維新は経済的弱者の味方?

「維新の会は『経済的弱者の味方』」…? 有権者の「政党イメージ」を調査して見えた驚きの結果(坂本 治也) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)
「維新は経済的弱者の味方」と考えているのは「政治を知らない人」なのか? 調査から見えた結果(坂本 治也) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)*1

 大阪において維新は府政や市政の与党として権力を持ちつつ、中学校給食の実施、一部自治体での幼児教育無償化、低所得世帯向けの私立高校授業料無償化や塾代助成などの子育て世代に訴求力のある政策をこれまで実施してきた。
 もちろん生活保護世帯や生活困窮世帯についての政策への評価抜きに、教育・子育て支援の政策実績*2だけで維新を「経済的弱者の味方」と呼べるかどうかは、本来は大いに疑問が残るところであろう。しかし、教育・子育て支援の恩恵を受けた有権者の目には、大阪維新は「私たち=経済的弱者の味方*3」と映ってしまうのも十分理解できる話である。
 もし筆者らの調査で明らかになった維新に対する好イメージが有権者全体の中で確かなものとして存在し、今後も変わらず続くようであるならば、2022年7月に実施予定の参議院選挙においても、国政政党としての維新の躍進が再び見られる可能性が非常に高い*4といえよう。

 確かに「信じがたい調査結果」ですが、「調査結果に重大な間違いがある」のでなければ、これを前提に維新との戦いを考えていく必要があるでしょう。正直俺からすれば、公明、社民、共産やれいわならまだしもおよそ信じられませんが。ここからは「公明、社民、共産やれいわの票」の一部を維新が食ってる可能性がある(昨年の衆院選での共産の議席減は維新に票が食われたこともあるかもしれない)と言えるでしょう。理解に苦しむのはこの論文によれば「維新の右翼性」を評価する層の投票で一方では維新が自民や国民民主の票も食ってると言うことですが。

(2)年齢が高いほど「維新は経済的弱者の味方」と捉える傾向が強い

 これは理解に苦しむところですね。「高年齢層=年金受給者が多い」で維新への批判意識は相対的に強いかと思っていました。
 都構想住民投票敗北時に維新支持層が「シルバーデモクラシー」云々と高齢者叩きをしてましたし。

(4)会社員(正社員)*5に比べると公務員は「維新は経済的弱者の味方」と捉える傾向が弱い

 維新が無茶苦茶な公務員叩きをしていることを考えれば理解できるところです。「維新の被害を現在受けている」大阪の公務員は勿論、他県の公務員も「常識的に考えて大阪が突出して恵まれてるわけはない→維新の公務員叩きはおかしい」と思ってるでしょう。

 行政の仕事をできるだけ民営化・民間委託*6すべきと考える者ほど、また日の丸や君が代を大切に考えたり、天皇や皇室に愛着を感じたりする者*7ほど、維新に対して好意的な感情を抱く傾向があることがわかった

 この点は予想の範囲内ですが、今回の調査結果が「維新は弱者の味方という見方が強い」という調査結果も含めて「全て正しい」ならば、「新自由主義&極右性支持」と「経済的弱者の味方」という評価が「維新支持層」において両立する辺りが理解に苦しむところです。
 なお、当然のことながら「維新がそうした点で支持を受けてるから」といって
1)「維新」の「弱者の味方」イメージが間違いとアピールすると共に、自らの弱者救済策を強く訴える
のならともかく
2)「維新の新自由主義と極右路線*8」を真似ようというのは勿論間違っています。
 そうした「新自由主義と極右路線」を真似て「伸びるかどうか」自体疑問*9ですが、政治にとって大事なことは「筋を通すこと」です。一時的な人気取りに走ることではない。
 まあ、小生の支持政党である共産について言えば「天皇制を闇雲に否定はしない」「天皇制支持層とも弱者救済など可能な限り共闘していく」と右(保守派)にもアピールすることは必要でしょう(というか既にそうした「右へのアピール」を「大阪都構想反対での自民との共闘」「沖縄基地問題での翁長氏など保守派との共闘」など、ある程度、共産党はやっていますし、一定の成果があるからこそ、「一部の穏健保守」の支持も得て今も共産党が国会や地方議会に議席があるわけですが。そうした共産党の実績を過大評価するのも不適切ですが、「共産党ほどの実績もない阿部治平や広原盛明」が共産党に悪口するのも全く「自分を棚に上げたふざけた話」です)。この論文も「左右にウイングを伸ばすことの重要性(維新は右翼政党と思われてるが意外にも左派の一部も獲得してるらしい)」を指摘していますが、それは「闇雲に天皇制支持層(右派)に媚びること」とは違うわけです。それでは「ただの嘘つき」になってしまう。
 共産党を例にすれば、あくまでも「自分たちは天皇制を廃止すべきだと思ってる」と語った上で「天皇制支持層*10」との一定の共闘を図る。
 なお、この現代ビジネス論文について「維新が最大の打倒すべき仮想敵」と語るid:kojitaken氏の反応を見たいので以下の通り投稿しておきます。

