アイスランドの面白い「名前ルール」&産経の安倍万歳に今日も呆れる(2022年8/17分)

【産経抄】8月17日 - 産経ニュース

 世界経済フォーラムが先月発表した各国の男女格差の度合いを評価する「ジェンダーギャップ指数」では(中略)13年連続で1位の座を守っているのが、アイスランドである。世界で初めて選挙によって*1女性の国家元首*2を誕生させた国は、現在も女性首相のヤコブスドッティル氏が率いる。

 アイスランドに限らずこの種の調査では北欧が強いですね。つまりは「北欧を参考にすれば改善する」つう話でしょう。
 それにしても日本で「未だに女性首相の可能性が皆無であること」には嘆息ですね。
 ちなみに「話が脱線します」がアイスランドの大統領 - Wikipedia
アイスランドの首相 - Wikipediaによれば

◆初の女性大統領が「フィンボガドッティル」で、2009年の女性首相が「シグルザルドッティル」、今の女性首相が「ヤコブドッティル

です。偶然にしては「ドッティル」が多い気がするので、「アイスランドのドッティル=日本だと女性の名前に多い『子』にあたる?」と思って少し調べてみます(といっても所詮、ウィキペディア参照ですが)。
 結論から言えば俺の予想は「概ね、当たり」ですね。 アイスランド人の名前 - Wikipediaによれば「ドッティル」とはアイスランド語で「英語のdaughter(娘)」に当たる言葉です。つまりは言葉の意味としては「フィンボガドッティル=フィンボガの娘」「シグルザルドッティル=シグルザルの娘」、「ヤコブスドッティル=ヤコブスの娘」ですね。
 ちなみに男性の名前だとアイスランドでは「何とかソン」と言うのが多いですが、これも「勘の鋭い方は気づいた」でしょうがアイスランド人の名前 - Wikipediaによれば「ソン」とはアイスランド語で「英語のson(息子)」に当たる言葉です。
 これについては後でググって見つけた記事をいくつか紹介しておきます。

 (ボーガス注:アイスランドの)転機となったのは、(中略)2008年の金融危機だった。世界中から高金利で資金を集めていた銀行は次々に破綻、通貨も暴落した。当時銀行のトップと政府の要職はすべて男性が占めていた。意思決定に女性が加わらないと国が危ういと、国民が悟った結果だった。 
▼日本のジェンダーギャップ指数は116位、先進7カ国(G7)の最下位であり、中国や韓国よりも低い。日本経済の長期にわたる低迷と男女格差の問題は無関係ではない。そう見抜いていたからこそ、故安倍晋三元首相は「女性活躍」の旗を振り続けたのだろう。

 いろんな意味で「何だかなあ」な産経記事であり吹き出しました。
 まず第一に女性活躍、男女平等を「金儲けの観点」からする辺りに呆れる。「きれい事ではあります」が基本は「女性の人権」という話でしょう。
 これは何も「女性の社会進出」に限りません。結果として「多様な価値観が金儲けにつながる」としても「外国人の人権」「障害者の人権」などにしても本筋は「企業の意思決定に外国人や障害者も加わった方が経営がうまくいく」つう話ではない。
 そもそも「ジェンダー指数が高ければ景気が良く、低ければ景気が悪い」と言う単純な関係にはないでしょう。まあ「ジェンダー指数が日本より高い中国(といっても欧米に比べたら低いですが)」が「景気がいいこと」は確かでしょうが、それは「鄧小平の改革開放」「習近平の一帯一路」などといった経済施策が大成功しただけの話でしょう。
 第二に「産経なら予想の範囲内だが、そこで安倍礼賛かよ(苦笑)」ですね。
 そもそも「安倍政権時代、ずっと指数は低いまま」「安倍以降の菅、岸田時代も同じ」なのだから「安倍の女性活躍施策は結果的に失敗した」つう話でしょうに何で手放しで安倍を美化するのか。

