拉致問題関連図書の充実が「きわめて危険なこと」?【調査会NEWS3656】(R4.9.21): 荒木和博BLOG
全日本教職員組合*1(全教・宮下直樹委員長・日教組とは別組織)では9月8日、文科省に対し要請文書の撤回を求める要請文書を提出。そこでは文科省の要請を「危険なこと」とし、次のように要請しています。
1、8月30日付事務連絡「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係るご協力等について」 を撤回し、教育委員会等がこの通知にかかわる協力を学校に要請することがないよう周知すること。
2、内閣官房に、文部科学省を通じて図書館に図書等の充実について協力要請を求めたことが、図書館の自由を脅かすものであり、憲法に反するものであるということを伝えること。
(全文は全教のホームページにあります)
全教の声明には全く同感なので特に付け加えることもありません(あえて付け加えれば、荒木ら「巣くう会」批判もして欲しいところです。この件は文科省が自主的にやったと言うよりは明らかに荒木ら「巣くう会」と「巣くう会の後押しをする自民党右派議員」に屈服したという話だからです)。しかし「まだまだ批判が弱い」とはいえこうした批判が行われ、「小泉訪朝直後に田中均氏に酷い個人攻撃をして外務省退官に追い込んだ」のとは違い、荒木ら巣くう会も小声でしか反論できない(後述しますがマスコミも右翼系を除き荒木らに好意的ではない)辺り「良い方向に変化が始まった」と思いたいところです。
この件については
文科省、図書館に異例の要請 拉致関連本の充実依頼(共同通信) - Yahoo!ニュース
文科省が特定のテーマの本の充実を図書館に求めるのは異例。国民の「知る自由」を保障するため、権力の介入や圧力に左右されず資料を収集・提供することを理念として掲げてきた図書館には波紋や反発が広がる。
とマスコミも批判的です
なお、「全教(全労連加盟)=日本共産党の友好組織」なのでこれを契機に日本共産党にはもっと「家族会、巣くう会批判」にシフトして欲しいところです。
また、今のところ日本図書館協会、全国学校図書館協議会と言った業界団体は批判声明を出してないようですが早急に出して欲しいところです。
◆荒木ツイート
荒木和博 on Twitter: "令和4年9月21日水曜日「荒木和博のショートメッセージ」第890号。今日の「調査会ニュース(https://t.co/4D4KzEq2Wf)に書きましたが、文部科学省から都道府県に「図書館での拉致問題関連図書の充実」を要請したところ「危険なこと」だというクレームが付きました。 https://t.co/j4uWG9i0Ih @YouTube" / Twitter
拉致問題の本充実が「危険なこと」?(R4.9.21) - YouTube
5分57秒の動画です。そりゃ無法な政治介入なのだから批判されるのは当たり前でしょう。
例えば文科省が過去に「ハンセン病差別」「部落差別」などで同様の通知を出したことがあったのか(多分ない)。何故拉致だけ特別扱いなのか。そんなことが「拉致被害者帰国」とどうつながるのか。荒木ら救う会右翼が
【刊行年順(刊行年が同じ場合は著者名順)】
◆荒木和博『拉致救出運動の2000日』(2002年、草思社*2)
◆西岡力『拉致家族との6年戦争』(2002年、扶桑社)、『テロ国家・北朝鮮に騙されるな』(2002年、PHP研究所)
◆島田洋一『アメリカ・北朝鮮抗争史』(2003年、文春新書)
とはいえ島田の最新刊は、『アメリカ解体:自衛隊が単独で尖閣防衛をする日』(2021年、ビジネス社)で拉致関係ではありませんが。拉致の風化を西岡も自覚して、やる気を失ってるのではないか。一方、荒木は逆に拉致に固執しています。
◆萩原遼『拉致と核と餓死の国北朝鮮』(2003年、文春新書)
◆西岡力『北朝鮮の「核」「拉致」は解決できる』(2006年、PHP研究所)
◆荒木和博『日本が拉致問題を解決できない本当の理由』(2009年、草思社)
◆荒木和博『なぜ北朝鮮は崩壊しなかったのか』(2011年、光人社NF文庫)
◆荒木和博『山本美保さん失踪事件の謎を追う』(2012年、草思社)
◆荒木和博『北朝鮮拉致と「特定失踪者」』(2015年、展転社)
◆西岡力『横田めぐみさんたちを取り戻すのは今しかない』(2015年、PHP研究所)
とはいえ近年の西岡の著書は、『でっちあげの徴用工問題』(2019年、草思社)、『歴史を捏造する反日国家・韓国』(2019年、ワック文庫)、『でっちあげの徴用工問題(増補新版)』(2022年、草思社文庫)と「歴史修正主義本」ばかりで拉致関係ではありませんが。拉致の風化を西岡も自覚して、やる気を失ってるのではないか。
◆阿部雅美*3『メディアは死んでいた:検証北朝鮮拉致報道』(2018年、産経新聞出版)
◆荒木和博『北朝鮮の漂着船』(2018年、草思社)
◆篠原常一郎『北朝鮮と拉致問題を正しく理解するためのチュチェ思想入門』(2021年、育鵬社)
