高世仁に突っ込む(2022年8/12日分)

中村哲医師に学ぶ世界の不幸への向き合い方 - 高世仁のジャーナルな日々

 日本の自然科学分野での研究力が下がり続けていることがわかった。

 それは、以前から“科学技術強国”中国の躍進と日本の厳しい現実|まるわかりノーベル賞2018|NHK NEWS WEBなどが指摘していることであって昨日、今日分かったことではない。勿論下がってる大きな理由は「科学予算が減ってること」です。
 「国立大学法人化」以降は大学予算がどんどん減ってる。その結果、中国の千人計画に応募して日本を飛び出す研究者もついに現れた。何せ【1】日本ではいつまで経っても、非常勤講師扱いが、中国では准教授で雇ってくれるだの、【2】研究費もちゃんとつけるだの、【3】雑務は全て事務局がやるから安心して研究しろだのという好待遇なら中国に行っても何らおかしくない。
 まあ、日本では文科相(文相)ポストの政治的価値は低いですからね。
 「三角大福中(三木*1、田中*2、大平*3、福田*4、中曽根*5)」「安竹宮(安倍*6、竹下*7、宮沢*8)」などといった歴代派閥ボスの多くは「文相経験者ではない」。
 今回の文科相永岡桂子*9)も「初入閣」で大物議員とはとても言えない。日本人多数は「教育に興味関心がない」のでしょう。
 一方で岸田は「国防費を増やす」と言い出す。どこまでバカなのかと心底呆れます。日本にとっての「中国の脅威」とは「軍事力」ではなく「科学技術力」でしょうに。
 先日も知人と「家電量販店に行くと白物家電はハイアールだし、スマホはファーウェイだし、パソコンはレノボ(なお、富士通NECは既にレノボの子会社です)だし、イヤー、中国の経済発展は本当にスゴイね。昔はそんなこと考えられなかった」なんて話をしましたがそういうのを岸田はどう思ってるのか。

 このままでは次世代産業へとつながる最先端分野で軒並み中国の先行を許す*10可能性がある。
 そうなれば、「中国の特色ある社会主義」の方が、欧米の民主主義より優れているとして中国がますます強硬路線を突っ走るということにもなりかねない。

 高世はどんだけ中国を偏見まみれで敵視してるのか。そもそも「強硬路線て何や?」ですね。
 最近の台湾騒動は「ペロシが中国の反対を無視して訪台したこと」が原因だし、少数民族問題(チベットウイグル)なら「トルコやイラン(クルド問題)」「ロシア(チェチェン問題)」などにも存在する話であって中国限定じゃない。小生は中国が「強硬路線だ」などとは全く思っていません。

 将来を見越して科学、産業を育てる戦略が、岸田総理の「新しい資本主義」には全く見えないことを憂慮している。

 そういうことよりもむしろ「新しさが全く感じられないこと」が問題ですね。
 岸田の「新しい」とは、主として「所得再分配の強化(格差是正)」のはずだったのが、どこにもそんな物は見当たらなくなっている。


「政治の意図」が統一教会を野放しにした - 高世仁のジャーナルな日々

 私は「サングラハ教育心理研究所」のコスモロジーセラピー・インストラクターという肩書*11もある。去年から、セラピーに使える教科書を執筆*12し始めたのだが、ちょっと行き詰って、もう一度基礎から勉強しなおそうと、宇宙論を中心に読んでいる。
この1カ月で読んだのは;
①ブライアン・グリーン『時間の終わりまで~物質、生命、心と進化する宇宙』(講談社、2021)
②カルロ・ロヴェッリ*13『世界は「関係」でできている~美しくも過激な量子論』(NHK出版、2021)
③ポール・ナース『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ダイヤモンド社、2021)
④小林憲正*14『宇宙からみた生命史』(ちくま新書、2016)
⑤アーヴィン・ラズロ『生ける宇宙~科学による万物の一貫性の発見』(日本教文社、2008)
⑥フランク・ウィルチェック*15『物質のすべては光~現代物理学が明かす、力と質量の起源』(早川書房、2009*16
⑦村山斉*17『宇宙はなぜ美しいのか~究極の「宇宙の法則」を目指して』(幻冬舎新書、2021)
⑧日本科学情報『宇宙一わかる、宇宙のはなし』(KADOKAWA、2021)
⑨ローレンス・クラウス*18『宇宙が始まる前には何があったのか?』(文藝春秋、2013)

 吹き出しました。高世も完全に「ジャーナリスト復帰」を諦めていますね。なお、前も書きましたが「生き方の問題(価値観の問題)」と「宇宙論(事実の問題)」は何の関係もないという意味で高世の主張は馬鹿げています。

*1:片山内閣逓信相、鳩山内閣運輸相、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣科学技術庁長官、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*2:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*3:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、蔵相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*4:岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*5:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*6:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*7:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*8:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*9:第一次安倍内閣農水大臣政務官、第三次安倍内閣厚労副大臣、第四次安倍内閣文科副大臣などを経て岸田内閣文科相

*10:「日本と中国」の関係はそうかもしれませんが、欧米との関係は違うのではないか。現状は「科学研究分野では日本一人負け」ではないか。

*11:民間団体「サングラハ教育心理研究所」の作った代物に過ぎず国家資格ではないので勿論「どこまで信用できるか分からない代物」です。

*12:「教科書を執筆(仰天!)」ですか?。まあ「サングラハ教育心理研究所」内部の会員向けテキストであって、市販はしてないのでしょうが。さすがに「統一教会と同一視はできない」とはいえ、「統一教会を批判してる男」が怪しげな団体に深入りするのには失笑しますね。

*13:著書『すごい物理学講義』(2019年、河出文庫)、『すごい物理学入門』(2020年、河出文庫) など

*14:横浜国立大学名誉教授。著書『アストロバイオロジー』(2008年、岩波科学ライブラリー)、『地球外生命:アストロバイオロジーで探る生命の起源と未来』(2021年、中公新書)など

*15:2004年にノーベル物理学賞を受賞。著書『すべては量子でできている:宇宙を動かす10の根本原理』(2022年9月刊行予定、筑摩選書)

*16:後に2012年、ハヤカワ・ノンフィクション文庫

*17:著書『宇宙は何でできているのか』(2010年、幻冬舎新書)、『宇宙は本当にひとつなのか』(2011年、講談社ブルーバックス)、『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?』(2013年、朝日新書)、『宇宙になぜ我々が存在するのか』(2013年、講談社ブルーバックス)、『宇宙を創る実験』(2014年、集英社新書)など

*18:著書『物理学者はマルがお好き』(2004年、ハヤカワ文庫)、『ファインマンさんの流儀:量子世界を生きた天才物理学者』(2015年、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)など