【参考:アイスランドの面白い「名前ルール」】

W杯最大のダークホース・アイスランド、名前が「ソン」だらけの謎…23人中22人も (1/2ページ) - zakzak2018.6.14
 シグルドソン、ビャルナソン、フィンボガソン。これは今大会に出場するメンバーの名前だが、実に登録メンバー23人中22人の名前の末尾に「ソン」が付く。唯一の例外であるGKスクラムは、デンマークとのハーフだ。
 この“謎”について駐日アイスランド大使館に問い合わせると、「確かに『ソン』の付く名字の方は多いですが、割合はわかりません。また『ドッティル』という方もたくさんいます」と回答した。
 背景には、アイスランド独特の命名の習慣がある。アイスランド人の男性の多くは、父のファーストネームに息子を意味する「ソン」を付けて、ラストネームにする。前述したチームの司令塔は、ラストネームがシグルドソン、父のファーストネームが「シグルド」というわけ。これによって、登録メンバーのほとんどが末尾に「ソン」が付くのだ。
 ちなみに女性の場合は、娘を意味する「ドッティル」を付けるそうで、大使館が「ドッティルという方も多い」と回答していたのにも納得がいく。2018年3月に行われたサッカー女子のアルガルベ杯のメンバーは、確かに「ドッティル」だらけだった。

アイスランド人の名前には名字がない?! | フィンツアー・スタッフのブログ|北欧専門旅行会社・フィンツアーのオフィスより2012.2.27
 2012年2月24日に大阪で行われた、「国際親善試合、キリン・チャレンジカップ」はご覧になったでしょうか。
 結果は、3-1の日本の圧勝でしたが、アイスランドは予想以上に動きが良かったですね。
 ところで、私もこの試合をテレビで友達数名と一緒に観戦しましたが、その友達の一人がある質問をしてきました。
 「アイスランド人の名字は、○○ソンしかないの?」というのです。
 確かに実況のアナウンサーは、パスが回るときに名前を言うのですが、ほとんどの人が「○○○○ソン」という名前でした。
 今回の来日選手リストを見るとなんと、すべての選手の名字は「ソン」で終わっておりました。
 アイスランド人の名字(に当たる部分)はどのようになっているのでしょうか。
 この名前は、実は父親の名前に男性であれば、「ソン」(son)/息子の意味)をつけ、女性であれば、「ドッティル」(dóttir/娘の意味)をつけます。いわば、「だれだれの息子」や「だれだれの娘」と言う「名前」がついていることにより、父親が誰かが分かるような仕組みとなっているわけです。
 例えば、アイスランド人で有名な歌姫・ビヨークの本名は、Björk Guðmundsdóttir(ビョーク・グズムンズドッティル)ですので、父親の名前は、「グズムンドゥル」さんと言うことになります。
 また、アイスランドでは名字で呼ぶ習慣が無いため、どんな人へでもファーストネームで呼ぶのが普通となります。
 たとえ、公式な場所や非公式な場所を問わず、アイスランドの大統領や首相への呼びかけでさえもファーストネームが普通です。
 ですので、本当にアイスランドの文化を知っているアナウンサーであれば、ファーストネームで呼ぶのが普通だったのかもしれませんね。少なくとも、アイスランドの慣習では・・・。