維新、西宮市長選と同市議補選で会心の3タテを食う。祝・全員落選\(^○^)/ - kojitakenの日記に投稿
 この記事に投稿するのは、この記事が維新に触れた貴ブログの最新記事だからで深い意味はありません。
 「維新主敵論」を主張するあなたの感想を見てみたいと思い以下の記事を紹介しておきます。
「維新の会は『経済的弱者の味方』」…? 有権者の「政党イメージ」を調査して見えた驚きの結果(坂本 治也) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

 さて果たしてid:kojitaken氏の反応はいかに。
 俺の予想では本命が「俺のコメント掲載を拒否した上で現代ビジネス記事には簡単にであれコメント」。
 対抗が「俺のコメントを掲載拒否し、現代ビジネス記事にもノーコメント」
 穴が「俺のコメントを掲載し、現代ビジネス記事にもコメント」
 大穴が「俺のコメントを掲載し、現代ビジネス記事にはノーコメント(というか、考えがまとまってないのでコメント保留という趣旨のコメント)」ですね。
 俺は「狭量な性格」の彼が「俺のコメント」を素直に掲載するほど「人間ができてる」とは全く思っていません。
 とはいえ、「アンチ維新」の彼の立場では「現代ビジネスの維新評価論文にコメントしたい」と思うのは自然な感情です。
 よって俺の予想では本命が「俺のコメント掲載を拒否した上で現代ビジネス記事には簡単にであれコメント」ですね。
 その後の対抗、穴、大穴は1)kojitaken氏にとって毛嫌いしてる俺のコメントはできる限り拒否したいだろう、2)掲載する場合は何らかのコメントをしたいときだけだろうという判断による順位付けです。

*1:「政治を知らない人」が「新聞やテレビの政治ニュース」を読んだり、見たりしない人を意味するならばアンケート調査結果上は、それは違うという指摘がされています。ただし維新支持者は「維新べた褒めの政治ニュースしか見ない」「維新批判ニュースを見ても頭ごなしに否定する(いわゆる認知的不協和)」という「可能性もある(アンケート調査結果ではそこまでわからない)」のでそういう意味では「政治を知らない人(政治ニュースから客観的に維新を評価しようとはしてない人)」とは言えるかもしれないとも指摘されています。

*2:勿論これだってどれほど評価できるか議論の余地はありますが、それはひとまずおきます。

*3:こういう人間にとっては「経済的弱者の味方」(勿論維新はそんな代物ではありませんが)であれば「極右でもいい(あるいはむしろ極右の方がいい)」んですかね?

*4:げんなりしますが地道に戦うほかはないのでしょう。

*5:「正社員」とわざわざ書いていると言うことは「非正規」の維新評価はまた違うのかもしれません。まあ今の「非正規が増えた日本」において「正社員」は「経済的弱者」とはとても言えませんが。

*6:俺個人は「民営化、民間委託してはいけない」とは思いませんが一方で「できる限り民営化、民間委託すべきだ」とも思いません。ケースバイケースである。但し日本において民営化、民間委託は「ただのコストカット」にすぎず「サービス低下」や「サービスを提供する労働者の雇用条件切り下げ」といった問題を生んでることが多いと思うので、その点に注意が必要であり、民営化・民間委託万歳の人間はその点への配慮が足りないことが多いとは思います。

*7:そうした認識を持たない小生からすれば「何だかなあ」感がありますね。

*8:この論文は衆院選での「維新の躍進」「立民の議席減」について「岸田政権が立民との対抗から安倍時代新自由主義、極右路線を弱めたこと(そもそも岸田自身も安倍ほどの極右ではないでしょうが)」で1)「立民から自民に動いた」一方で、2)「安倍時代自民の新自由主義と極右性」を評価した層が自民から維新に動いたとみています

*9:党支持層や党所属議員に右派を抱える国民民主や立民ならともかく、左派の共産や社民が維新の真似をできないことは勿論言うまでもありません。

*10:とはいえ「リベラル保守天皇制支持」ならともかく「女帝反対」というタイプの「極右の天皇制支持」とは共闘は到底無理ですが。