◆藤田隆司『北朝鮮よ、兄を返せ:「特定失踪者」実弟による手記』(2022年、ハート出版)
など「自分やウヨ仲間の著書」を文科省を利用して「公立図書館や学校図書館」に押し売りしようとしてるだけの話です。拉致被害者家族会もよくこんなクズ連中と交遊し続けるもんです。心底呆れます。
しかし「まだまだ批判が弱い」とはいえこうした批判が行われ、荒木ら巣くう会も「小泉訪朝直後に田中均氏に酷い個人攻撃をして外務省退官に追い込んだ」のとは違い、小声でしか反論できない(マスコミも右翼系を除き荒木らに好意的ではない)辺り「良い方向に変化が始まった」と思いたいところです。
なお、以前も書きましたが「さすがに文科省通知は、荒木(特定失踪者問題調査会代表、予備役ブルーリボンの会代表)、島田(巣くう会副会長)、西岡(巣くう会会長)など巣くう会の本を公然と推薦してない(拉致関係著書とアバウトな表現)」んで
【刊行年順(刊行年が同じ場合は著者名順)】
◆和田春樹『朝鮮有事を望むのか:不審船・拉致疑惑・有事立法を考える』(2002年、彩流社)
◆和田春樹『同時代批評:日朝関係と拉致問題 2002年9月~05年1月』(2005年、彩流社)
◆高嶋伸欣『拉致問題で歪む日本の民主主義』(2006年、スペース伽耶)
◆太田昌国、蓮池透『拉致対論』(2009年、太田出版)
◆蓮池透『拉致:左右の垣根を超えた闘いへ』(2009年、かもがわ出版)
◆青木理、蓮池透、和田春樹ほか『拉致問題を考えなおす』(2010年、青灯社)
◆青木理『ルポ拉致と人々:救う会・公安警察・朝鮮総連』(2011年、岩波書店)
◆蓮池透『13歳からの拉致問題』(2013年、かもがわ出版)
◆蓮池透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(2015年、講談社)
◆太田昌国『【増補決定版】「拉致」異論』(2018年、現代書館)
◆和田春樹『安倍首相は拉致問題を解決できない』(2018年、青灯社)
◆有田芳生『北朝鮮拉致問題』(2022年、集英社新書)
◆和田春樹『日朝交渉30年史』(2022年、ちくま新書)
などといった荒木らが目の敵にしてる「巣くう会批判派」の本を購入しても少なくとも「形式論理上は」文科省通知には反しません。
ちなみに「拉致=北朝鮮拉致とは限らない」ので「拉致」でググると
【刊行年順】
◆江川紹子『横浜・弁護士一家拉致事件*4』(1992年、新日本出版社)
◆中薗英助*5『拉致:知られざる金大中事件』(2002年、新潮文庫)
◆川越泰博*6『モンゴルに拉致*7された中国皇帝:明・英宗の数奇なる運命』(2004年、研文選書)
◆西木正明*8『冬のアゼリア:大正十年・裕仁皇太子拉致暗殺計画*9』(2005年、文春文庫)
◆和久田薫『大江山鉱山*10:中国人拉致・強制労働の真実』(2006年、ウインかもがわ)
と言う著書もヒットします。
*1:1989年11月の日本労働組合総連合会(連合)結成に至る流れの中で、これに反発する日教組左派が日教組を脱退して結成。教組のナショナルセンターとしては連合系の日教組に次ぐ規模。全教に次ぐ第三の組織として自民、旧民社系の極右労組・全日本教職員連盟(全日教連)がある。(全日本教職員組合 - Wikipedia参照)
*3:産経新聞東京本社社会部長、サンケイスポーツ編集局長、産経新聞東京本社編集局長、常務取締役、産経デジタル社長など歴任
*4:坂本堤弁護士一家殺害事件 - Wikipediaのこと。1992年時点では殺人とは認識されてなかったため。
*5:1920~2002年。1981年に『闇のカーニバル:スパイ・ミステリィへの招待』(現在は1997年、双葉文庫・日本推理作家協会賞受賞作全集41巻)で日本推理作家協会賞(評論その他部門)を、1995年に『鳥居龍蔵伝』(現在は2005年、岩波現代文庫)で大佛次郎賞を受賞。著書『スパイの世界』(1992年、岩波新書)など
*6:中央大学名誉教授。著書『明代建文朝史の研究』(1997年、汲古書院)、『明代異国情報の研究』(1999年、汲古書院)、『明代中国の軍制と政治』(2001年、国書刊行会)、『明代中国の疑獄事件:藍玉の獄と連座の人々』(2002年、風響社)、『明代長城の群像』(2003年、汲古書院)、『永楽政権成立史の研究』(2016年、汲古書院)など
*7:「土木の変」のこと(土木の変 - Wikipedia参照)
*9:勿論これは「娯楽小説の創作」で事実ではありません。なお「マジの裕仁暗殺未遂」としては虎ノ門事件 - Wikipedia(1923年、難波大助に死刑判決)、桜田門事件 - Wikipedia(1932年、李奉昌に死刑判決)、虹作戦 - Wikipedia(1974年)があります。
*10:これについては例えば赤旗大江山中国人強制連行訴訟/時効理由に請求棄却/国と会社の不法認定/「国家無答責」の適用を排除/京都地裁(2003.1.16)や 「大江山強制連行の裁判闘争の10年」を出版 | 京都民報Web(2009.12.28)を紹介しておきます。