今日のロシアニュース(2022年12月14日分)

ウクライナ、今春に露軍トップ暗殺計画「直前に彼は去った」…米は「対立が激化」と中止求める : 読売新聞オンライン

 ウクライナ大統領府のオレクシイ・アレストビッチ顧問は18日、露軍制服組トップのワレリー・ゲラシモフ参謀総長が今春、東部ハルキウ州に入った際、ウクライナ側が所在を察知し、殺害しようとしていたと明らかにした。インターネットメディアのインタビューで述べた。
 アレストビッチ氏は時期について、「(今年の)4月後半から5月」と振り返り、「彼(ゲラシモフ氏)がいた司令部に攻撃を浴びせたが、直前に彼は去っていた」と未遂に終わったと説明した。この攻撃で多くの露軍将兵や警備隊員が死亡したという。
 ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、アレストビッチ氏の発言に先立ち、米当局者の話として、米側が「ゲラシモフ氏を殺害すれば、対立を急速に激化させる可能性がある」とウクライナに殺害計画の中止を求めたが、間に合わなかったと報じた。

 ウクライナと米国の温度差を伝える話だと思うので紹介しておきます。
 それにしても「またアレストビッチ大統領府顧問か?」ですね。過去においても「米国やNATOとの温度差を露呈する放言(例えば米軍やNATOの幹部がウクライナの死者数を推定10万人と発言しても、アレストビッチが推定1万人だと強弁)をしてきた」のはいつも彼でした。
 米国やNATOの反発を買いかねない「放言」専用の人間(ゼレンスキーが言いたくても言えないことを彼に言わせる)としてゼレンスキーが彼を使ってるのかと疑いたくなります。いずれにせよアレストビッチが「無役のゼレンスキー支持者」ではなく「大統領府顧問」と言う役職に就き、ゼレンスキーが彼にダメ出ししない以上、彼の発言が「ゼレンスキーのお墨付きを得ている」と評価されても文句は言えない。
 勿論米国やNATO側はアレストビッチ発言に不快でしょう。
 それにしてもこんな発言が「ウクライナのためになる」と思ってるのかと「?」ですね。
 暗殺は「国際法的に違法性の疑義がある」し、こんなことを言えばロシアによる「ウクライナ要人の暗殺」を助長しかねません。
 また、「ドゥーギン娘の暗殺」についても「ウクライナ政府の犯行の疑い」が強まる(公式にはウクライナ政府は犯行を認めていませんし、未だにロシアの自作自演説がありますが)。
 なお、こうした温度差について国民を「啓蒙し管理する対象」としてしか見ていないのであれば、戦時において一心団結を期するなど到底無理な話: 白頭の革命精神な日記コメント欄で白頭氏は1)米国はその世界戦略上、ロシアの侵攻を容認するわけにいかず、ウクライナ支援しているが、ウクライナの暴走に頭を痛めてる、2)ウクライナと実は同意見だが、「『やり過ぎだ』とロシア批判派からもウクライナ批判が出る」など、風向きが悪くなったときに備えていつでも逃げられるようにウクライナから一定の距離を置いてる(自民から距離を置いているかのような態度を取りたがる公明党のような態度)のどちらと見るかで評価は違ってくるとしています。確かに1)と2)では大分意味が違いますが、2)の場合でも「表向きは米国がウクライナ全面支持で無いこと」は興味深い。


ポーランド警察トップが負傷、ウクライナで受け取った贈答品が爆発(1/2) - CNN.co.jp
 不可思議な事件と言うべきでしょう。
 ウクライナから渡された時点で「爆弾設置」ならウクライナ政府内部に反政府分子(犯行動機が不明なのであえて親ロシア分子とは言いません)がいると言うことになる。
 一方で「ポーランドに持ち帰った後の爆発」なので「持ち帰った後に、ウクライナ政府関係者の犯行に見せかけるために誰かが爆弾をセットした(つまりウクライナは関係なくポーランドの反政府分子の犯行。おそらくロシアとは無関係)」の可能性もある。まずは捜査の様子見ですね。


国民を「啓蒙し管理する対象」としてしか見ていないのであれば、戦時において一心団結を期するなど到底無理な話: 白頭の革命精神な日記

ウクライナ軍がドネツクに大規模砲撃か、ロシア側が「戦争犯罪」と非難(ロイター) - Yahoo!ニュース
 ロシア側が設置したドネツク市「市長」によると15日早朝、ウクライナ軍の多連装ロケット砲からロケット弾およそ40発が撃ち込まれ、集合住宅や病院が被害を受けたほか、複数のけが人が出たという。

 白頭氏も指摘するように1)過去にも嘘が多いロシアでは嘘の可能性がある、2)そういう批判をするならロシアもウクライナの民間インフラ攻撃は辞めるべきだと言う問題は無論ありますが、一方で事実ならば「ロシアを民間インフラ攻撃で批判している」以上、ウクライナも批判を免れません。しかも攻撃場所は「ロシア国内ではなくウクライナのロシア軍支配地域」なのだからウクライナ国民に犠牲が出た可能性もあります。「ロシアの民間インフラ攻撃は非難するがウクライナは黙認する」なんてのはご都合主義でしかない。
 まずは「国連調査」など第三者の調査でしょう。ウクライナやロシアは当事者、利害関係者であり信用できないからです。


わざと? 絶望的外交センスゆえ?: 白頭の革命精神な日記
米バイデン政権 ベネズエラで石油生産再開を条件付きで許可 | NHK | 米 バイデン大統領
 白頭先生の記事でこうした事実を知りましたが「独裁的」と批判してきた「反米国家」ベネズエラ(米国に対抗するため中露に接近し、国連総会ロシア非難決議でも棄権)に対して米国も随分ご都合主義です。
 勿論「サウジなど親米国家に石油増産を依頼」「米国も産油国なので米国国内の石油生産を増やす*1」「石油使用量のカットに取り組む」など「ベネズエラ」に頭を下げない手はいくらでもありえますが「全て不発(やったが成功せず、あるいは批判を恐れてそもそもやらなかった)」だったのでしょう。
 とはいえ、そのバイデンも「イランへは頭を下げない」わけですが。ただし、場合によっては「イランへも頭を下げること」は十分ありうるとは思います。

*1:これは恐らく最初からしなかったかと思います。民主党の有力支持層である環境保護団体は国内での石油開発には否定的だからです。レイムダックが囁かれた中間選挙(結果的には上院勝利、下院も共和党に負けたとは言え僅差の敗北で、バイデンは最悪の事態は脱しましたが)において「環境保護団体の離反」を招きかねない行為はバイデンにはできないでしょう。