こちらアイスランド(12)家族の姓はバラバラ、大統領もファーストネーム呼び捨て!は鉄則〜小倉悠加│SAMEJIMA TIMES
 日本の首相*3である菅義偉氏に会い、いきなり「こんにちは、義偉さん」や「こんにちは、義偉」と呼び捨てで声をかける日本人はいないだろう。個人的な友だちでもないのに失礼だ。ふつうは「菅総理、こんにちは」だろう。
 アイスランドの首相はカトリン・ヤコブスドッティル氏だ。彼女と面識はないが、会えば「こんにちは、カトリン」と呼び捨てであいさつをすることになる。これがアイスランドでは最も正しい挨拶の仕方になる。
 たぶん「カトリン首相」でも問題ないと思うが、肩書きをつけて名前を呼ぶのは一般的でないため、やはり呼び捨てが一番無難。
 首相が国際的な慣習をご存知であることは言うまでもない。「ヤコブスドッティル首相」と呼ばれるのは慣れている。外国人からそう呼ばれるのは問題ない。が、アイスランド人からそう言われたら、失礼だと感じることだろう。
 不思議なもので、初対面の外人から「ユーカ、今日はありがとう」と言われても、ごく普通のことと感じる。これが初対面の日本人からの言葉だとしたら、ギョッとする。頭がおかしいのか?!というレベルに仰天することだろう。同じ言葉遣いでも、文化風習の違いで、これほど感じ方が変わるかと思うほど。
 (ボーガス注:アイスランドには)伝統的に「家系」をあらわす「姓」は存在しない!。ラストネームはある。それはなぜか?。ラストネームは「家系」ではなく、「誰が親であるか」の名前が特定できるシステムになっている。
 日本人には馴染みのないコンセプトではあるけれど、アイスランド人のラストネームは、伝統的に父親の名前と、その後に息子(son)ないし娘(dottir)が付けられるのだ。
 これを踏まえれば、カトリン・ヤコブスドッティル首相に(ボーガス注:日本では『ヤコブスドッティル首相』が一般的表記だが、アイスランドではカトリン首相ではなく)「ヤコブスドッティル(ヤコブの娘)首相」と呼びかけるのが、いかに場違いかをご理解いただけよう。想像してみてほしい。自分の名前(ボーガス注:ファーストネーム)があるのに、「yy娘・首相」と呼ばれたらどう感じるか?
 日本人は下の名前ではなく、姓である「鮫島さん」や「小倉さん」と呼びかける。外国人が相手ならば、ファーストネーム呼び捨ては親しい仲であることを示唆するが(古くは「ロン・ヤス*4」がよく知られていた)、外国人に対しても丁寧に呼びかけたい場合は、ファミリーネームを使う。例えばドナルド・トランプであれば、姓の前にプレジデントやミスターを付けて、プレジデント・トランプやミスター・トランプと呼びかけるだろう。親しい仲でもないのに、「ドナルド、こんにちは」はない。
 なのに、アイスランドではそれが真逆!
 最初は私もファーストネームで呼びかけるのには抵抗があり、下の名前にミスターやミズを付けて呼びかけていた。そして、一様に困った顔をされた。
 この時に、ファーストネームで呼ばれたい理由を教えてくれれば私も理解しただろう。当たり障りなく丁寧でありたいのに、下の名前はヤダという人が何人か続き、「なんで?」というのを、誰かに尋ねた気がする。そして私の常識が、またしてもくつがえされた。
 アイスランドでは、とりあえずファーストネームで呼びかけておけば間違いはない。首相であろうが、大統領であろうが、「ファーストネーム呼び捨て!」が鉄則だ。

【おもしろい豆知識】超独特な『アイスランド人の名前』の付け方│旅をする記
 1980年に世界で初めて直接選挙によって大統領にえらばれたアイスランドの女性(政治家)、「ヴィグディス・フィンボガドッティル」の名前はを分析してみてください。
 フィンボガの娘のヴィグディスとなりますよね?
 ドッティルは英語の「daughter」
 ソンは英語の「son」

アイスランドの苗字事情。○○ソンの理由とは? | TileLife コラム | アウトレットタイル専門通販サイト【タイルライフ】
 アイスランドでは 独自の姓制度があり、男性であれば自分の父親の 名前にソンを付けたものを名乗るそうです。
 ソン=Sonは息子という意味ですね。
 つまり、「ラグナル・シグルドソン*5」であれば、お父さんの名前は「シグルド」という事になります。
 女性の場合も父親の名を使いますが、ソンではなく 娘という意味のドッティル(dottir)をつけるそうです。

*1:「選挙によって」と書くのは選挙でなければ、単なる女性国家元首ならアイスランド以前に「宋慶齢(中国国家主席)」「イサベル・ペロン(アルゼンチン大統領)」がいるからです(選出もしくは任命された女性の元首の一覧 - Wikipedia参照)。

*2:ヴィグディス・フィンボガドッティル大統領のこと

*3:この記事の書かれた2021年5月8日当時

*4:レーガン大統領と中曽根首相のこと

*5:アイスランドのサッカー選手(ラグナル・シグルズソン - Wikipedia参照)