今日の中国ニュース(2022年4月21日分)(副題:朝日新聞の反中国・デマ記事に呆れる)

中国の国恥地図、面積は今の2倍 指導者の底流にある「帝国の残像」 [中国新世]:朝日新聞デジタル(北京=林望*1
 「産経か?」「朝日もここまで劣化したか。こんなことだからウヨの峯村が編集委員になれるのか?。林も峯村のウヨ仲間か?」と言いたくなるアホ記事です。
 今の中国政府(1949年建国)と「いわゆる国恥地図(1920~1930年代に発行)」には直接的な関係は何もない。
 そもそも「国恥地図」発行当時ですらまさか「今の2倍の面積を取り戻す」という意味合いで発行したわけではないでしょう。
 そもそもこの朝日の「詭弁」なら、今の中国政府よりも「当時の中国政府(蒋介石政権など)」がこうした考えだったとみなせるでしょう(もちろん、民間発行の地図ですし、中国が欧米列強や日本の侵略を受けていた当時、それを跳ね返すことに手一杯の当時の中国政府が「今の2倍の面積を取り戻す」と考えてるわけもない)。
 そもそも「1930年代の日本」が「満州事変(1931年)や南京事件(1937年)」を起こした侵略国家だったことをこういう御仁はどう思っているのか。「1920~1930年代の地図」で今の中国政府に因縁をつけていいなら「1930年代の日本の行為(満州国建国、南京事件など)」で「今の日本を非難してもいい」わけです(とはいえ、産経などウヨは、南京事件否定論を放言するなど、1930年代の日本を正当化して恥じないわけですが)。
 なお、このアホ記事には

[B! 中国] 中国の国恥地図、面積は今の2倍 指導者の底流にある「帝国の残像」:朝日新聞デジタル
◆k_igrs
 朝日新聞産経新聞のような記事を書いているのが衝撃。
◆BigHopeClasic
  というか、今でも中華民国=台湾はこの地図に書かれている範囲=清朝の全版図を引き継ぎ、これが正当な全領土だと中華民国憲法で定めている
◆urandom
  「国恥地図」的な領土の認識は一貫して(ボーガス注:中華)民国政府のものなので、(ボーガス注:中華)人民共和国と関連付けて論じるのは無理があると思う。
◆totoronoki
 最近作ったならともかく、100年前の地図だからなあ。日本だって100年前のものを持ちだされたら侵略思想が溢れてると思う。今の資料で論じてほしい。
◆nagaichi
 よりによって朝日がこのネタを取り上げるとはね。「帝国の残像」というより半植民地化の反動から出てきた近代ナショナリズムミームのひとつだろう。いまの中南海*2を分析するには、煽りが過ぎてノイズでしかない。
◆usi4444
 1927年の地図ですやん。中華人民共和国はモンゴルの独立を認めてるし、認めていないのは台湾(中華民国)の方なんですが。

という当然すぎる朝日批判ブクマがついています。


台湾のテレビ局が謝罪、中国が攻撃と誤報 | ロイター

 市民の間でパニックの兆候は見られていない。

 つまりは「侵攻を疑わせる中国の軍事動員」「侵攻の危機があるとする蔡英文の発言」など「事前にそんな侵攻の兆候は何もなかったこと」もあって「軍事訓練用のニュース(つまり事実でない)が間違って流れたんじゃね?(実際その通りですが)」と市民は冷静だったわけです。そもそも「ロシアへの経済制裁」「国連総会でのロシア非難決議」を目撃しながら中国が「独立宣言もない」のに「台湾が独立宣言しない限り侵攻しない*3」の国際公約を反故にすると考えるのは非常識極まりない(まあロシアの苦戦があろうとなかろうと、中国はそんな馬鹿なことは考えてないでしょうが)。

中国、台湾攻略のシナリオ練り直し ウクライナ長期化で: 日本経済新聞
 中国の安全保障問題に詳しい東大の松田康博*4教授は「台湾の武力統一のハードルが上がっただけに中国は核による軍拡スピード*5を加速させる」と予想する。巨大な核戦力を構築して米国の介入を退け「独立派」を封じ込めるとの見立てだ。
 防衛研究所地域研究部長の門間理良氏は「台湾本島の攻撃を見込みにくくなった習指導部が実績づくりのため、(台湾の南西に位置し、台湾が実効支配している)東沙諸島*6の奪還に動くシナリオも捨てきれない」と警鐘を鳴らす。

などの「台湾侵攻」云々がいかに馬鹿げているか。
 それにしてもこんなデマを放言するとは日経や松田教授、門間部長の脳みそは大丈夫なのか?

*1:イギリスはおいしい』(1995年、文春文庫)、『イギリスは愉快だ』(1996年、文春文庫)、『イギリスはおいしい2』(2001年、文春文庫)などで知られるエッセイスト林望 - Wikipedia(元・東京芸術大学助教授)とは同姓同名の別人。『習近平の中国』(2017年、岩波新書)の著書がある(アマゾンの著者紹介に寄れば、朝日新聞香港支局長、広州支局長など歴任)。しかし岩波もこんなトンデモウヨの本を出していいのか?

*2:中国政府のこと。「ホワイトハウス(米国政府)」「ダウニング街(英国政府)」「エリゼ宮(フランス政府)」「クレムリンソ連、ロシア政府)」「青瓦台(韓国政府)」などと同じ「場所名」による表現です。

*3:裏返せば「独立宣言すれば侵攻がありうる」わけで、勿論これは独立宣言封じの政治的牽制です。

*4:著書『台湾における一党独裁体制の成立』(2006年、慶應義塾大学出版会)、『現代台湾の政治経済と中台関係』(編著、2018年、晃洋書房)など。アマゾン紹介によれば「元・防衛庁防衛研究所主任研究官」

*5:中国が核軍拡するかどうか、また核軍拡したとして、その是非はともかく(「反核派の俺」は勿論「非の立場」ですが)、赤旗米未臨界核実験に抗議/被爆者や平和団体の指摘で分かるように「米国が今、核軍拡を進めています」。中国が「米国との対抗で核軍拡」したとしても不思議ではない。そもそも米国の核軍拡の目的の一つは「核兵器で中国を圧倒すること」でしょうし、それを中国も「何もせずに」傍観するほどお人よしでもないでしょう。したがって仮に中国が今後核軍拡したとしても(するかわかりませんが)、そうした核軍拡は必ずしも「台湾武力統一方針」を意味しない。また、日経や松田教授のように米国の核軍拡を批判せず、中国の核軍拡を批判するのは「醜い二重基準、ご都合主義」でしかない

*6:そもそも軍事的に奪還できるかどうかも怪しいでしょうが、仮にできたとしても台湾本土住民の反発を買うだけの行為をするわけもない。プーチンの行為「ウクライナ全面侵攻」は「あくまでも異常」なのであり、中国政府を「プーチン並みの狂人」扱いするのは非常識でしょう。