半でも100万円というところ。人事に不満があっても、給与がよければ退社は我慢するでしょうけど」
 さらに制作現場で諦めと怒り、不満が交錯しているのが番組製作費の激減である。製作費はこの10年で約半分に削られたという。
「深夜番組1時間であれば『150万〜200万円で作れ』と指示が平気で来ます。10年前なら30分の番組で300万〜400万円をかけていましたから、いまや制作費は4分の1まで削られたといっていい。これではまったくモチベーションが沸かない」(40代の現場社員)
 当然ながら、製作費の大幅カットは現場の制作会社にもしわ寄せがくる。他局の社員プロデューサーがこう語る。
「うちの局も、製作費は決して高くはありませんが、『フジの製作費が激減したので、もうやっていけない』とうちの局に移る制作会社が増えてきていますね。フジは資本関係のある制作会社しか使わなくなっているので、新しい企画も入ってこないようです。製作費も企画も自由さがないフジには、放送作家も集まらなくなってきている。貧すれば鈍する、でしょう」

〈約90億円の特別損失計上〉フジテレビ早期退職募集 “日枝久代表”83歳にいつまで残るか聞くと… | 文春オンライン: 週刊文春 2022年2月10日号
 フジ・メディア・ホールディングスは、3日、子会社のフジテレビが実施した希望退職の募集に伴い、約90億円の特別損失を計上すると発表した。同社希望退職者の「優遇措置」も報じられていたが、局内では、トップに君臨し続けている日枝久フジ・メディア・ホールディングス社長(83)への疑問の声が上がっている。
 フジ・メディア・ホールディングスは11月25日、傘下のフジテレビで希望退職を募集すると発表した。対象者は50歳以上で勤続10年以上の社員。通常の退職金に加え、特別優遇加算金を支給する。内部資料によれば、対象者には局長らが個人説明を行うという。
「直近の中間連結決算では在京キー局5社で唯一、前年比で減収となったことなどが背景にあります。他方、金光修社長は会見で『比較的高齢者が多くて、若年層が少ない。逆ピラミッドになっている』ことも理由に挙げました」(経済部記者)
 だが、フジ局員からはこんな声が上がっている。
「『高齢者が多い』と言うけれど、“日枝天皇”は一向に辞めないじゃないか」
 88年にフジテレビ社長に就任して以来、約30年間、フジテレビのトップに君臨してきた日枝久氏(83)。17年6月で会長を退いたが、現在も約80社を束ねるフジ・メディア・ホールディングスの代表という立場だ。フジテレビの取締役相談役のほか、産経新聞の取締役相談役など数多くの役職を兼任している。

 83歳でフジ・メディア・ホールディングス社長(後に退任したようですが)というのも酷いですが、こういう記事が載ること自体、「フジの凋落」でしょう。

『スカッとジャパン』3月で打ち切りに 早期退職募集の「フジの苦境」(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース2022年1/12(水)
 フジテレビが看板番組に大鉈を振るっている。昼の『バイキングMORE』に加え、月曜夜8時台の人気バラエティ『痛快TVスカッとジャパン』が3月いっぱいで終了することが決まった。同局のプロデューサーはこう話す。
 「すでに司会のウッチャンナンチャン内村光良さんには打ち切りが伝えられています。最近では視聴率が6%台と低迷していて、『スカッと』の後に放送されていた月9ドラマ『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』とは5%近くの視聴率の差がつけられることもあり、視聴者離れが深刻でした。今後は特番での放送が予定されています」
 打ち切りの理由は視聴率低迷だけではなく、フジ側の懐事情もあるという。前出のプロデューサーが続ける。
「局内ではバラエティ番組のコスト高が問題視されています。再現ドラマの出演者のコストに加え、スタジオでのコストもかかる『スカッと』は、同じく視聴率が低迷している『ネプリーグ』とともに、近年では改編のたびに名前が挙がっていましたので、聞いたときは『いよいよか』と思いました」
 コストカットはフジの中でも急務となっている。1月からは50代以上の社員を対象とした早期退職希望者を募り、1億円近いとも言われている特別加算金も付けたが、応募の出足は鈍いという。別のフジ社員はこう話す。
「500人弱はいるバブル期に入社した50代社員の人件費を削ろうとしていますが、会社にしがみつく人間が多く、逆に現場ではバラエティを作れる若手の人材が離れていっています。給料だけでなく番組経費も削られているため有能な若手はすぐに独立したり、フリーでYouTube制作に回ってしまい、制作サイドも限界が来ている。今のフジはドラマが好調で、視聴率は大きく跳ねなくとも『TVer』などの見逃し配信で稼げている。4月からは水曜10時からのドラマ枠を6年ぶりに復活させ、連ドラ枠を4つ抱えることになる。これからは『ドラマのフジ』路線でいこうとしています」

内村光良のフジ新番組に「『スカッとジャパン』と同じ」の声! 年末SPは視聴率5.2%と撃沈(2022/01/13 15:37)|サイゾーウーマン2022/01/13
 フジテレビ系で放送中のバラエティ番組『痛快TVスカッとジャパン』が、3月いっぱいで終了し、4月から新たに『あしたの内村!!』がスタートすることがわかった。『スカッとジャパン』に引き続き、ウッチャンナンチャン内村光良がMCを担当するというが、ネット上には「フジは何がしたいのか」と疑問の声が相次いでいる。
 「『スカッとジャパン』は、日常でのムカッとする出来事を機転の利いた対応で解決したという“スカッと”エピソードを視聴者から募集し、ショートドラマ化して放送。そのVTRを見たスタジオ出演者でトークを展開するという内容です。1月12日配信のニュースサイト『NEWSポストセブン』の記事で、“視聴率低迷”などを理由に終了すると報じられました」(芸能ライター)
 同番組は通常、月曜午後8時からの枠でオンエアされており、近頃の世帯平均視聴率は6%前後を推移(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。昨年12月20日に夜7時から放送された『痛快TVスカッとジャパン USJのスカッと実話SP大人気の裏側を公開!』は5.2%と、同日の裏番組『世界まる見え!テレビ特捜部 ウソかマコトか?SP!』(日本テレビ系)の11.1%や、『クイズプレゼンバラエティーQさま!! 3時間SP』(テレビ朝日系)の10.4%、『CDTVライブ!ライブ! クリスマス4時間スペシャル』(TBS系)の7.7%と大きく差が開いている。
「『NEWSポストセブン』の報道翌日である今月13日、正式に『スカッとジャパン』終了と新たに『あしたの内村!!』が放送されることが発表されました。『あしたの内村!!』は昨年9月25日と今月3日に特番が放送されており、このたびレギュラー化。“もし、あした○○するなら”をテーマに制作されたVTRを見て、スタジオ出演者がトークを繰り広げる番組となっています」(芸能ライター)
 しかし、ネット上には「テーマが違うだけで、VTRを見てスタジオトークをするなら『スカッとジャパン』と変わらない」「『スカッとジャパン』で視聴率取れなくて終了するのに、結局同じような番組を放送するの?」「ウッチャンは好きだけど、『あしたの内村!!』で視聴率アップするとは思えない」「ただリニューアルしただけに見えるけど、フジは何がしたいんだろう?」といった指摘の声が上がっている。

*1:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任